ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】 作:メラニン
さて、今回の話は木場のお話です。
では、どうぞ!
―― 一誠side
「何があった、ゼノヴィア!」
俺はゼノヴィアが抱えていたイリナを受け止めて、ゼノヴィアの傷の回復を始めた。
「すまない、兵藤一誠。ひとまず事情を話そう」
イリナをベンチに横にさせて俺はゼノヴィアの話を聞いた。
ゼノヴィアの話によると、福山翔という白衣姿の聖剣使いが現れて、イリナの聖剣を奪ったという。その時イリナは気絶させられたそうだ。
その直後コカビエルが現れて、戦闘になったそうだ。で、その福山という聖剣使いに逃がして貰ったらしい。そして、その戦闘中に携帯が壊れ、連絡を取れなかったということらしい。
「……まさか、黒歌が言っていたエクスカリバーよりも強い聖剣って……」
「ああ、多分アレの事だと思う。間近で見ると分かったが、聖剣を覆うオーラが私達のものより強かった。まぁ、コッチの話は今はいい。それよりも――」
「この街を消滅させる、か。確かに、今相手側は聖剣を三本は最低でも所有している。それを一本にした時のエネルギーを魔法陣なんかに組み込めば、それ相応の威力は発揮できそうだな。問題は――」
「ああ、そのエクスカリバーの統合を一体何処でやるのか、だ。街を丸ごと消滅させるんだ。その術式はそれなりに大規模な物になるだろう。かつ、この街の中心付近で発動させなければならない。そう考えると、場所は大体絞られてくる」
ゼノヴィアは持っていた地図を広げて俺もそこを覗き込む。そして、俺とゼノヴィアの声が重なった。
「「駒王学園……」」
何てこった。よりによって、俺たちの学校か。けど、確かにここは部長の通う学校でもある。悪魔側に喧嘩を売るなら打ってつけの場所だ。
「すまないが、イリナを保護できる場所はないだろうか?このままでは私も動けないからね」
「ああ、そうだな。峰打による脳震盪だけみたいだから、一先ず俺の家に避難させよう。母さんもイリナの事を知ってるから、治療してくれる筈だ。それに、俺もこの事を報告しないとな。流石にこれ以上は黙って事を進めるのは無理そうだし」
「そう、良い心掛けね、イッセー。ただ、こういう重要な事は事前に相談して欲しいわね」
………背筋が凍った。何故ならそこには、明らかにお怒りの部長、ミラ、朱乃さん、アーシアがいたからだ。
また、オーフィスとは違った恐怖なんですけど!?
よく見ると、その後ろにはショボンとなった、黒歌、小猫ちゃんの姿が。それに並ぶように、会長と副会長に、何故か真っ白になった匙がいた。
あちゃー、バレた。
「ごめんにゃん、イッセー。バレちった。あ、木場ちんはフリードを追い掛けてっちゃった。フリードの方は手負いだから大丈夫だと思うけど……」
「あー、そっか。まぁ、分かったよ。ありがとな、黒歌」
「で、イッセー?何か言う事って無いの?」
ミラが相変わらずの威圧感で、腕を組んで俺の前に仁王立ちする。俺は正座をして、その正面に。
「……再び勝手を働き申し訳ありませんでした」
「違うでしょ?」
「え?」
「何で、私も誘わなかったのか、って聞いてるの」
え、え〜〜………
「出来れば、コレは俺や木場、匙でカタをつけようと思ってたんだよ。その………この事件は下手を打ったらそのまま、何処かの勢力と戦争が勃発してもおかしくは無かったからな。それに巻き込みたくは無かった」
「本当にバカなの、アンタは!?」
ミラの大声にビクッと体が硬直する俺。
「今更な話でしょ!何で変な遠慮をするのよ!?心配してくれてるのは分かるけど、一緒に戦えなかった私の気持ちは考えた事ある!?」
「――ッ!?」
「心配なのはコッチも同じよ!もし、アンタに何かあったらこの『世界』で一体どう生きていけばいいのよ!?」
「………」
情けない事に、ミラに反論出来なかった。そう、エレンピオスやリーゼ・マクシアの時から一方的にミラを巻き込んだのは俺だ。勝手に別世界から救って、俺があの時手を放して、勝手に殺してしまった。
ミラの生をメチャクチャにしてるのは俺だった。
そういう意味では、俺はエクスカリバーと変わらないのかもな。あの聖剣は木場の生をメチャクチャにした。
「………話はそこまでよ。イッセーのお仕置きはまた今度にするとして、今はこの状況に対処しましょう。まずは紫藤イリナさんね。イリナさんは私の使い魔がイッセーの家まで送り届けるわ。イッセーはお母様に連絡をしておいてちょうだい。で、私達は事態の終息に努めましょう」
部長が指示を飛ばしつつ、イリナが家に転移させられた時だった。急に光の柱が立ち昇った。
あの方角は………
「………遅かったようね」
「私達の学園を戦場にするとは、遺憾ですね」
鋭い目つきで、光の柱が上がった方向を見つめる会長。
「この街を消滅なんかさせるものですか!行くわよ、皆!」
「「「「「はい、部長!」」」」」
「ほら、匙。私達も行きますよ。椿姫は他の眷属を呼び寄せておいて下さい」
「はい、会長」
「へ?あ、はいっ!了解です、会長!」
俺たちは全員駒王学園へと向かった。
――○●○――
俺たちは駒王学園の校門の前に集合していた。俺たちグレモリー眷属とシトリー眷属+αだ。
「では、頼みましたよ、リアス」
「ええ、分かってるわ、ソーナ。私達の学園だもの。私たちの手で守ってみせるわ。ソーナ達も結界の方は頼んだわよ」
「ええ、任せておいて下さい」
移動する際の話し合いの結果、木場を除いた俺たちグレモリー眷属+αが直接コカビエルを止める事になった。+αってのはミラと黒歌、ゼノヴィアの事だ。
木場も無事だといいんだけど。
「じゃあ、行くわよ、皆!敵は伝説級の相手よ。絶対に油断しないでちょうだい」
「「「「「はい、部長」」」」」
俺たちが学校の敷地に入った時点で、結界が張られた。
「さて、黒歌。聖剣は何処か分かるか?」
「んーとねぇ、アッチよ」
黒歌が指差す方はグランウンドがある方角だ。まぁ、確かに魔法陣を描くとしたらそこだよな。
「部長、俺が『
「ええ、そうね。それが一番現実的でしょう。作戦は至ってシンプルよ。イッセーの道を全員で切り拓く事。ゼノヴィアもそれで構わないかしら?」
「ああ、構わない。ここまで事態が大きくなってしまったんだ。利害が一致している以上、いがみ合ってはいられないからね」
そこで、俺たちはグラウンドに出た。
そこには、金色に光る魔法陣があり、その四方に4本のエクスカリバーが浮いていた。
さらにその奥には、宙に浮いた椅子に鎮座する5対10枚の黒い翼を持った堕天使が鎮座していた。
アレが………
「ご機嫌麗しゅう。グレモリーの姫君。その紅髪を見ると、あの忌々しい同じ髪色の魔王を思い出してしょうがない」
「初めまして、堕天使の幹部さん。一応は自己紹介をしておきましょうか。グレモリー家次期当主、リアス・グレモリーよ。早速で悪いのだけれど、私達の学園から出て行ってくれるかしら?」
部長は今までに無いくらい鋭い目付きでコカビエルを睨みつける。
当のコカビエルはさも愉快そうだ。
「ククク……いいぞ、それだ。その目だ。敵対心に満ちたその目。それらが交錯する戦場!戦争を再び始めようではないか!混沌渦巻く戦場を!」
……狂ってる。本来なら一番相手にしたくない部類だけど、今はそんな事を言ってる場合じゃない。
俺たちは揃って構えを取る。
俺は『
『Boost!』
「いい、皆?手筈通り頼むわよ?作戦スタートよ!」
俺たちは全員駆け出した。
「ははは、まずはコイツらの相手をして貰おうか、悪魔共」
コカビエルは手を挙げ、空間に穴を開けた。そこから数体の魔物が出てきた!
『グルルルル…………』
「ハッハッハ!俺の可愛いペットたちだ!」
出てきたのは、三ツ首の犬の魔物であるケルベロス、二首の魔犬オルトロス、頭がライオンで胴体が山羊、尻尾が蛇のキマイラだ。
それがそれぞれ3体ずつ。人数的に一人一匹以上を相手にしないといけないか。
「アーシアは下がりなさい!ミラはそのガードよ!それぞれ、各自が魔物と応戦!朱乃、行くわよ!」
「はい、部長!」
そう言うと、朱乃さんの服が一瞬で巫女服に変わった。アーシアは言われた通り、少し距離を取って、ミラはそれにくっ付く形だ。
「天雷よ!」
ガアァァァン!
オルトロスに直撃した。
『グルル……ゴアァァァ!』
「ち、一撃では仕留めきれませんか」
流石は地獄の魔物だな。雷撃一発くらいじゃ多少のダメージになる程度か。
なら!
『Boost!』
「部長、朱乃さん!使って下さい!」
『Transfer!』
俺は倍加の力を球状にして二人に譲渡した。
「ナイスよ、イッセー!朱乃、合わせなさい!」
「はい、部長!」
部長は魔法陣を上空に展開し、そこに朱乃さんが雷を叩き込む。
カッ……ガアァァァン!
『『『グオォォ………』』』
おお!一気に三体をノックダウンした。
「はぁっ!」
ズバッ!
『グォォ………』
ゼノヴィアもケルベロスを一頭倒したようだ。にしても、流石は魔の類に特攻を持った聖剣だな。
「………えい!」
ゴッ!
「はいはーい、白音、ナイスパス」
もう一方では、猫姉妹がキマイラを手玉に取っていた。小猫ちゃんが吹き飛ばした奴を黒歌が追撃しようとしている。
「ほいっと!」
ズン……
重い音と共に、黒歌の黒い気を纏った一撃がキマイラの横腹に入る。
グググ……
バンッ!
暫くすると、打撃を打ち込んだ場所が破裂して、鮮血と肉片が飛び散った!
『グォォ………』
「………姉様、今のは?」
「お、興味あるかにゃん?今のは乱回転する気を直接、相手の体の中にねじ込んだだけにゃん。そうすると、中からボンッ!って寸法にゃん」
うわぁ、エゲツない攻撃考えたな、アイツ。
「………悪趣味ですね」
「ちょ、白音!?対魔物用にゃん!人相手には使った事無いから、その目はやめて!」
「ちょっと!遊んでないで、コッチのも――」
『ゴォアァァァ!』
「うるさい!フレアボム!」
ボンッ!
『ゴアァァァ!』
ミラの方は、アーシアを背に守りつつ、オルトロスと応戦していた。フレアボムを繰り出すも、当のオルトロスにはあまりダメージが無いようだ。
「ああ、もう、出力が安定しない!ルド………イッセー、合わせなさい!」
「はいはい、分かったよ」
『Kresnik!』
俺はミラの元に一瞬で移動して構えを取る。
俺の両手にミラがレイジングサンの炎を纏わせて、俺が連撃を繰り出す!
「「スカーレットファング!」」
ドドドドド………ドンッ!
連撃後に小規模な爆発を伴って、オルトロスを吹き飛ばした。
うん、まぁ見様見真似だったけど上手くいった。
「じゃあ、アーシアを頼むぞ、ミラ」
「言われなくても、そうするわよ!」
「あ、あの、イッセーさん、怪我をしたら引いて下さい!私が治療しますから!」
「ああ、そうする!」
俺はコカビエルに駆けて行って、魔法陣に迫ろうとしたところで、俺は歩を止めた。いや、止められた!
ジャラ……
「ぐ、何だ、この鎖!?」
「はっはっはー、引っ掛かってくれてアリガト。初めまして、赤龍帝。自分は福山翔と言う者です。どうぞ、よろしく」
そう言って、話しかけて来たのはボサボサ頭の白衣姿の青年だ。歳は20前半くらいか?
さらに、俺の周りには、12人の翼が3対6枚生えた堕天使が、それぞれ一本ずつ剣を地面に刺し、その剣の柄の上に手を置いていた。その剣を刺した地面からはそれぞれ一本ずつ鎖が出現し、それが俺の体に巻き付いていた。堕天使一人一人の周りには光の膜が立ち昇っている。あれは、結界か?
異変に気付いたゼノヴィアが結界を斬ろうとしているが、一向にびくともしない。
さらに、足元には見たことのない魔法陣が……
いや、それよりも……
「力が抜けていく感じがするっしょ?まぁ、安心しなよ。調べ物が終わったら、解放してあげるからさ。にしても、ここまでしないと封じられないって、君も大概だねぇ。鎖に
そんな事を言いながら、俺の体に計器の様なものを付けていく。
ギンッ!
福山と名乗った、人物に急に斬りかかった人間がいた。ゼノヴィアだ。だが、それを何処からか出した大太刀で難なく防いだ。
「おいおい、不意打ちは酷いな、ゼノヴィアさん。あの場から、逃がしてあげたでしょ?」
バギンッ!
福山は大太刀を横に薙ぎ払い、ゼノヴィアを弾き飛ばして、ゼノヴィアは背中から地面に叩きつけられた!
「ぐ……ぅ……お前は…一体どっちの味方なんだ!?」
「うーん、この場は一応中立なんだけど――」
キィンッ!
「な、今のを防がれた!?」
「木場!?」
急に現れたのは木場だ!コイツ今までドコに……
「うーん、今日は君に用は無いんだよ。だから、アッチ行っててね」
ドンッ!
「ぐ……」
太刀を持ってない方の手で木場の腹部に掌底を当てて吹き飛ばした!
「ほらほら、それよりもいいの?アッチの聖剣は?コッチは赤龍帝クンを調べるだけだから、アッチへ行った方がいいんじゃない?」
「木場!俺は大丈夫だ!お前は町の消滅を防いでくれ!あのエクスカリバーと魔法陣がカギだ!」
「分かったよ、イッセー君!」
先ほどよりエクスカリバーの魔法陣からは膨大な光が出てきている。
ん?いつの間にか、魔法陣の側にフリードがいる。その横にはメガネを掛けて、司祭服に身を包んだ小太りの男が立っていた。まさか、アレが……
「ち、バルパー・ガリレイ……コッチの手が空いてれば、すぐに殺してやるのに」
「あんた、バルパー・ガリレイを知ってるのか?」
「ああ、すぐにでも殺したいよ。けど、君を調べるのが先なんだ」
「………本当にコカビエルの味方じゃないのか?」
「俺をあんな反逆者と一緒にしないでよ!そもそも、君を調べるのだって嫌々やってるんだからね!?はぁ、何でコッチの方が優先順位高いかなぁ?」
「なら、後で調べていいから、今は邪魔しないでくれ!」
「え〜……折角調べるチャンスなんだし、あと俺も君に興味が湧いたから、このまま調べちゃうよ。大丈夫、30分くらいで終わるから」
「長いわっ!」
「イッセーを離しなさい!」
ギャリィン!
消滅の魔力を手に纏いながら、突っ込んできたのは魔物を蹴散らし終わった部長だ。それで、太刀と鍔迫り合いをしている。いつの間に、あんな使い方を!?
「申し訳ない、グレモリーの姫君。しかし、今はあっちを優先した方がいいのでは?あと30分もしたら、解放しますから」
「信じられるものですか!今すぐイッセーを解放しなさい!」
「まぁ、ですよね……」
と、上空からコカビエルが話しかけてくる。
「貴様、俺の邪魔をする気か?」
「うん、そりゃモチロン。けど、それは後回し。アザゼルにコッチを優先するように言われてるからさ。エクスカリバーの方はこの子達が何とかしてくれるよ」
「ふん、舐められたものだな。アザゼルお抱えの異端児が」
鼻を鳴らして、不機嫌そうに言ってきたのはバルパーだ。
「うるせーよ、腐れジジィ。コッチが終わったらテメェだクズが。何年か前には打ち損じたが、今度はそうはいかねえからな。首洗って待ってろ」
「はっ、いくら貴様といえども、エクスカリバーを4本統合したモノには敵うまい。さぁ、いよいよ完成だ」
カッ!
眩い閃光と共に、魔法陣の中心には一本となったエクスカリバーが出現した。
「は……はははは…やったぞ!ついに、エクスカリバーを一本に!」
「バルパー、約束通り余剰のエネルギーは貰うぞ」
「ええ、私の目的は聖剣はですから、構いませんよ」
「フリード、その聖剣で悪魔共の首を刎ねていけ」
「はいな、ボス!」
一本に統合したエクスカリバーをフリードが手にした。
「さてさてぇ、誰から首チョンパしましょうかぁ?」
その前には木場が立ちはだかった。
「おんやぁ、まーた君ですかい、『
「悪いけど、相手をしてもらうよ、フリード・ゼルセン。僕は何としてもそのエクスカリバーを破壊しなくてはいけないんだ!」
二人ともが同時に斬りかかった!
ギィンッ!
「はっはー!なら、やってみろよ!俺様を退屈させた時が、お前の死ぬ瞬間だぁ!」
キン、キン、ギィン!
「あー……よろしくないね、あの『
「祐斗をバカにするつもり?」
未だに鍔迫り合いをする部長が話しかけてくる。
「いやいや、まさか。ただ、このままだと君のあの『
ドッ!
「きゃあ!」
さっきの木場同様に掌底で部長も吹き飛ばされた!側にアーシアとミラが駆け寄って治療を始めてくれる。朱乃さんがその前に立ちはだかる。小猫ちゃん、黒歌も同様だ。
「お前、部長に何すんだ!」
「おとなしくしておいて貰うだけさ。ほれ」
堕天使達が持ってるのと同じ剣を、部長たちの周りに投げつける。何か唱えたと思ったら、部長たちが結界に閉じ込められた!
「部長達に何をした!?」
「あの結界の中で大人しくして貰ってるだけだよ。これ以上邪魔してもらっても、めんどくさいし。ああ、心配しないで。ちゃんとコッチの声も聞こえるし、コッチの様子も分かる様になってる。あの結界はチョコっと力を吸ってあの子達を弱体化して閉じ込めてるだけだから」
「何が大丈夫なんだ!?」
「え、死なないから」
クソ!何で、力が入んないんだ!?
『12本の鎖が全て、龍殺しの特性を持ってやがる。コレが原因だろう』
『それだけじゃないよ。あの剣の中心にハマってる宝石。アレが、僕らの力を吸収してるんだ。それにあの宝石、何処かで見た事ないかい?』
宝石?確かに剣の中心には全て宝石がある。この力の感じは何処かで………
「まさか、ニ・アケリアの……」
「お、気付いたね。そう、アレは君が次元の狭間に消し飛ばした、超巨大魔核の一部さ」
「……何で、そんなのをお前が持ってる?いや、そもそもどうやって次元の狭間から見つけた?」
不可能なはずなんだ。次元の狭間は広大過ぎる。そこに俺はランダムで消し飛ばしたのに、それをピンポイントで捜し当てるなんて……
「まぁ、あの時は偶然にもあそこの調査をあるギルドに依頼しててね。その報告書に面白い記載があったからさ。そこから計算して飛ばした先を当てた。いやぁ、あそこのギルドの女の子優秀だわ。天才と言われるだけはあるよ」
「場所が分かっても、どうやって次元の狭間に行ったんだ!?」
「あー、それは俺の仲間に空間を斬ってくれる奴がいてさ。そいつに頼んだんだ。まぁ、代償求められて、結構疲れたけど。ったく、あのバトルマニアめ………」
バギャンッ!
「く……」
金属音の方に視線を向けると、魔剣を破壊されて、片膝を付く木場の姿があった。
「木場!クソッ、今すぐ外せ!」
「だから、もうチョイ待てってば。それに、あの剣はあの『騎士』君自身が超えなけりゃならない。じゃないと、意味が無い。だからこそ、俺はここで大人しく観戦してる訳だし」
「……アンタまさか木場が聖剣計画の被験者だと知ってるのか?」
「まぁね」
「ぐ………まだだ!僕は同士の仇であるその聖剣を破壊する迄は……!」
「あー、もうイイっすわ。飽きた。はい、ちゃらば!」
フリードが剣を振り上げる。しかし、それにバルパーが制止をかけた。
「待て、フリード」
「あ?んだよ、バルパーの爺さん」
「そのエクスカリバーへの憎悪。聖剣計画の被験者か?」
「……ああ、貴様が失敗と判断し、殺された被験者の一人さ」
「ふふふ、こんな極東の地で再会するとはな。運命を感じてならないよ。君達には感謝しているよ。お陰であの計画は成功したのだから」
「成功、した………?」
「ああ、そうだ。私は聖剣を扱うのに必要な因子があるのを発見した。そして、聖剣の因子のみを抜いて集める事で、聖剣に適正がない者でも聖剣を扱う事が出来る技術を生み出したのだ!」
「そのためだけに殺したのか!?僕の同士達を!」
「ふん、実験に犠牲は付き物だ。むしろ感謝して欲しいな。君達は今の聖剣研究の発展の礎になるという意義ある死を迎えられたのだからなぁ。それなのに、教会は私を追放した。だから教会に私の研究を認めさせる!そのための、エクスカリバーだ!」
「そんな事のために……バルパー・ガリレイッ……!お前だけはっ!」
「ふん、そんなに私が憎いのなら、同士に会わせてやる。ほれ」
バルパーは懐から、透き通るような青い色をした結晶体を木場の目の前に放った。
木場は震える手でそれを包むように持ち上げる。
「ま、まさか……これは……」
バルパーは口角を上げてニィと笑う。
「そうだ。他にもあったが既にフリードや他にも使ってしまった。まぁ、生き残ったのはフリードのみだったが。その青い結晶体が今のお前の同士の姿だ!何とも小さいな、お前の言う同士とやらは!ふははは!」
ガシャァッ!
「おいおい、落ち着きなって、赤龍帝。それ以上引っ張ると、鎖が肉に食い込んで出血するよ?」
「関係ない……!」
ああ、そうだ。関係ない!俺がどうなろうと、あのバルパーって奴だけはここでっ!
「皆……」
木場の目からは涙が滴り落ちた。その表情は哀しみとも怒りとも取れる複雑な表情だ。
カァッ!
「え、何々!?」
「こ、これは?オリジン、どうした!?」
いきなり、『
オリジン、これは何だ?
俺の意識下で話を始める。
『僕の神器としてのもう一つの力が発現したようだね。僕は元々あちらの世界で魂の循環を管理していただろ?』
ああ、確かにそうだな。
『魂とは連綿と続き、廻るものだよ。それを体現した力さ。つまり輪廻の中に介在する事が出来る力だよ。ただ、あまり人前では使わないようにね。今回は君の感情に反応して勝手に発動しちゃったけど』
なら、今すぐにこの鎖を無効化してくれ。
『残念ながら、今回はこの力だけが偶然にも発現しただけで、今はもうまた使えなくなってるよ。ごめんね』
ぐ、タイミング悪い……
木場の周りを回転していた光が徐々に形を持っていく。
それは、やがて人の形を取っていき、淡く光る十数人の少年少女の姿になった。
まさか、あの子たち全員が聖剣計画の被験者か?
「み、皆………すまない……僕はっ…………!」
木場は周囲の顔を確認するように、ポツポツと言葉を紡ぎ始めた。
「………僕はっ……僕だけが生き残ってしまった…!僕だけが平和な日々をっ……、僕だけが君達が望んでいた平和を享受してしまっていた!これでいいのかと何度も自問したっ!……君達の方が、僕よりも夢を持っていたっ!希望も!生きたいと願う意志も!……僕よりもたくさん持っていた筈なのに………なのにっ、僕が……」
『良かった――』
「な、何だ!?声が!?」
グラウンド中、いや多分結界の中全域に声が響いた。バルパーは困惑しているようだ。
部長達も聞こえているようで、表情には驚きが隠せないでいる。
『君は生きていてくれたんだね――』
『私達が得ることが出来なかった平和を――』
『居場所を手に入れることが出来ていたんだね――』
木場はより一層、涙を溢れさせて何かを言おうとするが、言葉が出てこないようだ。
『大丈夫だよ――』
『君は悪くなんてない――』
『私達はあなたが生きて――』
『幸せになってくれるのなら、それで満足――』
……俺もいつの間にか泣いていた。結界の方を見やると、アーシアも同様で、部長や朱乃さん、小猫ちゃんも涙目になっていた。ミラと黒歌は顔を伏せるか、逸らすかしいて様子は分からない。結界の外のゼノヴィアも神妙な面持ちになっている。けど、共通して言えるのは、全員があの声を聞いて心を揺さぶられているって事だ。
彼らは死してなお、木場の事を案じていた。木場も形は違ったがずっと、彼らの事を思っていた。
今、木場は彼らの本当の望みを知った。彼らが木場に望んだのは復讐ではなく、生きていて欲しい、幸せになって欲しいという、ささやかな願いだった。
何処にでもある、普通の願い。だが、それを許されなかった子供たち。ならせめて、仲間の一人だけは、とずっと願っていたのだろう。あの小さな結晶の中で。
何年も経っているのに、決して色褪せなかった思いと願い。それを思うと、涙が止まらない!
「皆……僕はっ……僕はっ……!」
『もう、自分を許してあげて――』
『僕らの事は忘れてもいい――』
『君が平和を手に入れる事が出来るのなら、それで――』
「そんな事……できるわけが無い!……生き残れたのは、君達のお陰なんだ!それを、忘れるなんて……!」
『なら、一緒に行こう――』
「……え?」
『確かに、僕らだけではダメだった――』
『けど、私達が集まれば――』
『大丈夫だよ――』
『神が居なくても――』
『神が見てなくても――』
『神が救ってくれなくても――』
『大丈夫だ――』
『だって、僕らの心は――』
「『『『『『『『『『『『一つだ――』』』』』』』』』』』」
パァッ……
その瞬間少年少女を形作っていた光が再び帯状の光になって木場を包んでいく。
そして、木場の周囲はまるで澄み切った青空のようなオーラに包まれた。
まさか――
『ああ、あの「騎士」は至った。神器は宿主の思いに反応する。あの「騎士」の思いは、相棒の力の手助けがあったとはいえ、輪廻に介在する程の思いだ。輪廻という巨大な世界の流れに抗うほどの思い。それが奴の禁手の引き金になったのだろう』
そして、木場からは膨大なオーラが溢れ出し始めた。
・・・今回あまり一誠の見せ場はないですね。拘束されてますし。
そして、一誠が飛ばした、魔核がここで登場。どこかで再利用できないかなぁ、と考えていたので、ここで再利用させていただきました。
対象の力を吸収するだけの能力です。一本一本は大したことないですね。
まぁ、それが今回は12本+龍殺し、だから封じることができました。
そして、『無と連環の腕輪』の能力ですが、こういう事に。後々、使うのでこうしました。能力名はつけるとしたら、「輪廻」ですかねぇ?
さて、ついに木場が覚醒です。
ではでは、乞うご期待!