幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。   作:かんかんさば

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後編初投稿です。

後編は最初の方は完全オリジナル展開です。

今回のお話からはアニメ未登場のキャラクターがポンポン出てくるので原作未履修の方は閲覧注意です!


2年生編(後編):仲間達と駆けるロックな青春について。
#35 ロックの道も一歩から


突然だが、俺は今猛烈に悩んでいる。

何に悩んでるのかって?

 

それは──

 

「ノルマが捌けない〜!!」

「ぷふっ、ウケる」

「笑い事じゃねぇわ!」

 

チケットノルマが全くと言っていいほどこなせそうにないのだ。ライブは来週の土曜日。その前日までに10枚を売りさばかなければならない。 現在は結束バンドのみんなにに一枚ずつ売って残り6枚になっている。

 

「そのチケット、芦毛達とかに売らないの?」

「売ろうとはしたんだけどな……あと蘆名な」

 

この10枚のチケット。受け取った時はサポートということもあって少なめにしてもらったしすぐにこなせるだろうと思っていた。その考えを持ちながら俺は蘆名たち男友達にチケットを売ろうとしたのだが──

 

『これさ、今度やる俺がサポートやってるバンドのライブのチケットなんだけど買ってくれないか?』

『いいぜ』

『おお〜!あんそんライブ出んのか?』

『お、上杉も来るか?』

 

ちなみに俺の事をあんそんと呼んでくるやつは上杉と言うやつだ。2年生になってから仲良くなった男子だ。

 

『あったりまえよ!お前のギター結構カッケーからな!』

『ところでそれいつ?』

『再来週の土曜』

『あ、わりぃその日都大会だわ』

『マジか……上杉は?』

『俺も彼女とデートだわ』

『○ね』

 

ということがあって男友達には売ることが出来なかったのだ。まぁ、みんなロックには縁もゆかりも無いから仕方ないのだが。

 

「ってことがあって売れなかった」

「どんまい。あ、彼女に売ればいいじゃん。ヨヨヨだっけ?」

「あいつは彼女じゃねぇ。それにヨヨヨじゃなくてヨヨコな」

「線が一本あるかないかの違いだから変わらないでしょ」

「変わるだろ……まぁ、あいつは多分別の人から買ってると思うわ」

 

まぁ俺が売ろうとすると──

 

「はぁっ!?あんたが姐さんとライブ?なんで後藤ひとりといいあんたといいあたしより先に姐さんと共演してんのよ?」

 

──と言って癇癪を起こす未来がよく見える。

あ、でも大槻じゃなくてほかのSIDEROSの子達に売るのはありかもな。

 

「なんか行ける気がしてきたかも」

「頑張って。その売上で私に焼肉奢って」

「SICK HACKのお金でそんなんできるか」

 

まぁギャラが出たら連れてってあげてもいいかもな。

 

「ところでお前補習は?」

「よしブッチしよう」

「おい待て逃げるなよ!?」

 

先生に引き渡す時のリョウの顔はこの世の終わりのような顔をしていた。気持ちはわからなくもない。だが、これでいい。

 

 

 

 

 

「こんにちは〜」

「あら楓くん〜♡ いらっしゃ〜い♡」

「お〜銀ちゃん!あ、そうだ今SIDEROSのみんなっている?」

「いるわよ〜、確かあそこのスタジオで練習してるはずよ♡」

 

銀ちゃんの案内でSIDEROSのいるスタジオへと向かった。ちらっと中を確認すると、合わせ練習をやっていた。

結束バンドとは違う、重厚感のあるメタルロック。聞いていると思わず浸ってしまうほどのかっこいい演奏がSIDEROSの魅力だ。

 

演奏が止まってしばらくしたタイミングノックをした。すると中から「あ〜い」と気だるそうな返事が返ってきて、ドアが開いた。

 

「お、下村先輩じゃないスか。こんちわっス」

「やっほ〜長谷川さん」

「どうぞ、中入って下さいッス」

 

中から出てきたのは長谷川あくびさん。SIDEROSのドラム担当で銀髪のロングヘアーにピアスを開け、黒マスクをつけているいかにもメタル全開な少女だ。

 

「楓先輩、こんにちは〜」

「来ましたねぇ〜……迷える子羊さん……」

 

案内されて中に入るとゆるふわな少女とゴシックな少女が出迎えてくれた。二人の名前は本城楓子と内田幽々。それぞれSIDEROSのリードギターとベースを担当している。

 

「来たわね下村!」

 

もちろんいつも通りドヤる大槻も一緒だ。

 

しばらく四人で談笑してると長谷川さんに

 

「今日はどんな用事で来たんスか?」

「あ〜、そうだった。ちょっとみんなに協力して欲しいことがあってきたんだ」

「もしや騎士団を結成するんですかぁ〜?」

「そういうわけじゃなくて……実はノルマ達成に協力してもらいたくて来たんだ」

 

カバンから人数分のチケットを取り出して、SIDEROS一同に見せる。

チケットを見ると大槻以外は目を輝かせた。一方大槻は

 

「おおぉ〜!先輩バンド始めたんスね……ってSICK HACKじゃないスか」

「なぜ先輩が廣井さんのバンドに……?」

「イライザさんが同人誌書くために休むらしくて、そのサポートとして今度のライブに出ることになったんだ」

 

理由を話すと三人は少し考え込む様子を見せた。まぁきくりさんのああいうパフォーマンスを見てるので躊躇うのも仕方がないのかもしれない。

 

「そうだったんですね。いいですよ、私、協力します!」

「あたしも協力するっス」

「私も協力しますよぉ〜……救世主さぁん〜……!」

 

しばらくすると、三人はそう言ってチケットを買ってくれた。

これでチケットは残り2枚。あとは大槻と姉貴に売ればノルマ達成だ。

さて、次はそこにいる大槻にチケットを売るか。

 

「言っとくけど私、あんたからはチケット買わないから」

「へ?」

「私はSICK HACKのチケットを姐さんからしか買わないって決めてるの。それに!」

「?」

「私まだ一緒にライブしたことないのにあんたが姐さんとライブするなんて……そんなの認めないから!」

 

なんかすごいおかんむりだな。怖い怖い。

 

カンカンに怒った大槻はまるで蒸気を勢いよく吹き上げる機関車のような感じでスタジオを出ていってしまった。

 

「行っちゃった……」

「ま、まぁヨヨコ先輩、ああは言ってるけど多分下村先輩が出るの楽しみにしてると思うんで気にしなくていいッスよ」

「そうだね……まぁノルマに協力してくれてありがとう。楽しみにしててね」

「はいっス!」

「じゃ、またね!」

 

長谷川さんたちにお礼をしてフォルトを後にする。下北沢に戻ると空はすっかりオレンジ色に染っていた。

このまま家に帰るのもいいが、一息つきたいので駅の近くの公園によることにした。

時間も時間なのか、公園にいるのは遊んでいる子供より、ベンチに腰掛ける大人の方が多い。

お酒を飲んで黄昏てる人もいれば、すごく綺麗なOLさんもいる。

 

なんだろう、すごい哀愁を感じる。俺も人のこと言えないけど。

 

そんなことを考えていると、誰かからロインが来た。

 

『ごめん、来週仕事入って行けなくなった!』

 

嘘だろ、終わったわこれ。

 

はてさて、この残り2枚のチケットを誰に売ればいいのだろうか。家族以外にいい相手が見つからない。

彩乃は絶対に無理だし、母さんをわざわざ福島から呼ぶって訳にも行かない。まさに万事休すと言ったところだろうか。

 

「どうしよう……」

 

こんな状況なのか、思わず声が出てしまう。2枚分なら全然払える。だけどせっかく8枚売ったのにこれはなんだか悔しい。まだ一週間あるとはいえ、これ以上チケットを買ってくれる人を探してたら練習が疎かになってしまう。

 

あーもうどうしよう……!

 

「あの、なにかお困りのようですが……大丈夫ですか?」

「へ?」

 

考え事をしてると、向かいのベンチに座っていたOLさんに声をかけられた。

 

「見ず知らずの私でよければ、お話聞かせてください」

「え、あっ、はい。実は──」

 

OLさんに今自分が置かれている状況を話してみた。彼女はまるで仲のいい友達のように、初対面の俺の話を聞いてくれた。

 

「──ということなんです」

「チケットノルマがあと少しなのに、達成できそうにないんですね」

「はい……」

「でしたらその残り2枚のチケット、私に買わせてください」

「え?」

 

マジかよ、この人2枚買うとか本気か? いや、友達とかを誘うと考えたら妥当か。

 

「実は私、音楽レーベルで働いてまして、マネージャー業の研修として様々なアーティストのライブを見てるんです」

「そうなんですね」

「様々なライブを見て、様々な形の音楽を知る。そしてマネージャーとして音楽の道で様々な生き方をする人達を手助けしたいんです」

 

話していることからしてこの人はきっと良い人だ。初対面なのにそう確信できる。

 

「なので買わせてください、そのチケット」

「ありがとうございます!」

「2枚いくらですか?」

「1枚2000円なんで……4000円ですね」

「はい。では、当日楽しみにしてますね」

 

お金を受け取り、チケットを渡すとOLさんはニコリと微笑んでその場を去っていった。

 

あ、名前聞くの忘れた。まぁいいか。

 

 

 

 

 

 

 

一週間後。

 

 

 

 

 

「ふい〜、今日のところはこれで終わり〜!」

「ありがとうございました……!」

「おい、練習直後から飲むなって言ってるだろ……!」

 

ライブ前最後の合わせ練習が終わった。初めはサイケ特有の変則的なリズムに合わせるのが大変だったが、練習のおかげか今は難なくついていけてる。

 

「うえ〜、いいじゃ〜ん! 一汗かいたあとのお酒が美味しいことぐらい志麻もわかってるでしょ〜?」

「それはそうだが……どうせ後でしこたま飲むんだから少しは我慢しろ!」

「ケチ〜!あ、そうだ楓くんノルマ達成できた〜?」

「はい!一時はどうなるかと思いましたけどなんとか達成できました!」

「お〜し、じゃあ今からプレ打ち上げしに行こ〜!」

「ライブ明日なんだから我慢しろ!」

「え〜、まぁいいや。楓くん、明日はよろしく頼むよ」

「はい」

 

無事にノルマを達成することが出来た。あとは本番を精一杯頑張るのみだ。




次回、「ワタシダケユウレイ」

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【第2回】好きなキャラは?

  • 山田リョウ
  • 伊地知虹夏
  • 後藤ひとり
  • 喜多郁代
  • 下村楓
  • 伊地知星歌
  • PAさん
  • 廣井きくり
  • 岩下志麻
  • 清水イライザ
  • 大槻ヨヨコ
  • 長谷川あくび
  • 本城楓子
  • 内田幽々
  • ぽいずん♡やみ
  • 後藤ふたり
  • 暗殺前の山田リョウ
  • 初期案後藤ひとり
  • 郁代(ぱぺちゃ)
  • 伊地知ニジカ
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