幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。   作:かんかんさば

70 / 83
花粉症でストレスマッハなので初投稿です。

今回は久しぶりの料理回です。一体これなんの小説なんですかね。


#40 下村家秋の味覚祭り

松茸。それは超がつくほどの高級食材であり、秋の味覚の王様。通販で買えば一箱8000円から1万円もする。そんな食材は普通、お金を貯めてここぞという時に買って食するのが普通だ。だが───

 

「なんで仕送りに松茸が大量に入ってるんだよ」

 

突然大量の松茸が送られてくると、さすがに扱いに困るものだ。俺の母は福島で小学校の教頭先生として単身赴任している。そんな母は毎月、福島の美味しいものや食材などを仕送りしてくれている。今月も例に漏れずやってきたのだが──

 

『校長先生から松茸たくさんいただいたんだけど、食べきれないからお姉ちゃんとかリョウちゃん達と一緒に食べてね♡』

 

その手紙とともにダンボールに大量の松茸を送ってきたのだ。食べきれないからあげるとは言ったけど、だからと言ってこんなに送られても困るんだよ。ただ不幸中の幸い、今日はリョウが来るから少し松茸の減りは早くなるかも。

 

炊飯器に研いだ白米をセットしたあとスマホで松茸を使った料理のレシピを調べ、必要な材料をメモしてから俺はスーパーへと向かった。

 

「あれ、楓くんじゃ〜ん!?どしたの、お買い物〜?」

 

よし、今見た酒カスは見なかったことにしよう。なんか嫌な予感するし。

 

「うぇ、無視ぃ〜!?」

 

 

 

 

 

 

 

スーパーで必要なものをある程度買い揃えて来た。

今日作る松茸料理の材料はもちろんのこと、秋刀魚やさつまいもなどの他の秋の味覚も買ってきた。松茸料理だけだとどっかの誰かさんがぶーぶー言いそうなので色々買ってみたのだ。量もある程度買ってあるのでおかわり対策もバッチリだ。

 

さて、家に帰ったらさっそく下ごしらえを──

 

「ほんと酷くな〜い?話しかけたのにシカトってさ〜」

「うんうん、ほんと酷いですね」

「もうお姉さんショックだよ〜」

「廣井さんを泣かせるとは、楓は人間のクズですね」

 

え、なんでリョウときくりさんが俺の家の前で喋ってるの?

まさか今日はクズベーシスト二人に作らなきゃいけないのか!?おいおいおいおいマジかよ……!

 

「噂をすれば人間のクズが帰ってきた」

「初っ端からブーメラン刺さってんぞ。で、何しに来たんですか、きくりさん?」

「あ〜、今日はシャワー借りに来たんだ〜。うちのやつぶっ壊れちゃってさ」

 

うわ、きくりさんにしては割とマトモな理由だな。でも、大槻の家とか姉貴の家とか虹夏の家とかそれこそ、SICK HACKのメンバーの家にいけばいいのに。

 

「大槻の家とか姉貴の家行けばいいじゃないですか」

「あ〜、大槻ちゃんの家は昨日行ったし連日行くのはなんか申し訳ないじゃん?」

「そこは申し訳ないって思うんですね」

 

行ったら大槻喜ぶと思うんだけどな。「姐さんが頼ってくれてる……!」なんて言ってすごいご機嫌になるのが想像できるよ。

 

「じゃあ姉貴の家とか志麻さんの家は?」

「う〜ん、伊織は多分出張だし志麻は行ったら怒られるからなぁ〜」

「えぇ……」

 

だったらもう伊地知家に行ってもらうしかないな。

ポケットからスマホを取り出し、虹夏に電話をかけてみる。

 

「もしもし虹夏?」

『ん、どしたの?』

「ちょっと頼み事があってさ」

『うん』

「実は今、きくりさんが来てて『うん、無理!』え?まだ何も言ってないんだけど」

 

廣井さんって言った瞬間断りやがったぞこいつ。少しは話聞こうとかないの?

さすがにクズ二名の面倒は見きれないんだけど。

 

『この前きくりさん、うちで盛大に吐いちゃってそれでお姉ちゃんめちゃくちゃ怒ってきくりさん出禁にしたんだよ』

「わーお」

『だから楓の気持ちもわかるけど、今回は無理かな。ごめんね、明日ジュース奢るから!』

 

終わったわ。いや待てよ、風呂が壊れたのなら銭湯に行けばいいのでは?

 

「あ、今所持金21円しかないん……やっべ、吐きそ……おぶるるぉえぇぇ……」

 

ふざけるなあああああ!!!!

あと心の声読んでくるなあああああ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなはずじゃなかったのに……」

「いや〜悪いね、お風呂とご飯だけじゃなく洗濯までしてもらっちゃって〜」

「ここに着替え置いときますね。姉貴のパジャマですけど」

「ありがと〜!」

 

家の前で盛大に吐きやがったきくりさんを風呂にぶち込み、彼女の着ていた服は洗濯機に突っ込んだ。

ああ、なんで8つ上の姉の友達のゲロ処理を俺がしなければならないのだろうか。まぁ、徳を積めばきっといいことが起こるはずだ。明日はきっと綺麗なお姉さんに逆ナンされて渋谷でデート、なんてこともあるかもしれないし。

 

「つまんない妄想してないで早く料理作って。私はお腹空いた」

「あっ、はい」

 

つまんないとはなんだ。世の男子はこういうロマン溢れた妄想をすることによって正気を保っていられるんだよ、多分。

 

買い物袋から今日使う食材を、ダンボールからは松茸を取り出す。

 

「むむ、松茸とは……まさか私が今日は松茸の気分なのをわかって用意したな?」

「いやそんなことはない」

 

でも高級食材を使った料理を集ってきそうな感じはしてました。

今日使う食材は松茸、秋刀魚、カボスだ。献立としては焼き松茸、お吸い物、焼き秋刀魚だ。

まず初めに松茸の下処理から始める。ボウルに水を張り、指で少しずつかけながら汚れを落とす。次に根元にある石づきを鉛筆で削るようにステンレス製の包丁で削ぎ落とす。鉄製の包丁でやると松茸に鉄の味が移ってしまうらしい。

 

「いい匂い」

 

早くもリョウはご満悦の様子だ。

下処理が終わったところで、次は秋刀魚の下処理だ。

まず初めに包丁で秋刀魚の鱗を剥がす。剥がしきったら水で軽く洗い、キッチンペーパーで水分をしっかり取る。次は塩を振る。秋刀魚全体に満遍なく、気持ち多めぐらいの量をふりかける。そして、手で馴染ませる。多めの量の方が焼き上がったときに皮がパリッとなるそうだ。

塩を馴染ませたら今度はグリルにアルミホイルを入れ、人数分の秋刀魚を並べる。

ところで内蔵は取らないのかって?取らないんだなそれが。新鮮な旬の秋刀魚は内蔵をとる必要はない。むしろ、内蔵も美味しいし可食部も増えるからコスパにもいい!(マコモ湯)

 

蓋を閉めたらタイマーを10分ほどにセットして中火で加熱する。その間にお吸い物と焼き松茸を作る。

お吸い物はまず、松茸を3〜4mm幅に切る。そして鍋に適量の水を入れて沸かし、そこに適当な大きさに切った生麩と切った松茸、白だしを入れて火を通す。3〜4分ほど火を通したら火を止める。

焼き松茸は最初に包丁でかさに切り込み、手で半分に裂く。この時途中で折れないようにゆっくり裂くと、繊維が糸状になって綺麗に残る。

次に半分になった松茸のかさにさらに切込みを入れ、火を通しやすくする。それが終わったら今度は塩を振る。ネットで調べたのだが、30cm程の高さから振ると満遍なくかかるみたいだ。

ということで、塩を振ってみよう。指先にちょうどいいくらいの塩を握って、パラパラ〜っと。どこぞの絶対にオリーブオイルをスタイリッシュにかけるイケメンタレントのようにかけてみる。

 

「なんかカッコつけてるけど、朝の顔目指してるの?」

「……そ、そんなことないよ」

 

うん、気まずい。

塩を振って1分ほど経つと、表面に水分がでてきた。そうしたら今度はオーブンにアルミホイルを引いて予熱して、2〜3分ほど経ったら松茸を入れる。5分程焼いて水分が溜まってきたら焼き松茸の完成だ。

それとほぼ同じタイミングでオーブンのタイマーが切れる音がした。どうやら秋刀魚も焼けた。

焼き松茸と秋刀魚を人数分の皿に乗せる。そこに半分に切ったカボスを加えてテーブルに運ぶ。そして、お椀にお吸い物を注いでそれも運んでいく。

 

「お〜、松茸に秋刀魚か〜、お酒進みそうだなぁ〜」

「さっき思いっきり吐いてるんですから自重してくださいよ」

「え〜、わかってるって〜、あ、いただきま〜す!」

 

おにころのパックを1つ開けるとともに、きくりさんは松茸を食べ始めた。それに応じて俺とリョウも「いただきます」と言って松茸と秋刀魚に手を付け始めた。

まずは松茸を───うん、美味い。芳醇な香りにシャキッとした瑞々しい歯ごたえが味わい深く、とても美味しく感じる。

 

「程よい焼き加減だ楓、褒めて遣わす」

「お褒めに預かり光栄にございます」

 

続いては秋刀魚。内蔵を取らずに焼いたからか、秋刀魚の旨みが最大限に生きている。外はパリッと、中はジューシーに焼けている。そんな味わいなのかご飯も進む。

 

「くぁ〜!やっぱ秋刀魚とおにころって相性いいね〜!」

 

まぁ、そりゃお酒飲むわな。吐かなきゃいいけど。

 

 

 

 

 

 

 

「改めてご飯ありがとね〜」

「どういたしまして」

 

 

食べ終わった後、リョウはすぐにお風呂に入り、きくりさんと二人で会話することになった。ちなみに今彼女は本日推定4パック目のおにころを飲んでいる。

 

「そういえば最近どう?バンド見つかった?」

「全然ですよ……まぁ、サポートで入ってくれないかぐらいのスカウトなら来てますけど」

「へ〜」

 

あのライブからちょくちょくスカウトが来るようになった。といっても、ライブに1回か2回ぐらいサポートとして出るだけで正規メンバーとしてのスカウトは未だゼロだ。

 

「だったら結束バンド入ればいいじゃん」

「だから言ったじゃないですか、もう結束バンドにはガールズバンドのイメージがついてるって」

「別にその先入観はなくてもいいと思うけどな〜。それに楓くんピアノできるんでしょ?キーボードとしてなら全然アリだと思うよ」

「そうですかね」

「ま〜、いつまでもウジウジしてない方がいいと思うよ」

「確かに……」

 

正直、今俺の心の中には結束バンドに入りたいという気持ちと、入りたくないという気持ちがある。みんなと演奏できるのはとても楽しい。だけど、自分が入ることでそれが壊れてしまうのは避けたい。

どうすればいいのか。やるからには楽しくやれた方がいいけど楽しいだけじゃ長くは続かない。

納得がいく答えを考えていくうちに時計の針はどんどん動いていくのだった。

 

 

 




次回、「予期せぬヒトカラ(×2)」

高評価、感想、お気に入り登録、ここすきなど頂けると作者のモチベと筆のスピードが上がるのでぜひお願いします!


高評価くれー!!応援メッセージもくれー!!(承認欲求モンスター)

【第2回】好きなキャラは?

  • 山田リョウ
  • 伊地知虹夏
  • 後藤ひとり
  • 喜多郁代
  • 下村楓
  • 伊地知星歌
  • PAさん
  • 廣井きくり
  • 岩下志麻
  • 清水イライザ
  • 大槻ヨヨコ
  • 長谷川あくび
  • 本城楓子
  • 内田幽々
  • ぽいずん♡やみ
  • 後藤ふたり
  • 暗殺前の山田リョウ
  • 初期案後藤ひとり
  • 郁代(ぱぺちゃ)
  • 伊地知ニジカ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。