ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】 作:メラニン
時系列は原作4巻後
では、どうぞ!
―― 一誠side
さて、皆さんコンニチハ。
あの異世界旅行から少し経った昼下がり。駒王学園は夏休みで、毎日真夏の太陽がジリジリ肌を焼く。そんな日に俺は自宅の庭で一本の黒い棒状の物体と睨めっこをしていた。休日なので、結構ラフな私服で過ごしている今日この頃。
で、俺が睨めっこをしているのは、異世界旅行騒動の発端となった妖精さん作の『りもこんわーぷくん』なる装置だ。取り敢えずオリジン達との約束通り、コレは廃棄する事に。因みに妖精さん達は既に自分達が作ったこのトンデモ装置の事は綺麗スッパリ忘れておりました。
まぁ、って事は壊し方が分からない訳でして………
何せこの装置、ネジや接合部分が見当たらず中を確認する方法が無いときた。じゃあ、『
そんな訳で、何か妙案が浮かばないもんかと、考え込んでいる。因みに部長と朱乃さんは冥界でなんかの会合の準備だとかで居ない。教会トリオ+ミラは桐生主催の女子会なるものに参加してくるらしい。黒歌は散歩して来ると言って朝早くに出て行った。小猫ちゃんはギャスパーと木場と待ち合わせてどっかに出かけた。父さんと兄さんはいつも通り仕事で出かけて、母さんは何かの準備があるとかで出かけて行った。
まぁ、ってなわけで例によって家には俺一人のみの状態だ。さて、どうしたもんか……
「イッセー、ドーナツ貰いに来た」
「………相変わらず音も無く現れるな、お前は」
不意に後ろから声がすると思ったら、そこに居たのはオーフィスだ。
「邪魔だった?」
「いや、そんな事ないよ。丁度行き詰まってたし、お茶にしようか」
申し訳なさそうにするオーフィスの頭をポンポンと撫でてから、ワープ装置を持って窓を開けて、そこから家の中にオーフィスを招き入れる。
「じゃあ、今お茶とお菓子持って来るから大人しく待ってろよ?」
「ん、りょーかい」
オーフィスは椅子に腰掛けて足をプラプラさせて待機中だ。さて、一応作り置きしてあったのがある筈。
取り敢えずお菓子はそれでいいとして、後はお茶か。紅茶の方がいいか?
「イッセー、我、テレビ見たい」
「ああ、いいぞー………あ」
メキ……
「む、ごめん、イッセー。強く押しすぎた」
「オ、オオオーフィス?その手に持ってるのは?」
「……リモコン?」
俺とオーフィスは空間の捩れに巻き込まれた。昨日の今日でまたかよ………
――side out
――??side
「「「「「「待てーー!!」」」」」」
「「「待てって言われて待つ奴が居るかっ!!」」」
クッソーー!あとチョイで、桃源郷が拝めたってのに!!まさか、外に罠が仕掛けられてるとは!
「ぜぇ……ぜぇ……」
「大丈夫か、元浜!?」
「ぜぇ……くそ、僕はもうダメだ!だが、データはここに入っている。せめて、これだけでも……」
「「元浜……」」
「松田、イッセー!俺の屍を越えていけ!」
「「わ、分かったぜ!お前の死は無駄にはしない!」」
「ああ……頼ん……だ」
元浜は遂に力尽きて、竹刀を持った女子数名に取り囲まれて見えなくなった。くっ、元浜、お前の勇気無駄にはしないぜ!
「はぁ、はぁ……イッセー、最近お前、俺より体力あるんじゃないか?」
「そんな事より、逃げる事を考えるんだ、松田!そこの体育倉庫の角を曲がれば――」
「危なーーい!そこを退けーー!!」
「「へ?」」
振り向いた俺の目に映ったのは野郎の足裏だった。
――side out
―― 一誠side
「あーー………なんかゴメン。踏みつけちゃって」
「ふぁふぁっへるはら、そほをほげーー!」
「あー、はいはい」
はぁ、また使っちまった。いや、今回は事故だけど。
取り敢えず、またランダムに飛ばされたらしく、3mくらい上空に出た。で、急いで一緒に居たオーフィスを小脇に抱えて着地しようと思ったら、運悪く着地予想地点に割り込んできた男子2人がいて、そいつらを踏みつけてしまった訳だ。
足を退かしてみると、片方は見知った人物だった。坊主頭の松田だ。まぁ、気絶してるけど。
もう片方のヤツは知らないな。茶髪に駒王学園の制服。うーん、何だか見覚えのある気も……
「もう逃がさないわよ!変態三人組の残り2人!」
「とっとと、捕まりなさい!」
「げぇっ!?」
少年の方が悲鳴を上げる。逃げようとしたので、何となく首根っこを掴んで逃げられないようにした。
「ぐぇ!?な、何すんだ!?」
「あ、いや、何となく?」
少年の方はジタバタ暴れて、手を振りほどいて逃げようとするが、それは無理だ。身体能力のスペックが悪魔と人間じゃ違うしな。
「ナイス!そこの男子!」
「そいつをコッチに渡して!」
「えーっと、コイツが何かしたんですか?」
急に現れた道着姿の女子軍団が殺気立っていたので、取り敢えず事情を聞こうとして振り向く。で、事情を聞くとどうやら覗きの被害に遭ったらしくて、その犯人を追っかけてたとのこと。そうか、じゃあコイツ現行犯逮捕じゃないか。よし、引き渡そう。
「事情は分かりました。じゃあ、コイツが悪いですね。はいどうぞ」
「ま、ままま待て!同じ男子を裏切るのか!?」
「一緒にするな。俺は覗きなんかしない」
「クッソーー!男の敵めー!!」
「女の敵になるよりマシだ」
女を敵に回すといかに厄介かは身を持って知っているからな。それに相手取るなら男の方が気楽だ。殴っても罪悪感少ないから。
取り敢えず俺はそのまま、手に持った男子を引き渡すと、そいつはズルズル女子数名に引き摺られていった。気絶している松田も同様だ。
っと、そうだ。一応聞いとかないと。今いた女子集団数名の内の一人を呼び止めた。
「あの、すいません」
「は、はいっ!?な、なんですか!?」
そんなに驚かなくても………
「ここって何処ですか?」
「え、こ、此処ですか?駒王学園の新校舎の近くですよ。コッチは体育倉庫で隠れてて見えないですけど、コッチに出ると……………ほら、アレが新校舎です」
あー、なるほど。じゃあ、今回はそんな遠くに飛ばされなかったんだな。
「どうもありがとう。助かったよ」
「い、いえ!!これくらい、大した事じゃないですから!え、えと……わ、私は失礼します!」
大きくお辞儀をすると、ピューっと駆けて女子の一団に戻っていった。何もあんな風に逃げるように去らなくたって………
ちょっと傷つく………
「イッセー、ドーナツは?」
………龍神様はマイペースですね。
「まぁ、待ってろよ。オーフィス、そのリモコン貸してくれるか?」
「ん」
俺はオーフィスからリモコンを受け取ると、『きかん』と書かれたボタンを押す。
…………反応がない。あれ?
俺はリモコンから電池を取り出して確認するが、しっかり嵌まっているし問題ないはず。と言うことは、電池が必要量まで充電できていないって事だ。うーん、けど何でそもそも転移できたんだ?異世界から帰還してから充電はしていない。行きと帰りで消費量が違うのか?そうすると、辻褄は合うか。ってか、正常に作動するかな…
まぁ、けどここって駒王学園だから最悪歩いて帰ればいいか。けど、今裸足なんだよなぁ………
あ、旧校舎の部室に予備のサンダルとかが置いてあったはず。それを履いて帰るか。白昼堂々と『
「しょうがない。オーフィス、少し寄り道するけどいいか?」
「む、イッセーのドーナツ、食べれるなら、問題ない」
取り敢えず俺はオーフィスを背中に背負って、旧校舎の部室を目指すことに。旧校舎に近づく一般生徒はあまり居ないから、裸足でも目立たないだろ。
そして旧校舎に着いて、部室の扉を開けるとオカ研メンバーが全員そこに居た!いや、黒歌とイリナが居ないから、全員じゃないか。居るのは部長と、朱乃さん、木場、アーシア、ゼノヴィア、ギャスパー、小猫ちゃんだ。全員が目を丸くして、少し驚いたような表情をしている。
「あれ部長、何でここに居るんですか?確か何かの会合の準備とかで一回冥界に朱乃さんと一緒に帰ったんじゃ?」
俺がそう言った瞬間に場に緊張が走る。そして木場が口を開いた。
「君は一体誰だい?冥界って言葉を口にしたあたり、一般人ではないみたいだけど」
え?
「そうね、一体どこのどなたかしら?そもそも、貴方ここの生徒?見た所私服みたいだけれど……」
「うぅ……また知らない人ですぅ」
「……え、な、何言ってんですか。俺ですよ、兵藤一誠です」
「「「「「………はい?」」」」」
あれ?何で、何言ってんだコイツ、みたいな反応なんです?あるぇ?
「あー、酷い目にあった………聞いてくださいよ、部長。なんか見ず知らずの奴に顔を――うん?」
後ろから入って来たのは先ほど俺が顔を踏みつけた男子だ。所々が赤く腫れてるところを見る限り、女子に袋叩きにあった様だ。
そこで、俺の左手から宝玉だけが現れて声が響く。
『………主、言い難いのだが、また飛ばされたようだ。異世界に。そして、そこの少年からはドライグの力を感じる』
急に現れた宝玉に全員がビックリしていたが、俺はその後に起こったことに驚いた。なんと、急に男子の方の左手に『
それに呼応する様に俺の左手にも現れた!
「「「「「「……え!?」」」」」」
――○●○――
さて、状況を整理した結果、俺は再び飛ばされたようだ。しかも、俺のいた世界とほぼ同じ世界に。所謂パラレルワールドというヤツだ。まぁ、エレンピオスの方でも分史世界がこんなのだったから、別段今は落ち着いているんだけど。どうやらさっき女子に追っかけられてた男子がこの世界における『兵藤一誠』らしい。で、アザゼル……先生も合流して俺の事情聴取が始まった。
あとこの世界でもオカ研メンバーは大体皆同じみたいだ。メンバーが若干違うのは平行世界だからかな?まぁ、ややっこしくなるだろうから、深く聞かないでおこう。
「で、情報をまとめると、貴方は違う世界のイッセーで、赤龍帝なのね?」
「はい、そうですね」
「で、その妙なリモコンでこの世界に来たと」
「ええ」
「…………はぁ、まったく、近頃はいろんな事が起きて退屈しないわね」
嘆息しつつ、頭を抱える部長。あー、この世界でも頭を悩ませる事は多いんだなぁ。
「で、さっきから貴方の膝に座っている女の子は誰かしら?」
………言っていいのか?いや、まぁ異世界だしいいか。
「『
「む、我、オーフィス」
「「「「「「なっ!?」」」」」」
おー、予想以上のリアクション。
「お、おま、おまお前、何でそんなラスボスキャラを、膝に座らせて平然としてんだよ!?」
「え、だって、コイツ力が強いだけで、基本的にコッチが何もしなけりゃ、何もして来ないっていう以外と無害なドラゴンだぞ?」
「………異世界とはいえ、一応オーフィスに聞いておきたいのだけど……貴方、やっぱり『
「え!?」
今の発言に驚いたのは俺だ!え、初耳なんですけど!?だって、コッチじゃなるべく『禍の団』との戦いに巻き込まれないようにって事で情報が降りてこないから。
「肯定。一応、『
は、ははは……これまた衝撃の事実。と、そこで今度はアザゼルが話しかけてきた。あ、アザゼル先生か。
「あー、どうやらそっちの世界の赤龍帝は何も知らなかったみたいだな」
「あ、あははは……はい、初耳でした」
「ったく、今まで知らずにそんな大物と付き合ってたのか。で、一体どうやってそいつを膝に座らせる様に手懐けたんだ?」
「いや、手懐けるというか……」
「我、イッセーの作るドーナツ、所望」
「………なるほど、餌付けしたのか。『無限の龍神』に餌付けした悪魔って事で歴史に名が残るな」
「…………以前、俺の中にいるドラゴンにも言われましたよ……」
当のオーフィスは俺の膝上が気に入ったのか、足をパタパタ動かして満足しているご様子。
「あー、一つ気になってた事聞いていいか?」
「ああ、はい。何ですか?」
「お前の中からは複数のドラゴンの力を感じるんだが、気のせいか?」
あー、しまった。これはバレたく無かったんだけど……
「えっと……」
「おいおい、ここは素直に答えておけよ。お前の帰還手段であるリモコンの電池は俺が握ってるんだからよ」
「ぐ……痛いところを」
実は事情を話した時に充電器が無かったので、コッチの世界のアザゼル先生が解析して、充電器を突貫で作ってくれるって言ったんだ。ってなワケで俺の手元にはあの電池がない。異世界故に妖精さんも召喚できないし。召喚しておいて、一緒に対処すべきだったな……
「あー、五頭ほどおりますね」
「ご、五頭!?俺なんか、ドライグ一匹だけなのに……一体どうなってるんだ!?」
そこで、アザゼル先生の目がキラキラした小学生の様な目に変わった。だから、嫌だったんだよ!!
「おい、もしかして、お前五種類の
「ええっとぉ………まぁ、はい……」
「今すぐ調べさせてくれ!!」
「イヤです!!」
ほら来た!
「何だよ、ちょっとくらいイイじゃねえかよ!な、少しだけ!すこーし、調べるだけだからよ!」
「絶対にイヤですよ!あんたそう言ってやり過ぎるタイプですもん!気が付いたら解剖までされてるってレベルまで調べられそうなので、イヤです!」
「ちっ、妙に勘が鋭いな」
おい、マジだったのか、この堕天使の親玉!
「む、アザゼル、イッセーに手を出す、許さない。滅殺、望む?」
「あー、はいはい。龍神様の加護がくっ付いてるなら、手を出さねえよ。ったく厄介なモンだな、龍神様はよ」
アザゼル先生は両手を挙げて首を振ると、もう興味が無いと言わんばかりに、椅子に腰掛けて窓の外を眺め始めてしまった。
「……それにしても、コッチのイッセー先輩とは性格も大違いです」
「そう言えば、そうだね。顔はちょっと近いような?けど髪色は全然違うし、それにコッチのイッセー君は結構エッチなのに別世界の方のイッセー君はそんな感じがしないね」
あー、ややっこしいな。うーん、別名名乗るか。ここだったら問題無いだろ。いいか、オリジン?
『うん、まぁ、この世界限定でいいよ。ゲームのキャラ名って事にしておけば?』
そうだな。
「ややっこしいから、俺の事は……うーん、ルドガーって呼んでくれ」
「ルドガー?」
「ああ、ゲームのキャラ名だ。で、えっと、性格が違うって………え?エッチって何?あ、そう言えばさっき、女子の集団から変態三人組って………え、まさか」
「えっと、実はそうなんだ。彼はその……性欲が強いらしくて……」
「変態三人組認定されていると」
「うっ、な、何だよ、コンチクショーー!そもそも、別世界の俺だっていうのに、何でそんな風なんだよ!?もっと、アグレッシブに行こうぜ!?」
「その結果がお前じゃあなぁ……」
「う、うるせい!」
「私としては、エッチな先輩よりこっちの先輩の方が安心できます」
「そ、そりゃヒドイぜ、小猫ちゃん……」
「確かに普段より紳士的なイッセー君も素敵ですけど、私はこっちの野性味溢れる感じも好きですわ」
「あ、朱乃さん……」
「うむ、私としてもコッチのイッセーの方がいいな。隙あらば子作りできそうだし」
あー、ゼノヴィアはコッチの世界でもこんな風なんだ……
「お、そうだ!おい、異世界のイッセー!あー……ルドガー?でいいのか?じゃあ、ルドガー。お前イッセーと模擬戦やってみてくれよ」
今まで詰まらなさそうにしていたアザゼルが急に口を開いた。
「えー、ヤですよ。好き好んで戦いたいとは思いません」
「電池」
「………やらせていただきます」
こんのクソ総督!!悪どいよ、俺の方も大概だったけど、コッチも同じだよ!
「ってワケだ。イッセー、いいな?」
「ええぇぇ!?何でッスか!?戦う理由が分かりません!」
「お前の鍛錬になる。理由はこれで十分だろ?それに異世界の自分の実力を知りたくないか?」
まぁ、少し語弊があるけどな。確かに俺は『兵藤一誠』だけど、その前は『ルドガー・ウィル・クルスニク』だから、同じ存在として扱っていいもんかどうか……
「えー………でも、何だか気乗りしねえッス」
「ち、最近の若いモンは!じゃあ、勝ったら堕天使の美人の姉ちゃん紹介してやるよ。どうだ?前にも言ったが、堕天使の女はエロいからそのまま、卒業だって出来ち――」
「やります!おおっしゃあぁぁ!!異世界の俺!いや、ルドガー!絶対に勝ってやるぜ!!」
………こんなのが俺と同一の存在だなんて絶っっっっっっっ対に認めない!!
――○●○――
さて、俺とオーフィス+異世界のオカ研メンバーは校庭に出て、アザゼル先生が結界を張って周囲に被害が出ない様にして模擬戦を行う事に。
何でこうなったか?
コッチの世界の俺(認めたくないが)が、アザゼル先生の口車に乗せられて、俺はワープ装置の電池を盾に取られて言う事を聞くハメに。
まぁ、腐っても一組織のトップだし、取引で嘘を吐くほどショッパイ事はしないだろう。まぁ、それよりもあの人の本当の目的は別にある。今回俺は『赤龍帝の籠手』を使用禁止されてしまった。つまり、俺の他の
まぁ、『赤龍帝の籠手』を使えなくても俺の手札は多いから問題ない……と思う。
それにしても自分の能力を敵に回すのか。結構キツイかも。
さて、向こうは準備万端とばかりに、『赤龍帝の籠手』を発現してスタンバイしている。まぁ、やるからには勝とう。さて、と。
「行くぞ、レディオン」
『……了解だ、主』
俺も『
「ほぉ、そいつがお前の
「イヤでーす」
「ちっ」
本当に懲りないなこの人。
「あー、じゃあ両者準備はいいか?」
「はい」
「ウッス!」
俺は槍を低く構えて、直ぐに飛び出せるようにする。向こうは……一応あれが構えなのか?隙だらけに感じるが……
まぁ、いい。とにかく『赤龍帝の籠手』の弱点を突こう。そのための今の構えだ。
「よし、じゃあ始め!」
『Kresnik!』
「へ――ゴフゥ!」
「おらぁ!!」
俺は相手の目の前に転移してその瞬間に、槍の刃の部分を当てないように、横薙ぎに槍の一撃を鳩尾あたりに入れた。そして、その勢いのまま振り抜いて吹き飛ばす!『赤龍帝の籠手』の弱点……それは一回の倍加に10秒もロスしてしまう事だ。それが分かってるなら倒すのは簡単だ。倍加される前に勝てばいい。実際父さんや兄さん相手だと、この手で何度もやられた事があるし。
「まだまだ行くぞっ!」
『Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik! Kresnik!』
連続で転移を繰り返しイッセーの周りを転移しては一撃入れるのを繰り返す!コレやると力の消耗が激しいけど、一気にカタをつけるには持ってこいだ!
時たまガードされるが、そのガードの反応も鈍くなる。そして、最後に打ち上げて、上から槍を振り下ろす!
「そこまで!」
アザゼル先生の制止の声が掛かり、ピタっと槍の一撃を寸止めする。
「イッセー!無事!?」
「イ、イッセーさん!」
うん、何だか部長たちがアッチに駆け寄る姿はちょっと複雑。この世界のアーシアが『聖母の微笑』で回復を始める。
「ふぅ………流石にさっきの戦い方は疲れるな」
「おー、おー、凄えなその神器。コッチのイッセーが瞬殺かよ。今のを見る限りじゃ、能力は『転移』か?」
「あー、惜しいですね。『空間』です。だから、異空間を創ったりとか空間自体を弄ったりが真骨頂です。さっきのは対象物との空間をコントロールして転移とかやって、早目に終わらせました。あまり時間を掛けて戦うと『赤龍帝の籠手』の特性上、アッチの方がドンドン強くなって対処し難くなりますから」
「なるほどな。力が割れてる分幾らでも対処出来たってわけだ。イッセー、いい勉強になっただろ?」
アーシアの回復を掛けてもらいつつ、イッセーが立ち上がって口を開く。
「くぅ〜〜……効いた。はぁ……手も足も出なかった」
「あー………まぁ、相性の問題だよ。今回はワザとそういう戦い方をした訳だし。それに『赤龍帝の籠手』の能力を知ってたから幾らでも対処法があった。まぁ、それでももし途中で
「へ?
「え、うん。
「「「「「…………………」」」」」
沈黙が流れる。あれ、まさか………
「えっと、もしかしてまだ至っていない?」
「う、うるせい!い、一応発動させた事はあるわっ!」
「………じゃあ、何で使わなかった?」
「え、えーっと、それは……」
視線を逸らして言い淀むこの世界のイッセー。ん?けど、発動させた事があるってんなら、至ってるんだよな?あれ?
そこで、槍の宝玉から声が響く。
『相棒、実はな……至らずとも限定的ではあるが禁手を発動させる事は出来る。まぁ、かなりの邪法ゆえ、相棒に勧めた事は無かったがな』
『当たり前です!もしドライグがその様な邪法を主様に勧めようものなら、私がドライグを殺します!』
テミス、物騒な事を言わないで。
「………その邪法って?」
『……取引する事だ。そこに居るこの世界の兵藤一誠はこの世界の俺と取引したんだろうさ。実際そいつの左腕はドラゴンの腕になっている』
≪その通りだ、異世界の俺。こうして、異世界の自分に話しかけるのは可笑しな気分だな≫
「…………左腕を犠牲にしたのか?」
「ああ、ライザーって知ってるか?」
「ああ、戦ったことあるし。一応勝ったけど……」
「そっか。まぁ、俺は負けちまってさ。それでも部長を取り戻したくてって感じでな。それで一回発動できたんだ」
「そっか……後悔しなかったか?」
「何言ってんだ?部長が俺の腕一本で戻って来たんだぞ?後悔なんてある訳ないだろ?」
「イッセー……」
「ははは、そっか。愚問だったな。同じ条件だったら俺も同じ事をしただろうな」
「そっか………そうだよな!やっぱりお前も異世界の俺だ!お前も部長の為に頑張ったんだな!それに、悪いことばっかりじゃ無いんだぜ!?放っとくと、腕が元に戻っちまうんだが、そうならない様に朱乃さんにドラゴンの気を散らしてもらうんだけど、それがエロいのなんのって……ぐふふふ」
「…………ごめん、一瞬見直したけど、そこは共感できない」
「何でだよ!?男ならそこは共感しようぜ!?美少女のおっぱいに興味を持とうぜ!!」
「おっぱ――はい?」
俺の聞き間違いかな?いや、分かってますよ。聞き間違いなんかじゃないよな。
ははは、これが異世界の俺かぁ……頭痛い。
「ははは、相当困惑してるな、ルドガー。まぁ、そいつは歴代最弱の赤龍帝なんて各勢力から認識されてるんだが、だからこそ面白い進化の仕方をする。この前の和平の時なんか傑作だったぞ。ご主人様の乳が小さくなるって理由だけで歴代最強になるであろう、白龍皇に一撃かましたからな」
「え、それ本当ですか!?」
部長が顔を少し赤くして逸らすということは本当なんだろうな。え、マジでそんな風にパワーアップしたのか!?こいつの言う美少女のおっぱいで!?
「え、ちょっと待って。それについてお前のドライグは?」
《まぁ、それについては偶にはこんな相棒も良いだろうと諦めている》
あ、サイデスカ。
「まぁ、こんな感じにコッチじゃやってるってワケだ。参考になったか、ルドガー君?」
「何の参考ですか……」
「ま、コッチも大概だが、お前のその様子じゃ向こうのお前の周りの女も苦労してると思ってな。男なら偶にはがっつく位でいかねえと、その内愛想を尽かされるぜ?まぁ、その点においてコイツは優秀だが、最後の最後でヘタレる節があるからなぁ」
そう言って、イッセーの頭を小突く。イッセーはその手を振り払いつつ反撃し始めた。
「な、何すか、先生!?先生はそう言う割には、いつまでも未婚ですよね!やーい、未婚総督~!」
……ゴゴゴゴゴ
あーあ、俺知ーらね。
「ふふふ、イッセー。お前は言ってはならない事を言ったな……」
アザゼル先生からユラユラとオーラが立ち上る。そして、懐から何だか見覚えのある金色の槍状の物体を出してきた。
え゛…!?まさか……
「
カッと眩い閃光が走り、その中から有機的なフォルムの黄金色の鎧を纏った人物が出てきた。あー、あの人本気じゃないか?
あれって確か、『
「ふっふっふ!イッセー、覚悟しろ!!そりゃっ」
ドッカァァァン!!
……確かにあんなの喰らったら、旧とはいえ魔王の一角でも消滅するよ。
「うおっ!?あ、危ねえな!!おい、アンタそれでも教師か!?」
「教師だからだ!!夏休みの特訓の前に俺自身がお前らを特訓してやらぁっ!!」
そう言うと、イッセーに規格外の大きさの光の槍の雨が降る。
っていうか、今思ったけど、そんなんだから何時まで経っても未婚――
ドオォォン!!
「………おい、何で俺の方にまで投げるんだよ?」
俺の方にまで槍が飛んできた。危なっ!
「お前も、今俺に対して失礼な事を考えただろ?」
「ナンノコトデスカ?」
「もう、頭に来た!シェムハザや他の幹部共もすっかり所帯持って、落ち着きやがって!!それに、お前らはお前らで、色々ムカつくんじゃ!!まとめてボコボコにしてやる、ダブルイッセー!!」
「うおっと!おい、マジで俺の方も攻撃対象にしたな!?」
「当り前だ!!おらおら、避けねえと滅しちまうぞ!?」
相変わらず光の槍が降り注ぐ。くそ、こうなったら!
「おい、この世界のイッセー!!」
「ああ!?何だよ、ルドガー!」
「協力してあの未婚総督を倒すぞ!!」
「乗ったぜ、その話!部長!!」
「分かってるわ!イッセー、プロモーションの許可を与えるわ!」
「おっしゃあぁぁ!!プロモーション『
お、一気に力が膨れ上がった!じゃあ、俺も!
「
『Welsh Dragon Balance Breaker!!』
「『
「ははは、いいぞ!来い!」
『Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost!』
一気に倍加をして、力を高める!
そして、それをブースターに送り、加速して上空に飛び立つ!
「ははは!そんな一直線の突進じゃ槍の餌食だぞ!喰らえ!!」
『Kresnik!』
約20mギリギリだったが、何とか目の前に転移する事に成功した!決めるとしたらここだ!
『Over Explosion!』
「らぁっ!!」
「ぐ……おぉぉ!!」
ギィィン!!
俺の拳はアザゼルの槍に防がれる!くそ、何とか押し込んだが、途中力を逸らされて、大したダメージにはなっていない!
「ちっ、そういやさっきの槍を忘れてた、ぜっ!」
アザゼルは光の槍を大きめに振って俺から距離を取ろうとする。けど、俺に意識が集中しすぎたな!
「く……今だ!!」
「おう!ドラゴンショット!!」
何回分の倍加か分からないが、赤い閃光がアザゼル先生に迫る!アザゼル先生はそれを片手で受け止めようとする。
「は、イッセー。この程度の攻撃――」
「ここだ!『
『Transfer!』
何回も倍加した分の力をアザゼルが受け止めようとする魔力弾に譲渡する。その瞬間に魔力弾はトンデモナイ極太のレーザーの様になってアザゼルに迫る!
「な、しま――く、うおぉぉぉ!!」
避けきれなかったアザゼルはそれを真正面から受ける!閃光が止んだ所から出てきたのは鎧の所々がボロボロになったアザゼル先生だ。
あ、禁手が解けるみたいだ。
「く……時間切れか。だが、まだま――」
「イッセー、我、空腹。限界」
その場の空気が凍りついた。表情は相変わらずの無表情だけど、明らかにお怒りの龍神様が居た。あちゃー……
「カラス倒せば、帰れる?なら、我、協力する」
「いやいや、倒しちゃダメ!!電池がなきゃ帰れないからダメ!」
「むぅ……アザゼル。充電、まだ?」
首を傾げながら聞くオーフィスだが、あれはマジで空腹で機嫌が悪いって感じだ。アザゼル先生の方は冷や汗を流してる。
「い、いや、多分、あと一時間もすれば帰還に必要な量は貯まる。だから、落ち着け、オーフィス」
「むぅ……」
腹ペコな龍神様は納得していないご様子。もしかして俺が与え続けていた諸々の品で食事に目覚めた!?いや、まぁ気に入ってくれたのは嬉しいんだけど…
「あー、オーフィス。何でそんなに空腹になってるんだ?お前がそこまで不機嫌なのも珍しいしさ」
「我、イッセーのドーナツの為、二日前から、断食」
「「「「「えー…………」」」」」
こういう時どういうリアクションが正解なの!?ってか、二日前から断食!?尼さんにでもなるのか、お前は!!
「はぁ、しょうがない。分かったよ。帰ったらお前の気の済むまで食わせてやるから、勘弁しろ」
「食べ放題?」
「いや、うーん……分かったよ!食べ放題でいいよ!」
あ、不機嫌オーラの噴出が止まった。
「なら、我、イッセーのドーナツ追加、所望」
「ああ、分かったよ。つっても何個くらいだよ」
「……10kg?」
「………kgはドーナツの単位じゃねえよ」
――○●○――
「ほらよ。約束の電池だ」
「っと、はいどうも」
アザゼル先生の投げた電池を受け止めて礼を言う。オーフィスを宥めてから、校庭に空いた穴の修復を行って今は再び旧校舎に戻って来ていた。
「とにかく、それで帰れるんだろ?なら、とっとと帰っちまえ。俺も疲れたから帰るとするわ。じゃあな、異世界のイッセー………いや、ルドガー」
アザゼル先生は手をヒラヒラ振って転移していった。
「さて、じゃあ帰るとしますか」
「おう、またな。ルドガー!もし次会うような事があったら、今度は負けねえぜ!」
「はっはっは、お前も強くなるだろうけど、俺だって強くなるぞ?次も俺が勝ってやる」
「言ったな!?ゼッテー負けねえ!!」
どうやら、この世界のイッセーにとっては良い刺激剤になった様だ。よかったよかった。できれば、性格の方も……無理だな、多分。
「まぁ、初めは困惑したのだけど、異世界のイッセーの実力が知れて面白かったわ。私のイッセーもあなたと同じ――いいえ、あなたより強くしておくから覚悟なさい」
「うふふ、部長にとっても良い刺激になったようですわ。今度は私ともお手合わせをお願いいたしますわ」
「…私も今度はお願いします」
「僕もお願いしようかな?」
「うむ、私も異世界のイッセーがどれほどなのか今度は味わってみたいぞ」
「うぅ…何でみんなそんなにバトルマニアなんですか………僕は遠慮しますぅ」
「ははは……まぁ、本来は会うべきでは無いんでしょうけど、その時は望むところです。じゃあ、また!」
「む、さらば」
俺とオーフィスは異世界から帰還した。
その後、『りもこんわーぷくん』はオーフィスが宙に投げてそれを極太の光線を放って分子レベルで消滅させてくれた。そんなので、良かったのか……
そして、俺はキッチンで格闘を繰り広げて、オーフィスが帰るころには疲れ果ててソファでぐったりなってしまった。本当にドーナツ10kgを作りましたよ、ええ。おかげで、俺の服や体からは砂糖やら、バニラエッセンスやらチョコやらの甘い匂いが染み付いてしまった。
そして帰ってきた住人に心配されたのはまた別の話。
あ、オーフィスに『禍の団』について聞くのを忘れた。まぁ、いっか。また今度で。
それよりも今は眠――
「さ、イッセー準備して。明朝には出発よ」
………忘れてた。俺は明日から冥界に行くんだった……
また、忙しそうな夏休みになりそうだなぁ。
はい、ってなわけで、原作とのクロス第一弾でした!(第二弾はまたいずれ)
今回の話はまだドライグが病んでしまう前ですね。
アニメでマダオボイスでドライグが号泣してる場面は爆笑しました。ははは!
さて、次回からはようやく原作第5巻ですね。色々とパワーアップだとか修行とか考えてます。
あと、眷属の方でご意見を下さった方々ありがとうございます。参考にさせていただきます。実は少ーーーしは決まってるんですよねー…
まぁ、その辺はお楽しみという事で!
ではでは!