ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】   作:メラニン

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どもども♪


さて、今回でいよいよ修行は終わりです。
一誠は新しい能力をゲットできたのか!?

などなど、とにかく楽しんでいただければ幸いです。


では、どうぞ!


第7話 思いと、決戦前です!

―― 一誠side

 

 

オカルト研究部で食卓を囲んで、今は夕食中。

皆かなり空腹だったみたいで、よく食べている。まぁ、俺もなんですが。

因みに、この夕食を作ったのは朱乃さんとアーシアだ。魔力のトレーニングを行っていて、体力的には余裕があったという二人に担当してもらった。

 

 

そこで、不意に部長が切り出した。

 

 

「さて、イッセーには大体の眷属全員の力量を見てもらったけど、どうかしら?」

 

 

 

俺はピタッと箸を止めて、一旦置いた。

 

 

 

「失礼を承知で、言わせていただくと多分、俺だけ皆と次元が違います」

 

 

 

「そうね。それは私も間近で、あなたの実力を見せてもらって痛感してるところよ」

 

 

 

そこで、ミラも食事の手を止めて話に加わってきた。改めて見ると、全員が食事の手を止めてこっちに注目している。

 

 

 

「ま、神滅具(ロンギヌス)も使わずに圧倒されてるんだから、その筈よね。これにプラスで、イッセーには神滅具(ロンギヌス)が5つに、禁手(バランス・ブレイカ―)を2つ習得してるんだから」

 

 

だから、なぜミラが誇らしげに言う?

 

 

「ええ、分かってるわ。だからこそイッセーには今回遊撃メインで動いてもらうわ。敵を要所要所で引っ掻き回してちょうだい。それと、足りない部分のサポートよ」

 

 

「了解しました」

 

 

「後は、ゲーム内容によるけど、基本はチームを組んで敵を撃破する事。頭数は向こうの方が多いから、単独での戦闘は長引く程敵を引き寄せてしまう可能性があるから、避ける事。だから敵を見つけたら近くの仲間と共闘して、迅速に撃破を心掛けてちょうだい。ただし、回復役であるアーシアは基本的に私と行動よ」

 

 

 

「は、はいっ!分かりました、部長さん」

 

 

 

うん、理に適ってるな。ただ、やっぱり人数差が一番のポイントか……

多分、個々人の実力ではこっち側が有利なんだけどな。

 

 

 

うーん、人数差か……

 

 

 

 

「で、本当に私か黒歌どっちかだけでも出られないの?」

 

 

「残念ながら無理よ。これはグレモリーとフェニックスのゲームですもの。どちらかの眷属で無い限り参加は不可能よ」

 

 

 

「はぁ、融通が利かないわね」

 

 

「私の眷属になれば出られるけど?」

 

 

 

「絶対にお断りよ!」

 

 

 

本当に仲がイマイチなんだよな、この二人。オカルト研究部に所属して分かったけど、部長は普段冷静なんだけど、実は意外と負けず嫌いかつ、頑固な一面も持ってる。

それに対して、ミラも同様に負けず嫌い、頑固、喧嘩っ早い、所々で常識が欠けてたり、時たま天然。多分父さんと、ドライグみたいに根っこが同じなんだろうな……

だから、この二人も同族嫌悪ってやつか…

 

 

 

スコーン!

 

 

 

空の木の皿が飛んで来て、俺の額にクリーンヒット!

 

 

「いった!何だよ、一体!?」

 

 

 

「うっさい!あんた、また失礼な事考えたでしょ!?顔に出てんのよ!」

 

 

 

「えっ、本当?」

 

 

 

コクコクと皆頷く。そうか、顔に出やすいのか……

気を付けよう。

 

 

 

「とにかく、食事が終わったら各自で自由にしていいわ。さすがに、私も疲れたから先に、失礼するわね」

 

 

 

それだけ言うと、部長は席を立って自室へ戻っていった。

まぁ、俺と小猫ちゃんが組手やってる間も、爆音がたまに聞こえてきてたからな。よくやるよ、ホント。

 

 

 

「私も寝るわ。リアスとの戦闘で疲れたし」

 

 

「おう、お休み。明日からは、程々にしとけよ」

 

 

「分かってる。お休み」

 

 

 

ミラも自室に帰って行ってしまった。いつもだったら、俺の言う事に反論の一つ二つ言ってくるのに、それが無いって事は、ミラもよっぽど疲れてたんだろうな。ミラの神滅具は相変わらず、まだ本調子じゃないみたいだし。

 

 

ミラが自室に引っ込んだのを皮切りに、皆も戻っていった。今日は特に皆激しくやってたからな。

 

 

ってな訳で、俺はリビングにポツンと一人だけ残った状態に。

うん、さすがに寂しいかな?これは。まぁ、けどこれは好都合でもあるか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――○●○――

 

 

さてと、理想的な条件かな?

 

 

『そうだな。ここなら誰にも見られんだろう。相棒もようやく独自のトレーニングができるな』

 

 

俺は、皆が寝静まるまで待って、今は別荘から少し離れた場所まで移動してここで、テミスの能力の習得の訓練をする事にした。

 

 

「さてと。じゃあ、やるぞ。テミス!」

 

 

 

『はい!主様』

 

 

 

俺は右腕にテミスの神滅具(ロンギヌス)である『転写鏡の腕甲(トランスミラー・ガントレット)』を発現させる。

鱗のような形状をした鏡が幾重にもはまっており、俺はその内数枚をビットのように操作して周囲に展開する。

 

 

 

「さて、リミットはこの修業期間中。上手く習得できれば御の字だ。それでなくても、せめてコツぐらいは掴みたい所だな」

 

 

 

『……こっちは準備できてるぞ、主』

 

 

 

『我も同様だ。そっちはどうだ、オリジン?』

 

 

『うん、僕も準備万端かな。いつでもいいよ』

 

 

 

 

「よし!じゃあ修行開始だ!」

 

 

それから、俺はギリギリまでテミスの神滅具(ロンギヌス)の修業を行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――○●○――

 

 

「くあぁぁぁ~~~………んむ…」

 

 

「あの、イッセーさん?大丈夫ですか?また目の下にクマができてます」

 

 

「えっ、本当?あぁ、うっすら出てるな…」

 

 

 

俺は洗面台の鏡で確認しながら同意した。

今は一夜明けて、準備中。取りあえず、寝癖でボサボサな頭を何とかしようと思って、ここまで来て、ちょうどアーシアと出くわした。

因みにこの別荘は、風呂や洗面台など、その他諸々は全て共用だ。

 

 

はぁ、結局習得は昨晩だけではできなかった。まぁ、一朝一夕でどうにかなるとは思って無かったけど……

 

 

 

「イッセーさん、あまり無理はなさらない方が――わっ!?」

 

 

俺はアーシアの頭に手を置きながら、話しかける。

 

 

「大丈夫だよ、アーシア。部長の将来が掛かってるんだ。こんなところで弱音は挙げられないさ」

 

 

「は、はい、そうですよね。はぅ~~…」

 

 

 

「ん?さぁ、朝飯食べたら、今日も特訓だ」

 

 

「は、はいっ!」

 

 

 

 

 

 

――○●○――

 

 

「じゃあ、頼むよ、イッセー君」

 

 

「先輩、お願いします」

 

 

 

 

「……本当にいいんですか、部長?」

 

 

 

俺は今、木場と小猫ちゃんの二人組と相対していた。

これから、やろうとしている修行内容に少し驚いて、部長には確認を取っているんだけど…

 

 

「ええ。コンビネーションの練習も兼ねてるけど昨日あなたが、自分は次元が違う、って言ったわよね?なら、その次元に少しでも近づきたいって、祐斗と小猫の希望よ。そのためには、自分より上の実力の者と戦うのが一番手っ取り早いわ。手加減なしでね♪じゃあ、私と朱乃は、黒歌とミラを相手にしてくるから、よろしくね。じゃあ、アーシアも行くわよ」

 

 

 

「はい!では、イッセーさん頑張ってください」

 

 

 

部長とアーシアは踵を返して、別の場所に移動していった。

今日はそれぞれのグループに回復役を配置。俺は木場と小猫ちゃん担当。

アーシアは俺たち以外を担当だ。

理由は念のために配置しているだけなんだけど。

 

 

 

「はぁ、本当にいいんだな?木場、小猫ちゃん」

 

 

 

俺は改めて二人に確認を取る。

 

 

「うん、頼むよ」

 

 

「大丈夫です、先輩」

 

 

 

「はぁ、分かった。じゃあ、行くぞ。禁手化(バランス・ブレイク)

 

 

 

ゴゥという魔力と、オーラの大放出と共に、それらが俺の体の全身を赤い鎧として覆っていく。

 

 

「『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』!!」

 

 

 

そう、今日の修行内容は、各自のコンビネーション練習。だが、自分より格上の相手とだ。さらに、俺の方に関しては、禁手を使った状態で。俺も禁手を馴染ませる意味でも、この内容は賛成なんだけど、さすがにこの二人には、やっぱりまだ荷が重すぎる気がする。

 

 

 

「……間近で、初めて相対したけど、こうして正面から向き合うと改めて凄いね。本当に小さい「赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)」と向き合ってるみたいだよ」

 

 

「はい、並みの威圧感ではないです」

 

 

 

「まぁ、そう感じるのはこの鎧のフォルムも関係してるんだろうな」

 

 

確かにこの前自分で細かく、この姿を見てみたけど、木場の言う通り『小さな「赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)」』というのが、しっくりくる姿だった。

 

木場は剣を構えて、小猫ちゃんは拳を作り同様に構える。

 

 

「念のため言っておくけど、俺を殺す気で掛からないと、そっちが死ぬからな。まだ、100%この鎧を使いこなせてるような状態じゃないから、加減が難しいんだ」

 

 

 

「分かった。じゃあ、こっちから行くよ!舞斑雪!」

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

キンッという音と共に木場がすり抜け、切りつけられる。だけど、鎧には傷一つ付いていない。けど、今の速度は完璧に見失った。しかも、たったこの期間で舞斑雪まで習得するとは…

 

 

 

「やるな、木場!なら、こっちも!」

 

 

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』

 

 

一気に倍加が進む。それにより、俺からは更に魔力とオーラが噴き出る。相変わらず凄いな、この禁手(バランス・ブレイカ―)は。

 

 

「こっちもですっ!」

 

 

 

振り返ると、小猫ちゃんが掌底を放ってくる。俺は腕でそれをガードする。衝撃が鎧内部まで微妙に伝わってきた。

 

 

 

「くっ…掌底波か!?しかも『戦車(ルーク)』の力を、フル稼働させてるみたいだな」

 

 

「私は先輩の鍛錬を小さいころに見ていましたから!祐斗先輩、今です!」

 

 

 

「凍えろ!」

 

 

パキィィ!

 

 

 

小猫ちゃんが離れた後、すかさず木場が切りつけてきた!しかも、剣を受けた方の腕が凍ってしまった!

俺は、もう片方の腕で木場に反撃の一撃を与えるが、少し掠っただけだ。

木場は一足飛びに、俺から距離を取った。

 

 

 

「へぇ、中々面白いな、木場。木場の神器は『光喰剣(ホーリー・イレイザー)』とばかり思ってたけど」

 

 

 

「そうだね、イッセー君には教えておくよ。これが僕の本当の神器『魔剣創造(ソード・バース)』だ。僕はあらゆる魔剣を創る事が出来る。今のところ、君の鎧を傷つけるだけのものは創れないけど、戦い方はいくらでもある。『魔剣創造(ソード・バース)』!!」

 

 

 

木場の周囲から、様々な刀身の魔剣が現れた。確かに、切れ味勝負じゃなくて色んな属性に攻め立てられると、厄介極まりないな。

 

 

 

「じゃあ、こっちも真面目に行かせてもらう!」

 

 

 

俺は背中のブースターを稼働させて、木場との距離を一気に詰める!

 

 

「喰らえ!!」

 

 

 

ガァァン!!

 

 

凄まじい音を立てて、俺の拳は地面に直撃して巨大なクレーターを作った。当然木場は、後ろに飛び退いているが、俺はもう一度ブースターを稼働させて、空中に居る木場に接近する!

 

 

「ガードしろ、木場」

 

 

木場は二振りの魔剣を十字に構えて、俺の拳をガードするが、パキン…という音と共に粉々に砕けた。そのまま、木場は後方に吹き飛んで木に衝突した。

 

 

「えいっ!!」

 

 

 

後ろから小猫ちゃんの小さい拳が飛んでくる。俺はそれを掴んで、木場の隣の木に投げつける。小猫ちゃんも木場と同様に、衝突して崩れ落ちた。

 

 

「さあ、二人とも、まだまだだぞ」

 

 

俺は『時の支配者たる時計(タイム・ルーラーズ・ウォッチ)』で二人の時間を戻し、傷を消した。

 

 

 

「くっ、やっぱり強いね、イッセー君は」

 

 

「けど、まだやれます!」

 

 

「よし!じゃあ掛かってこい!」

 

 

 

それを合図に、俺たちは再び戦闘を再開した。

終わった後、周りの地形が変わっていたのは、ちょっと反省。(主に俺が考えなしに暴れまわったせいなんだけど……)

 

 

 

 

 

 

 

――○●○――

 

 

それからというもの、俺は禁手(バランス・ブレイカ―)の維持の特訓のためと、それぞれのコンビネーションや作戦など、ゲームで打てそうな対策という対策は全てこなしてきたつもりだ。

そして、いよいよゲーム本番は明後日。いや、厳密に言えば明日。

今は午前3時頃。テミスの能力を使いこなす特訓をしていて、寝ようと思い別荘に戻った。結局俺はテミスの新しい能力を習得はできなかった。コツは何となく掴めてるんだけど、あともう一息って感じなんだよな……

 

 

 

戻ったところで、部長とリビングで出くわした。あ、これ下手するとバレる…

 

 

 

「あら、お帰りなさい、イッセー。今日はもう終わりかしら?」

 

 

「た、ただいまです、部長……ん?今日は?」

 

 

 

部長は手を額に当てて嘆息すると俺の方に向き直った。

 

 

「あのね、自分の下僕の動向くらい把握してるわよ」

 

 

「はは……バレてましたか」

 

 

 

「ええ。ここに来てから夜な夜な、コッソリどこかに出掛けては、夜明け前に帰ってくる。一回付いて行こうともしたけど、やめたわ」

 

 

 

「え、何でですか?」

 

 

 

「信用してるもの、あなたの事。あなたがコッソリ何かやっているのも、気にはなるけど応援してるわ」

 

 

!?

はははは……この人は器が大きいな。

 

 

 

「あ~……敵わないですね、部長には」

 

 

「あら、ようやく気付いたかしら?」

 

 

 

「ええ、まぁ。ところで、部長は何やってんです?それに、部長って目悪かったですか?」

 

 

 

部長はメガネをかけて、赤を基調にしたネグリジェ姿でソファに座り、キャンドルを置いたテーブルの上に広げられている、本や羊皮紙などと向き合っていた。

 

 

 

「別に目は悪くないのだけど、こっちの方が落ち着いて考え事ができるのよ。ほら、私は人間界での生活が長いから」

 

 

「なるほど。で、それらの本は?」

 

 

 

「これは、過去行われてきたレーティングゲームの種類、戦術、地理、ゲーム結果などよ。所詮は気休めで一応読んでるだけよ」

 

 

 

「気休めって……そんな弱気な部長も珍しいですね」

 

 

 

「…否定はしないわ。それだけ強いのよ、ライザーは。そうね、イッセーは『フェニックス』については、どこまで知ってるかしら?」

 

 

 

「えっと、伝説の聖獣で不死身ってことぐらいですね。聖獣って言われてるのに、悪魔サイドだとは思いませんでしたが」

 

 

 

「半分は正解よ。能力についての認識は間違ってはいないわ。ただ、厳密に言うと聖獣の方は『フェニックス』、そして悪魔の方はそれと区別して『フェネクス』と呼んだりするわね。まぁ、どちらでも変わらないのだけど。問題はその能力よ」

 

 

 

「不死身って事ですか?」

 

 

 

「えぇ。倒しても倒しても、再生して立ち上がってくる。これが、どれだけ厄介か分かる?」

 

 

確かに、倒しても倒しても向かってくるのは、敵に回すと厄介極まりないな。

 

 

「けど、倒す方法もあるんじゃないですか?」

 

 

 

「ええ。一つは神クラスの一撃で沈黙させるか、もう一つは何度も倒して精神力を疲弊させるかのどちらかよ。どちらも並大抵の事ではないわ」

 

 

なるほど。だから倒すのは難しいってか……

 

 

 

「う~ん、ただ俺の『無と連環の腕輪(オリジン・チェイン・バングル)』で無効化したうえで、囲んじゃえば何とか成りそうですけどね」

 

 

 

「さらりと、えげつないこと言うわね……私もそれを考えたわ。けど、今回はそれができないのよ」

 

 

 

「えっ!?どうしてですか!?」

 

 

すると部長はポケットから、四つ折りにされた紙を取り出して俺に差し出してきた。

 

 

それを開いて中身を確認すると、次のような事が書かれていた。

 

 

 

『今回に限り、以下の者の力を制限する。

 

兵藤一誠

 

 

無と連環の腕輪(オリジン・チェイン・バングル)

 

 

これは、悪魔の力を無効化してしまうために、レーティングゲームの定義を著しく侵害するものと、両家の判断により使用を禁ず

 

 

グレモリー、フェニックス』

 

 

 

「こんな事今になって言ってくるなんて、横暴も良いところじゃないですか!」

 

 

 

「ええ、私もさっき使い魔が届けてくれて、初めて知った内容よ。これでライザーの能力を封じるのは不可能になったわ。お父様に連絡を取ろうと思っても無視されたわ。意地でも、私を結婚させたいようね。本当に嫌になるわ」

 

 

 

だけど、これは俺の失態でもある。きっと、これを連絡してきたのは、部室で俺がライザーに対して力を使ってしまったからだ。迂闊だった!

 

 

 

「すいません、部長。部室でライザーに対して、力を使わなければ……」

 

 

 

 

「いいのよ。あの時、あなたは眷属全員を守るために力を行使した。誰もそれを責めたりしないわ」

 

 

 

部長はそう言って慰めてくれるが、俺も浅はかだった事を今になって自覚した。

 

 

 

「大丈夫よ、イッセー。それでも勝ちに行く方法を考えるのが私の仕事だもの。当日頑張ってちょうだい」

 

 

 

「はい……

あの今更なんですが、部長はライザーとの結婚は何で反対なんですか?確かに冷静に考えてしまうと、部長のお父様たちが持ち上げたこの縁談って冥界にとっては利益しかないですよね?俺には、あんなに殺気を放つほど拒否をしている理由が分からないんですが…」

 

 

 

「……そうね。じゃあ、イッセーに逆に質問よ。あなたは私をどう見てくれてるかしら?」

 

 

 

部長は真っ直ぐ俺を見つめてくる。

 

 

 

「俺たちをまとめる、カリスマ部長?」

 

 

「ふふ、そういう見方もあるわね。それも、私の望む認識のされ方…………私を家なんかを抜きで見てくれる、私個人を見てくれている」

 

 

ん?話が見えてこない…

そこで部長は視線を上へと向ける。

 

 

 

「私は『リアス・グレモリー』である前に、『リアス』なのよ。他の誰でもない。少し語弊があるかもしれないけど、『グレモリー』が嫌いなわけじゃ無いのよ?むしろ、誇りに思っているわ。だけど、どこへ行っても私は、『リアス・グレモリー』。私の背負っている看板は絶対に離れたりしてはくれない」

 

 

 

俺はジッと、部長の言う事に耳を傾ける。一語一句を聞き逃してはいけないと思ったからだ。

 

 

 

「だから、人間界で暮らすことになって、この『世界』での生活はとても新鮮で、とても居心地が良かった。確かに『リアス・グレモリー』と名乗るけど、皆『グレモリー』として私を見ない。『リアス』として、私個人を見てくれる。

私は『リアス』として、私を見てくれて、愛してくれる人と一緒になりたいの。

贅沢で、子供っぽい小さな夢だとも思うわ。けど、夢を見れないような人生を送りたくはない。

これが、私が結婚を嫌がる理由よ。少し支離滅裂だったわね。ごめんなさい」

 

 

 

……俺も認識のされ方に少し苦労した事がある。それは前世の記憶が戻った時。

この世界で、俺は『兵藤一誠』だ。それは絶対に変わらない。父さんが居て、母さん、兄さんがいる。俺にはこの『世界』の家族が居る。俺はこの世界の住人である『兵藤一誠』なんだ。

だけど、間違いなく『ルドガー・ウィル・クルスニク』でもあるんだ。だから、ミラと再会して、『ルドガー』と呼ばれたときは、嬉しかった。けど一瞬自分を『ルドガー』だと認識できなかった事が少し寂しかった。

 

 

二つの認識のされ方……

 

 

部長が苦しんでいるのは、それなんだろう。少し違うかもしれない。けど、悩みどころとしては近しい気もする。

……俺は部長の『兵士(ポーン)』だ。こういう時は部長を元気付けなきゃな!

 

 

 

「……俺にとっては」

 

 

「え?」

 

 

 

「俺にとっては部長はオカルト研究部の『部長』で、七十二柱の『リアス・グレモリー』で、一人の女の子である『リアス』ですよ」

 

 

 

部長は少し面食らったような、表情をしている。

 

 

 

「いいじゃないですか。グレモリーも誇りに思っているなら、『リアス・グレモリー』でも。それに、人間界にいる時は『リアス』でいいじゃないですか。全部、一人の女の子としての、『リアス』なんですよ。

って、あ~……つまりぃ?」

 

 

何か、部長より支離滅裂……

 

 

 

「ぷっ!」

 

 

 

「あぁぁ!そんな、噴き出さなくてもいいじゃないですか!?」

 

 

 

「あははははは…ごめんなさい…ふふっ!」

 

 

まだ笑うか!?

 

 

 

「ふふ、そうよね。イッセーの言う通りよ。悪魔は欲に生きる生き物だものね。全部望まないと、おかしいわよね♪」

 

 

 

「そうですよ!今回は、それらを含めて、さっき部長が言ってくれた『夢』を護るための戦いですから、絶対に勝ちましょう!」

 

 

「ええ、そうね!」

 

 

 

「部長は絶対にあんな奴には渡しませんって!」

 

 

 

ん?部長が少し悪戯っぽい笑みを浮かべてる?

 

 

「あら、そこは『リアスを渡さない』じゃないの?さっきは私の事名前で呼んでくれたじゃない?」

 

 

 

「ぐっ……うぅ~~~ん…」

 

 

 

俺は頭をガシガシと掻きながら考える。いいのか、呼んでも?

けど、う~~~~~~~~ん……

 

 

 

「わ、分かりました!リアスは絶対に渡しません!俺が全力で護りますから!」

 

 

少し部長の顔が赤くなったような?

キャンドルの光が当たってるせいか?

 

 

「………ふふ、よろしくね、イッセー♪」

 

 

 

「はい、頑張ります!」

 

 

 

 

こうして、俺は決戦に向けての覚悟を決めたのだった。

 






ほい、という事でこんな感じです。

結局一誠は新しい力を得ることはできませんでしたね・・・
まぁ、それなしでも十分強すぎるくらいなんですがね・・・


そして今回はリアスに焦点を当てました。親の決めた事とはいえ、ねぇ?





さて、次回からいよいよ決戦です!
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