ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】 作:メラニン
さて、今回は銚子電鉄やら、濡れ煎餅やらイロイロ出します。銚子の魅力が伝わりきるとは思いませんが、少しでも理解いただけたら幸いです。
では、どうぞ!
―― 一誠side
「おい、どういうこった、コレは?」
「何がかしら?別に不思議な事は無いでしょう?私たちは偶然行き先が同じだけよ?」
「まま、ぱぱ、けんかはめっ!なの!」
今俺の前ではエンテ・イスラという世界の魔王と勇者が口論している。そして、それを必死で止めようとしている一房だけ淡い紫色をした銀髪という何とも日本人離れした容貌の赤ん坊、という何とも奇妙な図が出来上がっていた。一体今日だけで何回同じやり取りが行われたか………
現在俺たちが居るのは、JR総武線本線の終点である銚子駅のホームだ。
朝7時頃に笹塚を出発し、新宿、錦糸町、千葉と乗り換えを続け、現在に至るというわけだ。正直ここまで来るのだけで疲れた。いやマジで。
とにかく、そこで俺たちは電車を待っている状態だ。
本来であれば、この世界に居る悪魔と異世界側の俺たちグレモリー眷属+αで住み込み先へ向かう筈だったのだが、今朝駅で遊佐さんの家でお世話になっている皆を待っていると、そこに来たのは息を弾ませ、大きめのドラムバッグを持った千穂さんだった。丁度夏休みだし、千穂さんも何処かに出かけるんだろうと思って、待っていると遊佐さんに連れられて、全員が集合した。それぞれが昨日買った服を着用して、これまた昨日買った大き目のキャリーケースやドラムバッグを持っている。
この時、遊佐さんも大きめのドラムバッグを所持しており、遊佐さんも出かけるんだろうな程度に考えていた。しかし、そこに鎌月さんまでやや大きめの風呂敷を抱えてやって来たではないか!
つまり、結局のところ見張るために付いて来るのだろう。別段俺たちグレモリー眷属+αは大して気にしてはいない。むしろ、教会関係者であるイリナや元とはいえ、教会に身を寄せていたアーシア、ゼノヴィアは既に遊佐さん、鎌月さんと仲良くなっており、同行してくれる事に対して凄く喜んでいた。おそらく、異世界の信仰に興味があるんだろうな。(イリナは、異教徒め!弾圧してやる!とか言うと思ったけど、そうでも無かったようだ)
しかし、エンテ・イスラの魔王と悪魔大元帥たちは違ったようである。明らかに嫌そうな表情を浮かべていた。しかし、既に来てしまったものは来てしまった。コレはもうどうしようも無い。仕方がないので、俺たちはそのままの大所帯で移動を開始したというわけだ。で、今に至る。
「くっそ!結局ついて来るんじゃねえか!何か!?勇者って職業はヤッパリ暇なのか!?」
「コッチだって、あんたの監視で常に精神をすり減らしたくは無いわよ!さっきも言ったでしょ!偶々旅行先が同じ方角なだけよ!」
「けっ!何が旅行先が同じ方角なだけだよ。白々しいにも程があるわ」
「それとも、何かやましい事があるから付いて来て欲しく無いだけかしら?」
「あるか!ボケ!」
「ふむ、しかし我々は実際に羽を伸ばしに行くだけだぞ、貞夫殿?まぁ、一つ言わせておいて貰うならば、お前たちの行く所、常に私たちの目があると思え。何かしようとしたら、容赦しないからな?」
「んだよ、ヤッパついて来るんじゃねえか!」
そこからも魔王と勇者の不毛な言い争いは続いた。
一体いつまで口論してるんだ、いい加減にしろと思い始めたところで電車が入ってきた。一両編成で、上部が黒で下部が赤い色をしており、そのどちらも燻んだ色をしている。まぁ、一目見て古い、と言うのが正直な感想だ。けど、日本にもこういう電車って、まだ走ってるんだなぁ。まぁ、北欧の方も片田舎だとこういうの走ってたから不思議は無いか。北欧といえば、ロス姉は元気かな?今度連絡を取ってみるか。この前会った時は大して話も出来なかったし。
「何コレ?ホントに電車かよ?」
そんな失礼な事を言ったのは漆原だ。まぁ、確かに東京の方しか知らないこの悪魔大元帥はそういう感想を抱いてもおかしくはないか………
しかし、その発言をした漆原を遊佐さん、千穂さん、部長を始めとした女性陣は白い目で見ていた。
そういや、部長って日本好きでしたね。その文化を蔑まれるのはお嫌いらしい。因みに千穂さんは今回この銚子電鉄が目的らしい。俺たちも初めてだけどな。
「何失礼なこと言ってるんですか、ウルシバカさん」
「お、おい!それはもう言うなって言ったろ!?」
「黙れ、ウルシバカ。先ほどの発言は私でもマズイと気付くぞ」
「な、何だよ!揃いも揃って!泣くぞ!?」
「るしふぇるー、おとこのこがないちゃ、めっ!なの!」
千穂さんと、芦屋に立て続けに責め立てられたウルシバカは怒るが、アラス・ラムスの最後の一言がトドメになり、ゲンナリしてしまった。
「部長、切符買って来まし――何かあったんですか?」
「木場さん、ギャスパーさん、申し訳ありません。わざわざ切符を買いに行かせてしまって」
「いえ、それはいいんですけど………」
「い、一体何があったんですかぁ?」
そこに、切符を買いに行ってくれていた木場とギャスパーが戻ってきた。帰ってきたら異世界の悪魔大元帥と呼ばれた人が膝を抱えて蹲ってれば気になるよな。とにかく簡単に事情を説明した後、それぞれが切符を手にし電車に乗り込む。そこから、銚子電鉄内での出来事はなかなか面白かった。
見知らぬおばあちゃんが話しかけてきて、特産品を勧めてきたり。木のトンネルがあって、そこを通る時は童心に帰ったような気分になった。日本にもまだこういうレトロな感じが残っているのかと、素直に驚くと同時に良いものだと感心してしまった。そこは、どうやら全員がそうだったらしい。まぁ、木が窓とかにバシバシ当たって五月蝿いって気がしないでもないが……
とにかく、何駅か車内の旅を楽しみ、そして目的地である犬吠に到着した。そこで、降りて俺たちがまず一番初めにした事はというと………
「すいません、これ下さい」
買い物であった。まぁ、車内での偶然一緒になったおばあちゃんから、あれだけ勧められたので全員で買ってみようという話になったのだ。確かに名産品らしく、駅舎に入ると真っ先に目に付いた。取り敢えず俺たちは全員で買ってみる事にした。
「ふふっ、何だか去年の修学旅行を思い出すわね」
「あぁ、そう言えば部長たちは去年が修学旅行でしたね。確か京都でしたっけ?」
「ええ、そうよ。今年のあなた達の修学旅行も行き先は同じみたいだから楽しんでいらっしゃい。まぁ、まだ先の話なのだけれど」
「うふふ、去年は大変でしたわ。リアスがアレもコレもと色んな場所を見学したいと言い出して、結局予定していた場所全てを見ることはできませんでしたから」
「ちょっと、朱乃!?それは言わなくて良いわよ!」
「あらゴメンなさい、リアス」
朱乃さんはからかう様にしてそこから離れて外に向かった。まぁ、駅舎がやや狭いから俺たちが大所帯で居ると他のお客に迷惑だからな。部長もそれを追って行ってしまう。あの二人ってなんだかんだ仲が良いよな。流石は『王』と『女王』だよ。にしても、修学旅行か。夏休みが明けたらイベントが目白押しだな。少し楽しみだが、またそれだけ不安も少しあるなぁ。
「おせんべ!」
急に後方から元気の良い声が聞こえて少し驚いて振り返ると、そこに居たのはてこてこと足元にくっ付いてきたアラス・ラムスだ。
「ん?アラス・ラムスも食べるか?」
「ん!」
んー、でもこの歳の子が全部食っちゃうと、御飯食べられなくなるよなぁ。
そんな事を思っていると、横からミラが割り込んできた。
「なら、私と半分こしましょ?全部食べると、御飯が食べられなくなっちゃうわよ?」
「あい!はんぶんこ!」
元気よく手を挙げて返事をするアラス・ラムス。うーん、真奥さんが親バカになるのも頷ける気がする。ミラも色々口では言っているが、子供は放っとけないんだろうな。エルの事もそうだし、俺たちの世界のレイアやアグリアなんかからも懐かれてたし。
うーん、子供って本能的にそういうのが分かるのかな?
「イッセー、よろしく」
「はいはい、払っときますよ。すいません、コレあともう一つお願いします」
取り敢えず、売店でオカ研全員が濡れ煎餅を買って、早速食べ始めていた。俺の方は先にアラス・ラムスに買った煎餅を渡していた。で、ミラがそれを半分に折ってくれた。
「ありがとごじゃます!」
「はい、どういたしまして」
「お、いたいた。って、アラス・ラムス!?何持ってんだ!?」
「おせんべ!」
今しがた貰った濡れ煎餅をこれ見よがしに、『ぱぱ』である真奥に見せつけるアラス・ラムス。その真奥本人は若干焦った様子だ。あー、なるほど。
「大丈夫ですよ。コレは俺がアラス・ラムスにあげたくてあげただけなので、お金は要りませんよ。それに、アラス・ラムスからお礼もしてもらいましたし」
「そ、そっか。わ、悪いな、なんか」
「いえ、いいですよ」
「はぁ…………あんたねぇ、自分の甲斐性の無さに悲しくなんないの?」
「う、うるせえ!」
後ろからは『まま』である遊佐さんが話しかけてきた。
「まま、おせんべ!いーにいちゃんにもらった!」
ピョンピョン跳ねながら、遊佐さんにもアピールするアラス・ラムス。見ていて大変微笑ましい。因みにアラス・ラムスは俺のことを『いーにいちゃん』と呼ぶようにしたようだ。
「そう、良かったわね。ちゃんとお礼もした?」
「うん!」
「わざわざアラス・ラムスのためにありがとう」
「いえ、こちらもお世話になりましたから」
遊佐さんは少し複雑そうな表情をした後、アラス・ラムスを抱き抱えて千穂さんたちの座ってるベンチに向かって行った。ヤッパリ『悪魔』って存在自体が許せないんだろうな。けど俺やアーシア木場なんかは元々は人間だったって言ったら複雑そうな表情してたから、今は迷ってる段階なんだろう。それはこの世界で起きた事を聞いてそう思った。ま、ここで考えても始まらないか。
取り敢えず俺も煎餅を買ったので、レジを離れて部長たちの居る外に向かった。
「あ、何ですか、ソレ?」
部長たちの元に戻ると、全員がベンチに腰掛けてアイスを召し上がっていた。え、何それ?美味そう。
「イッセーも欲しいかにゃん?」
「………結構イケますよ、先輩。初めはどうかと思いましたが」
おお、スイーツ好きの小猫ちゃんも認める味みたいだ。それに、今は夏だ。冷たいものが確かに恋しくなる。けど、パクパク食いながら話すのは、どうなんだろうか?そんな夢中になるくらい美味いの?
「む、イッセーか。何でも濡れ煎餅とアイスを組み合わせた商品らしい」
「美味しいわよ、イッセー君!何でも地元の高校生が考えたんだって!」
「へぇ、その辺は俺たちの世界と変わりないんだな」
「あら、そうなんですか?イッセー君はよく知っておりましたわね」
「ええ、いつだかテレビでやってました」
「おーい、もう迎えが来てるってよー」
駅舎の中から漆原が手を振って、知らせてきた。
「え、俺まだ食ってない……」
「ふふっ、イッセー今回はお預けね」
「ええぇぇぇ!?」
そんなこんなしている内にゾロゾロと移動していく一行。
俺は結局濡れ煎餅アイスを食えないまま、待ち合わせ場所へ向かう事になった。クッソ………食いたかった……
――○●○――
茹だるような暑さの中、少し移動すると白いマイクロバスが停まっていた。うん、多分アレかな?
しかし、ここで俺は一昨日のビデオテープで見た、大家さんを思い出す。これから会うのはあの人の姪だという。正直どういう姿なのか、今から内心ビビっている。それは、この世界の悪魔達も同じようで、俺とこの世界の悪魔三人は額に汗を浮かべていた。この汗は決して暑いからでは無いだろう。そして、バスのドアが開いた瞬間俺は、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
「よー!あんたが真奥さんだね?」
「は、はい。あの、大黒さんですか?」
「そうよー。ようこそ、犬吠へ!わざわざ遠くまでありがとねー」
……………想像の真逆だった。歳は多分20代。黒髪を無造作に後ろで結って、黒いTシャツに使い古されたであろう緑色の前掛けをして、擦り切れたジーパンを着用している。意思の強うそうな目に、色黒の肌でおそらく顔はすっぴんだろう。
そして、失礼ながらあの大家さんの姪とは思えない容姿なのだ。一言で言えば美人である。正直大家さんである志波さんとの共通点なんか同じ人間で女という事くらいしか無いのではないか?としか思えない。多分他の警戒していた3人も同じ感想だったんだろう。目を丸くしている。
しかし、何だろう?何だか微妙な違和感を感じるような………
「似てないって思ったっしょ?」
「え、あ、あの……」
真奥は急な質問に対してシドロモドロしていた。そりゃそうだ。短期間とはいえ、この人は実質雇い主な訳だから失礼があってはいけない。それは俺も同じなんだけど。
「あっはっはっは!ごめんごめん。真奥さんの立場じゃどうとも言えないよね。いや、でもミキティおばさんも化粧落とすと似てるんだけどね。若い頃の写真なんか私と瓜二つなんだぜ?」
「「「「っ!?」」」」
大家さんの姿を知っている俺たちは絶句した。今の目の前にいる人があの大家さんの若かりし頃の姿と瓜二つ!?とてもじゃないが信じられない!!だとすると、時間の流れは残酷だ!残酷すぎるよ、クロノス!
『我に振るな』
「っと、自己紹介がまだだったね。『大黒屋』の即席店長である大黒天祢です。よろしくね。大黒じゃなくて、下の名前の天祢で呼んでいいよ」
「あ、はい、真奥貞夫です。よろしくお願いします」
「芦屋四郎といいます。よろしくお願いします」
「………漆原半蔵」
「真奥の親戚の兵藤一誠です」
「一誠の学友のミラ・クルスニク」
「リアス・グレモリーです。以後お見知りおきを」
「姫島朱乃と申しますわ」
「一誠くんの学友の木場祐斗です」
「ア、アーシア・アルジェントといいます。よろしくお願いします」
「イッセーのクラスメイトの塔城黒歌というにゃん」
「同じくクラスメイトである、ゼノヴィアだ」
「イッセー君の幼馴染の紫藤イリナです!」
「イッセー先輩の後輩の塔城小猫です」
「お、同じく、後輩のギャスパー・ヴラディですぅ…」
全員の自己紹介が終わった。にしても改めて考えると結構多いよな、この人数は。
「うお!?外人かよ!?」
あ、そうだった。そりゃそうですよね。俺たちオカ研の容姿って外人が多いよな。唯一日本人に見えるのなんか朱乃さんと黒歌だけじゃないか?
「えっと、留学生と仲が良くてですね。それで是非日本の文化を学びたいということで……」
「ほいほい、なるほどねぇ………………………………ま、人が多い分には大助かりだから細かい事は気にしないよ。にしても、話には聞いてたけどやっぱし多いなぁ。えっと……18人か。マイクロバス借りて来といて良かった」
「いやあのですね、今自己紹介した俺たちが今回お世話になるメンバーで、そこの三人は関係無――」
「真奥さんのバイト先の後輩で佐々木千穂と言います!観光のついでに、真奥さんの働き先が気になって付いて来ました!」
真奥の言葉を遮って千穂さんが勝手に自己紹介を始めてしまった。
「おーい、ちーちゃん。観光だけじゃ無かったのかー?」
「私は鎌月鈴乃という。彼らとは、まぁ隣人で今回は千穂殿の付き添いをやっている」
「遊佐恵美です。この子はアラス・ラムス」
「あい!」
自分の事を言われて遊佐さんの腕の中で元気よく手を挙げる。この光景だけ見ると本当に普通の赤ん坊に見えるんだけどなぁ。しかし、この子の正体は聖剣と融合を果たしたイェソドの化身な訳で………
「はい、よろしくね。いやぁ、それにしても随分バリエーション豊かな綺麗所を引っ張ってきたねぇ。で?この中で所帯持ちは誰?」
悪戯っぽい笑みを浮かべた天祢さんの質問に対して、俺と漆原は真奥を、鎌月さんと千穂さんは遊佐さんを、真奥と遊佐さんは俺をそれぞれ指して、オカ研の女性陣は全員が視線を泳がせて、芦屋と木場、ギャスパーは明後日の方角を見た。
「「「おい!」」」
所帯持ちに勝手にされては困る俺たちは異口同音に否定する。
「んん?何かイマイチ関係が見えて来ないが………まぁ、取り敢えず三人が所帯持ちと」
「「「違います!」」」
再び声が被り、否定するが天祢さんは取り合ってくれない。
「ま、とにかくこんな炎天下で立ち話もなんだしバスに乗り込んで。えっと、確かチャイルドシートも備え付けてあるって言ってたなぁ………ちょっと、待ってね。今出すからさ」
そう言うと、天祢さんはマイクロバスの貨物スペースからチャイルドシートを出してきて、テキパキと備え付けてくれた。準備が終わり次第順番に俺たちは乗り込んで、全員が乗ったのを確認したところを天祢さんがマイクロバスを出発させた。因みに席順は女性陣が前方、男性陣は後ろの方だ。
駅の広場(広場ってほど広くないが)を出て、広い道を進む。そして、しばらく走っていると、あっという間に真っ青な海が見え始めた。
「「「「「おおーー」」」」」
数名が歓声を上げて、窓から見える海を見る。うん、海に来るのなんて久しぶりだな。砂浜が眩しい。ギャスパーは遂に来てしまった、と言う様な表情になっている。コイツは対人恐怖症(?)な上に外は苦手だからな。ま、強く生きろよ、後輩。
「まま!あおいっぱい!けせど!」
慌てて遊佐さんがアラス・ラムスの気を逸らそうとする。確かケセドってイェソドと同じく宝珠であるセフィラの一つだったよな。多分一般人である天祢さんが居るが故の行動なんだろうけど、そもそも普通なら『けせど』ってのが何なのかは分からない筈だ。
「ここが君ケ浜海岸だよ。で、ちょっと後ろの方見てみ。岬の上に見えるのが犬吠崎灯台だよ」
なるほど、確かに峻険な崖の上には直立に立つ白亜の塔台が抜けるような青空に向けてそびえ立っている。そこで前方にいる千穂さんが何かを見つけたようだ。
「あれ、あそこの建物……」
「お、見つけた?あそこが真奥君や兵藤君たち学生一行が働く『大黒屋』だよ」
後ろに座っているので確認しにくいが、確かに古い平屋の民家の様な建物が一瞬視界に入る。しかし、そこで天祢さんが道を外れて駐車場らしきスペースにマイクロバスを止める。
そして再びマイクロバスから出て海を眺める。潮風が心地いい。暑いけど………
「………あまり人が居ませんね」
芦屋が言う通り確かに浜にはあまり人がいない。必要なものは体力、と言われたくらいだからもっと忙しいものを想像していた身としては少し拍子抜けしてしまった。
「あー、そりゃ浜開きは明日だからね。だから今はサーファーさんくらいしか居ないんだよ。ほら、先に離れを案内するから付いてきて」
天祢さんが先に先導し、それに皆が付いていく。確かに沖の方を見るとちらほらサーフボードに乗った姿が見える。
…………ん?
俺はそこで波間にボウッと浮かぶような何かを見た。形的には人の頭だろうか?それを認識した瞬間、勝手に『
「ちょっ……」
「「イッセー!?」」
「イッセーさん!?」
「イッセー君!?」
俺は急いでカバンのサイドポケットを開けてそこに右手を突っ込む事で発光している右手を隠した。救いだったのは一般人の天祢さんに見られなかったこと。俺のそばに居るのが、まだ付いて行っていなかったミラ、部長、朱乃さん、アーシア、という異世界メンツで助かった。
おい、オリジン。どういう事だよ?
『…………ゴメンね。何だか勝手に反応して発動しちゃったみたいなんだ』
反応?何に反応したんだよ?
『多分、イッセーが見た波間のアレだろうね』
ああ、あの人っぽい形した靄みたいなやつか。じゃあ、もしかして今のって……
『うん、きっとアレだろうね。女の子達は多分怖がっちゃうだろうから言わない方がいいね』
そうだな。それには同意するよ。あ、でもミラの怯える姿とかは見たこと無いから見てみたい気も――
『…………イッセー?』
冗談だよ。分かってる、言わないよ。お前の能力の内の一つはあまり気軽に使うべきじゃないからな。
『分かってくれたならいいよ』
「すいません。ちょっと気を抜いてしまって勝手に発動したみたいです」
「本当?もしかして調子が悪いとかじゃ無いわよね?」
「大丈夫だ。心配するなよ、ミラ」
「イッセーさん、お体大丈夫ですか?もし何かあれば私が治します!」
「大丈夫だって。だから神器をしまってくれ、アーシア。天祢さんに見られるとマズいだろ」
「は、はい、そうでした。すみません……」
アーシアは出していた神器をおとなしくしまってくれた。うん、若干シュン、となっているアーシアを見ると嘘を吐いているのが心苦しくてしょうがない。
「ところで、もう皆さん行ってしまいましたわ。私たちも行った方が良いのでは?」
「そうね、朱乃。さ、私たちも行くわよ」
俺たちは部長を先頭に歩き出す。これから俺にとっては初めてとなるバイトが始まる!
いやー、濡れ煎餅美味かったッス。実はですね、先月暇でしょうがなくて、行ってきました、はい。銚子に。
で、本当に電鉄も乗ってきましたね。灯台にも行きました。君ヶ浜海岸も見てきました。アイスは食えませんでした・・・(ちくせう)
中々面白いところでした。流石は港が近いだけあって、海産物も美味でした。また行きたいですねぇ・・・
さてと、次回からようやくバイトが開始です。
乞うご期待!!