ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】 作:メラニン
(つ、疲れた...)
少し長いと思いますが、是非最後までお付き合い下さい。
では、どうぞ!
―― 一誠side
どうも、兵藤一誠です。
神社の事件の後、父さんの会社の都合ということで、北欧に移り住んで2年が経ちました。
あの後急に、黒歌と白音が消えて、僕は「残ってでも探す!!」と言ったんだけど父さんに止められてしまった。
暫く塞ぎ込んでいたんだけど、今は立ち直って、毎日を過ごしてる。きっと黒歌と白音も何処かで元気にしていると信じてる。
そして、今は学校の夏休みを利用して北欧の片田舎に、家族皆で旅行に来てるんだ。
それにしても、学校ではビックリした。前に何度か遊んだことがある、紫藤イリナっていう子がいるんだけど、偶然にも同じようなタイミングで、こちらに引っ越して来てたんだ。
同じ学校ということでも、ビックリしたけど何より、女の子ということにもビックリした。だって日本にいたときは、いつも男の子のような恰好をして泥だらけになりながら遊んでたんだからっ!
だからこそ、制服でスカートを穿いていたイリナについ、「あれっ!? イリナって、女の子だったの!?」って言ってしまい、散々叩かれた。
うぅ…あれはトラウマになるよ。二度と女の子を怒らせないように気を付けようと決意した。
で、今はまだ朝靄のかかった森の中。いつものように、父さんに鍛錬して貰っていた。
ガッ、ゴッ、バキャ!
『Boost!』
「よしっ!解放だ」
『Explosion!』
そうして、父さんに最速の一撃を放つ。
ガッッッ!
「ほう、以前よりかなり力が上がったな。イッセー。 だが、まだだっ!」
ゴッ!
「ッ!!」
何とか、父さんの一撃をガードしたけど、力を受け止めきれず遥か後方へ吹き飛ばされて、木にぶつかってようやく止まった。
『Reset!』
「カウンターにも、対応できるようになって来たようだな。 では、次に移るぞ」
そう言いながら、父さんが近づいてくる。
「はっ、はっ、………ふぅ~。 うん、分かった」
パンパンと、付いた土を払いながら頷いた。
僕は、『赤龍帝の籠手』を一度消して、手を前に掲げた。手が光り始め、黒を基調とした、グレーが少し混じり、鮮やかな黄色いラインが刻まれた槍が出現した。先端の方には宝玉がはまっている。
『
僕に宿っている、5つの神滅具の内の一つだ。この2年で一通り、5つ全部の神滅具を発動できるようにはなったんだけど…
「さて分かっていると思うが、目の前の空間に穴を空けるようにイメージしろ」
「むむむ…」
集中力を高めて、父さんに言われた通りにイメージしてみる。
ズズズ…
すると、目の前の空間が歪み始めて、ぽっかりと暗い穴が開いた。
「やった! …あっ」
一度、安心して集中力を切らしてしまった。その瞬間せっかく開いた穴が閉じてしまった。むぅ……難しい。
そう、実はまだ自在に使いこなせていないんだ。
「やはり槍術の方は問題なくとも、こちらの方はまだ扱いきることはできないようだな」
そうなんだ。父さんが言うように、なぜか色々な武器は使うことができるんだ。槍はもちろん、兄さんの戦い方も鍛錬中にふざけて真似てみたら意外とできてしまった。まるで、体が覚えているようなんだ。…今まで使った記憶はないんだけどな。
クロノスが言うには『当たり前だ。なぜそういった事ができるのかは、まだ話さんがな』ということらしい。
ドライグにも、クロノスたちに秘密を話してくれるように、交渉を頼んでいるんだけど、よく最終的には僕の中で争ってしまう。君たち、ホント僕の中で暴れるのだけはやめてよ。僕の精神にも少しダメージがあるんだから…
「もう一度、手本を見せる。よく見ておけ」
そう言うと、父さんの手に手の甲から、腕を覆うように赤と黒が混じった、装甲が現れた。そうすると、さっき僕の開いた穴より、何倍もある大きさのものを瞬時に作ってしまった。
いや、これを手本と言われてもっ!?
―――父さんの神滅具、『
僕も、父さん、兄さんも3人とも『
恐らく、力の塊であるドラゴン、それも二天龍の片割れのドライグが共に居たからではないか?と推測していた。ただドライグには悪いんだけど、最近その凄い力を持った二天龍だということを、忘れてしまうんだ。
なぜかと言うと…
「さぁ、もう一度だ。イッセー」
すると、手の甲に緑色の宝玉が現れてドライグが抗議する。
『いや刃紅よ、一度休息だ。もう、30分も貴様との打ち合いをしたのだぞ。その後に、「空間」の力を使うには精神力も体力も少ない。ペースを考えろ、貴様は脳みそまで筋肉で出来ているのか?』
「黙れ、アホドラゴン。今鍛えておかなければ、力が暴走した際イッセーは耐えきれんだろう。ドラゴン如きが口を挟むな。この赤トカゲめ」
『鍛えるのはいい。ペースを考えろと言ったのだ。耳まで使えんのか、筋肉ダルマ』
「「『………………』」」
そう、よく鍛錬中にこんな感じで、父さんとドライグは言い争うんだ。もう、これで何回目なのか…
すると、僕の中から声がする。
『ハッハッハッハッ、あのビズ…いや、刃紅がここまで親馬鹿になっているのは面白い!あの時は、「あの数だけ……この拳でお前たちをッ!」などと憎しみの籠った言葉を言っていたのにな!』
『そうだね、やはり人は変わることができるんだよ、クロノス。人間の可能性というのは、面白いだろう?』
いやっ、達観したようなこと言ってないで、助けてよっ!
『まぁ、主様。ドライグも刃紅さんも主様のことが大切なのです。少しくらいの言い争いは、許してあげても良いではないですか。ねぇ、レディオン?』
『…あぁ、俺もテミスの言う通りだと思うぞ、主』
それぞれ、鏡の鱗を持ったドラゴン、テミスと黒いドラゴンのレディオンが言ってきた。
彼らの神滅具を発動できるようになった後に、『『名前が欲しい(です)』』と、言ってきたので、僕が名付けてあげたんだ。クロノスが言うには、元々僕から生まれたドラゴンだと言っていたからね。
…というか結局この空気なんともできてないじゃんっ!何とかしてよ、この空気!
『無理だよ』
『無理だな』
『無理ですね』
『…無理』
あぁぁぁぁぁっ!もう、なんでこうなるかな! というか、オリジン達絶対この状況楽しんでるよね!?
「ほっほっほ、やっとるようじゃな。」
木立の向こうから、ローブを纏い眼帯をした老人が歩いてきた。
「オーディンのお爺ちゃん!」
僕は、突如現れたその人に飛びついた。
「おぉ、一誠よ。頑張っているようじゃな。今日は何処へ行こうかの~?」
そう言いながら、ヒョイと僕を抱き上げた。
何でも、この人は神様らしい。昔、父さんが仕事で知り合ったのだとか。母さんは元々、このお爺ちゃんに仕えてたみたいで、父さんともその時知り合ったんだと教えてくれた。うーん、あまり神様って感じはしないんだけどね。
母さんは最強のヴァルキリーと言われた人の弟子だったらしく、その人さえも超えて、歴代最強のヴァルキリーとして君臨していたそうだ。ただ、父さんと出会ってすぐにヴァルキリーを辞めてしまったそうだから、ヴァルキリー歴はそんなに長くなかったらしい。
「オーディン殿、まだ鍛錬は終わっていません。もう暫く、待っていただきたいのですが?」
「そうは言ってものぅ、儂も一誠とは遊びたいのじゃ。 にしてもお主相変わらず固いの~。そんなことでは、早く老けるぞい。それにの、お主の奥方が―――」
「刃紅? ドラちゃん? またですか?」
一瞬父さんが、体を硬直させた。それも、その筈。お爺ちゃんの後ろから、怒りのオーラを纏った、母さんが現れたんだから。
「今日は、確かクロちゃんの神滅具の鍛錬だと言っていましたよね? なのに何で、ドラちゃんの『
父さんは少し狼狽した様子だ。
「い、いや、やはり
「体力が必要なのは、分かります。ですが、最後にイッちゃんを木に叩きつけるくらい弾き飛ばさなくても、いいでしょう! それに、さっきのドラちゃんとの言い争いを聞いてましたが、30分も『赤龍帝の籠手』を使わせたんですか!?
負担が大きいから、最長でも20分までと、決めませんでしたか!?」
「っぐ!?」
『そうか、俺はもうドラちゃんで決定なのか… 二天龍と恐れられた俺が…』
あ、あれ? ドライグ?
「それにクロちゃん! 刃紅や、ドラちゃんの暴走を止めるようにタイムキーパーの役割をお願いしたはずです!!」
すると、宝玉から別の声がする。
『た、確かに、そう言われたが我はタイマーではないのだぞ。それに我は、クロちゃんなどではなく、クロノ――』
「時計の形をしてるんだから、そのくらいはして下さい!それに――」
そこから、10分くらい母さんが、父さんと僕の中のドラゴンたちに説教を始めた。僕は苦笑しているお爺ちゃんの膝に座りながら母さんの説教を聞いていた。
そんなことをしていると…
「オーディン様、また勝手に居なくならないで下さい!」
「はっはー、この状況を見ると、親父とドライグがまたやったな」
僕は、お爺ちゃんの膝に座ったまま、声のした方に顔を向けた。
「おはよう!兄さん、ロス姉ちゃん」
現れたのは兄さんと、ヴァルキリー見習いのロスヴァイセお姉ちゃんだった。
「おはよう、イッセー」
「おはよう、イッセー君。おばさまも、おはようございます。あの…おじさまは何で正座なんですか…?」
状況を説明した後、皆で戻って朝食をとった。
――その日は、町のやや外れにある遊園地に出かけて遊ぶことになった。
ただ、父さんが仕事で来れないと言って、それに兄さんも付いて行ってしまった。何でも、兄さんは仕事の見学をしたいらしい。
それで、僕と母さん、ロス姉ちゃんと、オーディンのお爺ちゃんとで遊園地に来ていたんだけど…
「……迷った」
今日は夏休みの上に、日曜日だ。当然お客さんが多いわけで、ロス姉ちゃんに手を離さないように言われていたんだけど…
『まぁ、そのうち相棒の母殿が見つけてくれるだろう。今は入れ違いにならないように、ジッとしているのが一番ではないか?』
たしかにそうだね。ならその辺のベンチにでも――
ドンッ!
いきなり、ダークカラーの強い銀髪の少女にぶつかった。
「ご、ごめんなさい!」
そう言って、駆け出した。
「待てコラー!」「逃がすな!」
と言って、やや柄の悪そうな男たちが少女を追っていく。
それを見た僕は同時に走り出した。
『またか、相棒。何度も言うが――』
無茶はするな、でしょ。分かってるよ。
そう言って男たちを追いかけた。
――side out
―――ロスヴァイセside
初めまして。私はヴァルキリー見習いをやっている、ロスヴァイセといいます。
今日は北欧の主神であるオーディン様に、お祖母ちゃんの代わりに付添として、数人で遊園地にやって来ているのですが…
「イッちゃぁぁぁん! どこぉぉぉぉ!?」
「一誠ぃぃぃぃぃぃ! 爺ちゃんはここじゃぞぉぉぉぉ!」
…人目もはばからず、歴代最強と謳われた元ヴァルキリーと、北欧の主神が絶叫しておりました。あぁ、周りの視線が痛いです。
事の発端は、私より2つ年下の兵藤一誠君が迷子になってしまったからです。離れないように私と手を繋いでたのですが、人波に飲まれた際に逸れてしまいました。私にも非があるのですが、それにしてもこのお二人の行動は少し…
「お二人とも、落ち着いてください。今係りの人に行ってきましたから、多分すぐに――」
「むっ、これが落ち着いていられるか、ロスヴァイセよ!一誠が…一誠が迷子になってしまったんじゃぞぉぉぉ!!?」
お願いですから、そんな事をまた絶叫しないで下さい。何という爺馬鹿ぶりなんでしょう。他のアースガルズの方々が知ったら何と言うか…
おばさまの方も、あたふたして落ち着かない様子です。
「というより、おばさまは魔術でイッセー君を探せないのですか?」
「「それよっ(じゃ)!!」」
あれだけ、絶叫していたのに問題はあっさり解決してしまいました。そうするとおばさまは、一般人に見えないように魔法陣を展開し、探知を始めました。すぐにイッセー君を探し当てて、そちらの方に歩いて行きました。
ピンポンパンポーン
『迷子のお知らせを――』
…係りの方、遅いです。もう、問題は解決してしまいました。すいません……
―――side out
―― 一誠side
男たちを追っていると、人気のない所まで来てしまった。すると、女の子は行き止まりに追い詰められていた。
「ちっ、散々逃げ回りやがって。だが鬼ごっこもこれで終わりだ。」
「お前を捕まえて、奴らの交渉材料にしてくれる。現魔王は甘いからな、末裔であるお前を道具にすれば――」
そう言って、男が彼女に手を伸ばす。
「い、いゃ…」
『Boost!』
「やめろぉぉぉ!」
ゴッ!
『赤龍帝の籠手』を発動させると同時に、一人に殴りかかった。もう一人ににも殴りかかろうとしたが、寸でのところで避けられた。
「っ!?この力は… ガキ、お前何者だ!?」
「うるさいっ! こんな小さな子に大人二人で襲い掛かるオジサンたちに何か、名乗るものか!」
『Boost!』
そうすると、男がもう片方を足で蹴りながら
「おい起きろ、大丈夫か? 早く始末するぞ」
「うっ、ああ。不意打ちには驚いたが… 問題ない」
そう言って、いきなり二人は蝙蝠のような翼を展開した。
アレは…
『Boost!』
「まさか、悪魔か!?」
ドライグから、聞いてはいたけど実際に会うなんて…
「ほうガキ、俺たちが悪魔だと分かるのか? さっきの力といい、惜しいが目的のためだ。片付けさせてもらう!!」
放たれた、魔力弾を弾いて僕も力を展開する。
「悪魔なら、手加減しないでいいよね。レディオン!!」
『…応!』
そして、僕はもう一つの神滅具である、『
「な、何だその槍は?」
『Boost!』
「やぁぁぁ!」
槍で二人を切り付けつつ、倍加の力を溜める。
『Boost!』
「ドライグッ、レディオンに力の譲渡だ!」
『応!!』
『Transfer!』
カッ!
槍の宝玉が輝いた。
「いくよっ、レディオン!!」
『…ああ!』
『Saber!』
思いっきり槍を横なぎにした瞬間、巨大な空間の裂け目が発生し、悪魔二人はその裂け目に吸い込まれていった。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
暫く肩で息をしていると、少女が寄ってきて顔を覗き込んだ。
「大丈夫?」
「はぁ… ふぅ~、うん大丈夫だよ。君も大丈夫だった? あっ、僕の名前は兵藤一誠って言うんだ。 皆からはイッセーって呼ばれてる」
「君が守ってくれたから、大丈夫だよ。私はヴァ―リ・ルシ…… ううん、ヴァ―リ。 守ってくれてありがとう……」
「そっか、よろしくヴァ―リ」
そう言って、手を差し出すと顔を赤くしながら、握手に答えてくれた。
…何で、顔が赤いんだろう?
と考えていると、いきなり声がした。
「お嬢様っ!ご無事ですか!?申し訳ございません!私が目を離したすきに斯様な狼藉者の接近を許してしまい……」
見るとそこには、紺のスーツに身を包み、髪を後ろで纏めた老人がいた。
「ううん、大丈夫だよ、ローエン。この子が……イッセーが守ってくれたから」
…ローエン? 名前に聞き覚えがある。それにこの人何処かで…
「作用ですか。私の方からもお礼をさせて頂きます。お嬢様を守っていただき、ありがとうございました。申し遅れました、私はヴァ―リお嬢様の執事をさせて頂いております、ローエン・J・イルベルトと申します」
「………はっ!?よ、よろしくね、ローエンさん!」
まずい、暫くボーっとしてた。
「ローエンでよろしいですよ。それよりも、お嬢様お時間です。行きましょう」
「えぇ、分かったわローエン。…イッセー、また会いましょう。その約束と、今日のお礼よ………ん!」
そう言って、僕の頬にキスをしてきた…………………
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
「ふふっ、じゃあね♪」
そう言って、顔を赤らめながら走って行った。僕はしばらく頬をさすっていた。
「ほっほっほ、お嬢様もやりますな。しかし――」
って、何だかローエンが笑いながら、プレッシャーを放ってくる!?
「私から、お嬢様を連れて行くときは、私を倒してからにして下さい…
では、失礼します」
そう言って、二人が居なくなった後に暫くボーっとしていた。
それから暫くは放心状態でいたけど、すぐに母さんたちがやって来た。
「イッちゃん、見失ちゃってゴメンねぇぇぇ…」
泣きながら、僕を抱きしめてきた。それにお爺ちゃんや、ロス姉ちゃんもやって来た。
この日起こった出来事は、胸の中にしまっておこう。と、思う僕だった。
―――そして、それから9年の月日が経った。
はい、いかがでしたでしょうか?
ようやく、序章が完結しました。神滅具は新しく一つしか出せませんでしたね。
さて、話の中で出てきた『賢者』の名前を冠する神滅具について。お気づきの方もいると思いますが、骸殻です。
それぞれのオリジナルのドラゴンの名前も登場させました。
黒いの(骸殻)がレディオン、鏡のやつが、テミスですね。一誠の中にいる内で、テミスのみ女性のドラゴンです。テミスの能力についてはまたいずれ。
それに、母親のコーネリアの方は、こういう設定にしました。強いですね、この母...
あと、ヴァ―リは性格どころか、性別を逆にしてみました。こっちのが面白そうだし
そして、いよいよ次回から、本編スタート!!
乞うご期待!
P.S ミラの登場を心待ちにして下さっている方々......大変申し訳ございません。登場はまだ、大分先になると思います。本当にすみません!