幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。 作:かんかんさば
何がとは言いませんが。
「単刀直入に言わせていただきます。あなたをスカウトしに来ました」
OLさんもとい司馬さんの発言は、ライブを終えたばかりの俺にとってすぐに理解できる気がしない。
「突然スカウトしに来ました、なんてことを言われても理解するのは難しいでしょう」
「は、はい……」
「なのでこれから少しお話をさせていただこうと思うのですが……なにかこの後ご予定は?」
「そ、そうですね……特に……」
これお話と称して司馬さんとかいう大人のおねーさんとクリスマスデートできるのでは?勝ったな、風呂入ってくる。
はっ、これから俺は打ち上げに行くんだった。めちゃくちゃ話聞いてみたいしあわよくばそのままデート行きたいけど我慢するんだ……!
「いや、この後は打ち上げに……」
「そうでしたか。では、また後日にしましょう。都合の良い日を教えていただければ事務所でお話できるよう調整致しますので」
「はい、よ、よろしくお願いします」
「こちらこそ。では、またお会いできるのを楽しみにしてますね」
司馬さんは丁寧にお辞儀をして歩いていった。にしてもスカウトなんて話が出来すぎじゃないのか?ギタリストとしてはまだまだ駆け出しの部類に入るやつだぞ?
でもスカウトの目に留まるぐらいには実力があるって事だからいいことなのか。まぁ、そういうことにしておこう。
「どうしたの、ボーッとして……」
「いや、なんでもない……」
考え事をしているとリョウに話しかけられた。今あったことを話そうと思ったがなかなか話そうと思えない。嬉しいことだし報告したいけど、多分話したら打ち上げどこじゃなくなってしまう。
でもリョウと虹夏に隠し事はしないって決めてるしな……
「もしかして綺麗なおねーさんに逆ナンされたけど打ち上げのために泣く泣く断念したとか?」
「なんで分かんだよ」
そっち当ててくるのかよ、悲しくなってきたじゃねぇかよ。
「まぁ、言いたくないこともあるんだったら今無理して言わなくてもいいよ」
「そうだよな。ところでみんなは?まだ中にいるの?」
「もうとっくに店に行ったよ」
「それ早く言ってよ……」
幸いお店はそこまで離れていないし時間もまだ余裕があったと思うから大丈夫だろう。
「ではでは〜、これより!スターリークリスマスパーティー兼打ち上げ兼お姉ちゃん30歳の誕生日会を開始しま〜す!!乾杯っ!!」
虹夏の合図とともに、今宵の宴が始まった。
新宿駅から少し離れた居酒屋に、結束バンド、SIDEROS、PAさんというメンバーで来ている。
「あれ、廣井さんはどこいったんですか? 今日のメインのはずじゃ……」
「あの方は厄介事を起こしそうなので誘ってません!」
「そうなんですね……」
「「「ありがとうございまーす!!」」」
長谷川さんたちめちゃめちゃよろこんでる。
「一応怪しまれないように別のお店に姉貴と行ってもらった」
というわけで、姉貴の尊い犠牲を払い廣井さん抜きで始まったこのパーティー。喜多ちゃんや虹夏を初めとした面々はウッキウキで楽しんでいる。
だかその一方で───
「……」
「……」
「……」
こちらのコミュ障三銃士はなにか喋る訳でもなくただ黙ってポテトを食べているだけだ。リョウに至ってはスマホいじってるしこいつは何をしに来たのだろうか。
「あっ、ポテト切れた……」
誰が行くのか、後藤か?大槻か?それとも山田か?
「……」
「……」
「……」
誰も動かない!誰も動かないぞ!三者一向に動かない!!
空になった皿を見つめて誰かが取りに行くのを待つ大槻と後藤!! そして「はよ取りに行けや」と言わんばかりにスマホをいじり倒す山田!!
さあ、誰が取りに行くのか!!?
「楓、さっきからどうしたの?」
「え、ああ、あそこの連中がコミュ障発動して誰一人として料理取りに行かないのが面白くて眺めてた」
「えぇ……」
「先輩、見てください!後藤さんが行きましたよ!!」
動いたのは後藤ひとりだぁぁぁぁぁ!!!!
長かったこのレース、制したのはツル○○ツ○シ……じゃなくて後藤ひとりだぁぁぁ!!
「中の人ネタ実況とかしてないであっちの連中にも声掛けてきてよ」
「そこはお前の仕事だろ、リーダーだし」
「あたしが行ったら大槻さんが置いてけぼりになっちゃうじゃん。だから楓行ってきてよ」
「しょうがないな」
行ってやるか。この状況において、あいつらに話しかけられるのは俺しかいないだろうし。
ライブが終わった後、結束バンドとSIDEROSのメンバーが会話に花を咲かせているのを見た。それで打ち解けられたと思ったんだけどそんな簡単には行かないか。
「お前らせっかくの機会なんだし少しは話した方がいいんじゃないのか?」
「「「……」」」
「意地でも喋らないなお前ら!?」
まぁ、これで喋り出すわけないことは百も承知だ。なら、次のステップに映るか。
「なぁ大槻、つまんないのか?」
「ち、違うわよ!」
次のステップとして、それぞれに事情聴取することにした。手間はかかるが解決策は見つけやすい。まずは大槻から聞いてみることにした。
「私は3人以上の集まりが苦手なのよ……」
「じゃあなんで来たんだよ」
「そっ、それはみんなが行くって言うから来てあげただけだし……」
「おお」
「おおじゃないわよ!?」
なるほど、大槻は三人以上の集まりが苦手だから喋れないと言うわけか。次はリョウだが、多分一人が好きとかそういうのだろうけどとりあえず聞いておくか。
「リョウはなんでさっきから黙ってるんだ?」
「パーティのノリが合わない」
「じゃあなんで来てるんだ?」
「タダ飯食い放題だから」
「だろうな」
欲には抗えないというわけで、次はひとりだ。
「ところでひとりは? もしかしてこういうクリスマスパーティー初めてか?」
「うっ、うん……」
「無理はしなくていいけど、せっかくの機会なんだしいろいろ話聞いてみたら? こういう所から交友関係は広まってくと思うし」
「うん……」
場馴れしてない以上しょうがないところもあるけど、少しは頑張って欲しいな。さて、解決策を練るとするか。
「楓、ああ言ってるけど実は私たち以外にほとんど友達いないよ」
「そうなの!? ぷっ、下村あんたそこまで友達いないのね……」
前言撤回、なんか腹たって来たわ。なんなんこいつらマジで。せっかく諭してやったと言うのに。
「よし、こうなりゃ最終手段だ!机くっつけるぞ!!」
「えっ、あっ、ちょっ……」
「問答無用!!虹夏、喜多ちゃん!!やっちゃって!!」
「「あいあいさー!!」」
喜多ちゃんと虹夏に協力してもらい、机を合体させた。初めからそうすればよかったのでは、というツッコミは受け付けない。
「よ〜し、これでテーブルが一つになったことだし〜! 改めてみんな楽しんでこ〜!!」
「「「お〜」」」
「「「……」」」
まぁ、くっつけたところでこいつらのテンションはそう変わるはずもないか。
少しため息をつき、ジュースを飲もうとしたその時、スマホから通話の着信音が鳴った。どうやら相手は姉貴。どうせ泊まってくるとかそういうのだろうと思いつつも念の為内容を聞くために出てみるか。
『ごめん、廣井がそっちの方に向かってる!!』
「え」
『止めようと必死に粘ったんだけど聞かなくて…… あたしも今向かってるから先輩に伝えといて』
「わ、わかった……」
尊い犠牲を払っても成し遂げられないものってあるよね。にしてもバレたか。どうにかお店に迷惑をかけないように行動してもらうしかないな。
「て、店長……」
「どうした? 言いにくいこと言いたそうな顔して」
「今さっき姉貴から電話が来て……その、きくりさんが……」
「廣井がどうした?」
「どうやら───」
電話で伝えられた出来事を話そうとしたその時、扉が開き、ヤツがやってきた。
「みんな全然来ないと思ったらここにいたんだ〜!! ずっと伊織と飲みながら待ってたんだよ〜!!」
来襲したヤツに対し、山田と大槻は目を輝かせ、他は目が死んでいた。
「なるほどな」
「先輩、ほんとすみません……」
「いいよ、1時間も引き止めてくれたんだから」
「どんまいですよ〜伊織さん」
「PAざ〜ん゛!!!」
姉貴の発言と表情から、どれほど悔しかったのかがよくわかる。さぞかし無念だったのだろうな。
しばらくして、姉貴は無事復活してパーティを楽しむようになってきた。大人用のシャンパンを飲んでいたからアルコールが回ったのかもしれない。
「そういえばライブはどうだったの?」
「ライブはね〜。みんな大盛り上がりでモッシュにダイブにサークルまでできて……なんてこともなくふつーにアウェイでした」
「初めての箱なんだしそりゃそうだろ」
「ところで、楓は?」
「オープニングアクトとしての役割を最低限果たせたくらいには盛り上がりましたね……」
「なるほどね。そういやお前、前そこのクズのサポートしてたもんな」
ちなみに、フォルトのアウェイ感は俺も感じたことがある。前回SICK HACKのサポートとしてライブに出た際なのだが、本当に言葉に言い表せないくらいのアウェイ感が襲いかかってくる。まあ、それでも今日はそれなりに盛り上がってたし万々歳だろう。
「そ、そうだ〜、そろそろ店長への誕生日プレゼントお渡しタイムに移りま〜す!」
なんとなく流れをきくりさんに持ってかれそうになったところで虹夏が流れを仕切り直した。
「別にそこまでしなくていいのに」という言葉を無視してそのままお渡し会は強行される。まず初めに渡したのは喜多ちゃんで、内容はハーバリウムとお花のリップ。うん、女子力が高い。
「は〜い、喜多ちゃんありがとうございました〜! ってとこで次はリョウ!」
「……」
「リョウ?」
「プレゼントで大事なのは値段じゃなくて気持ちですよね」
「それあげる側のセリフじゃないよね?」
「絶対用意してねぇだろお前」
「ふっ、甘いな。だから楓はいつまで経ってもベーコンのせたパンケーキになれないのだよ」
「俺の名前を地味にわかりにくい例えでいじるのやめろ」
「まぁいい、あっと言わせるものを用意してくるから」
「ちょっと、雪降ってるから危ないよ!」
虹夏の静止を無視してリョウはどこかへ行ってしまった。多分あいつの事だしそのへんで何か拾ってくるだろう。そう思うとあまり心配にはならない。
てかなんだよ「ベーコンのせたパンケーキになれないのだよ」って。なんか遠回しにディスりやがって腹立つな。
しばらくして、ずるずるずるという謎の轟音と共に、リョウは帰ってきた。
「頑張って作ってまいりました!可愛がってあげてね!」
彼女が持ってきたのはなんと、雪だるまだった。ちょっと待てぃ!(相○食堂) 室内になんてもの持ち込んでるんだよ。
「おいやめろ!室内に入れるなそんなもん!」
「そう仰るにはまだ早いですよ店長」
「早いも何も無いだろ外に出せ外に!」
「この雪だるまピエール君は店長に会うためにフィンランドからはるばるサンタさんのソリに忍び込んでやってきたという裏話がありまして……」
「可愛いエピソードをつけるな捨てられなくなるだろ!」
ちょっと情湧くよこんな話されたら。でも室内に雪だるまを持ち込むのはやめましょう。
「まぁ、リョウのプレゼントも素敵だったなーってことで次は楓!」
「お、どんなのくれるんだ?」
「なんかプレッシャー上がったな…… ま、いいか。はい、店長、誕生日おめでとうございます!」
今年俺が用意したプレゼントは1月始まりの手帳とシャーペン付きの多機能ボールペン。いろんなスケジュールを管理する店長にピッタリだと思う。
「おお、いいなこれ!ありがとな、楓」
「はい!」
その後も、きくりさんから期限切れのポイントシール10点分、姉貴からは焼肉屋のいちばん高い食べ放題のコースのチケット、ひとりから謎のお誕生日ソング(弦が切れたため打ち切り)が贈られたりと、かなり賑やかなお渡しタイムになった。
そんなお渡しタイムを経て、パーティーはお開きとなった。外に出ると、辺りは一面銀世界となっていた。リョウが雪だるまを作ってくるぐらいだし想像はしていた。しかし、実際に見てみると思ったよりも降っていて驚いたし、なによりクリスマスというのもあってか幻想的に感じる。
ひとりと喜多ちゃんとSIDEROSのみんなを駅まで送り届けてちょうど今、伊地知姉妹と解散したところだ。
ちなみに姉貴はきくりさんとPAさんと朝までハシゴ酒を敢行しに夜の街へと消えていきましたとさ。
「……大槻ヨヨコ、なんで急に未確認ライオット出るって言ったんだろう……」
「お前らのこと意識してるんじゃないのか?」
「なるほど。つまり、この私の才能に恐れをなしているというわけか……」
「……ま、そういうことなんじゃね?知らんけど」
「む、知らんけどとはなんだ知らんけどとは」
才能、というか実力はあるからリョウの推測も間違いではないけど合ってるとは言い切れない。たがら知らんけどでいいと思うんだけどな。
「ところでリョウ、お前今日どうすんの?さすがに俺の家は無理だぞ?」
「うん、知ってる。今日は家に帰る」
「じゃあ家まで送ってくわ。この天気だし」
「うん、ありがと」
あらかじめ母から渡された大傘を差して、相合傘の形でリョウと共に歩き出す。クリスマスイブにこの天気というのもあってか、少しドキドキしてしまう。横目でちらりとリョウを見ると、少し照れているように見えた。
しばらく歩き、あと少しでリョウの家にたどり着くという所まできた。正直、名残惜しい。この時間がもっと長く続いて欲しいと願ってしまう。もう少しだけ一緒にいられたら、なんて思ってしまう。そう思っていると、ふいにリョウが立ち止まった。
「ど、どうした?」
「楓、この後暇?」
「え? ま、まぁ暇だけど……」
「暇ね。なら君にクリスマスプレゼントを与えよう」
「クリスマスプレゼント?」
急になんだ? まぁ貰えるのは嬉しいが。
「今日はクリスマスイブでしょ?」
「まあ……うん」
「それで友達みんな彼女クリスマスを満喫してる中一人だけ寂しい思いをしてる可哀想な君にデートをプレゼントしてやろうというわけだ。そして、その……」
いつもどおり煽りから入るかと思えば、急に顔を赤くして、5月の映画の時のようにソワソワしはじめた。
「わ、私が……」
何を言おうとしているのか気になり、リョウに声をかけようとしたその瞬間、震えそうな声で話し始めた。
「……こ、これから今日だけ……その、か、楓の……彼女になって……あげる」
「え……ええゑえええヱええ!?!?」
おい待てこいつ今すごいこと言ったぞ!? 彼女になってあげるって、こいつ好きな人いるとか言ってなかったっけ?大丈夫なのか?
「ど、どうするの? 早くして!」
「早くするも何も大丈夫なのか? お前好きな人がいるって言ってただろ?」
「そんなこと考えないで。今は受け取るか受け取らないか聞いてるの!」
顔を真っ赤にして急かしてくるリョウ。正直、もう少しだけ一緒にいたいなんて思ってたくらいだしありがたく受け取った方がいいだろう。それに、しんみりにウジウジなんてしてられないし。
「ありがたく、受け取らせていただきます……」
「そ、そう……よ、よろしく。あ、言っとくけどこういうのは今日だけだからね。それにこれは私が好きな人と付き合った時の練習でもあるから。その辺はゆめゆめ忘れないで」
「は、はあ……」
そりゃそうか。でもいいか。舞い上がりすぎてもしょうがない。これもリョウが好きな人と幸せになるための礎になればそれでいいじゃないか。
「ほら」
「ん?」
「彼氏なんだから手、つなごうよ……」
「あ、ああ……」
差し出されたリョウの右手を取って、手を繋いで俺たちは歩き出した。雪が降りしきるこの寒空の下で、とても暖かい気分になったような気がする。
下北沢駅に戻ったところでどこに行くか決めることになった。渋谷や大手町など色々候補を出して話し合った結果、まずは東京スカイツリーに行くことになった。時刻は21時少し前。今から行けば1時間ほどはライトアップなどを楽しめるだろう。
『押上スカイツリー前、押上スカイツリー前、終点です。お忘れ物のないよう、ご注意ください』
下北沢から小田急線と地下鉄を乗り継ぐこと50分弱。東京スカイツリーの最寄り駅押上へとやってきた。
時刻は22時前というのもあり、人は思ったよりも少ないが、それなりにはいる。やはりカップルが多く見られる。
スカイツリーの足元に広がるソラマチのカフェに入り、暖かい飲み物を飲むことにした。
「何飲む? 俺はカフェモカのホットにするけど」
「私はジンジャーホットチャイで」
店員さんに2人分の注文をして、ライトアップされたスカイツリーを眺める。
「綺麗だな」
「そりゃそうでしょ。でも私も同じぐらい綺麗」
「そーですね。ところでさ」
「ん?」
「この後いろいろ回るって言ってたけどさ、大丈夫なの?補導とかされないよな?」
「うーん」
一応親には遅くなると連絡はしておいたが、メールを見てるかは正直怪しい。だけど、補導でもされたら話は別だ。母さんはあまりの心配ぶりに爆発しかねない。
「20歳以上に見えるようなコーディネートだし大丈夫」
「ホントか?」
「それに補導された時はその時で仲良く楓も補導されて」
「言うと思ったわ。要は連帯責任ってことだろ」
「そう」
このイブ限定彼女、やっぱクズだ。
「お待たせしました。ジンジャーホットチャイとホットのカフェモカでございます。ごゆっくりどうぞ〜」
「ありがとうございます」
カフェモカを一口飲んでみる。ほろ苦い味わいと温かさが冷えた体に良くしみる。
「美味しい……あ、楓も飲む?」
「え、お、俺はいいよ」
「別にいいでしょ。今更回し飲みぐらい」
「え、あ、ああ、そ、そうだな」
リョウのホットチャイをいただいてみる。チャイの甘い味わいに生姜がアクセントになり、寒い日にはピッタリな味わいだ。
「俺のも飲む?」
「うん」
リョウにカフェモカを差し出してみた。顔を赤く染めながら飲み口を口に運ぼうとする様子はすごく面白かった。でも美味しそうに飲む彼女を見て、今度は思わず見とれてしまう。
「そうだ、写真撮ろう」
「お、撮るか」
2人とも飲み物を飲み終わり、少し雑談したところでリョウが切り出した。
リョウがスマホのカメラを起動して、内カメでツーショットをパシャリ。なんかカップルみたいだな。
後で撮った写真を送ってもらおう。
スカイツリーを後にして、また次の目的地へと向かうために押上駅へと戻る道中。ふと、ある疑問が浮かんだ。
そう、リョウの好きな人は誰なのか問題だ。
今月の頭、大槻との一悶着の後の「いるよ、好きな人」という発言から始まった問題だ。
今後の頑張り次第で少しづつヒントを教えると言っていた。せっかくだし聞いてみるか。
「そういえば、リョウの好きな人のヒントってなんなんだ」
「む、今その話はよくないでしょ」
「そりゃそうだけど……ほら、ライブ頑張ったらヒントぐらいならって」
「そういえばそんなことを言ってたような…… しょうがない、教えてしんぜよう。ただし一つだけだよ」
リョウは考えに考え、最終的に頬を赤らめた。まぁ、ヒントとはいえ他人に好きな人を言うのは恥ずかしいもんな。
「私の好きな人……のヒントは──」
「……!」
「───ギタリスト」
「ギタリスト?」
「そう、まず最初のヒントはギタリスト。じゃ、また頑張ってね」
「いやいやちょっと待て大雑把すぎんだろ!?」
「そう?」
「当たり前だろ。普通、6組の〜とか3年の先輩とかから行くだろ」
「それもロックだよ」
「……」
腑に落ちない……!
まぁいい。そのうち全容は明らかになる訳だし。
「ほら、次行くよ」
「そうだな……」
再びリョウと手を繋ぎ、次の目的地へと向かうために駅へと向かう。この夢物語のような時の中、俺の手を引きながら眩しい笑顔を見せる彼女がとても美しく、可愛く感じた。
次回、「夜に駆ける」
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次回、新章開幕。
タイトル元:BUMP OF CHICKEN「スノースマイル」
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