ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】   作:メラニン

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今回はカミーオから話を聞くお話です。


ではどうぞ!


第10話 カミーオの災難です!

―― 一誠side

 

 

さて、ビーチバレーが終わってからシャワーを浴びて汗を流してサッパリした後、ようやくカミーオから話を聞く事になった。え、俺への命令?それが部長たちが、ここではちょっと……って、渋って言わなかったんですよ。『ここでは』って………嫌な予感しかしない……

天祢さんは先に帰ると言って、店を閉めたら帰ってしまった。で、今はもう日が沈んでしまって夜だ。

 

 

「ぴぃぴぃ!」

 

 

「あ、可愛い」

 

 

そして今は俺たちの滞在先である離れに全員で集合していた。失礼ながら、日本における魔王城ヴィラ・ローザ笹塚201号室よりよっぽど広いため、これだけの人数が居ても、少し狭いかな程度にしか感じない。で、カミーオの今の姿(小さい九官鳥みたい)をアラス・ラムスと千穂さんが見て歓声を上げたところだ。アラス・ラムスは触ろうとして、遊佐さんの腕の中で暴れている。

 

 

「どうしたのよ、その鳥?拾ったの?」

 

 

「まま!とりさん!」

 

 

「そうね、少し大人しくできる、アラス・ラムス?鳥さんも怪我してるみたいだから、触ったらダメよ?アラス・ラムスも痛いの嫌でしょ?今触ったら鳥さんイタイイタイってするわよ?」

 

 

「う……あい…」

 

 

シュンとなるアラス・ラムスの頭を優しく遊佐さんが撫でて宥めている。

 

 

「で?何で私達を呼んだのよ?そっちの悪魔勢は何だか事情を知ってるみたいだけど」

 

 

「あぁ、それなんだが、お前昨日魔力や聖法気を感知しなかったか?」

 

 

「え?しなかったわよ?まさかあなた達……」

 

 

「違うぞ?俺たちは何も起こしてないからな?とにかく、さっきの質問だ。で、どうなんだ?」

 

 

「いいえ、感じなかったわ。ベルは?」

 

 

「いや、私も感じなかったぞ?それに感じていたら私とエミリアは真っ先に向かうだろう」

 

 

「……あれだけ大きい魔力が存在してたのに感知してないってのは、おかしな話だな」

 

 

「……イマイチ話が見えないわね。つまり何よ?」

 

 

「んー………おい、カミーオ起きてるか?」

 

 

真奥がダンボールの中の小鳥に話しかける。すると、寝ていたカミーオはもそもそと動いてこちらの姿を視界に捉える。

 

 

「ぴぃ……サタン様?もうお勤めはいいのですぴぃよ?」

 

 

「「「しゃ、喋った!?」」」

 

 

まー、ビックリしますよね。部長たちも初っ端はビックリしてましたから。

 

 

「まま!とりさん、しゃべった!」

 

 

アラス・ラムスはカミーオが喋ったことで、さらに暴れる。

 

 

「ぴぃ……ぴぃ?サタン様、この人間たちは?」

 

 

「九官鳥か何かかしら……」

 

 

「何か、さっきの言葉を撤回したいです。この外見でこの低音は……」

 

 

千穂さん、もっともな意見です。確かにカミーオは今の見た目にしては声が低いというか、野太いというか……

 

 

「こいつはカミーオ。昨日の夜霧の中、空から落ちてきた悪魔だ」

 

 

 

――○●○――

 

 

 

 

「まぁ、表舞台で活躍してたのが俺たちだとしたら、表に出ずに裏舞台に徹してたのがカミーオだ。俺や悪魔大元帥は直接戦争に参加してたのに対して、カミーオは内政担当だった」

 

 

「ちょ、ちょっと待って!悪魔って政治が分かるの?」

 

 

「………お前、結構失礼な事をサラッと言ったぞ?」

 

 

「だ、だって、悪魔なんて襲ってきたのを片っ端から斬ってたから……」

 

 

おおぅ、結構物騒な事を……

 

 

「はぁ……当たり前だろ?そもそも魔王『軍』なんてのがあるんだ。お前が戦ってた悪魔の数から、そういうの想像できなかったのか?」

 

 

「だ、だって、教会では剣の扱いや戦い方、サバイバル術とかしか教わらなかったし……」

 

 

そう言えば、遊佐さんって普通の農民の出って言ってたな。それが聖剣の適性があるからって理由で招聘されたって言ってた。

 

 

 

「おい、まさかベルまでそのレベルじゃ無いよな?」

 

 

「いや、私は知ってたぞ?実際に魔界を訪れた事は無いが、しっかりと組織を組んで進軍してきた軍が居た事から、そう言った政府の様な組織があるのでは、くらいには想定していた」

 

 

「ま、その辺はさすがだな。教会でもその手の専門だったもんな」

 

 

「……まぁな」

 

 

鈴乃さんの表情が陰る。確か鈴乃さんの居た部署って政敵の暗殺とかも請け負ってたって言ってたな。それが原因だろう。

 

 

「とにかくだ、このカミーオがしっかりとした組織の土台を作ってくれたお陰で、魔王軍なんてモンができたんだ」

 

 

うーん、こう考えると真奥って一応は『魔王』としての考えをしっかり持ってたんだな。俺たちの魔王、四大魔王様も内政には明るいって言ってたな。……約1名を除くって言ってたけど。

 

 

 

「ぴぃ…お褒めに預かり光栄っぴぃょ」

 

 

「まぁ、それでカミーオには俺に何かあった時は魔王軍を率いて撤退し、留守を任せるって言ってあったんだ。そのカミーオが何故かコッチの世界に来た。その原因をこれから聞こうと思ってな」

 

 

「……それが私たちを呼んだ理由?」

 

 

「ああ、そうだ。カミーオが言うにはエンテ・イスラに再び戦乱が起こるかもって言っててな。これはお前らも無関係じゃいられないだろう?」

 

 

「なるほど、確かにな。そもそも私とエミリアはエンテ・イスラの平和を守るべき教会の所属だ。それは聞いておくべきだろう」

 

 

「で、でもエメからは何も連絡が無いわよ?」

 

 

「エメラダだって、まだ知り得てない情報かも知れねえだろ?」

 

 

「う……」

 

 

因みに今出てきたエメラダというのは、遊佐さん――エミリア・ユスティーナのエンテ・イスラでの親友だそうだ。一緒に魔王を追い詰めた、聖剣の勇者パーティの一員らしい。

 

 

「じゃ、カミーオ話してくれ」

 

 

「うーむ………恐れながらサタン様、兵藤殿達の事情は分かりました。この方達はサタン様たちの助けにもなったと聞いて信頼を置いてはおりますが、そちらの人間たちは素性すら知りません。そんな者達を相手に話していいものか……」

 

 

「あー、そういや、ちーちゃん達の紹介はまだしてなかったな。じゃ、改めてやっとくか。俺がちーちゃんって呼んでる子が佐々木千穂。何かと普段から職場や日常生活でも助けになってもらってる」

 

 

「おお、それは左様ですか!これは先ほどよりの非礼をお詫びいたします、佐々木殿。魔王軍代表として、お礼を申し上げっぴぃ」

 

 

カミーオはダンボールの中で両羽を前に着いて、お辞儀をする。それを見た千穂さんも慌ててお辞儀を返す。

 

 

「ああっ、いえそんな!むしろ私がいつも魔王さんにお世話になっております!」

 

 

片や一般人の女子高生、片や魔王軍の内政のトップ。それが挨拶を交わしている姿は何とも面白いと感じる。

 

 

「で、コッチの着物を着たのが鎌月鈴乃。本名はクレスティア・ベル。大法神教会訂教審議会筆頭審問官殿だ」

 

 

「ぴぃよ!?だ、大法神教会!?」

 

 

「落ち着け、カミーオ。一応は今は味方だ」

 

 

「ぴ、ぴぃ……」

 

 

「おい、魔王!いつから私がお前たちの味方になったのだ!?」

 

 

「だーもう、今はいいじゃねえか」

 

 

「よ、良くはない!こ、こんなのが教会に知れたら……」

 

 

鎌月さんは項垂れてブツブツと何かを言い始めた。まぁ、でも話を聞いた限りじゃ、取っている行動自体は味方だよな。ついこの前あったっていう、事件の時も魔王に協力してガブリエルの撃退に手を貸したって言ってたし。

 

 

「で、そこの目つきの怖えのと、その腕の中にいるのが聖剣とその勇者だ」

 

 

「ちょ!?何簡単にバラしてんのよ!?」

 

 

「ぴぃよ!?聖剣の勇ぴぃよですと!?」

 

 

「ちょっと!誰が聖剣の勇ぴぃよ、よ!?」

 

 

「違うぞ、カミーオ。『聖剣』と『勇ぴぃよ』だ。………プクク……」

 

 

「………真奥さん、遊佐さんが怒って話を聞かなくなっちゃうので、やめて下さい」

 

 

真奥は千穂さんに白い目で見られて、話を本題に戻した。

 

 

「と、とにかく、今は大丈夫だ。俺たちだって始めはツノ付き合わせてた者同士だったろ?それを思い出せよ、カミーオ」

 

 

「むむぅ………分かりました、サタンぴぃよ」

 

 

「おい!誰がサタンぴぃよだ!?」

 

 

「サタンぴぃょ!」

 

 

あ、今の呼び名アラス・ラムスが喜んだ。

 

 

「………ねぇ、ちょっと。今の話ってどういう事?」

 

 

「あ?今の話?」

 

 

「始めはツノ付き合わせてたって……」

 

 

「あー…………お前には一度話しただろ?ほら、観覧車で」

 

 

「真奥さん、私は聞いてないです」

 

 

 

「ち、ちーちゃん…………あー、………兵藤君の世界の魔界ってどんなだ?」

 

 

「え?俺たちのですか?えっと、恥ずかしながら俺一応は元人間なんで、知らないですね。まだ行ったことないですし」

 

 

「え?そうなの?」

 

 

まぁ、行く予定だったのに、この世界に飛ばされましたから。そこで部長が代わりに説明してくれた。

 

 

「……私から説明するわね。私達の元の世界の冥界……この世界で言う魔界は、人間社会とあまり大差がないわ。しっかり、政治もあるし、生活インフラや社会としてのシステムも機能している」

 

 

「ん、まぁそうだよな。俺の居た魔界も同じだ。しっかりと社会のシステムを作り上げた。けど、始めからそこにあった訳じゃねえ。100年以上掛けてようやく作り上げた。その前の魔界はどうだったと思う?」

 

 

「……争いと混沌」

 

 

「正解だ。リアスちゃんの言う通り、俺たち魔王軍が魔界に社会というシステムを作り上げる前は争いと混沌に満ちていた。少し歩けば屍体が転がってて、知らぬ間に斬り付けられてたり、違う種族同士が顔合わせりゃ殺し合いを始める。そんなクソみたいな場所だった。どうやらそれはリアスちゃんトコも同じだったみたいだな」

 

 

「えぇ、そういう風に伝わってるわ。詳しいところまでは伝わっていないのだけれど……」

 

 

「ま、当たり前だな。そんな風に血みどろな場所じゃ文化としての歴史は残らない。残すにはそのためのシステムが必要だからな」

 

 

「………で、それを作り上げたのがアンタ達だってわけ?」

 

 

「ま、そういうこった。で、俺がガキの頃に天使に助けられたって話たろ?ソイツに知識やら色々与えられて、それを元にして周りの種族の違う悪魔を集め始めた。で、ある程度の組織になったところで優秀なブレーンがどうしても必要になってな。『軍』を作るにしても、違う種族同士の悪魔の調停役が必要だったんだ。で、目を付けたのが力よりも智で戦ってたアルシエル、カミーオだったって訳だ。始めの内はツノ付き合わせてたってのはそういう事だ。俺もアルシエルも、カミーオも種族が違うって理由だけで敵同士だったんだよ」

 

 

「………そして、魔界を平定しエンテ・イスラに攻め込んだ、か?」

 

 

「んな、怖い顔すんなよ、ベル」

 

 

「つまり、そこのカミーオという悪魔が遠因ではあるがエンテ・イスラ進行に噛んでいたというこ――」

 

 

「ぴぃぃえぇぇぇ!!」

 

 

いつの間にか遊佐さんの腕から抜け出したアラス・ラムスがカミーオの尾羽を鷲掴みにして持ち上げていた。カミーオは鳥特有の甲高い鳴き声をあげて翼をバタつかせる!

 

 

「お、おぉぉ」

 

 

「ぴ、ぴぃよぉ!!い、痛い!尾羽が!千切れっぴぃぃ!」

 

 

あー、よく子供が動物に何かをした時の方便で『ほら、◯◯◯さん、痛がってるでしょ?離しなさい』みたいな言い方があるが、本当に痛いって言ってる動物は初めてじゃないか?

あ、そんな事してる場合じゃない。

 

 

「ア、アラス・ラムス!ほら、鳥さん痛いって言ってるぞ!?離そう、な?」

 

 

「アラス・ラムスちゃん!そんな風に鷲掴みにしたらダメよ!」

 

 

「アラス・ラムス、離しなさい。アラス・ラムスも痛いの嫌でしょ?鳥さんも嫌だって言ってるじゃない」

 

 

「イ、痛い!痛いっぴぃ!!ぴぃえぇぇ!」

 

 

真奥、千穂さん、遊佐さんがアラス・ラムスに手を離すように話しかける。カミーオは相変わらずバサバサ大きく羽ばたいて逃れようとしている。

 

 

「お、おのれ!人間の赤子――いや、聖剣め!っぴぃぃ!痛いぃ!」

 

 

「うゅ……とりさんだめ?」

 

 

「ぴぃぃ!」

 

 

ようやくアラス・ラムスが渋々ではあったものの、手を離してくれた。しかし、必死でカミーオが羽ばたいていたため、そのまま部屋の隅っこに置いてある、カミーオが持ってきた宝剣まですっ飛んでしまう。因みに宝剣には中身が分からないように、カミーオが着用していたマントを巻いている。そして、激突してしまった。

 

 

 

 

「あちゃー……」

 

 

真奥が頭を抱えて嘆息する。取り敢えず、被ってしまったマントを退かそうと手を掛けようとしたら、マントが急に膨れ上がり始めた!

で、マントを取ってそこに居たのは……

 

 

 

「おぉぉ!こけこー!」

 

 

九官鳥から黒鶏にクラスチェンジしたカミーオだった!いや、何で!?

そして、突如変身したカミーオを目を爛々と輝かせたアラス・ラムスが追っかけ回し始めた。

 

 

「こけこー!まてー!」

 

 

「む、そう何度も捕まらんっぴぃよ!こけー!」

 

 

 

人が居ることで手狭になっている室内を赤ん坊と黒鶏が走り回って鬼ごっこを始めてしまった。アラス・ラムスはカミーオを捕まえるためにパタパタと足を動かし、カミーオは足に生えてる爪を器用に畳に引っ掛けてシャカシャカとせわしく動き回る。

 

 

「ア、アラス・ラムス、そんな風に走ったら転ぶ――」

 

 

遊佐さんが言い終える前にアラス・ラムスはツンのめって、器用に前転してから尻餅を付いた形で座り込んだ。あまり痛くなかったのか、自分に何が起きたか分からずに周りをキョロキョロしている。

そこに親バカである真奥がすかさず駆け寄る。

 

 

「大丈夫か、アラス・ラムス!?」

 

 

「あい、だいじょぶ!」

 

 

そして、逃げ切った方のカミーオには魔の手が迫る!

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……ど、どうだっぴぃ……分を弁え――ぴぃえぇぇ!?」

 

 

遊佐さんが冷徹な目をして、カミーオの首を締め上げた。急に首を絞められたカミーオは急な攻撃に目を白黒させている。

 

 

「ちょっとアンタ、アラス・ラムスが怪我したらどうしてくれるのよ?ソテーにして、明日のカレーに突っ込むわよ?」

 

 

 

「ぴ、ぴぃぃ!!?」

 

 

「ゆ、遊佐さん、落ち着いて下さい!」

 

 

「そうですよ、それに野鳥はソテーにしても、カレーには入れられないです。美味しくないですし」

 

 

「イッセー君、今は論点が違うよ……」

 

 

 

千穂さんが遊佐さんを止めに入って、俺が軽い冗談言ったら木場に注意された。

 

 

 

 

 

 

というか、カミーオが早く要件を話さないから、こうなってるんだろ!早く話せよ!

 




テッテレー♪カミーオが九官鳥から黒鶏に進化した。

おいしさが5上がった。



はい、ってなわけで話の続きは次回に持ち越しです。


ではでは。
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