ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】 作:メラニン
あとは、一誠にとっては悪夢な公開授業ですね。
ついでに、競泳対決はどうなったのか!?
などなどの内容です。
では、どうぞ!
―― 一誠side
「ぷはっ!せ、先輩、少し速いです」
「そうか?じゃあ、もう少しペースを落とそう。ほら、背筋伸ばして!腕も!」
「い、一遍には……」
「大丈夫。絶対に離さないから!」
「ぜ、絶対ですよ!」
「ああ。ほら、もう一度、顔を水につける所から。せーの」
「は、はい!すぅーー………」
「小猫ちゃん、頑張ってください!あともう少しですよ!」
俺は今、小猫ちゃんの泳ぎの訓練に付き合っている。まぁ、猫なんだしカナヅチってのは頷ける。でも、泳げる猫も居るよな…
アーシアはそんな俺たちを見て、横のプールサイドを歩きながら応援してくれている。
木場は隣のレーンで平行に泳ぐようにして、フォームの確認をしてもらっている。けど、ヤッパリ水の中だと抵抗が大きいな。そうだ、ウチにもプールがあるんだし、今度はそこを利用して特訓するか。
「よし、段々良くなってきたぞ」
「は、はい、ありがとうご――わぷ」
「ごほっ!」
いつの間にか、端に着いてしまっていたようで、勢い余って俺の腕の中に小猫ちゃんが突っ込んできた。
前と後ろからの衝撃の挟み撃ちでつい、咳き込んでしまった。
「ごほっ、…………大丈夫か、小猫ちゃん?」
「は、はい………その………先輩、すいません。私の泳ぎの練習に付き合わせてしまって」
「いや、いいって。それより、結構強くぶつかったけど、大丈夫だった?」
「は、はい……大丈夫でした……」
それだけ言うと、小猫ちゃんは顔を俯かせるようにして、縮こまってしまった。
(先輩の腕の中、先輩の腕の中、先輩の腕の中、先輩の腕の中、先輩の腕の中、先輩の……)
「こ、小猫ちゃん!次は私ですっ!代わってください!」
「……まだ泳げるように、なって無いのでダメです」
「むぅ~~……」
小猫ちゃんは、がっしり両手両足で俺に抱き着いてきていて、離れそうにない。ってか、『
そして、後ろではアーシアが頬をプクッと膨らませて、ご機嫌斜めなようである。はぁ、しょうがない。
「そうだな。二人とも泳げるようにしなくちゃならないから、一往復するたびに交代するっていうのはどうだ?」
「……分かりました。では、次はアーシア先輩です」
「よし、話はまとまったみたいだな。じゃあ、おいで、アーシア」
「は、はい!」
そこで、小猫ちゃんは一度上がって、アーシアと交代になった。
うん、平和、平和。平和が一番。
ボオォォン!
「「「「…………」」」」
……本日何度目の爆発か……
プールをコッチ側は2レーン、それ以外を部長たちの競泳用のスペースとして分けた。
分けた理由は、今みたいな事がなんとなく予想できたからだ。はぁ……
「ちょっと!何よ、今の!?魔力でアンカー作って、向こう側まで自分を引っ張るって何!?しっかり泳ぎなさいよ!」
「だったら、そっちも水流を作るのはやめなさい!それに、水面を歩くのもよ!あと、朱乃と黒歌!氷を足場にして走るって、もうそれは競泳ではないわ!ゼノヴィアもデュランダルでプールの水を割るのはやめなさい!」
「あらあら、では部長の今の行動もそうですわ」
「そうそう。第一、それを禁止するルールは無いんだし、プールの上で競ってるから、フォームが違うだけで競泳にゃん!」
「ふむ、私としては恐れ多いが、聖モーセの真似をして勝利したかったが、ダメなのか」
こんな感じで、さっきから勝負が何回もやり直しになってるんだ。
部長は、この間のように消滅の魔力の性質を若干だが、コントロールできるようになったらしい。それを利用して魔力で具現化したアンカーを手からゴールまで射出し、後はエレベーターと同じ原理だ。(ただし高速)
ミラの方は『
朱乃さんは、ミラの水流を受けて、氷の上なら関係ないという事で、プールの水面を氷結させて、そこをひたすらダッシュ。黒歌もこのパターン。
ゼノヴィアに関しては、デュランダルを召喚して自分の走るレーンを一刀両断して、これまたダッシュ。プール割った時はすごかった。まさしく、モーセと同じことしてると思った。悪魔だけど。
因みに、破天荒な行動をとり始めたのは、黒歌が一番最初だ。まぁ、そうでしょうよ。
……とにかく、ちゃんと泳げ。お前ら。
「はは……イッセー君の言う通り、きっちり分けておいて良かったね。あれだと、僕らも巻き込まれてたかも」
「ああ、だろ?それにしても、競泳ひとつであんなになるなんてな……」
まぁ、あそこに居る方々全員負けず嫌いだからなぁ。そこから、こうなる事は予想できた。
「いや、彼女たちは競泳でああなっているんじゃなくてね?」
「え?違うのか?」
「……本当に皆苦労しているんだね」
「おい、今度こそバカにしてるだろ?」
「いや、してないよ」
「まったく……何だよ、一体。なぁ、アーシア、小猫ちゃん?――ん?二人とも?何でそんなジト目で俺を見るの?」
「……し、知りません!フンッ、ですっ!」
「……アーシア先輩に同意です」
「え、えぇ~~……」
釈然としない……
「ま、まぁ、取り敢えず、コッチはコッチで練習しよう!」
うーん、何か間違えたか?
それから、休憩を入れつつ日が傾き始めるまで練習は続き、部長たちの競泳(?)対決も続いた。
流石に結構疲れたが、その甲斐あってか、小猫ちゃんとアーシアは無事に泳げるようにはなった。
部長たちの対決は、それからも相次ぐ破天荒な行動によりノーコンテスト。それよりも、それぞれの無茶な行動によるプールの破損個所の修繕が大変だった。折角掃除したのに……
修繕には俺の『
クロノスも
『こんな事に、我の力を使うとは……』
って、嘆いてたな。最近、こんな感じにばっかしかクロノスの力は使ってないからなぁ。
そして、いよいよ明日は俺にとって多分悪夢になるであろう日だ。
切実に嫌だ!
なぁ、クロノス?何とか、世界の時間を元に戻すとかできない?
『……貴様、我の力をまたしても無駄遣いする気か?』
あー、声に怒気が入ってる。無理だな、コレは……
――○●○――
そして、虚しくもその日の夜が明けた。
俺はサーゼクス様には、家族とできるだけ一緒に居たい、と言った。言ったけど、とにかく今日だけは家族と顔を合わせたくなくて、かなり早く家を出た。因みに、朝4時くらいに家を出て、軽く体を動かして時間を潰しつつ、現在朝6時。しょうがないので、家からは離れた公園のベンチに座っていた。
ただ、木場のトレーニングに付き合うのを早速すっぽかしてしまった。
木場を含めて皆には後日謝ろう。
けど、こうしないと俺は今日平静を保てないと思うんだ。
『相棒……そこまで、精神を蝕まれていたのか。ならば、俺が刃紅を殺――抑えておいてもいいんだぞ?』
おい今、殺すって言おうとしたよな?いくら、父さんと仲が悪くてもやめてくれ。
『大丈夫ですよ、主様。どうせ、ドライグは具現化できませんから。ドライグも父親振るのをやめればいいのに』
『何おう!?貴様は母親振っているではないか!』
『私は、コーネリアさんを殺そうとはしませんから。あなたと一緒にしないで下さい。それに元々、私が一番主様との付き合いは長いのですからね。身の程を弁えてください』
『……俺は二番目だ』
『我とオリジンは同着だな』
『そうだね。テミスは、元々イッセーの前世の頃の能力。レディオンは骸殻。そして、前世で最後に一緒になったのは僕とクロノス。という事は、ドライグが一番最後だから、後輩にあたるのかな?』
『う、うおおぉぉ!それでも、この世界で一番に発現したのは俺だ!そこは譲らんぞ!貴様らが目覚めるまで、相棒と共に歩んできたのは、俺なのだぁぁ!』
うん、ドライグには本当に感謝してるんだけど、今のセリフは噛ませ犬っぽかったよ?いや、ドラゴンだから噛ませ龍?
『う、うおぉぉぉん!』
あ、ドライグが精神の奥に潜った。
いじめすぎたかな?けど、これが今の二天龍の姿ってのはなぁ。
それから、何とかドライグの機嫌を直そうと、四苦八苦している所にそいつは現れた。
「はぁ~~……にしても、早く出過ぎたよなぁ。登校まではまだあるし、どうやって時間潰そう?」
「なら、私と話さない?」
俺の目の前には、いつの間にかヴァーリが立っていた。唐突過ぎる。まさしく神出鬼没。なんか最近いつの間にか、傍に立たれてたりする事が多い気がする。疲れてんのかな?
夏なんだし、海とかで思いっきり羽を伸ばしたい気分だ。
まぁ、それはさておき。この前の事があった手前、当然俺はヴァーリを警戒する。
「そんなに、警戒しないで欲しいわ。大丈夫、今日は戦うつもりで来たんじゃないから」
「『今日は』、ね……いずれは戦うつもりか?」
「まぁね」
そう言うと、ヴァーリは隣に座ってきた。
「戦い戦いばっかり言うとローエンは怒るけど。
でも、折角10年振りに再会できたんだから、話をしたいって方が大きいかな?」
「そっか、10年振りか……
まぁ、何もして来ないなら、話すくらい問題ないけどさ。けど、この前みたいな事はやめてくれよ?」
「この前みたいなの事?
あ、キスの事?いいじゃない、別に」
「軽っ!ダメだって。あの後大変だったんだから」
「大変?何かあったの?」
「………皆に追い掛け回されて、尋問された」
「大変なら、私の所に来ない?」
「ヴァーリの?けど、それって『
「私は『
「ヴァーリの?
……うーん、遠慮するよ。確かに大変だったりする事もあるけど、俺は今の居場所が結構気に入ってる」
「あーあ、残念。じゃあ、勧誘はここまでにして、色々と話しましょ?」
「ああ、そうだな。そう言えば、ローエンはどうしてるんだ?」
『ルドガー・ウィル・クルスニク』として知っているローエンとは、別人と理解はしていても大分気になる。何せ、向こうの世界と名前や容姿が全く同じなんだから。そんな人物の動向が気にならない訳がない。
「ローエン?未だに、執事として私に仕えてくれてるわ」
「ローエンがヴァーリに仕え始めたのって、いつからなんだ?」
「そうね……確か、私が物心付いて少し経ってから、だったかしら?だから大体、12、3年くらい仕えてくれてる事になるわね」
「へぇ、意外と長いんだな」
「ええ。いつも、私の助けになってくれるわ。けど、最近は弟子が出来て、そっちの教育に忙しいみたい」
「ローエンに弟子!?い、いや、あり得ない話でもないのか……」
確かに向こうの世界のローエンは、分史世界とはいえ、俺の『娘』に当たるエルや、一緒に戦ったエリーゼ、レイアなんかにも結構色々と教授していた。
それが、コッチの世界でもそうだとするなら頷けない事もない。
でも、教育は何だか厳しいものになっているような気がする。
「じゃあ、次はイッセーについて聞かせて。あの女の子たちとはどういう関係?イッセーって、もしかしてあの中の子の誰かと付き合ってたりするの?」
「へ!?い、いやいやいやいやいやいやいや!!付き合ってなんかないよ!皆同じ眷属の仲間なだけだよ!」
「本当?」
「本当だって!
そ、そうだ、ヴァーリはこの10年何やってたんだ?それに、聞けてなかったけど、あの時は何で悪魔に追われてたんだ?」
不自然極まりないが、俺は無理矢理に話題を変えた。
実際、あの時ヴァーリのことを追いかけていた悪魔が魔王がどうのこうの言ってたのは何となく覚えているし、気になる。
「そうね、後者については出来れば言いたくは無いかな」
「あー……、そっか。ごめん、不注意だった」
「いいわ、別に。それで、この10年何をやってたか、だっけ?
ひたすら、強い連中と戦ってたわ」
「え、えぇ~~……」
「女の子らしく無いと思った?でも、イッセーが助けてくれた後、直ぐに白龍皇の力が目覚めてね。で、イッセーの使っていた力の一つが、『赤龍帝の籠手』って分かった。それで、あなたの強さに少しでも近付きたくて、そんな事を繰り返してたわ。
あぁ、安心して。相手を殺すのは、あまりやってないわ」
「あまり、って……殺した事はあるのかよ…」
「まぁ、よっぽど気に食わない奴はね。あ、イッセーは戦うにしても大丈夫よ。殺したりなんかしない。二天龍の宿命なんか知った事じゃないもの。でも、もし私が勝ったら、私の物になって貰おうかしら?」
「ははは……」
けど、あれ?俺の体の中には、部長の『
………深く考えないでおこう。
と、その時ヴァーリの携帯が鳴った。
「はい、ローエン?え、忍?ローエンのを借りてる?まぁ、分かったわ。今どこかって?どこだと思う?――ふふ、冗談よ。分かってるわ、もう戻る。じゃないと、あなたがローエンに殺されちゃうものね。じゃあね」
「戻って来いって?」
「ええ。もう少し話していたいけど、ここでお開きね。でも、和平会談があるから、そこで会うかもしれないけどね。じゃあ、また会いましょ」
そう言うと、ヴァーリはそのまま、朝の町に消えて行った。
ふと、時計を見ると7時を過ぎていた。これなら、ここから歩いて学園までで、いい塩梅の時間になりそうだ。
はぁ、いよいよか……
――○●○――
さて、俺は現在うつ伏せ状態になって、意気消沈していた。理由は言わずもがな、これからの公開授業である。
「ちょっと!朝から居ないから、心配し――何があったのよ?」
机をバンッと叩かれ、すごい剣幕で迫ってきたミラを見上げた。
「イ、イッセーさん、大丈夫ですか?」
「え?何で?」
「何でって、イッセー凄い顔してるにゃん。この世の終わりって感じ?」
「そうだな、確かにそんな顔だ。だが、安心しろ、イッセー。この世の終わりからも私は君たちを護って見せよう」
「はは……そんな顔してんのか。はぁ~…」
まぁ、しょうがないだろ。まさしく、下手をすると俺にとっての、この世……と言うか世界が終わる。それくらい、今日の公開授業は嫌だ。
百歩譲って、父さんやヴェルさんはまだいい。けど、絶対暴走しそうな母さん、悪戯好きな兄さん、悪乗りしそうなノヴァさん。この3人だけは本当に勘弁してほしい!
しかも、母さんは『どうせだから、同居している子たち全員の画を取るわ!その分、アルバムが華やぐわね~♪楽しみ♪』と妙に怖いくらいの気合を入れて、鼻歌交じりに言う始末。
けど、同居してる子全員って、どうやって取るんだ?3年の部長たちは、サーゼクス様たちが居るから何とかなるんだろうけど、1年の小猫ちゃんはどうするんだ?
「おぉ!松田氏!イッセー氏が何だか知らんが、ダメージを受けているぞ!きっと、天罰が下ったんだ!」
「そうだな、元浜氏!二大お姉様、アーシアちゃん、小猫ちゃん、ミラさん、黒歌さんに引き続き、ゼノヴィアちゃんまで、イッセーの奴の家に居候しているらしい。もう、イッセーにはマジモンの天罰が起きても可笑しくないと思っていた!」
「おい、そこの馬鹿二名。だから、ホームステイしてるだけだって言ってるだろ?日本の分化とかを学んでいるだけで、やましい事なんか何もない」
「「そんなの、信じられるかあぁぁぁ!!」」
そこで、二人をどかして前へ桐生が進み出てきた。
「はいは~い、そこの性欲のケダモノ、二匹はどいて。けど、そんなに公開授業が嫌かねぇ?兵藤の家族ってそんなに問題あったっけ?」
「い、いや、問題は無……くはない、のか?はぁ、何と言うか、過保護なんだよ、ウチの親は」
「へぇ。どんなのか楽しみだわぁ」
「けど、今時子供の授業見に来るって、お前の親すげえな。俺の親は来ないぞ。元浜はどうだ?」
「僕の家も同様だね。ま、今日は平日なんだし」
「ああぁぁぁぁ………………
この世界が滅べばいいと、今日ほど切実に思った日は無い……」
「……重症ね、コレ」
「あ、あはは……」
「これはダメにゃん」
「む、いけないぞ、イッセー。世界の終わりなど望んでは」
そんな朝の教室でのやりとりを繰り返しつつ、いよいよ始業の鐘が鳴る。
――○●○――
「え~、という事で本日はコチラの紙粘土で自由に……その……造形を…してもらいます」
この学園の公開授業では様々な教科の授業が見れるように、各クラスは違う教科の授業を行う。それで、興味のある科目の授業を受験生に見せる事で、モチベーションを上げているらしい。
で、俺のクラスは美術の担当という事に。まぁ、手先は器用な方だから、この科目に関しては問題ない。(いつだか器用貧乏とかは言われたが……)
そう、教科自体に問題は無いんだ。問題は俺の後方で起きている、教師でさえ困惑する俺の家族の行動だ!
まず、父さんは何時ものように、赤いコートを着用。まぁ、目立つが特に動かず腕組みをしている状態。これはまだいい!(いや、目立っている時点で…い、いや、それよりも!)
次に、ヴェルさん。ヴェルさんは何時もの秘書の制服で来ているから、むしろ一番普通。平和。万歳!ヴェルさん、ありがとう!
本当に問題なのは、母さん、兄さん、ノヴァさんだ!美術の授業を見たがる中学生は少ないようで、中学生の数は少ない。また、クラスメイトの他の親御さんはゼロだ!
そうだよ、それが普通だよ!そもそも、高校生になった子供の授業なんか来ないって!なのに、俺の家族はあぁぁぁ!
なので、その人数の少なさを良い事に、三脚付きのビデオカメラを、5台も設置。それぞれのレンズが、俺、ミラ、アーシア、黒歌、ゼノヴィアの方を向き、それぞれが映る最もベストなポジションに置くものだから、幅を取ってしょうがない!
当然目立つ!しかも、この3人は各自がカメラを手に持っており、さっきからシャッター音が止まない。当然、これには教師もクラス中も困惑するわけで……
「なぁ、あれって誰の親?」
「さぁ…?けど、さっきから、一誠君ばかり撮って無い?」
「いや、ミラさん達も撮られてるぞ?」
「本当だ。って事は、兵藤の?」
「アーシアちゃんも撮られてる。あ、ゼノヴィアさんも、塔城さんもだ」
「でも、あの中心に居る女の人、若過ぎじゃね?あれ、親じゃないだろ」
「え、でも、兵藤君って、お兄さんが一人って言って無かった?」
「じゃあ、あの人は?どう見ても、妹って言うのがしっくりくるんだけど」
「って言うか、あの赤いコートの人どこかで…」
「あ、私もそれ思った」
「何かテレビで見たことが」
「あの、女の人の制服って、クランスピア社のやつじゃ…」
「そう言えば、一誠君の親御さんの仕事って知らない」
「え、もしかして…」
ヒソヒソと、手を動かしながらそんな事を話しているクラスメイトたち。
そりゃ、来ている家族と思しき人たちが元々少ないのに、さらにそれが奇怪な行動をしてたら、目立つ目立つ。
しかも、バレたよな。今度こそ。俺の親が社長かどうかまで分からないまでも、クラン社の関係者ってのはバレた。(分かってる奴もいそうだけど)しかも、父さんは自社のCMに何本か出演している。そりゃ、見た事あるでしょうよ。
さて、俺はと言うと――
「………………………………」
黙々と作業をしていた。もう職人顔負けの集中力を無駄に発揮して。
しかし、今の俺には現実逃避をする方法は他には無かった。何だか、良い画素材を提供している気がしないでもないが、今は考えるのをやめよう!
だから、さっきから止まないシャッター音も意識の外へ追い出す。と言うか、耳に入ってくる音全てを遮断していた。
だから、いつの間にか傍に来ていた彼女たちに気付かなかった。
「「いっちぇー!こっち!!」」
ビクッとなって、作業で使っていたカッターを落としそうになり、急いでキャッチした。その後、視線を戻すとレイアとアグリアが俺の机に張り付いていた。
「どらごん!」
「かっけー!」
「「ほしー!!」」
キラキラとした目で俺の手元を見てくる二人。そう、俺が作っているのは俺の内に居るドラゴン5匹である。紙粘土を5等分にして、それぞれ造形を行った。で、かなり細かい部分まで再現してしまった。いつも精神の中で対話するときに見ているから、一番作りやすかったのがコレだった。
「何で、レイアとアグリアが?」
「えっとね、こーかいじごー?」
「いっちぇーに、あえるからきた!」
ふと、後ろを見ると、ウォーロックさんは父さんと話をしていて、ソニアさんは申し訳なさそうにしているが、母さんが別に大丈夫って感じに許可を出してるみたいだ。
「あー……なるほど」
多分、今日の公開授業にレイアとアグリアを連れて来て、この学園を見せておきたかったのだろう。この学園は、確か初等部から大学まであったはずだ。つまり、あと数年でこの学園に通う事になるかもしれないから、今の内に見せておきたかったんだろう。で、公開授業はその絶好のタイミングだったって訳だ。そう言えば、ウォーロックさんこの前、娘たちは二人とも駒王学園に入れたいって言ってたなぁ。
「えっと、分かったから、後ろで大人しく見ててくれないかな?」
「「いや!!」」
この子たち多分テコでも動かないな。
「じゃあ、これが完成したらあげるから、パパの所に戻ってくれないかい?」
「「うん!わかった!」」
二人は素直に俺の言葉に従ってくれた。子供って、物欲に素直ですね……
それからも、黙々と作業を続けて作品を完成させた。我ながらいい出来だと思う。クラス中が感心してたし。
それは、約束通りレイアとアグリアの手に渡るのだった。
はい、こんな感じになりました。
授業参観でここまでする親はいない・・・
まぁ、フィクションですし。
で、一誠が作ったのはドラゴンたちでした。
ついでに、競泳勝負はノーコンテスト。そりゃ、そうだ。
さて、次回はようやくこの章のタイトルになってる
女装ヘタレヴァンパイアの登場です!
To be continue!!