幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。 作:かんかんさば
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「お腹……空いた。ごはん……作って」
「分かった。風邪ひく前に早く上がれよ」
バイトから帰り、夕食を作っているとリョウがやってきた。
夜になって急に降り出した雨に打たれたのか、彼女はずぶ濡れになっていた。
「もしよかったらシャワーでも使うか?だいぶ冷えただろ」
「うん……」
濡れたままくつろがれるのも嫌だし風邪をひかれても困るのでリョウにシャワーを貸すことにした。
リョウがシャワーを浴びている間に俺は親子丼をどんぶりによそう。
「シャワー、ありがと」
「どういたしまして。もうご飯できてるから髪乾かしたら言って」
「今日のご飯って何?」
「親子丼」
「そう...」
シャワーから出てきて髪を乾かすリョウ。
その表情はやはり玄関の時と同じ、暗い表情だった。
「いただきます」
「召し上がれ」
手を合わせ、親子丼を口にする。
普段なら「おいしい」や「料理番、褒めて遣わす」など何かしら感想を言ってくるのだが、今日はそれを言ってこない。その違いに違和感を感じながら俺は親子丼を食べ進める。
〜〜⏰〜〜
親子丼を食べ終えて、俺は食器を洗う。
リョウはというとまるで心に穴が空いたかのようにぼーっとスマホを見つめている。ずっと暗い表情をしているとさすがに何があったか気になってくる。俺は恐る恐るリョウに何があったか聞いてみた。
「き、今日、何かあったのか...?」
「別に...楓には関係ない」
やはりそう返してくるだろう。だが暗い顔をしてこれ以上家に居られるわけにもいかない。
「確かに俺はバンドに入ってないし関係ないかもしれないけど、話は聞くよ?」
「……」
「話した方が楽になるぞ?」
「……」
しばらくの間、静寂に包まれる。どうやら俺は地雷を踏み抜いてしまったみたいだ。
するとリョウが間を開けて話し始めた。
「……バンドを抜けた」
「え?どうして……」
「売れることだけを意識して売れ線の曲ばかりやるようになってそれが嫌になった。その事を他のメンバーに話したらそこから揉めてバンドを抜けてきた」
売れることを意識しすぎてバンドがギスギスし、そのまま解散することがあると姉が言っていたことを思い出す。まさかそれが当てはまっていたなんて思いもしなかった。
「別に次第に売れていくようになっていくことになるなら嫌じゃなかった」
「じゃあなんで売れ線を意識するのが嫌だったんだ?」
「最初は私の好きな青臭い歌詞が私の作った曲に付くのが嬉しかった。けれども次第に売れたいということをあからさまに意識している歌詞をなんども付けられていくにつれて、まるで私が売れるための道具のように感じてきて……」
「で、嫌気が差して抜けたと」
「うん」
自分が思っている以上にリョウが悩んでいたとは思わなかった。でもなぜ自分や虹夏に話さなかったのかが分からない。俺はそれについても聞いてみることにした。
「なんで俺や虹夏にそれを話さなかったんだ?」
「2人なら乗ってくれるかもしれないと思った」
「うん」
「でも2人には頼らず自分で……解決……した、かっ、た……!」
涙を流しながら話をするリョウに俺は自分の不甲斐なさを感じる。本人が自分で解決したかったとはいえ、もっと早く話を聞いてあげれば彼女がバンドを抜ける、バンドを抜けることが確定していたとしても涙を流すことはなかったのだろう。
「もう抱え込むなよ。人を頼りたけりゃ頼れよ。1人で解決したい気持ちもわかるけど、1人で解決しようとすると返って自分を追い込むことになる」
「うぅ...っ...あぁぁ...」
リョウは泣き出してしまった。その様子はまるで溜め込んでいたものが一気に溢れ出したような感じだった。
抱え込んでいたことに対してあの頃の自分を、好きだったものに嫌気がさしてしまったことに対して1年前の自分が今のリョウと重なるような気がした。
しばらくして、泣き止んだリョウにお茶を差し出す。
「そういえば楓ってなんで推薦蹴ってそのまま剣道やめたの?」
ゆっくりお茶を飲むリョウが尋ねてくる。
「そういえば辞めた理由は話してなかったな……」
「うん、だから話して」
「 わかった」
リョウの言うように、俺はかつて剣道をやっていて、強豪校から推薦が来るほどの腕だった。
そんな剣道を辞めた理由を、俺はお茶を一口飲んでからリョウに話すことにして
推薦を蹴ってそのまま剣道を辞めるに至った経緯は今から1年ほど前、夏の関東大会まで遡る。
都大会の個人戦で優勝した俺は、東京都の代表として関東大会に出場した。
そして順調に勝ち進み、準決勝まで駒を進めた。準決勝の相手は神奈川の私立の強豪校の主将。ここまで無傷で勝ち上がってきた強者で、こちらも負けてられないと思い、直前まで相手の試合映像などを見て対策をした。それでも、勝つことは出来なかった。
開始早々に一本を取られ、こちらも必死の思いで何とか一本を取り返すことが出来たが、延長の末敗れた。
俺は悔し涙を流したが、そこから一ヶ月もしないうちにその悔しさはバネに変わった。なぜならスポーツ推薦が来ていたのだ。
とくに志望校を決めていなかった俺はその推薦を受けるためにスポーツ推薦を持ち掛けてくれた高校へと出稽古に向かった。
「な〜んだ、来年からうちに来る強いやつが出稽古に来るって言われたから見に来たら、関東大会で俺に負けた雑魚かよ」
「……っ!」
その向かった高校というのは関東大会で俺が負けた相手の学校の高等部だった。
剣道場に入るや否や僻みにきたそいつに俺は苛立ちを募らせていった。
出稽古の中でそいつとその同級生と練習試合をすることになった。苛立ちを竹刀に乗せて戦ったからか、手荒な試合運びになったがもれなく全勝することが出来た。しかし、ここでスカっとした俺に更なる追い打ちが襲いかかった。
「下北沢中って強いのは下村だけで他はみんなぱっとしねぇよなぁ〜」
監督のボヤキに俺はバカにされているような感覚を覚えた。自分が関東大会で勝ち上がれたのは自分だけの力じゃない。部活の同級生、後輩に支えてもらって関東大会で勝ち上がることが出来た。自分の努力を否定されているようで、この上ない嫌悪感が自分を包んだ。
こいつの元でやる剣道なんてお先真っ暗。
出稽古が終わり、家に帰ったあと、1人で推薦を蹴るかどうか大いに悩んだ。そして、このことを抱えきれなくなった俺は母に推薦を蹴る旨を伝えた。母はただ「そう。じゃあ公立高校目指して頑張ろうよ。」と優しい言葉をかけてくれた。もちろん出稽古に行った学校にも、学校の顧問にも自分が推薦を蹴るというのは伝わっていて、当然大バッシングを受けた。
「下村、なんで桐浜学園の推薦を蹴ったんだ!」
「シンプルに嫌なんですよ。あんなところで剣道をやるのが」
「どうしてくれるんだよ!またとない出世チャンスだったのに!」
顧問に推薦を蹴ったことが知られた時、顧問は自分のエゴを丸出しにして俺に説教を垂れてきた。
結局、この顧問は自分のことを出世の道具としてしか見てなかった。そう確信した俺はこれ以上誰かの出世道具になりたくないと思い、剣道を辞めた。
「え〜!楓、推薦蹴っちゃったの?」
「その話聞いてたか。あんなところでやるなんて真っ平御免だ。それにもう高校で剣道もやるつもりはないかな」
「そうなんだ……。じゃあ高校どうするの?」
「近い下高でも受けようかな〜って考えてる。あとは清水橋とか永福とか秀華でもアリかも」
「じゃあ一緒に頑張ろうよ。私も下高受けるし」
「まぁそうだな。互いに頑張ろう」
「でも内申とか足りるの?」
「ある程度は取ってるからまぁなんとかなるだろ」
「それなら大丈夫か」
「そういえばリョウも下高受けたいとか言ってたけど、あいつほんとに下高受けるのか?今日補習受けてんだろ?」
「なんとか受験は乗り切って欲しいんだけどね〜」
推薦を蹴ったことは虹夏にも知られていたが、一緒に受験がんばろうと言われた俺は下北沢高校を受けることを決意した。
「へぇ〜。そんなことがあったんだ」
「自分から聞いてきた割にはどうでもよさそうだな」
「照れる//」
「褒めてない」
「でも、楓が話せば楽になるって言う理由はわかった気がする」
「あ〜、それはよかった」
「話、聞いてくれてありがと」
「どういたしまして。やっぱり話すと楽になっただろ?」
「うん。楽になってきたし眠くなってきた」
「え?」
「枕と布団持ってきて。私はここで寝る」
スマホを見るともうすぐ日付が変わろうとしている。いくら近所とはいえこの時間に夜道を1人で歩くのは危ない。でもよく異性の家に突然泊まろうと思うな。
「親への連絡とかどうすんだよ」
「もうした。安心して、ちゃんと女友達の家に泊まるって入れたから」
押し入れから客用の布団と枕を取り出し、リョウに渡すと彼女はすぐに寝てしまった。
◇
バンドを抜けた。
メンバーと揉めてそのままスタジオを飛び出して家にベースを置き、私は感情に身を任せて色んなところを彷徨った。
家の近くの古着屋、多摩川の河川敷に神保町の古本屋。
でも、どこに行ってもまるで目に映る景色が全て灰色になったかのような感覚に包まれて、ただ時間が過ぎていくだけだった。
どうしたら良かったのだろうか。過ぎたことを嘆いても仕方ないのにそんなことを考えながらただ歩く。
日が暮れて当たりが暗くなってもまだ私は東京をさまよい続けた。でもずっと歩いているとお腹が空くわけで私はロインを入れる。
『今日は遅くなる。8時半くらいにそっち行くから』
いつもだったらしばらくしてから返事が来るのだが、既読がつかない。
そういえば楓、今日バイトがあるって言ってたな。
そう思い夜の街を歩いていると、雨が降ってきた。傘を持っていなかった私は雨に打たれながらひたすら歩いた。雨に濡れながらなら涙を流しても気づかれないだろうと思ったが、涙が出ない。そうなってしまうほどあのバンドを抜けたということが自分の中ではビッグイベントだったようだ。
しばらく歩くといつの間にか楓の家の前にいた。部屋の明かりが着いているということは中に楓がいる。そう確信した私は雨に濡れ悴んだ手でドアチャイムを鳴らす。
「お腹……空いた。ご飯、作って」
心配そうな顔で見てくる楓を見てなぜか少し泣きそうになりながらも、私は言う。
「分かった。風邪ひく前に早く上がれよ」
雨に濡れた私を気遣ってくれたのだろうか。楓はすぐに私を家にあげてくれてそのままシャワーを貸してくれた。シャワーを浴びると普段よりなぜか暖かく感じた。そうとう体が冷えていたのかもしれない。
シャワーから出るとキッチンからいい匂いがした。
「シャワー、ありがと」
「どういたしまして。ご飯出来てるから髪乾かしたら言って」
「うん。今日の晩御飯は?」
「親子丼」
「そう……」
ドライヤーで髪を乾かしていると、親子丼がテーブルに並べられていくのが見えた。さっきから感じる匂いも相まって食欲がそそる。
「いただきます」
「召し上がれ」
私は親子丼に手をつける。出汁の効いた優しく、おいしい味わいが口の中に広がる。
お腹がすいていた私は、ただ無言で親子丼を食べ進めた。
「き、今日、何かあったのか?」
食べ終えてぼーっとスマホを眺めていると楓が尋ねてきた。
「別に……楓には関係ない」
聞かれたくなかった。だから突っぱねた。でも──
「確かに俺はバンドには入ってないし、関係ないかもしれないけど、話は聞くよ?」
「……」
「話した方が楽になるぞ?」
楓の心配性には勝てない。そしてなにより心のどこかで話を聞いて欲しいと思っていた自分がいた。
私は少し間を開けてからバンドを抜けたことを明かした。
「……バンドを抜けた」
「え?どうして……」
「売れることだけを意識して売れ線の曲ばかり作るようになってそれが嫌になった」
自分がバンドを抜けた理由、経緯を話した。
楓はただ私の話をしっかりと聞いてくれた。
「で、嫌気が差して抜けたと」
「うん」
話すと何かがすーっと抜けていって楽になった気がした。
「なんで俺や虹夏にそれを話さなかったんだ?」
「2人なら相談に乗ってくれるかもしれないと思った」
「うん」
「でも2人には頼らず自分でっ……解決……した、かっ、た……!」
目から涙が流れてきた。
昔から楓と虹夏は私に優しく、親切にしてくれた。虹夏にはお弁当を作ってもらったり、高校を受験したときは勉強を教えてもらった。そして楓にも虹夏と同様に勉強を教えてもらったし今ではほぼ毎日ご飯を作ってもらってる。もちろん2人には感謝している。でも自分の問題に2人を巻き込みたくないと思い、私は1人で解決しようとした。
「もう抱え込むなよ。人を頼りたけりゃ頼れよ。1人で解決したい気持ちもわかるけど、1人で解決しようとすると返って自分を追い込むことになるよ」
「うぅっ、あぁぁ……!」
悲鳴をあげていた私の心に楓の優しい言葉が降りかかる。そして私は声をあげて泣いた。
しばらくして、泣き止むと楓はお茶を出してくれた。ゆっくりとお茶を飲みながら私はあることを思い出した。
楓は中学まで剣道をやっていた。大会を見に行ったり練習を覗きに行ったりで剣道をやっている所を何度が見た事はある。見る度にとてもかっこいいと思ったが、ある日突然辞めた。スポーツ推薦を蹴ったことは知っていたが、辞めた理由は聞いていなかった。私はそれが気になり、尋ねてみた。
「そういえば辞めた理由は話してなかったな」
「うん」
「わかった」
それから楓は剣道を辞めるまでに至った経緯を話してくれた。
関東大会で結果を残して推薦が来て、推薦を持ちかけてくれた学校へ練習しに行ったが、関東大会で負けた相手に嫌味を言われ、そこの監督にも仲間をバカにされ、努力を否定されたような感覚に陥ってしまい、推薦を蹴るか蹴らないか迷い抱えきれなくなり、母親に推薦を蹴る旨を伝えた。そして推薦を蹴ったことを顧問に伝えるとその顧問の出世道具でしか無かったことに気づき剣道自体に嫌気がさして辞めてしまった。
私はその話を聞いて彼が話せば楽になると言った理由がわかった気がした。
「話、聞いてくれてありがとう」
「どういたしまして。やっぱり話すと楽になっただろ?」
「うん。楽になってきたし眠くなってきた」
「え?」
夜も遅いし疲れているからか眠気が襲ってきた。
「枕と布団持ってきて。私はここで寝る」
親への連絡はどうするのか聞かれたが、予め女友達の家に泊まると嘘の連絡をして置いた。どの道今日は家に帰るつもりはなかったのだ。
楓が押し入れから布団と枕を取り出し、それを受け取ると私はあっという間に眠りについた。
*****
あの夜から3週間ほどたった7月中旬の土曜のこと。
期末テストが終わり、バイトもしばらく休みなので俺は夏休みの予定を立てていた。
神奈川県の三浦に三崎まぐろを食べに行ったり、来月の花火大会に向けてチケットの予約など、これからやってくる夏休みへの期待に胸を膨らませているとスマホにロインが来た。
『話がしたいからここに来て』
リョウが地図を載せてメッセージを送ってきたのだ。どうやら駅前のカフェにいるみたいだ。
俺はすぐに部屋着から私服に着替え、財布とスマホを持って家を出る。
外に出ると夏の暑く、眩しい日差しが降り注いでいた。もうすっかり梅雨が明け、夏が来たことを告げているような感じがした。
しばらく歩き、リョウがいる駅前のカフェに辿り着いた。中に入るとすぐにリョウを見つけることが出来た。
「あ、来た。こっち」
リョウに手招きされ俺は窓際のカウンターに座っている彼女の元へと向かう。
「ご注文決まりましたらお声掛けください〜」
店員さんにお冷を貰い、メニューを眺める。
東京のカフェは高いものばっかりだ。もう10年以上下北沢に住んでいるが、こういう店の物価の高さには意外と慣れないものだ。
「すいません、アイスアメリカーノ1つ」
「はい、アイスアメリカーノ1つですね。ご注文承りました〜」
俺はメニューの中で一番安いアイスアメリカーノを頼んだ。
お財布には余裕を持たせないと夏休みがキツくなるから仕方ない。
「アメリカーノ頼むってマセてるね」
「マセてないわ。そういうお前は何飲んでるんだよ」
「ゲイシャコーヒーのブラック」
「なんか癖の強い名前だな」
「私に合っているコーヒーだと思う」
「確かに癖強いしなお前」
「分かってんじゃん……//」
「褒めてねぇよ」
気になったのでスマホでゲイシャコーヒーを調べてみるとかなり希少な品種で、単価も高い高級品らしい。さすが金持ちの家の娘の舌は肥えているなと思う。
「お待たせしました。アイスアメリカーノです」
しばらくすると注文した飲み物が届いた。
エスプレッソに冷水を加えることによって生み出されるコク深く華やかな味わいが口の中に広がる。
「それで、話って?」
「しばらく音楽から距離を置くことにした」
「え?そりゃまたどうして」
「あれから気持ちの整理がついて、それでしばらく音楽から離れた方がいいんじゃないかって思った」
音楽から距離を置くというリョウのまさかの発言に言葉が出なくなる。
「でも、ベースとか機材とかはどうすんの?」
「完全に辞めるわけじゃないから家に残すけど、しばらく弾くつもりはない」
母が俺に行ってくれた言葉を思い出す。
せめてもの餞になればいいなと思い、俺は覚悟を決めてアメリカーノを一気飲みする。
「またベース弾きたくなったら、その時は聞かせてよ」
「……わかった。その時は聞かせてあげる」
その時がいつ来るかは分からないが、リョウの弾くベースがまた聞きたいと思った。
それから、リョウはあの夜以降はむきたすのメンバーとの間にあったことを話してくれた。
あれからはむきたすのメンバーが直接謝りに来たらしい。そして話し合いの末、正式にリョウははむきたすを脱退することになった。
「ごめん。もう少し早く話聞いてあげれたらこんなことにはならなかったよな……」
「ううん、楓は悪くない。たぶん遅かれ早かれこうなってた」
自分の過ちを謝罪するとリョウは俺は悪くないと否定してきた。
「私の中で売れ線に走っていくのが嫌だって思ってたのもあるけどその方向に走っていったあの2人を見下してた所もあった」
「この前あの2人と会った時そこで互いに思ってたことを全部ぶつけあった。結局分かり合えなかったけどお互い本気だったんだってことだけは分かち合えた」
すれ違いは時に大きな亀裂を作り出す。多分売れ線に走ろうとした他のメンバーの人たちも、青臭い当初の路線のままで行こうとしたリョウも、それぞれの本気がぶつかりあって亀裂が生じてしまった。多分これは誰も悪くない。なるべくしてなった結果とでも言うのだろうか。
やっぱり自分の無力さには嫌気がさす。でも、リョウは俺自身のことを悪くないと言ってるし、こんなことを考えてもしょうがないな。
しばらく雑談を交わした後、俺とリョウはレジへと向かった。
「では、ゴチになります」
「は?」
ちょっと待て。ゴチになります?
そうだ、こいつ金遣いが荒いんだったわ。
「まさかとは思うけど、俺に金を払わせるためにここに呼び出したとかないよな……?」
「バレたか」
その後、俺は泣く泣く2人分の代金を支払わされた。
次回からの2、3回は夏休みのお話を書くつもりです。
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