ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】   作:メラニン

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ども、メラニンです。


今回もやや長いですね・・・

そして、詰め込みすぎたかもしれません。
読みにくい部分もあるかとは思いますが、何卒ご了承ください。


では、どうぞ!!


第7話 奪還作戦と邂逅です!

―― 一誠side

 

 

 

俺と、木場、小猫ちゃんに黒歌、匙、そしてイリナとゼノヴィアは夜の公園に集合していた。因みに俺たち悪魔勢は全員が神父服に着替えていた。これはここ最近この町で起きている、何者かが神父を連続で襲撃しているという情報があるからだ。

今のところ情報を統合すると、襲撃者はフリードなんだけど。

 

「悪魔が神父の格好………」

 

 

「うう……コレ男物だから胸がキツキツにゃん」

 

 

まぁ、確かに黒歌は胸がなぁ………

いや、それはさて置き。

 

 

 

「はは………まぁ、そこは我慢してくれ。頼むぞ、黒歌。お前の気配察知だけが頼りなんだ」

 

 

「ふっふん♪イッセーにそんな事言われたら張り切っちゃうにゃん。まぁ、任せて。むむ………」

 

 

黒歌は精神統一して気配を察知すると、少し不思議そうに口を開いた。

 

 

「う〜〜ん、ねぇねぇ。この町にある聖剣って、あなた達のも入れると5本なのよね?」

 

 

そうゼノヴィア達に話しかける。

 

 

「ああ、そのはずだ。聖剣は基本的に教会で所有されている物は、持ち出しを厳しく管理されているからな。今、教会で持ち出されている聖剣は盗まれたのも含めて5本のみのはずだ」

 

 

「う〜〜ん………えっとね、私が探知した限り、今この町に聖剣は20本以上あるにゃん」

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 

俺たちは揃って驚愕した。聖剣が20本以上!?聖剣のバーゲンセールでもやるのか!?

 

 

「まぁまぁ、そんなに驚かなくていいにゃん。聖剣と言っても、殆どがエクスカリバーより、よっぽど力は弱いにゃん。けど、なーんか弱い方の聖剣は何処かで感じたことのあるような…………あっ、でも3本だけエクスカリバーを超えそうなくらい強そうな波動を感じたにゃん」

 

 

 

「な、エクスカリバーよりも強いだとっ……!?」

 

 

「そんな聖剣は世界中回ったってそんなに無いわよ!しかも、それが同時に3本!?」

 

 

教会二人組は驚きを隠せないでいる。まぁ、俺もビックリしてるんだけど。

 

 

「あ、でもその3本の波動は今は感じ取れないにゃん」

 

 

「どういうことだ、黒歌?」

 

 

「なんでか分かんないけど、私の探知に気付いて気配を隠したみたいにゃん。こんなの私も初めてよ」

 

 

…………黒歌の探知に気付いた?何でだ?持ち主が黒歌の仙術を察知したのか?

ダメだ。判断するにしても、イレギュラーな要素が多過ぎる。これは、エクスカリバー奪還だけじゃ済まないかもな。

 

 

「まぁ、取り敢えずソッチは今は放っておこう。まずは、俺たちの目的を果たそうか。黒歌、お前が探知した聖剣の気配を地図に書き込んでくれるか?」

 

 

「了解にゃん♪ええっとぉ、ココと、ここでしょー。それと――」

 

 

黒歌は広げられた町の地図に丸を付けていく。

 

 

「二本はココ。これはイリナとゼノヴィアのエクスカリバーだな。で、力の弱い聖剣がまとめてココか。随分町の外れの方にあるな。で、一本はあの廃墟になっていた教会の近辺か。まぁ、あの辺は人通りも少ないしな。フリードの奴が襲撃するとしたらここだろう。で、残る二本はそれと、逆の方角か」

 

 

 

うーん、どう動いたもんかな?

 

 

「私とイリナはコッチの二本の方に行こう」

 

 

「二人だけでか?」

 

 

「安心しろ、我々の方が聖剣の扱いには慣れている。遅れを取ることは無いし、悪魔は聖剣には弱いだろう?それに、いざとなれば切り札もある」

 

 

「ふぅん、切り札ね。まぁ、分かった。じゃあ、俺たちは――」

 

 

「イッセーはココで待機にゃん♪」

 

 

「え、何でだよ!?」

 

 

「だって、イッセーはこの中で最大戦力でしょ?一本の方も二本の方も、どっちも対応出来るように丁度中間地点のこの公園に待機してもらった方が得策だと思うんだけど」

 

 

 

むぅ、一理ある。

 

 

「うーん、分かった。じゃあ、2グループに分かれてもらって、何かあったら俺に必ず連絡を入れる事。これでいいか?」

 

 

「「「「「「「了解」」」」」」」

 

 

皆が散って行こうとする前に、俺は小猫ちゃんと黒歌を呼んだ。

 

 

「何ですか、先輩?」

「なぁに、イッセー?」

 

 

「白音って木場とは、俺より知り合って長いよな?」

 

 

「はい。祐斗先輩は眷属の中では二番目に古株で、次に加入したのが私ですから」

 

 

「だったら、木場があまり暴走しないように頼めるか?」

 

 

「………当たり前です。祐斗先輩も同じ眷属の仲間なんですから」

 

 

「そっか、じゃあ頼んだぞ」

 

 

「はい!」

 

 

白音は返事をすると早速木場の方に駆けて行った。

 

 

「で?私は何で呼び止められたのかにゃん?」

 

 

「黒歌は一応はコッチのグループの最大戦力になるよな?」

 

 

「うーん、そうだねぇ。白音と組手をやってもまだ私が余裕で勝っちゃうし、合宿の時の様子を見る限りだけど、木場ちんの方も私には勝てないと思うにゃん。まぁ、シトリーの『兵士』は見てないから知らないけど」

 

 

因みにここで黒歌が言う組手とは、黒歌が白音に構ってもらいたいが為、色々とちょっかいを出して最終的に始めてしまう姉妹ゲンカの事だ。毎回それなりに規模が大きくなるのが偶にキズ。

けど、それに毎回勝つって大人気ないなコイツ………

 

 

「まぁ、とにかくだ。全員が無事に戻れるように、ストッパーとガードの役割をして欲しい」

 

 

「むぅ………」

 

 

「何だよ、不満か?」

 

 

黒歌が頬を少し膨らませて睨んでくる。

 

 

「何だか、合宿の時もそうだったけど、私の役割って誰かの見張りってのが多い気がするにゃん」

 

 

うっ、確かに……

あの時も黒歌は殆ど部長とミラが大ゲンカを始めないように見張り役を頼んでいた。で、今回も似た役割か。

 

 

「わ、分かったよ!コレが終わったら――」

 

 

「同じ布団で寝てくれる?」

 

 

「!?」

 

 

………何を言い出してんだ、この猫おぉぉぉぉ!!

 

 

「い、いや、それは………」

 

 

「うう………女の子が勇気を出して言ったのに………」

 

 

ぐっ………

何、この罪悪感?黒歌がやや上目遣いになりつつ、潤んだ瞳で見つめてくる。

けどここでOKを出してしまうと……

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん…………………………………………

 

 

 

 

 

「わ、分かったよ!けど、猫モードの状態で寝てくれよ!その姿で一緒に寝られると、その…………」

 

 

「……子作りしたくなっちゃう?あ、でも私も初めてだから優しくしてね」

 

 

ゴスッ!

 

 

「痛いにゃん!」

 

 

俺は黒歌の脳天にチョップをかました。

 

 

「女の子がそういう事言うな!」

 

 

「むぅ………けど、OKは貰ったし、今はいいにゃん♪約束よ、イッセー?」

 

 

黒歌は上機嫌で木場達の元へ。

………ええ、分かってますよ。嵌められたんですよね、コレって。

ったく、コッチの気も知らないで。悪戯もホドホドにしろっつーのに。

 

 

 

 

 

とにかく、こうして俺たちの作戦は始まった。

 

………はぁ、黒歌と一緒に寝たなんて事がバレたら殺されそうだ………

 

 

 

 

――side out

 

 

 

 

 

 

 

――匙side

 

 

 

俺は匙元士郎。駒王学園生徒会に所属し、会長であるソーナ・シトリー様の『兵士』だ。

そんな俺は、主は違うが同じく『兵士(ポーン)』である兵藤一誠の頼みを受けてエクスカリバーの奪還という危険な教会の任務を手伝う事になった。

この町にある聖剣がいつ会長を襲うか分かったもんじゃないからな。会長のためにも頑張るぜ!

まぁ、黙ってコレには参加してるからバレたら殺されそうだけど。

 

 

そして、今は作戦中。教会側と俺たち悪魔側で分かれて捜索中だ。メンバーは俺と、兵藤と同じ眷属の木場と塔城小猫さん。そしてその姉という塔城黒歌さん。

今はこのメンバーで、廃墟になった教会付近へ移動中。

………………沈黙が重い!

 

 

「な、なぁ、木場。そう言えば、お前あの『宿泊処ロランド』にいる間中、っと言うか今も暗いのは何でだ?いつものお前と少し違うんじゃないか?」

 

 

「………そうだね。違う眷属なのに手伝ってくれている匙くんには教えておかないとね。僕は教会が行った聖剣計画の被験者なんだ。その計画は知っているかい?」

 

 

「ああ、会長から名前だけは聞いてる。確か聖剣に適合できる者を後天的に生み出そうとする計画だろ?」

 

 

「そうだね。そして、その計画は失敗だった。被験者達は全員が『処分』という形で毒ガスによって殺された。僕以外ね。その時同じ被験者だった同士たちは、その中でも僕だけを逃がしてくれた。

必死に毎日計画による熾烈な実験や訓練に耐えた。その結果がアレだった。僕だけが生き残ってしまった。僕よりも生きたいと願った子も居た筈なのに、その願いが神に届く事も無かった。

それが憎かった。こんな結果しかないのかと世界を憎んだよ。そして、何より僕たちの生を狂わせた聖剣エクスカリバーが憎かった。だから、同士達の無念を晴らすためにも僕はエクスカリバーを破壊する事を誓った。

………ゴメンね、暗い話で。」

 

 

「うおぉぉぉっ!お前そんな過去があったんだな!辛かったろう!?ああ、分かった!絶対に聖剣を破壊しようぜ!そんなもん、この世にない方が世のためだ!」

 

 

「う、うん、よろしくね、匙くん」

 

 

俺は号泣しながら木場に言ってやった!泣くのは情けないとも思うが、関係あるか!こんな事押し込めて生活してたコイツを考えると、泣けてくるよ!

 

 

「ああ!会長がこの際何ぼのモンだ!絶対に成功させようぜ!」

 

 

「ああ、暑苦しいにゃん。男同士だと、暑苦しすぎにゃん。ねぇ、白音?」

 

 

「………姉様は探知に集中して下さい」

 

 

「はいはい、了解にゃん」

 

 

塔城黒歌さんはヒラヒラと手を振ると、また探知をし始めた。

 

 

「祐斗先輩………心配してるのはイッセー先輩だけじゃないです。同じ眷属の仲間である私だって心配です。無茶はしないでください」

 

 

少ししおらしい調子で塔城小猫さんが木場に訴えかけてる。くぅぅ、可愛いな!流石は学園のマスコット!

 

 

「………そうだね。絶対に生き残るよ」

 

 

 

「はいはい、お話はここまでにゃん。お相手が誘い出されて来たわよ」

 

 

黒歌さんがそう言うと、全員が臨戦態勢に入った。確かに、言われてみれば嫌な感じがするぜ……

 

 

 

 

「うひゃひゃひゃ!神父のご一行、ネックチョッパーってねぇっ!!」

 

 

俺たちは上から降ってきた神父服の少年の一撃を全員が躱した。その手には一振りの剣が握られている。

アレが聖剣か!本物は初めて見るが、確かに背筋が凍りそうなくらい嫌な感じがするぜ……!

 

 

「……フリード・ゼルセン!今日こそそのエクスカリバーを破壊させてもらう!」

 

 

キィン!

 

 

木場は神父服を脱ぎ捨てて、魔剣を具現化して斬りかかる。それに続くように俺たちも神父服を捨てる。

 

 

キンッ、キンッ!

 

 

既に『騎士(ナイト)』の速度で斬り合っている。ちっ、目で追うのにも一苦労だぜ。

 

 

「……おかしいです。あのフリードって神父は前はあそこまで速くなかったのに」

 

 

「うーん、白音が不思議に思ってる原因は、アレっぽいにゃん。聖剣の能力みたいねん」

 

 

「なるほど。人間があの速度を出せるのには理由があったのか……なら、その強みを奪ってやる!」

 

 

俺は意識を集中させると、左手にはデフォルメされたかのようなデザインの黒いドラゴンがトグロを巻くように装着された。

 

 

「匙先輩も神器の所有者だったんですね」

 

 

「ああ!コレが俺の神器(セイクリッド・ギア)黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』だ!行け、ラインよ!」

 

 

神器から、ラインが伸びてフリードの足に巻き付いた。フリードはちょうど足を引っ掛けられたのと同じ原理で前のめりにつんのめった。

 

 

「うおっ!?んだコレ!?クソッ、クソッ!取れねえぞ!何ですか?悪魔が聖剣に耐性でも付けたってのか!?」

 

 

何度も聖剣を振り下ろしては切ろうとするが、一向に切れない。当たり前だ!一応は俺の神器もドラゴン系統だから聖の類は効かないぜ!

 

 

「今だ、木場!余計だとも思ったが、さっきのお前の話を聞いたんじゃ、コッチも協力しない訳にはいかないだろう!?」

 

 

「……ありがたいよ、匙くん!覚悟するんだな、フリード・ゼルセン!」

 

 

「うひゃひゃひゃ!勝てる、とでも思っちゃいましたか!?それがそうでも無いんすよ、ねっ!」

 

 

「うおわっ!?」

 

 

お、俺のラインが切られた!?さっきまで切れなかったのに!

俺は勢い余って、後ろに尻餅をつく格好になった。

 

 

「コッチだ!フリード!」

 

 

キンッ!

 

 

「へっへっへ、必死で御座んすなぁ、『騎士』君。そんなに、エクスなカリバーちゃんが憎いのかなぁ〜?」

 

 

キンッ、キンッ、キンッ!

ピキ……

 

 

「な、木場の魔剣にヒビが入り始めたぞ!?」

 

 

 

「へぇ、聖剣のオーラを一応はコントロールできるみたいにゃん。刀身にオーラを集中して強化してるみたいねん」

 

 

「うひゃひゃひゃ、その通りなんでござんす。俺様はスゥーパァーな仕様なのでぇ、こんな事も出来てしまうざんす」

 

 

 

 

「……覚悟!」

 

 

「うおっとぉ!危ねえですねい、チビッコ」

 

 

「……む」

 

 

「うひゃひゃ、失礼!小柄なお嬢さん!」

 

 

小猫さんの急な拳打もヒラリと躱しやがった。ふざけているがコイツ実力は本物だ!

 

 

「ふっふー、ではでは本命の登場って事でいいかにゃん?」

 

 

ゾッ……

 

 

先程まで待機していた、塔城黒歌さんが黒々した気を纏い始めた。何だ、アレ?

聖剣とはまた違ったヤバさを感じるぞ?

 

 

「おいおいおいおいおい、着物のお姉さんマジですかい……?そんなの反則っしょ」

 

 

「むふふ♪イッセーに頼られちゃってるんだもん。反則ぐらい使いたくなるにゃん。さて――」

 

 

ユラユラと全身を覆っている気が、僅かながら両手の方に集約し始めた。マジでアレは反則じゃないか?

 

 

「……コレはさすがのオレッちも、ピーンチ?」

 

 

流石のフリードもこれには後ずさりを始めた。

 

 

「久々に使うから、手加減し損ねたらゴメンにゃん♪」

 

 

黒々とした気の塊が生き物のように、ニッコリ笑った黒歌さんの両手から放たれた!

 

 

――side out

 

 

 

 

 

 

――ゼノヴィアside

 

 

「む、近いぞ、イリナ」

 

 

「ええ、分かってるわ、ゼノヴィア。聖剣の波動を感じる!この地図の通りね」

 

 

私達は赤龍帝である兵藤一誠の提案により、悪魔側と共同戦線を張った。

当然表向きは、そんな事は言えない。

そして、赤龍帝の知り合い(?)の猫又の、仙術による探知の情報の元、やや鬱蒼とした林に来ていた。

 

 

さて、そろそろ聖剣の元に辿り着くか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガサガサ……

 

 

「「誰(だ)!?」」

 

 

「わーっ!!ストップ、ストップ!俺はここにフィールドワークに来てただけだから!」

 

 

現れたのは、ボサボサ頭に白衣を身に付けた青年だ。白衣の中身はTシャツの上にワイシャツを着て、ジーパンという簡素な格好だ。

 

 

 

「君たちこそ何やってんの?女の子がこんな夜遅くに出歩いちゃダメでしょ」

 

 

「初対面なのに説教かい?」

 

 

「いや、そういう訳じゃないよ。ただ、この辺は危ないよ〜?」

 

 

ポケットに手を突っ込んだまま、面白そうにコチラの反応を伺っている。

 

 

「大丈夫よ、お兄さん。私達はこう見えても結構強いのよ?それに、どうしてもやらなくちゃいけない事があるの!」

 

 

顎に手を当てて暫く考えている仕草を取ると、先程よりは真剣な表情でコチラを見てくる。

 

 

「ふむ……まぁ、それでもオススメしないよ。帰んなよ」

 

 

「しつこいな。第一初対面なのになぜ、あなたが心配するんだ?」

 

 

「まぁ、親切心だよ。あと、俺の名前は福山翔(ふくやま しょう)ね」

 

 

「………お兄さん、ナンパ?」

 

 

「違うよっ!何処かの独身未婚上司と一緒にしないでよ!一応は結婚してるわ!」

 

 

「え、お兄さん若そうなのに……」

 

 

………コレには私もビックリだ。よく見ると、左手の薬指には指輪が光っている。

どうやら本当らしいな。

 

 

「はぁ……最近の若い子怖いわぁ。遠慮が無くて」

 

 

「さて、もう良いだろうか?生憎と私達も急ぐのでね」

 

 

「うーん………コカちゃんをおびき出して、そこから芋ずる式にって思ってたのに…………これだと、あのクズが………あぁ、でもなぁ………ああ、こうすれば……」

 

 

何やら独り言をブツクサ言い始めた。何なんだ一体?

私はイリナに小声で話し掛けて、行くように促す。そして私達はその場に背を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ…………敵か味方かも分からない相手に背を向けるとは余裕だな、『斬り姫』ゼノヴィア?」

 

 

バッ!

 

 

私とイリナはその場から急いで距離を取った。と、同時に私達は二人とも聖剣を構えた。

 

 

「……なぜ私の名前を知っている?」

 

 

「いやはや、お二人とも新鋭の聖剣使いとしては中々有名ですよ?ん〜〜………『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』に『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』かな?ま、エサとしちゃ上等っしょ。じゃあ――」

 

 

おもむろに、亜空間の入り口に手を突っ込んだと思ったら、そこから1m以上はありそうな大太刀を取り出した。太刀といっても鍔は存在せず、鍔が在るはずの部分は突起状になっている。アレが鍔代わりか?

刀身は白を基調として、赤いラインが一本だけ突起の部分から、先端まで伸びている。

 

 

…………これまで様々な剣を見てきたが、こんなに美しい剣は初めてだ。

イリナも隣で見惚れている。

 

 

 

「怪刀『不知火(しらぬい)』。怪刀と言うが、一応は聖剣だよ。俺が所持している聖剣の内の一本ね」

 

 

「美しいな………」

 

 

「そうね、ゼノヴィア…」

 

 

「ははは、いやぁ、自分の作った剣が褒められるのは嬉しいねぇ」

 

 

「ッ!?そこまでの聖剣を自分で創ったのか!?」

 

 

「そ。まぁ、創るのに大分苦労したけどさ。さて――」

 

 

ビュオッ!

 

「はい、後ろ取った♪」

 

 

「「な!?」」

 

 

ゴッ!

 

 

「ぐっ……」

 

 

「はっはっは、安心しろ。峰打ちだ。まぁ、けどコレは少し借りるよ」

 

 

「止めろ!!」

 

 

ゴウッ!

 

 

私の剣戟を避けた後、奴はイリナを手放した。奴の手には紐状の物が収められていた。アレは……

 

 

「はいはい、落ち着いてー。取り敢えず借りるだけだからさ。これを俺に貸しとくだけで、近い内にエクスカリバーは盗られた分は全部戻るからさ」

 

 

「信じられるか!」

 

 

奴は頬を指でポリポリ掻いて苦笑いを浮かべている。

 

 

「ですよねー………まぁ、けどそこを何とか――

おっとぉ、もう来ちゃったか………ゼノヴィアさん、紫藤さんを連れてここを離れなよ。面倒くさいのが来たからさ」

 

 

 

 

 

 

「ふんっ!面倒くさいのとは言うじゃないか?ガキが」

 

 

上空からした声に、視線を上げるとそこには5対10枚の黒い翼を広げた男が浮いていた。

 

 

「はぁ〜〜………今回の目的は違うのに、何でこうなるかなぁ?」

 

 

福山の方は相変わらず緊張感の欠片も感じられない。コイツ、堕天使の幹部を前にして何を平然と立っているんだ!

 

 

「堕天使コカビエル……」

 

 

「ん?そっちは聖剣使いの小娘か。ちょうどいい。そちらの聖剣も頂いておこうか」

 

 

キィィン……

 

 

コカビエルが手を上げると、そこには巨大な光の槍が出現した。あんな規模のものをいとも簡単に!?

 

 

「おーい、コカちゃん。コレなーんだ?」

 

 

「む?貴様、それはエクスカリバーの内の一本か?それをこちらに渡せ!」

 

 

ヒラヒラと、『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』を見せびらかす様に降る福山。何を考えているんだ、あの男は!?

 

 

 

「あのさぁ、何で今更聖剣なんか求めるかなぁ?いや、まぁ目的は何となく分かるんだけど、一応は言っといてくれない?」

 

 

「はっ、言うようになったじゃないか。いいだろう、お前には教えておこう。エクスカリバーを再び一本にするそうだ。その時の余剰のエネルギーでこの街を消滅させる」

 

 

「な!?」

 

 

ここを消滅させる?ここは、魔王の妹の――

………そういう事か。

 

 

「…………戦争が望みか?堕天使コカビエル」

 

 

「ほう、少しは頭が回るようだな。そうだ。再び三大勢力の戦争を引き起こす!聖剣を奪えばミカエルがやって来ると思ったが見当違いだった。そこで次は悪魔だ。

ここは魔王の妹が管理する街だ。ここを妹ごとなぎ払えば、あのお優しいサーぜクスの事だ。必ず仕掛けてくる!フハハハハハ、コレで戦争が再びやって来る!あの、混沌とした血肉沸き起こる戦争が!」

 

 

「く……戦闘狂め!」

 

 

 

(ちょいちょい、ゼノヴィアさん。今の内に紫藤さんを連れて逃げなよ。手負いの仲間を背負っては戦えないでしょ?それにこの事を色々と報告した方がいいんじゃない?)

 

 

「しかし!」

 

 

「おい、何を話している?」

 

 

「はっはっは、内緒だ」

 

 

ピキッ……

 

 

「貴様ぁ、よっぽど俺を怒らせたいらしいなぁ?」

 

 

再びコカビエルは手を上げると、今度は光の槍が複数出現した。

 

 

「死ねぇ!!」

 

 

一挙に大量の光の槍が私たちを襲った。

 

 

ドドド………

 

 

 

 

 

――side out

 

 

 

 

 

 

 

―― 一誠side

 

 

俺は皆が見えなくなった後、取り敢えずベンチに座って落ち着こうとしていた。

 

 

…………落ち着けるか!

 

 

 

「あー、待つって辛いなぁ。俺もどっちか行こうかなぁ?」

 

 

『まぁ、あの小娘達を少しは信じてやれ、相棒』

 

 

『そうだよ、君は前の世界でも仲間を信じて戦ってただろ?それと同じさ』

 

 

「う、う〜ん、確かにそうなんだけど……」

 

 

『ハハハハハ、落ち着かん貴様を見るのは面白いな』

 

 

『…………言ってやるな、クロノス。主は仲間が心配で仕方ないだけなのだから』

 

 

あー、本当に心配になってきたぁ。

 

 

『………主様、今すぐこの場を離れて下さい……』

 

 

テミスがいつになく真剣な声で語りかけてくる。

 

 

「そうした、テミス?」

 

 

『早く!説明は――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前、赤龍帝?」

 

 

…………俺の目の前には絶望が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつから居た?

容姿は黒のゴスロリ衣装を纏った10歳くらいの少女だ。

だが、直感的にヤバイ………

 

 

何なんだ、コイツは!本能的にコイツには勝てないと悟る……

何でだ?コイツの前に居るだけで、重圧で空気が重く感じる!?本能が逃げろ、逃げろ!と警鐘を鳴らしてくる。

 

 

だが、逃げ切れるイメージが出てこない。俺はそのままの体勢で臨戦態勢に入る。

 

 

当の少女本人は不思議そうに首を傾げている。

 

 

「お前、不思議。5匹もドラゴン宿してる。これ、初めて」

 

 

と、その時左手から宝玉が現れて、ドライグの声が響く。

 

 

『何の用だ?無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)、オーフィス』

 

 

オーフィス!?コイツが!?確か爺ちゃんから聞いた事がある。神でさえ勝て得ないかもしれない存在が居ると。その内の一つが、無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス。「無限」の体現者で、聖書の神も恐れたという存在……

 

 

「む、ドライグ、久しい」

 

 

「知り合いか、ドライグ?」

 

 

『一応な。安心しろ、相棒。こちらから何もしなければ襲う事は無い。比較的オーフィスは無害なドラゴンだからな』

 

 

そんな蜜蜂の対応みたいな事をしろと言われても………

規模が蜜蜂と無限の龍神じゃ、違いすぎるだろ!

 

 

ジーっと、コッチを見てくる、オーフィス。

 

 

「えっと、何かな?」

 

 

「我、話に来た。今のドライグ、珍しい」

 

 

「ん?そうなのか、ドライグ?」

 

 

『あー………違う。いや、違わなくは無いのかもしれないが……オーフィスよ、コイツの名は兵藤一誠。赤龍帝ではあるが、俺とは違う』

 

 

「一誠?」

 

 

「あー……イッセーでいいよ。皆もそう呼ぶしさ。で、何しに来たの?」

 

 

「?さっき言った。話に来た」

 

 

「何をだ?」

 

 

「………考えてなかった」

 

 

 

「『『『『…………………………………………』』』』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あー…………ドライグの言う通り無害だわ、コイツ。

 

 

「えっと、じゃあ………オーフィスは何で俺が珍しいと思ったんだ?」

 

 

「ドラゴン、5匹もその身に宿す。ありえない」

 

 

いきなり、ありえないとのお言葉を頂戴した………

 

 

「いや、でもほら、俺はこうして存在してる訳なんだし、ありえないって事は無いんじゃないか?」

 

 

「………そう」

 

 

………話し辛い。この子、全然表情が動かないからよく分からんな。

 

 

「はいはい!取り敢えず、辛気臭い話はやめやめ。ほら、少しくらい明るい話をしよう!

えっと、そうだな………オーフィスは何が好きなんだ?」

 

 

「真の静寂」

 

 

………うん、全く分からん。

 

 

「えっと、ほら食べ物とか……」

 

 

「食べ物?」

 

 

マジか。どうやって生きてるんだ、コイツ。

 

 

『何せ、「無限」の体現者だからな。食わずとも、活動できるエネルギーを無限に持っているんだろう。故に「無限」なのだろうな』

 

 

なるほどな。けど、食事を知らないのは結構損してると思う。

あ、そうだ。

 

 

俺は亜空間に手を突っ込んで、ある物を取り出した。

 

 

「それ、何?」

 

 

「これか?コレはドーナッツって言う、お菓子だよ」

 

 

そう、使い魔契約の報酬になっているのは俺の作ったおかしだ。それがこの前はたまたまドーナッツだった。丁度余っていたのを取っておいて良かった。因みに、使い魔である妖精さん達は市販の物は受け付けてくれない。今まで食べた中で、俺のが一番美味かったかららしく、愛が篭った物が良いと言い張るのだ。愛なんか込めてないんですがね………

とにかく、早速オーフィスは興味を持ってくれたようだ。穴が空くほどドーナッツを凝視している。

いや、ドーナッツだから既に穴は開いてるんですが。

………いや、シャレじゃなくて。

 

 

 

 

オーフィスに一つ手渡すと、ジッと見たまま固まった。

あ、アレ?

 

 

「えっと、食べないのか?」

 

 

「食べる?我、食べ方知らない」

 

 

ああ、そっか。今まで食事っていう概念自体無かったんじゃそうなるか。

 

俺はもう一つ亜空間からドーナッツを取り出した。

 

 

「ほら、こうやって食べるんだよ。はぐ……」

 

 

俺は一口ドーナッツを齧ると、オーフィスもそれを真似しだした。あっという間に、一つを平らげた。

 

 

「どうだ?美味いか?」

 

 

「美味い?美味いって何?」

 

 

「えーっと、ほら食べてみて、色んな味が合わさって、こう………うーん、嬉しい?ような、楽しい?様な感じってしないか?」

 

 

「よく分からない」

 

 

「そっか………」

 

 

龍神様には美味いという考えは無いようだ。

 

 

「………それ」

 

 

「ん?」

 

 

オーフィスは俺の食べかけのドーナッツを指差した。

アレ?

 

 

「………欲しいのか?」

 

 

そう言うと、オーフィスはコックリと頷いた。俺はそれを了承して、オーフィスにドーナッツをあげた。

 

 

すると、もう一個もあっという間に平らげた。

 

 

「我、美味いのは分からない。だが、今のもっと食べたい、と思った」

 

 

「あっ、それだ、オーフィス。美味いって感じたら、もっと欲しいって感じるんだ。それが美味いって事だ」

 

 

「これが………まだある?」

 

 

「おう、あるぞ!」

 

 

 

俺は取り敢えず、亜空間に収納してあるドーナッツを全て出した。一応は30個以上あるから足りると思んだけど……

 

 

だが、1分後。俺の期待は淡く砕かれた。

 

 

「………もうない?」

 

 

オーフィスがやや残念そうに聞いてくる。

…………何で今日はこうも俺が罪悪感を感じる日なんだろうか?

 

 

「ドーナッツはないけど、他のならあるぞ?」

 

 

「なら、それでいい」

 

 

俺は取り敢えず、亜空間のお菓子類を全て出して、オーフィスに与えた。

………龍神様は無限の胃袋でも持ってらっしゃるんですかね?

だって、おかしいだろ!重さにして、約5kgくらいはあったんだぞ!?それを、全部食い尽くしやがった………ものの10分で。

無限の龍神、恐るべし。

 

 

 

「はい、今ので最後な」

 

 

「そう……でも、少しいい気分。これ久しぶり」

 

 

「どうやら、少しは満足できたみたいだな」

 

 

「たまに、食べにきていい?」

 

 

「ああ、何時でも来い。あ、でも出来れば事前にいつ来るか分かった方がいいかな。作るの結構時間かかるし」

 

 

「……分かった。そうする」

 

 

 

オーフィスはそう言うと、姿を消した。

 

 

 

………世の中、不思議なもんがいるなぁ。

 

 

『相棒も大概だぞ?』

 

 

『そうだね。でも、あの子はただ純粋過ぎるだけだね』

 

 

『ああ。だがそれでも大きな力を持つが故に、特殊な環境には置かれていそうだがな』

 

 

『………だが、主にも驚きだ』

 

 

『そうですね。龍神と呼ばれる存在に餌付けをしたんですから、もしかしたら歴史に名が残るかもしれませんよ?』

 

 

ヤダよ、そんな不名誉な残り方。

 

 

 

 

その時、俺は自分の事に精一杯で他に注意を配るのを忘れていた。

無限の龍神が訪問してきたとはいえ、コレは失態だろうな。

 

 

なぜなら、所々服が破けたゼノヴィアが、気絶したイリナを担いで現れたんだから。

 




今回からオリキャラ登場です。

使う武器は聖剣。けど、多分今回の章では一本しか出ないと思います。『不知火』ですね。
能力も多分あまり出せないかなぁ・・・


そして、ここで登場、無限の龍神オーフィス。
まぁ、今回は餌付けして終わってましたが・・・


ではまた、次回をお楽しみに!
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