ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】   作:メラニン

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いやはやどうも。


さて、今回はいよいよゲームが決着します。
果たして勝敗の行方は!?

ではどうぞ!


第10話 初ゲーム、決着です!

―― 一誠side

 

 

俺は新校舎の正面口に立っていた。俺が突入した後、入り口が大量の剣で塞がれたけど、あれは木場の仕業だろうな。

魔剣創造(ソード・バース)』か……

結構侮り難い能力だよな。

 

 

さて、確か相手の本陣は新校舎の生徒会室だったよな。木場や小猫ちゃんが時間稼ぎしてるけど、急がないと。

 

 

俺はその先にいるのが誰かも知らずに階段を駆け上がった。

 

 

――side out

 

 

 

 

 

 

――アーシアside

 

 

私、アーシア・アルジェントは悪魔の方々が行うというレーティングゲームに初めて参戦しています。

 

戦っている訳では無いのですが、待機しているだけでも緊張してしまいますぅ………

 

 

 

「あ、あの、部長さん。皆さんは大丈夫でしょうか?」

 

 

「ええ、きっと皆上手くやってくれるわ。皆の『(キング)』だっていうのに私自身は何も出来ないのが一番悔しいわね」

 

 

部長さんは今回は皆さんに指示を出すだけになってしまっているのを、先程から悔やんでいるようです。けど、それは私だって………

 

 

「部長さんは何も出来てないなんて事ありません!イッセーさん達に勝つための指示を先程から出してらっしゃいます!だから、信じて待ちましょう」

 

 

「アーシア……………ええ、そうね。自分の無力を嘆く位だったら、皆の無事を祈っている方がよっぽど建設的かしら。少し弱気になっていたみたい。ありがとう、アーシア」

 

 

「い、いえ、そんなお礼を言われる程の事なんて全然……」

 

 

「さて、今皆は何処に居るのかしら?」

 

 

 

部長さんは丸められた羊皮紙のような物を広げました。何でも今回、それぞれの『王』に与えられたアイテムらしくて、これで自分の眷属の居場所が分かるそうです。

 

 

確かにこの学校の地図が浮かび上がりました。地図上を人の足跡のような物が移動しています。その横にはそれぞれの名前が書いてあります。

 

 

 

「あの、部長さん。これが今イッセーさん達が居る位置なのですか?」

 

 

「ええ、そうよ。朱乃はテニスコートの方に居るみたいね。祐斗と小猫は運動場に居るわね。この3人は狭い場所を行ったり来たりしているから戦闘中かしら?イッセーは……もう新校舎の入り口に到達してるのね。早いわね」

 

 

「あのぅ、これってどちらが有利なんですか?」

 

 

 

「難しい所ね。敵の本陣に既に攻め込んでいる私達が有利に見えなくもないけど、数では向こうに分があるわ。少しの油断がすぐに敗北に繋がるわね。イッセーがライザーの元で一騎打ちが出来れば――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、俺が男を相手にすると思うのかい?愛しのリアス♪」

 

 

窓の外から声が聞こえて、部長さんが振り返った直後に私の視界は炎に包まれました。

 

 

――side out

 

 

 

 

 

 

―― 一誠side

 

『ライザー・フェニックス様の「兵士(ポーン)」1名、リタイア!』

 

 

俺が新校舎を移動中に放送が流れた。おっ、誰かがまた倒したみたいだな。木場か小猫ちゃんのどちらかだろう。あとは俺の役目だ。

 

 

「ふぅ〜、到着っと。にしても、生徒会室のある廊下自体に来るのは初めてだな」

 

 

俺は廊下に出て、生徒会室の看板を確認した。と、生徒会室の前には何故かレイヴェルと呼ばれていた少女が腕組みをしながら立っていた。

 

 

「あれ?君は下で戦闘中だったんじゃ?」

 

 

「他に任せてきましたわ。私は…………そうですわね………あなたと少々お話をしようと思いまして」

 

 

 

「へぇ、もしかして時間稼ぎか?」

 

 

「ええ。あなたがお兄様に勝てるとは思えないですけど、念のためですわ」

 

 

 

彼女は悪びれるような様子も無く言った。自分の目的をそんなアッサリ言って良いものかね?

多分彼女の頭の中では、ここで時間稼ぎをして他の眷属が集まって来るのを期待してるんだろうな。

 

 

 

「悪いんだけど、今相手にしてる暇は無――」

 

 

ドオォォォンッ!!

 

 

 

「な!?」

 

 

「あら、大して時間稼ぎをする必要も御座いませんでしたわね」

 

 

新校舎の窓から見えたのは半分程吹き飛び、燃え盛る旧校舎だ。その上空には人影が薄っすら見える。

クソッ!やられた!

 

俺は『賢者の槍(クルスニク・スピア)』を発現させて、構える。

今更出し惜しみしてもしょうがない。

 

 

「させませんわよ!イザベラ!」

 

 

 

ドンッ!

 

 

生徒会室の扉を破って出てきたのは、顔の半分程を仮面で覆った女性だ。

俺は咄嗟に彼女の拳をガードした。

 

 

 

「この力、『戦車(ルーク)』か!やっぱり、キャスリングを使ってたな!」

 

 

「ああ、そうだ!悪いがここで大人しく――」

 

 

「邪魔だあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

ズバッ!

 

 

「がっ!?」

 

 

 

俺は槍を下から、すくい上げるようにして薙いだ。イザベラと呼ばれた女性は鮮血を散らした後、光に包まれて消えた。

 

 

『ライザー・フェニックス様の「戦車」1名、リタイア!』

 

 

俺は槍の切っ先をレイヴェルに向ける。

 

 

「お前もやるか?」

 

 

「っ!?や、止めておきますわ………」

 

 

 

俺は旧校舎の方に向き直って、槍を構えた。

 

 

「いくぞ、レディオン!断ち切れ!」

 

 

『Saber!』

 

 

槍を思いっきり振ることで目の前には空間の裂け目が出来た。

無事でいてくれよ……

 

 

 

俺はそう願いながら目の前の暗い空間の穴に飛び込んだ。

 

 

 

――side out

 

 

 

 

 

 

 

 

――リアスside

 

 

私はライザーから急な不意打ちを受けた。何とか避ける事は出来たけど、アーシアを人質に取られてしまった。不覚だわ!

 

 

「随分と派手にやってくれたわね、ライザー」

 

 

「はは、それは無いだろう。これでも俺は火力を抑えたつもりだぜ?急な不意打ちを卑怯とは言わないでくれよ?」

 

 

ニヤリとライザーは口角を引き上げて凶暴そうな笑みを浮かべた。

 

 

「リアス、君はグレモリー故に眷属の犠牲(サクリファイス)は極端に嫌うようだな。ゲームの進め方を見れば分かる。なら、こっちの元シスターの『僧侶(ビショップ)』の事も、放っとけないよなぁ!?」

 

 

「う……ぅん、ここは?」

 

 

アーシアがライザーに抱えられた状態で、目覚めた。不味いわね……

 

 

「はわっ!?こ、これは………?」

 

 

 

アーシアは下の燃える校舎を見て目を丸くした。ライザーが邪悪な笑みを浮かべた。

本当に虫酸が走るわね……

 

 

「おい、リアス。さっさと降伏(リザイン)してくれよ。さもないと、君の大事な眷属が傷モノになるぞ?」

 

 

ニヤニヤと下劣な笑みを浮かべるライザー。と、アーシアが暴れだしたわ!

 

 

「ぶ、部長さん!降伏なんかしちゃダメです!私は大丈夫で――」

 

 

「黙っておけよ!下級悪魔がぁ!」

 

 

ビリィ!

 

音を立ててアーシアの衣服をライザーが引き裂いた。

 

 

「い、いやぁぁぁ!」

 

 

「アーシア!?止めなさい、ライザー!」

 

 

 

「ん〜?止めてくださいだろう?なぁっ!?」

 

 

 

「ひぅっ!?」

 

 

 

ライザーがアーシアの身体を弄り始めたわ。悔しくてしょうがないわわね……

何よりこの状況で動けないでいる自分が、情けなくて腹が立つわ!

 

 

「おいおい、リアス。こんなの俺と君の結婚前の只の余興だ。何も泣くような事は無いだろう。楽しくやろうぜ」

 

 

「くっ、誰が!」

 

 

「ははは!にしてもこの『僧侶』中々良い身体をしてるじゃないか。リアスのとこなんか辞めて俺の所に来ないか?」

 

 

「絶対に嫌ですっ!」

 

 

「ははは、手厳しいなぁ、おい!」

 

 

「いやぁぁぁ!」

 

 

「くっ、ライザァァァァ!」

 

 

「ははははは、いいぞ!泣き叫べ、リアス!」

 

 

(イッセーさん……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………何をやっている?」

 

 

 

ゴッッ!!!

 

 

 

急に黒い穴が現れたと思ったら、そこから現れた人物にアーシアを取られ、ライザーは殴られて急降下した。

 

 

その人物はアーシアを抱えながら、コッチを確認すると悪魔の翼を生やして、近付いて来た。

 

 

 

「遅くなって、申し訳ないです。部長、アーシア」

 

 

「イッセー……」

「イッセーさん……」

 

 

――side out

 

 

 

 

 

―― 一誠side

 

 

俺は空間を切断して、転移した。穴から顔を出すと、アーシアをライザーの奴が捕まえていたから、アーシアを解放してライザーを殴り飛ばした。

 

 

「イッセー……」

「イッセーさん……」

 

 

二人とも涙目だ。アーシアに関しては服がズタズタに引き裂かれている。部長も所々ボロボロだ。俺は急いで上着を脱いでアーシアに着せてやる。

 

 

「ゴメンな、アーシア。怖い思いをさせて。部長も、申し訳ありません。本陣を護り切れなくて……

これじゃ、部長の『兵士』失格ですね……」

 

 

「……いいえ、あなたは私達を助けに来てくれたわ。本陣を護るのが『兵士』の役目ではないわ。『兵士』の役目は『王』を護る事よ。あなたは、私達を助けてくれた。だから、『兵士』失格だなんて言わないでちょうだい」

 

 

部長がスッと頬に手を伸ばして触れて来る。俺はその手を掴んで真っ直ぐに部長を見据える。

 

 

 

「………リアス・グレモリーの『兵士』、兵藤一誠。改めて主たるリアス・グレモリーを護ると誓います」

 

 

「ふふ、それでいいわ♪」

 

 

 

ゴゥッ!

 

 

下から特大の火球が放たれた。レディオン、頼むぞ。

 

 

『……ああ、了解だ。主』

 

 

 

『Saber!』

 

 

 

俺は再び空間を断ち切って、黒々した穴を空けた。火球はそれに吸い込まれるようにして消えた。

 

 

「新技、引力球(アトラクション・ボール)!成功だな」

 

 

これは、レディオンの『空間』と『引力』の合わせ技だ。別の転移場所に開いた穴に全て吸い込まれる、といった技だ。ま、見方によってはブラックホールに見えなくもない。けど、押し潰されたりする訳じゃ無いし、ブラックホールとは別物だな。

 

 

 

「おいおい、俺を差し置いて、いいご身分だなぁ!?兵藤一誠ぃぃぃ!」

 

 

 

下から叫ぶライザーにアーシアはビクッと身体を震わせた。無理もない。ライザーにあんな事をされたんじゃな。

部長も敵意を剥き出しにしてライザーを睨みつけている。

 

 

俺はしがみ付いてきているアーシアの頭に手を置きながら、声を掛けた。

 

 

「大丈夫だ、アーシア。あんな奴あっという間に、倒してくるからさ」

 

 

「イッセーさん……………はい、分かりました!信じて待っています!」

 

 

 

「ああ。では部長、決着を付けて来ます」

 

 

「ええ、私もあなたが勝つと信じてるわ」

 

 

 

俺は部長にアーシアを預けると、そのまま降下して、ライザーの元まで降りた。

 

 

 

「俺が話してる間に攻撃して来ないなんて、随分余裕があるようですね」

 

 

「ハッ、貴様を倒した後の方がリアス達の心は折りやすいだろう。そっちの方が調教しがいがある。それに、リアス以外にも新しい楽しみも増えた。あの『僧侶』の触り心地は良――」

 

 

 

ゴッ!

 

 

ドォォォン!

 

 

「…………それ以上、口を開くな」

 

 

俺は全力の魔力を籠めてライザーを殴り飛ばした。殴り飛ばした先で旧校舎の残骸に突撃した。

 

 

 

 

「は……ははは、痛いなぁ、おい!強いな、貴様!俺も本気で相手をしてやろう!ドラゴンごときが、不死身である不死鳥に敵うと思うなよ!」

 

 

ライザーの背に特大の炎の翼が展開される。傷は炎と共に再生している。

 

 

『主様……今こそ私の力を使って下さい。直接私自身が叩きのめしたいです』

 

 

 

おー、テミスの声のトーンがあり得ないほど低い。珍しいな、ここまでテミスが怒るのは。

 

 

 

『当たり前です……アーシアさんにあんな仕打ちをした者を許せませんから』

 

 

 

ああ、そうだな。部長もアーシアも泣いていた。何より俺の力不足の所為だ。だからこそ、その不足分を埋めてくれよ?

 

 

 

『ああ、何時でもいいぞ相棒!』

『はい、やりますよ!』

『……俺も準備は出来てる』

『我も問題ない』

『僕も大丈夫だよ』

 

 

そっか。じゃ、一緒に戦おう!

 

 

 

禁手化(バランス・ブレイク)!」

 

 

 

ゴゥ!

 

 

赤い魔力とオーラが鎧を形作っていく。

 

 

「『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』!!」

 

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』

 

 

「ほう、それが噂に聞く赤龍帝の力か。だが、不死身のフェニックスには――」

 

 

「『『『『『黙れ』』』』』」

 

 

宝玉から俺の中のドラゴン全員の声が聞こえた。

 

 

「な、誰の声だ!?」

 

 

「あんたが知る必要は無い。そんなに、不死身が自慢なら、俺が同じ土俵に立ったらどうするんだろうな?」

 

 

 

俺は右腕に『転写鏡の腕甲(トランス・ミラー・ガントレット)』を装着した。鎧に一箇所だけ銀色の腕甲って形だから、不恰好なのがたまにキズだな。

 

 

俺は鏡を1枚操作して、ライザーの目の前に持っていく。

 

 

「ちっ、何のつもりだ!?」

 

 

『Transcribe!』

 

 

炎に払われた鏡は俺の腕甲に戻って来た。その鏡にはライザーが炎を使った瞬間が写し出されたままだ。

 

 

ゴオゥ!

 

 

「な、何だそれは!?」

 

 

俺は意識を背中に集中して炎で形成された特大の翼を展開した。ライザーの物と違って、ドラゴンの翼のような形になっている。

 

 

 

「これが、『転写鏡の腕甲(トランス・ミラー・ガントレット)』の能力、『転写』だ。まぁ、コピーに近いかな?まあ、安心しろ。これで戦うつもりは無い」

 

 

俺は炎の翼を消した。

 

 

「こいつにはもう一つの力がある。テミス!」

 

 

『はい!』

 

 

俺の周りに鏡を操作して、合計で12枚の鏡を浮かべた。

 

 

「1枚でダメなら、複数でやればいい!」

 

 

『Transcribe!』

 

 

鏡は3枚で1セットになって、それぞれ別々のドラゴンの姿を写した。

 

 

『Realize!』

 

 

 

ズン!

 

 

地響きと共に、4頭のドラゴンが現れた。

 

 

『ゴアアアァァァァァ!』

 

 

『ガアァァァァ!』

 

 

『ギィォォォォォ!』

 

 

『ヒィィィィィン!』

 

 

 

 

4頭が咆哮を上げる。

 

 

体が黒とグレーで、所々に黄色いラインが入り、頭に刃の付いた一本角の生えたドラゴン。

頭から後ろへ銀髪の鬣と曲がった二本の角が伸び、体が白とグレーのドラゴン。

全身が光っていて、かろうじてシルエットが分かるドラゴン。

全身の鱗が全て鏡のように光り輝くドラゴン。

 

 

そう、レディオン、クロノス、オリジン、テミスだ。

 

 

それに驚いた様にライザーは顔を引きつらせている。

 

 

 

「これが、『転写鏡の腕甲(トランス・ミラー・ガントレット)』のもう一つの能力。『具現化』だ」

 

 

まぁ、能力は結構限定的だったりするんだけど、今はこれで充分。合宿期間中には無理だったが、戦っている内に使い方を閃いた。

 

 

 

すると、俺の鎧の宝玉からドライグの声がする。

 

 

 

『どうやって自分を倒すのかと、聞いたな不死鳥の小僧。不死鳥ごときが我らドラゴンに随分生意気な口を聞いたものだ。我らをコケにした代償は高く付くぞ!』

 

 

 

「オリジンは部長たちの守備に徹してくれ。『無効化』の力は使うなよ?」

 

 

 

『ああ、分かってるよ。イッセー』

 

 

それだけ言うと、上空で待機している部長たちの元に飛んで行った。

 

 

 

「さあ、戦おうか?」

 

 

「く……この化け物がぁぁぁ!」

 

 

ライザーが殴りかかってくる。俺も拳を突き出し、俺とライザーの拳がぶつかり、余波で周りが吹き飛んだ。

 

 

「はっ、こんなもんか!?赤龍帝の小僧!?」

 

 

崩竜武双脚(ほうりゅうぶそうきゃく)!」

 

 

ゴッ、ガッ、ガッ、ガッ、ゴッ、ドンッ!

 

 

斜めに蹴り上げて、空中で連続蹴りを繰り出し、最後にサマーサルトで打ち上げた。

 

 

「クロノス!」

 

 

『分かっている!』

 

 

ゴッ!

 

 

「ぐっは!?」

 

 

クロノスの横なぎの一撃を喰らって、ライザーは再び旧校舎の瓦礫に突っ込んだ。

 

 

ガラガラと音を立てて瓦礫に埋もれる。

 

 

『まだですよ』

 

 

 

いつの間にか、上空に移動していたテミスが翼を広げた。その翼からはやや大きめの鱗が飛び出している。

 

 

『私の龍鱗を喰らいなさい!』

 

 

 

ドドドドドドドドドドドドドッ……

 

 

無数に放たれたテミスの龍鱗の雨は旧校舎ごと、ライザーを飲み込んだ。

 

 

「がぁぁぁぁ!!」

 

 

ライザーが雄たけびを挙げて、上空を見据えた。

 

 

 

「はっ、貴様らドラゴンを相手にせずとも、『王』であるリアスを撃破してしまえば俺の勝ちだぁぁ!」

 

 

そう言うと、ライザーは特大の火球を形成した。それも、6個だ。

 

 

 

「くたばれぇぇぇ!」

 

 

 

ドウッ!

 

 

 

一斉に火球が放たれたが、部長たちの元にはオリジンが居る。

 

 

『やれやれ、「無効化」の力を使えないと、不便だけどしょうがないか』

 

 

オリジンが目を光らせると、オリジンたちの眼前に迫っていた火球は跡形もなく消え去った。

 

 

「な!?今回貴様らはあの力は使えないはず…」

 

 

「『無効化』じゃない。『虚無化』の力だ。部長の消滅の魔力と似てるが少し違う。まぁ、俺自身はまだあの力は使えないんだけどな」

 

 

 

「き、貴様、それだけの力がありながら何故、リアスの眷属などに甘んじている!?それだけの力があるならば――」

 

 

「黙っとけ」

 

 

 

ゴッ!

 

 

「ごばっ!」

 

 

 

俺は再びライザーの腹に一撃を入れて上空に打ち上げた。

 

 

そこにはレディオンが待ち構えていて、急に翼をたたんだ。

すると、猛スピードでライザーに突っ込んでいき、頭の角でライザーを串刺しにした状態で地面に突撃した。

 

 

ドォォン!!

 

 

 

巨大なクレーターの淵に近付いてライザーを見下ろす形でさっきの問いに答える。

 

 

 

「さっきの答えだがな、俺はあの人に命を救ってもらった。もし、あの時救われて無かったら、俺は今ここには居ないし、皆に出会えなかった。あの人は俺にやり直すチャンスをくれたんだ。俺があの人のために戦う理由はそれで十分だ。

だから、俺はあの人を泣かせたお前を許さない。お前は赤龍帝である、俺の逆鱗に触れたんだ。タダで済むと思うなよ」

 

 

「ひっ!?」

 

 

 

 

ライザーが情けない悲鳴を上げた原因は上空に居る、3頭のドラゴンだ。

 

 

それぞれが、口に魔力を溜めこんでいる。

俺は手を振りかざし、下へと降ろした。次の瞬間、大容量のドラゴンの息吹(ブレス)がクレータを襲った。

 

 

チュドォォォォォォォン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

大爆発の後、クレーターの底には完全に伸びきったライザーが居た。だが、まだ傷は遅くだが回復を始めているし、微妙に意識もあるようだ。結界が揺らぐぐらいの衝撃だったんだけどな。

 

 

 

「あ……が…はっ……ぜぇ……ぜ、げほっ…」

 

 

 

「フェニックスってのはしぶといな。なら、俺自身が幕を引こう」

 

 

 

俺はゆっくりとライザーに近づく。

 

 

「が…や…べろ…………ぐ、るな…」

 

 

 

ライザーは後ずさりをしようとしているが、上手く体が動かないようだ。

 

 

 

「わ、わがっだ………お、お……れの…ま、げで……い…い」

 

 

 

「さっき、俺はお前を許さないと言ったよな?」

 

 

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』

 

 

 

俺はライザーを真下に見据えて、拳を構える。

 

 

 

『Over Explosion!』

 

 

ゴォォォォ!!

 

 

一気に今まで溜めた倍加の力が噴き出す。

 

 

 

「ま……リ…ザ…………イ…」

 

 

衝波魔神拳(しょうはまじんけん)!!」

 

 

 

ド……ドォォォォォォォン!!

 

 

 

周囲がヒビ割れて行き、空間自体が歪みだした。さらに、追撃の衝撃波が大挙して、フィールドを覆っていく。

 

 

ビシビシッ!!

 

 

 

疑似空間に亀裂が入り始めた!?

ヤバい、やり過ぎた!!

 

 

俺は急いでドラゴン達を呼んで、部長たちの元に行った。

 

 

 

 

――○●○――

 

 

「すいません、部長!また、やり過ぎました!」

 

 

 

俺はオリジンの頭の上に居る部長の元に行き、全力で頭を下げた。

 

 

「ぷ……あははははははは!」

 

 

 

「ええ!?何でそんなに笑うんですか!?」

 

 

 

「だって、鎧を纏ったままのあなたが、深々と頭を下げるのがおかしくて……」

 

 

俺は自分の姿を改めて確認して、慌てて鎧を解除した。

 

 

『Over Reset!』

 

 

「とと……す、すいません、部長」

 

 

鎧を解くとともに、力がリセットされて、フラついた所を部長に支えられた。

 

 

「………勝ったのよね?」

 

 

「もちろん!」

 

 

「……こんなになるまで、無茶をして…あまり心配させないでちょうだい」

 

 

「ははは……でも、大した怪我はして無いですし、それに約束しましたから。約束通り、あんな奴に部長は渡さずに済んで俺は満足です」

 

 

 

「こんな、ボロボロになるまで力を酷使しても?」

 

 

 

「もちろん。それがリアス・グレモリーの『兵士』たる、兵藤一誠の役目ですから!んむっ!?」

 

 

 

 

 

ぶ、部長の唇がぁぁぁぁ!?

ああぁぁぁぁ!?

 

 

 

 

「『『あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』』」

 

 

 

そっと、部長が離れると、顔を赤くしながら改めて俺を見据えてきた。

 

 

 

「ふふ、ファーストキスよ♪今回あなたはそれだけの働きをしてくれたわ。ありがとう、イッセー」

 

 

「え、えと、あの、その………え?」

 

 

「ぶ、部長さん!!」

 

 

 

「あら、私にだってキスくらいする権利はあるでしょう、アーシア?」

 

 

 

「むぅぅ~~~……」

 

 

アーシアは少し涙目になりながら、頬を膨らませている。

 

 

 

『主様から離れなさい!リアス・グレモリー!』

 

 

 

横から、大音量で叫ぶテミス。やっぱ具現化してると迫力あるなぁ。

部長は臆することなく、テミスの前に立つ。

 

 

 

「ご無礼を、お許しください、お母様」

 

 

『お、おか?な、何を言って……う、うぅ~~ん……』

 

 

「え、あれ!?テミス!?」

 

 

 

気をしっかり持てなくなったのか、テミスは急降下していく。っていうか、落ちてってるよ!!

 

 

俺は急いでテミスだけの具現化を解いて俺の中に戻した。

 

 

「あら、やり過ぎちゃったかしら?」

 

 

部長は小悪魔のような微笑を浮かべてらっさる。ああ、ワザとだ。この人。

 

 

『………主、空間がもうあまり持たない。主の仲間を回収した方が良い』

 

 

 

「ん。それも、そうだな。決着は付いたのに、放送が流れないのがその証拠だろう。急ごう!」

 

 

 

俺たちはオリジンの背に乗ったまま、木場たちを回収した。最初はかなり、面食らってたけど、俺たちが上に居るのを確認して、同行してくれた。

 

 

ついでに残っていた、ライザーの眷属も回収してそれぞれのドラゴンに運んでもらった。

 

 

 

――○●○――

 

 

 

「あの、この事態は、あなたが?」

 

 

 

移動中にそう訪ねてきたのは、レイヴェルだ。

因みに、今はレディオンが空間の穴を広げる事の出来る場所を探索中だ。

疑似空間に完璧に閉じ込められた状態の俺たちは、『空間』のエキスパートであるレディオンに頼らざるを得ない状況だ。

俺自身の『賢者の槍(クルスニク・スピア)』は俺がエネルギー切れになる一歩手前なので使えない。

 

 

 

「ああ、そうだよ。さすがに、やり過ぎちゃったよねぇ。ごめんね」

 

 

「あっ、……その、こちらこそ、生意気を言ってしまって申し訳ありませんでしたわ。それで、お兄様は…?」

 

 

「大丈夫、生きてるよ。俺の一撃が当たる直前に、戦闘不能と見なされたのか転移させられたから大丈夫だよ」

 

 

「そ、そうですの。よかったぁ~……」

 

 

 

それだけ聞くと、安心したのか脱力してしまったようだ。

 

 

ポンっと、俺はレイヴェルの頭の上に手を置いた。

 

 

「な、何をするんですの!?」

 

 

「いや、似てないなと思ってさ。お兄さんと」

 

 

「お兄様と?」

 

 

 

「ああ。何であの兄が居て、こんな思いやりのある妹ができるのかが、分からん」

 

 

 

ボッとレイヴェルの顔が赤くなった。

 

 

 

「は、はひ!?そ、そんな事ありませんわ!」

 

 

急いで俺の手を振り払うレイヴェル。

その後、ずんずんとオリジンの頭の端の方に歩いて行ってしまった。

ありゃ、ご機嫌損ねちゃったか?

 

 

 

ゴッ!

 

 

「ぐふっ!?ちょっと、小猫ちゃん?俺一応は満身創痍なんですけど!?」

 

 

 

「あんな、焼き鳥娘と仲良くしてる先輩が悪いです」

 

 

「な、何ですってぇぇ?」

 

 

いつの間にか聞いていたのか、レイヴェルが戻ってきて小猫ちゃんと睨み合いを始めた。

 

 

「焼き鳥娘」

 

 

「な!?こ、この、駄猫!」

 

 

 

バチバチと火花を散らせる両者。ああ、バックに鳥と猫が見える……

 

 

 

『……主、これで戻れそうだ』

 

 

 

「おっ、サンキュー、レディオン。ほら、帰れるぞ。もうやめろって!」

 

 

 

ズン!

 

 

「う…」

「ひぅ…」

 

 

俺は二人の脳天にチョップをかまして、大人しくさせた。

 

 

さて、帰ろう。俺たちの日常に!

 

 

 

 

 

 

――side out

 

 

 

 

――Satan side

 

 

「父上、よろしかったので?」

 

 

「ああ、構わん。それに、私も深く反省している。娘に無理強いをし過ぎた。これではしばらく口も聞いて貰えんだろうな」

 

 

「ははは。リアスはそこまで、小さくは無いですよ」

 

 

「やけに嬉しそうではないか、サーゼクス」

 

 

「いえいえ、そんな嬉しいなどと。しかし、そうですね。リアスの周囲には面白い力や、人物が集まるようです。特に今回は――」

 

 

「ああ、あの『赤い龍』がまさか娘の眷属になるとは。しかも、あの力は歴代の赤龍帝と比べても――」

 

 

 

「ええ、常軌を逸しております。しかし、彼自身は中々に見所のある少年ですよ」

 

 

「何だ、既に直接見たのか?」

 

 

「ええ。彼の学校での様子を少々。これからは、もしかすると彼らが冥界を変えて行くのかもしれませんね」

 




はい、今回はこんな感じで。


設定をば・・・
『転写鏡の腕甲』はルドガーの能力だった、『ミラーリング』がモデルです。まぁ、本来は味方の能力をコピーする、というだけの能力なんですが、それだけじゃ詰まらない、と思いやってしまいました。


また、具現化する際には、それ相応の力を使いますが、一度してしまえば、具現化しているもの自体の力で自律的に動きます。
何て、燃費がいいんでしょうか!


因みにお気付きかもしれませんが、ライザーの不死身レベルも超強化してました。
まあ、それでもオーバーキルでしたがね。個人的に、レディオンに串刺しにされたときは書いてて吹き出してしまいました。
あっ、焼き鳥だ。と思ってw

さて、ライザーは立ち直れるのでしょうか!?
ま、その話はまたいずれ・・・


てなわけで第3章本編はここで終わりです。

次はいつも通り番外編を入れたいな、と思います。使い魔の回ですね。

(ああ、使い魔何にしよう・・・多分、奇妙奇天烈?な事になると思いますw)


ではでは、さらば!
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