ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】 作:メラニン
バイトが忙しすぎて中々書くことができませんでした。待ってくれていた方々には大変申し訳ないです・・・
さて、今回は色々と急展開です。
展開が速すぎる気がしないでもないですが・・・
とりあえず、お楽しみください。どうぞ!
―― 一誠side
俺たちは結界を破壊した後、その中にあった里に案内された。いきなり、四属性による魔力弾の歓迎があったけどな…
そして、その魔力弾を放ったのは…
とにかく、色々と話を聞くために、途中で色んな施設を紹介されながら、里の中にある集会所に案内された。普通の町と変わらない施設が設置されている。田舎って感じはするけどな。診療所、雑貨屋、食堂、学校まである。
里の中を歩いているときの周りの人たちの目はそれぞれだった。
物珍しそうに見てきたり、少し怯えたような目でも見られた。
――○●○――
「初めまして。俺は兵藤ユリウスという。クランスピア社のエージェン――」
「知ってるわ。で?
人様の
兄さんが自己紹介しようとしたのを、彼女は遮った。そのうえで、悪態をついてる…
「断界殻?」
「あなたたちが壊した結界のことよ。ここの人たちはそう呼んでるわ、私もね。
話を戻しましょう。あなたたちは一体何をしにここへ来たの?」
「単刀直入に言おう。ここには、調査をするために来た。ここの地下に少しずつだが、魔力が蓄積している。このまま行けば、暴走する可能性がある。だからこそ、ここを調査させて欲しい」
「…はぁ~……
分かったわ。けど、その代わりにルド……そこの、髪が白黒の子と話をさせてくれないかしら?二人きりで」
その発言に、部長たちが少し色めきたった。小猫ちゃんだけ上の空だな…
ん?なんでだ?
「うちのイッセーに用があるのなら、主である私を通してからにしてくれないかしら?」
あ、あれ?
部長から微妙に魔力が漏れ出ているような…
「ま、まぁまぁ部長。俺が話すって条件でここの調査ができるなら、安いもんじゃないですか。それに、俺は大丈夫ですから。」
「安くなんかないわ!イッセー、あなたは私の大切な下僕悪魔なのよ。その大切な下僕が――」
「大丈夫です。」
俺は、部長の言葉を遮って言わせてもらった。部長の心配も分かる。だけど、これだけはどうしても、な?
「…せめて、話に同席できないかしら?」
「ダメよ。少し混み入った話になるから…」
部長たちはまだ納得してはくれない。まあ、そりゃそうか。
「部長、あとで何を話したかは教えられる限り教えるので、ここは…」
そこから、オカルト研究部のメンバーを説得するのに1時間も掛かった。どれだけ心配されてるの、俺!?
「…分かったわ。皆、一回出ましょう。イッセー、さっきの食堂で待ってるわ」
そしうして、部長たちは席を外してくれた。
「久しぶり、でいいのよね?」
部長たちが席を外して、盗聴などの心配がない事を確認してから俺たちは話し始めた。
「あぁ、久しぶり。ミラ」
「えぇ、久しぶりね、ルドガー………いえ、あなたの事は何て呼べばいいかしら?」
「俺はルドガーでも構わないんだけど、それだとエレンピオスやリーゼ・マクシアの存在が、バレてしまうかもしれないからな。ルドガーだとマズイ。
俺は今、兵藤一誠だからな」
「…なるほど。それで、イッセーって呼ばれてたのね。なら、イッセーでいいわ。私も、ミラでいい。
そっちも聞きたいことがあるんでしょうけど、私の方も聞きたいことがたくさんあるのよ。まずは、それに答えて」
「分かったよ、ミラ」
そこから俺はミラの質問に答え続けた。ほとんどは俺たちが別れてしまった後の内容だった。
あの後の旅の内容や、仲間のこと、オリジンの審判、兄さんのこと、カナンの地での出来事、そして何よりエルの事を話した。
「―――そう。大変だったみたいね」
「あぁ。だけど、エルの事は皆がいるから大丈夫だ。それに、最後には笑って別れることができたし、約束もしたからな」
「……きっとエルなら、あの世界で強く生きているんでしょうね」
そう言って、ミラは優しそうな表情を浮かべた。やっぱり、今ここに居るミラは間違いなく、“俺”やエルが最初に出会ったミラだ。
「「…………」」
うっ、沈黙が重い…
何か話題を…
「…そ、そういえばミラは今何をしてるんだ?」
「私?私は前世の頃とほとんど変わらないわ。前より束縛されてはいないけど、ここでも信仰の対象みたいに扱われて、正直息が詰まるわ。そっちは?」
「俺もあまり変わらないな。変わっているのは、今は学生だからあの頃と違ってまだ働いてない事だな。あっ、あと悪魔になった事ぐらいかな」
「…最後のをサラッと流したわね。種族が変わってるんだったら、もっと重要そうに話すでしょ!?」
「うーん、正直あまり変わった実感が湧かないんだ。私生活も少し変わった程度で済んでるし。まぁ、変わったことと言えば、このくらいかな?」
「…………本当にそれだけ?」
「え?それだけだけど?」
あれ、ミラちょっと不機嫌?
「……さっき、あなたの事を心配してた人、美人だったわね」
「あ…う、うん。そうだな」
何だろう?背中から冷や汗が出てるんだけど…
「へ~、否定しないんだ…どういう関係?」
「ぶ、部活の部長と部員の関係だけど…」
「なら、黒髪でポニーテールだったあの子は?」
「そ、それも部活の先輩と後輩の関係…」
何だろう、この尋問されてる感じ。いや、実際これって尋問?
「なら、ブロンドの子は?」
「そ、それも部活の関係者」
「あの、白髪ショートの子は?」
「それも、同じだって!」
「ふ~ん、随分と交友関係が広そうね。特に、女性の交友関係が増えてるのは気のせいかしら?いいご身分ね」
な、何でこうなるの!?もっと、再会してお互い喜ぶとか無し!?
いや、内心喜んでるけど!
「そ、そういう、ミラはどうなんだ?友達とか…」
「…言ったでしょ。前と同じだって…………
いえ、そういえば先日助けた子がいるのよね。その子とはい、一応友達かしら?」
そっか、ミラにも友達ができたのか。
「そっか、良かったな。どんな子だ?」
「あなたも見たでしょ?あなたたちの前に現れた時に一緒にいた、黒い着物を着た子よ」
俺は、必死に記憶を辿った。あの時ミラに気を取られ過ぎて周囲の確認してなかったからな。
…ああ、すぐに姿を消しちゃった子か。うーん、何となく居たような、いなかったような?
「あの子か。すぐに、俺たちの前から姿を消したから分かりにくかったよ。なんて子だ?」
「……あの子まで、手を出そうとしてるんじゃないでしょうね?」
「しないよ!!部長たちとも何も無いよ!」
「………」
ミラがジト目でこっちを見てくる。あれ、俺こんな信用無かったけ?
何とか気を逸らさないと…
「そ、そういえば、ミラの中にはどいつがいるんだ?
やっぱり、マクスウェル?」
「……話を逸らしたわね…?まあ、あなたの交友関係は後ではっきりさせるからいいわ。
で、私の中にいる存在よね?マクスウェルには会った事ないわ。今私の中でしっかり意識があるのは、四大だけよ。マクスウェルや四大以外もいるみたいだけど」
すると、いきなり俺の左手の甲に宝玉が現れて、オリジンがそこから声を発した。
『どうやら、僕の推測は間違っていたようだね』
「どういうことだ、オリジン?」
「ちょっ、今あなたオリジンって言った!?
まさか、オリジンまでこの世界に来てるの!?」
『そうだよ、ミラ。そもそも、この世界に転生させたのは僕たちなんだ。厳密に言えば、僕たちの本体がこの世界に君たちを転生させた。僕たちは本体が君たちに持たせた力。この世界へ来て
あとイッセーには、もう言ってあるけど、この世界に転生したのはルドガー、ユリウス、ビズリー、そして君だよ、ミラ。その中でも、記憶を持っているのは君たち二人だけだ。くれぐれも――』
「分かってるわ。記憶が戻った時に、四大にも言われた。私たちが異世界の住人だったことはタブー、でしょ?
私だって、エルたちのいる世界に迷惑は掛けたくないわ」
『うん、そうしてくれると助かるよ』
「ところでミラ。さっき、はっきり意識があるのは四大だけ、って言ったよな?
つまり、ミラの中には他にも存在しているのか?」
「えぇ、みたいね。私も四大に教えられただけで、話したこと無いけど」
「オリジン、何でか分かるか?」
『どうやら、ミラの
「ちょっと、待って!私の中にある力って
『いや、
っと、何で君の中のマクスウェルが意識を取り戻してないか、だったね。ミュゼも同様かな?恐らくあの装置が影響だと思うよ』
「あの装置って、
『うん。きっと強大な力を持った者が近くにいて、
って、ミラは二天龍の事は知ってるかな?』
「ええ。さっき言った先日助けた子がいるって言ったでしょ?その子からこの世界のあらかたの状況や、成り立ちは聞いてるわ。
なるほど、多分その助けた子から
「なぁミラ。あの装置って…いや、魔導器ってどういう役割なんだ?」
「ここの、人たちの遠い先祖は何かしらの理由で迫害された人同士で集まったらしいのよ。それで、身を守るためにあの
で、私が生まれて変質し、結界の事を断界殻と呼ぶようになったらしいわ」
『なるほど。やっぱり、ミラの中にいるマクスウェル達の存在が魔導器を変質させてしまったので、間違いなさそうだね。地下の魔力が蓄積されていってる現象もそれが原因なんだろうね』
「……なるほど。一応確認しておきたいんだけど、このまま私がこの里に居続けたらどうなるのかしら?」
『…言いたくは無いけど死ぬだろうね、確実に』
「なっ!?」
俺は心底その発言に絶句した。そうなるだろ!
ようやく、再会できたのに死ぬって!
『落ち着いて、イッセー。何も今死ぬ訳じゃない。このままでも、あと50年くらいは保つと思うよ。だけど、僕たちの前に現れた時のように力を使う度に、その年数は減っていく』
「どちらにせよ、ここに留まり続けるつもりは無いわ。問題は私が居なくなった後の、この里のことよ」
『それは、魔導器の事を心配しているのかい?それとも、この里の人たちの事かい?』
「両方に決まってるでしょ!どうなるのか教えなさい!」
『前者は問題ないんじゃないかな?魔導器が変質したのは君が傍にいるからであって、離れれば戻る可能性もある。戻らなかったとしても、わざわざミラの中にいるマクスウェルの力を使わずとも、地下にある魔力を使えば動き続けると思うよ。
後者は、この里の人たち自身の問題だからね。この里の人たち次第としか言えないかな』
「…分かったわ。それで、十分よ」
「…で、話は取りあえず終わりでいいか?」
「ちょっと!私はまだ話足りないわよ!久しぶりに再会したんだから、もう少し話を続けるとか、気を遣えないわけ!?」
ミラが凄い剣幕で迫ってくる。
こ、ここは相変わらずなんだな…
「い、いや、俺だって話したいけど――」
「なら、何で話を終わらせようとするのよ!?」
「そ、外を見ろって…」
ミラが窓に目を向けた。窓からは夕日が差し込んでいる。
そう、俺とミラは話し込み過ぎていつの間にか夕方になっていたんだ。前世の記憶について話しすぎたな…
そろそろ、部長たちも我慢の限界だろう。
「まぁ、ここから先の話は俺たちの前世なんかには関係ない話になるから、何聞かれても平気だろ?」
「へ~、そういう事言うのね……」
そう言って、ミラはガッと近くにあった箱を掴んだ。
あれ、嫌な予感…
「あ、あの、ミラさん?その手にあるものを、どうなさるおつもりで?」
すると、ミラはニッコリ笑った。
「こうするの、よっ!」
ゴンッ!!
ミラの投げた箱は俺の額にクリーンヒットした…
ってか、本当に痛いよ!!
「っ痛てぇ~~……何すんだよ、ミラ!」
「土煙で汚れたままだったから、着替えるのよ!いいから、出ていきなさい!」
さらに、物が投げつけられた。まったく、こっちが反論する暇なしか…
俺は仕方ないので追い立てられるように、そのまま皆がいる食堂に向かった。
――○●○――
「あ、あの、部長、アーシア、朱乃さん?近いんですが…」
「あら、こんな時間まで話していて心配したんだから、これくらいさせてちょうだい」
「そ、そうですっ、イッセーさん!ホントに心配したんですからぁ!」
「あらあら、私も心配で仕方なかったですわぁ♪」
俺は今正直に言って、冷や汗が止まらないでいる。俺の左側には部長が腕を絡めて座り、右側はアーシアが同様だ。さらに、背中には朱乃さんがくっ付いている。
ちょ、ちょっと皆さん!?いろいろと当たってはいけないような部分が当たってますから!?
普通の男が見たら、羨ましがるんだろうけど…
内心俺は焦っている!だって、ミラにこれ見られたら何て言われるか分かったもんじゃない!!
って、小猫ちゃんは相変わらず上の空か…
「あ、あの、ホントに心配かけた事は申し訳ないんです、反省してます。なので離れて頂けると――」
「嫌よっ!」
「嫌ですぅ!」
「嫌ですわ♪」
三人とも同じことを言う。あぁ、これ本当に何とかしないと…
「わ、分かりました!今度、何でもいう事を一つ聞くので許してください!!」
「「「…………」」」
あ、あれ?三人とも何で黙るの…?
「…ふふふ、いいわイッセー♪約束よ」
「分かりました、イッセーさん!お約束は守ってくださいね♪」
「あらあら、うふふ♪何でもだなんて。今から楽しみですわ♪」
そう言って離れてくれたが、何だか物凄ーーーく、後悔してる俺がいるんだけど…
あれ、選択間違えた?
すると、木場が寄ってきてポンと肩に手を置いた。
「イッセー君…女性相手にそれはマズイよ…」
「何だろうな?俺も今物凄い約束をしてしまったんだと思ったよ…」
すると兄さんの秘書のノヴァさんや、ヴェルさんも声を掛けてきた。
「あちゃー、やっちゃたねイッセー君。いい?女の子にあんな事言ったら後でどうなるか分からないよ?」
「一誠様、個人的にさっきのはアウトだと思います」
うぅ、二人まで…
俺が肩を落としていると、また肩にポンッと手が乗った。兄さんだ。
「イッセー…」
「兄さん…」
きっと、兄さんなら分かって――
「ナニかあったら、必ず責任を取るんだぞ」
ビシィッと親指を立てている。そして、表情は必死に笑いを堪えていそうな顔だ…
こんの、クソ兄貴ィィィ!!
――○●○――
「…あ、あの先輩、いいですか?」
「どうした、小猫ちゃん?」
皆が離れた後に、小猫ちゃんが俺の袖をいつの間にか握っていた。何だか、いつもの調子と違うな。ここに入ってから、ずっとだ。
「…少しお話があります……」
「えっ、まさか小猫ちゃんも、さっきの約束有効にしろと!?」
「そ、それはまたの機会で…今は別件です」
ああ、今サラッと有効になったな…
俺は小猫ちゃんに引っ張られて、そのまま食堂を後にした。皆には黙ってコッソリだ。
そして、そのまま雑木林の中に入っていった。何がしたいんだ、小猫ちゃん?
「小猫ちゃん、どうしたんだ?」
「……私一人で会うのは、やっぱり怖いんです。だから、先輩にも付いてきて貰おうと…」
「ちょっと、待って。誰に会うんだ?」
「姉さまです…」
えっ、姉さま?
「えっ、小猫ちゃんのお姉さん、ここに居るの?何で!?」
「…分かりません。だけど、これを逃したら次はいつ会えるか分からないから…」
そういえば、ミラが先日助けた女の子が居るって言ってたな。その子がそうなのか?
――○●○――
俺たちはそのまま歩き続けた。歩いた先に、少し開けた空間があった。
月明かりが差し込んでいて、そこには一人の少女が佇んでいた。黒髪のロングヘアに、黒い着物を少し着崩したような格好だ。
「ここが分かったって事は別れ際に教えた探索術くらいは、身に着けたみたいね…
できれば、会いたくは無かったけど、断界殻があって外に出れないから仕方無いにゃん」
この子が、小猫ちゃんの?
「……何でここに、姉さまが居るんですかッ…」
小猫ちゃんの声が震えている。泣くのを堪えてるのか?
「にゃははは…いきなりご挨拶ね、白音?」
「何で、私を置いて行ったんですか、黒歌姉さま!」
!?
今二人は、何て言った!?何で、その名前を?
い、いや、あれは俺の飼い猫に付けた名だ。聞き間違いか…?
「やれやれ、ご主人まで連れて来ちゃって…
お久しぶりにゃん、ご主人。できれば、こんな形で再会はしたくなかったけど…」
「ご主人?何言ってるんだよ、一体…」
「あらら、忘れちゃったかにゃん?なら、これで分かるかしらね?」
そう言うと、彼女の頭からピョンと耳が現れた。後ろの方には尻尾がユラユラ揺れている。これは…
「ほ、本当に、黒歌なのか?なら小猫ちゃんは、白音?」
「…はい、今まで隠していてスミマセン」
小猫ちゃんが、小さく頷きながら応答した。なら断界殻の外で白音と呼んだのは、間違いじゃ無かったわけだ。
この二人が黒歌と白音なら、どうしても聞きたいことがある。
「何で、俺の前から消えたんだ!?黒歌、白音!!」
「…………私だって…あの家から…先輩の元から、離れたくなんて無かったッ…!」
小猫ちゃんが、涙を浮かべながら必死に答えた。
「はぁ~…ご主人、私たちだって離れたくて離れて行った訳じゃないにゃん。事情があったのよ」
「事情?」
「そうにゃん。ま、私の口から話すのが筋ってもんよねぇ。元はと言えば原因は――」
「テメー自身なんだからな!!」
ガァァンッ!!
いきなり、爆発したと思ったら声が聞こえた。何なんだ一体!?
煙が晴れると、赤い服装に身を包んだ中年男性が立っていた。手にはやや大きめの銃らしき物が握られてる。って、あの野郎!黒歌を足蹴にしてやがる!!
「やめろ!!」
「姉さまから離れて!!」
「おっと、動くなよ坊主ども。さもないと、このクソ猫のド頭吹っ飛ばすぞ?」
「ゴホッ…いきなり現れて、ド頭吹き飛ばす、だなんて流石は、傭兵崩れのギルドの長にゃん…」
「うるせぇ!黙ってやがれ!!」
ガッ!
さらに、黒歌の頭を踏みつけている。あの野郎ッ!
「…おい、お前は一体何者だ?」
「ん?俺の名はバルボス。傭兵ギルドを率いている首領だ!ほぅ、お前はあん時のガキか。その様子からして、何も知らずに生きてきたようだなぁ?」
あの時?俺はこいつに会ったことは無いぞ。それに、何も知らずにって…?
「何も知らずに、っていうのはどういう事だ?」
「はっ!本当に何も知らねぇんだな!12年前、こいつがお前の前から、消えた原因はお前だ!」
「…どういうことだ?」
「バ、バルボス!やめ――」
「こいつは、ある上級悪魔を殺して指名手配された。追跡され弱っている所を偶然保護したのがお前だったって訳だ。その後、お前を殺すと脅し、眷属に引き入れようとしたが逃げやがってな。今考えれば、あの時お前を人質にでもすれば、ここまで苦労はしなかったんだろうがな。
分かるか!?こいつは俺たちの前から姿を暗まして自分の追跡に、俺たちの意識を向けてお前から俺たちを遠ざけやがった。お前は、こいつに守られてた訳だ。ったく、一杯食わされたが今回、そうはいかねぇ」
「っな!?…本当なのか、黒歌?」
「…本当にゃん。けど、ご主人が責任を感じる必要はないにゃん。元はと言えば…私が上級悪魔を殺したことが原因にゃん…」
「ガッハッハッハハハ、本当に知らねえでいやがったか!オメデてぇ野郎だな!」
…確かに、今まで力を付けてきてたのは守るためなのに、その守るべき対象に守られてました、っていうんじゃ能天気もいいところだな…
だが、それでも今は!
「…今はそんな事どうでもいいんだよ!早く黒歌を放せ!!」
俺はそう言い放って、『赤龍帝の籠手』と『賢者の槍』を発現させた。空間をいじって、何とか黒歌をこっちに――
ドンッ!!
「がっ!?」
何だ?いきなり後ろから…
「何を、もたもたしているのです。早く目的を達しますよ」
後ろの木立から黒いローブに帽子をかぶり、メガネを掛けてヒョロッとした中年男性が出てきた。手には、バルボスが持っているものと似た銃型の装置があった。あれも、魔導器なのか…?
「ちっ、命令すんなラゴウ!準備は終わったのかよ?」
「なっ、言わせておけば…!まぁ、いいでしょう。準備は完了しましたし、あなたの手下に攪乱するよう命令しておきました。しばらくこれで時間は稼げるでしょう。早くその猫又を、連れて行きますよ。地下にある魔核を回収して撤退します」
「…させません!」
ドンッ!!
「きゃぁ!」
小猫ちゃんがラゴウと呼ばれた男に飛びかかろうとしたと同時にバルボスに打たれた。
「し、白音!!」
「おぉ?あいつは、あの時のお前の妹か。ガッハハハ、これはいい拾い物だぜ!姉妹仲良く、眷属にしてやるよ!」
「クロノス!」
『分かっている!』
『時の支配者たる時計』を発現させて、傷の時間を巻き戻す。すると、あっという間に傷が消えた。
「連れて行かせるかぁ!!」
「止まりなさい!さもないと、この猫又を殺しますよ?必要なのは、そちらの黒歌のみ。こちらの白い方は人質にさせて貰いましょう」
「くっ、外道がッ!!」
「ガッハハハ、外道とは言ってくれるじゃねぇか小僧!お前みたいな威勢のいい奴は俺のギルドにも欲しいところだがな。だが、その目はいただけねぇ。お前みたいな、目をしてる奴を見ると、あの野郎を思い出して仕方がねぇ!」
「あの野郎?」
「おうよ。俺がこんな事してる羽目になった原因を作った野郎だ!俺の計画を散々邪魔しやがった野郎だ!
……ちょうどいい、サンドバッグにくらいなりやがれ。ラゴウの小言で最近イライラしていた所だ!」
「や、やめるにゃん、バルボス!ご主人には手を出さない約束――」
「うるせえ!よく見ておけ、お前の大切な奴が傷つくのをな!」
ドンッ!
「ぐっ!?」
「せ、先輩!」
「おっと、あなたも大人しくしていて下さい。私も、バルボスのいう事には一理ありますね。混ぜてもらいましょう」
ドンッ、ドンッ!
くぅぅ、結構効く!
この、魔導器の威力は案外馬鹿に出来ないな…
その後も、ラゴウとバルボスは俺へ銃撃を続ける。俺は、クロノスの力を使って傷を巻き戻し続ける。
くっそ、このままじゃジリ貧だ!
「ガッハハハハハハ、こいつは面白ぇ。打っても、傷を回復させやがる!こんな頑丈なサンドバック初めてだぜ、ガッハハハ!」
「も、もういいにゃん、ご主人!このままじゃ――」
「……いいんだ、黒歌。俺は…今ま…で、お前に守られてきた。今度は、俺の…番だッ…!」
「ガキが、一丁前に正義の味方気取りか?なおさら、気に入らねぇな!!」
「ふん、あなたのような者を偽善者と呼ぶのですよ!」
ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ!
変わらずに、射撃が続く…
「だ…まれよ…。偽善だろう…と、愚かだ……と罵られ…ても――」
「せ、先輩…」
「ご主人…」
「それでも…俺は…………その二人を……『家族』を守ると決めた!!」
「はっ、なら守ってみろよ、クソガキがぁぁぁ!」
「だから、私の里で一体何やってんのよ!!」
カッ! ドォォォン!!
上空からの4属性の魔力弾が、バルボスとラゴウに命中して吹き飛んだ。
この攻撃は…
「ほら、手を貸してあげるわよ。ありがたく思いなさい」
「ミラ…」
今回はこんな感じでした。この章ではあまり目立った戦闘はないと思います。すいません
因みに、バルボスたちが持っていたのは銃型のブラスティアですね。
今回は展開が急すぎましたね。ただ、ミラや黒歌を早めにパーティーに入れたいなぁ、と思ってこうしました。
さて、次回は二・アケリアを守るために(?)クラン社とオカルト研究部が活躍予定です。
首を長くしてお待ちください。ではでは