ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】 作:メラニン
さて、今回は取り敢えず修行回。(と+α)基本は変わらずって感じですかね。
取り敢えずどうぞ!
―― 一誠side
チュドオォォォン!!
「く……オラァ!!」
「はっはっはっは!どうした!?もう、息が上がったか?」
「ま、まだまだあぁぁ!!」
皆さんどうもコンニチハ。俺、兵藤一誠は現在、元龍王だというタンニーンというドラゴンとガチの殴り合いをしています。けど、如何せんサイズ差と質量の差があり過ぎてダメージを大して与えられていない。何せ、このドラゴンのおっさんは拳の大きさが俺の背丈よりも大きい。そんなサイズのドラゴンが放つ一撃なんだから、一撃ごとに突風が起こり、地面に拳が当たろうものなら、その度にクレーターができるという、愉快な事になっている。
実際にもう修行を開始して2時間になるが、たったそれだけの時間で見渡す限りの森は消え去った。究極の自然破壊だ!!って言ったら、冥界の植物は生命力が半端じゃないらしく、数日中には元に戻るという。
逞しいな、冥界の植物……
「はっはっは!そらそら、避けなければ死ぬぞ!!」
ドォン、ドォン、ドォン、ドォォォン!!
連続で火球を放ってくるタンニーン。流石はその一撃が隕石に匹敵すると言われただけはある。拳の一撃よりも遥かにデカいクレーターがバンバン量産されている。その攻撃を俺は走ったり、身を捩ったりしながら避け続ける!
「うおっ!?い、今掠ったぞ!!本当に殺す気か!?」
「何を言う!ドラゴンの修業とは元来そういうものだ!実戦形式で行い、死線すれすれまで追い込んでこそ、強くなれる!さぁ、分かったらまだまだ行くぞ!!」
「ぐ……しょうがない!
『Welsh Dragon Brance Brealer!!』
「『
「はっはっは!本当にドライグのドラゴンの気が濃くなった!いいぞ、掛かってこい!兵藤一誠!!」
「上等!」
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』
「「うおぉぉぉ!!」」
一気に倍加をして高めた力で突っ込み、互いの拳がぶつかった瞬間に周囲の地面が抉れた。
――○●○――
パチパチ…………
「いてて………腕折れるかと思った」
「はっはっは、俺の方も拳が砕けるかと思ったぞ!こんなに楽しい戦いは久方ぶりだった」
山間の少し開けた空間で焚き火を囲んでタンニーンのおっさんと話していた。因みに夕食はシンプルに川魚の塩焼きだ。近くに川と滝があり、滝を天然のシャワーとして、体を洗って服を乾かしてる間に、寄ってきた魚を横から叩く様にしてハンティングした。気分はヒグマ。それを、異空間に収納している調味料で味付けして焼いた。
え?お菓子は無いのか?冥界に出立する前日にオーフィスが綺麗に平らげていきました。ってな訳で、文字通り絶賛サバイバル中な訳だ。
「俺は楽しむ余裕なんかは無かった」
「まぁ、当たり前だな。そういう風にしていたのだしな。このレベルならば数日様子を見た後に、お前の中にいるというドラゴン達に協力してもらうとしよう…………いや、ドラゴンもどきと言うべきか?」
「………どういう意味だ?」
「隠さんでも分かる。アザゼル達は誤魔化せている様だが、俺が何年ドラゴンをやってると思っているのだ?オーラなどはドラゴンのそれだが、そこに何か別の物が混じった様に感じてな」
「ははは………さすがは元龍王」
『タンニーンよ、済まないがこの事は――』
「分かっている。他言するつもりは無い。しかし、話しておいてはくれないか?お前が一体『何者』なのかを。少しでも事情を知っている味方を増やしておくべきだと思うが?」
「…………」
言ってる事は分かる。けど、こればかりは言う訳には――
『相棒、このタンニーンは信用できる。話しておいても良いのではないか?オリジン達も良いな?流石にまだ若い2人だけで共有するには重すぎる秘密だ。1人でも本当の意味で理解者、もしくは協力者がいた方が得策と思うが?』
『………このタンニーンは全てを話すだけの信頼が置けるって事?』
『ああ、俺が保証する。コイツは頑固なところはあるが、それ故口が硬いし義理堅いドラゴンだ』
『悪いが、貴様の太鼓判があっても簡単に同意する訳にはいかんな。情報が漏れるのは好ましくないのでな』
『…………俺は主の判断に従おう』
『私は話しても良いかと思います。不本意ながら、ドライグと同じ事を考えていましたし』
「ふむ。つまり、2匹が賛成、2匹が反対、1匹が中立という訳か。では、兵藤一誠。お前はどうだ?」
「…………正直決めかねてる。話していいもんかどうか。元来であれば話さないってのがオリジン達との約束なんだ」
「だが、各勢力のトップクラスには一部勘付いている者も居るのではないか?アザゼルがそんな事を匂わせる様に言っていたぞ?」
「………あのクソ総督」
「まぁ、そう言うな。アザゼルはアレで世界の事を色々と憂いているのだ」
「あの
「………言いたい事は分かる。だが事実だ。それに、アザゼルは普段はアレだが、自分の周囲の存在くらいは守ろうとする男だ。だからこそ、あいつからお前の抱える問題の相談に乗ってやってくれと頼まれたのだからな」
「………………」
え、え〜〜………
何だろう、普段のあの総督様からは想像もできない気遣いなんですけど?
「それに、お前と俺はよく似ている」
「へ?俺とタンニーンがか?」
「ああ、お前の目は何かを背負ってきた者の目だ。俺もある種族のドラゴンの未来を背負っている」
「ある種族?」
「ああ。ドラゴンアップルという果実を聞いた事はあるか?」
「いや、無いな」
「だろうな。既に人間界では育たなくなってしまった果物だ。それを主食とする偏屈なドラゴン達が居てな。当時は人間界からそのドラゴンアップルが無くなったとあって、騒ぎになったものだ。何せ、そのドラゴン達は食べるものが無いのだ。それで、俺は冥界に目をつけた」
「もしかして、『元』龍王って呼ばれてるのって………」
「ああ、そうだ。冥界にはそのドラゴンアップルが育つ土地がまだあったのだ。それを知った時は心が躍ったよ。そして、ある悪魔の眷属となる事でその土地の所有を認められる様になった。そして、今もその土地で研究を進めていて、ようやく量産にも成功した。これで、そのドラゴン達が飢えて滅びる事は無い」
「つまりタンニーンは――」
「ああ、見た目こそドラゴンだが、実際は悪魔だ。お前を人型悪魔とするなら、俺はドラゴン型悪魔だな」
「それで龍王の座を降りたってわけか………一つ聞きたいんだけどさ。タンニーンは後か――いや、やめとこう」
「ははは、そうだな。それを聞くのは無意味だ。結局は本人次第なのだからな」
『だから言っただろう、相棒?コイツは信用できる』
つまり、このタンニーンというドラゴンは龍王という地位を捨ててでも、そのドラゴン達を救う事を選んだ。そういう『選択』をしたんだ。既に行った『選択』の意味を問うなんて事はするだけ野暮だろう。俺はふと『俺』が『俺』で無かった頃を重ね合わせてしまう。
このドラゴンになら――
俺は側にあった枝を弄りながら口を開く。
「…………ちょっと、長くなるよ?」
「ああ、構わん」
「それと――」
「分かっている。他言などはしない。約束しよう」
タンニーンはそのギョロッとした大きな瞳で俺を見据えながら耳を傾けた。俺は話す決心をして、弄っていた枝を焚き火に放り投げて火が消えない様にする。
「ふぅ〜………俺は――いや、ドライグ以外の俺たちはさっき言った通り、文字通り別物なんだ。この世界にとっては異物といっても差し支え無いかもしれない。確かに俺は『兵藤一誠』だ。けど、『兵藤一誠』である前に、もう一つ持ってるんだ。名前を」
「………その名とは?」
「ルドガー…………『ルドガー・ウィル・クルスニク』だ」
――○●○――
それから俺は抱えていた秘密を明かした。俺が元は別世界の住人である事。なぜ今この世界に居るのか。俺の中に存在するドラゴン達の正体。『審判』のこと。共に旅した仲間達のこと。そして、俺が元の世界で何をしたのか。
一通り話し終えて、川から汲んで煮沸した白湯をチビチビ飲みながら、一息ついた。
「って、訳なんだ。えーと、分かった?」
「………つまり、お前の世界ではその分史世界とやらが増殖すると世界に悪影響が出るために、それらを壊し続けて、最終的にその審判とやらでお前は死んだのだな?」
「まぁ、ざっくりまとめると、そんな感じ」
タンニーンはそこで黙ってしまった。まぁ、こんな突飛な話を信じろっていう方が無理だろ。そもそも本来であれば異世界の事は知るべき事じゃ無いからな。別世界同士の接触はメリットも大きいがそれと同じくらいリスクやデメリットもある。エレンピオスとリーゼ・マクシアなんかが良い例だ。実際にその2つの存在の融和政策に反対して過激なテロ行為も起こってたし。まぁ、多分テロ組織であったアルクノアは向こうじゃ、ほぼ壊滅してるだろうけど。未だに残ってるなんて事になったら、さすがに俺も心配だ………………あれ、どうしよ、不安になってきた。
「ん?少し待て。その分史世界というのも、世界である事には変わりないのだったな?では、そこに居た住人は………」
「…………」
俺は無言のまま、首を横に振る。
『世界を壊す』
言葉にしてしまえば、何ともチープな様に聞こえるが実際はそんな生易しいものじゃない。俺がやったのは文字通り『世界を壊す』という事だ。当然そこに居た住人は………
「………そうか。いくら、仮初めの世界とはいえ、世界を壊せばそうだろうな。これがお前の抱えていた秘密か、兵藤一誠――いや、ルドガー・ウィル・クルスニク」
「もう、後者の名前の奴は存在しない。俺は今は『兵藤一誠』だ。だから、今まで通り呼んでくれ。それに、未練が無いって言ったら嘘になるけど、今の生活は気に入ってる。だからこそ、これからも俺は兵藤一誠って呼ばれていたいし、そうでありたいと願ってる」
「………分かった。さ、今日はもう寝ろ。明日はまた早いぞ」
「そうだな。俺も初日で疲れたからそうさせてもらう。お休み、タンニーン」
俺は焚き火を砂で消して意識を眠りの中に落とした。
――side out
――タンニーンside
「………ドライグ、起きているか?」
『何だ、タンニーン』
兵藤一誠の意識が無いのを確認した後、俺は旧友の宿る宝玉に話し掛けた。相変わらずの声に呆れながらも、多少の変化に気付いた。
「兵藤一誠の事だ。今代の宿主にやけに肩入れしてると思えば、あの様な事を抱えていたとはな。しかし、いいのか?」
『何がだ?』
「そういった物を抱えた宿主は代々碌な生き方をしなかっただろう?」
『だからこそ、お前に相棒の鍛錬を任せている。おそらく、アザゼルも同じ考えなんだろうよ。俺としても、相棒にはできる限り真っ当な人生を歩んで欲しいとは思う。力に溺れた者の末路は目も当てられんからな』
「まぁ、そこは任されよう。お前が頼み込むというのは珍しいからな。それにさっきの話で新種の神滅具という謎も分かった。アザゼルが聞いたら喜びそうな話だがな」
『………タンニーン?』
「そう怖い声を出すな、オリジンとやら。分かっている。俺も先程の話を聞いて何も思わなかった訳ではない。当然他言無用にする」
『ふん、当然だ。もし、口を滑らせ様ものなら我らが直接滅しにいくぞ』
「分かっている。さて、俺も明日のためにもう寝る。数日後にはドライグ以外にも手伝ってもらうぞ」
返答は返って来ずに、そのまま宝玉は消えた。やれやれ、不安は残るが今心配しても始まるまい。俺はそのまま目を閉じ、眠りについた。
――side out
―― 一誠side
「さて、では始めるぞ?」
「………お手柔らかに」
さて、昨日の秘密を打ち明けてから一夜明けて、軽く朝食を摂った後に早速修行開始となった。今日も昨日に引き続きタンニーンとガチの組手からスタートだ。
因みに俺は既に『
「では、いくぞ!兵藤一誠!」
「おう!」
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』
倍加を重ねて身体能力を上げ、ブースターの加速で一気に距離を詰めつつ、魔力を掌に集中させる。
「掌底波!」
ど真ん中に一撃を見舞う。昨日の戦った感じだと、やっぱりドラゴンの鱗は硬い。だから、衝撃を通しやすい掌底波を選択して打ち込んだんだが……
「ぐ………なるほど。昨日の一戦から学習したか。だが、まだ甘い!」
「くっ!」
やっぱり少し痛がるくらいで余り効いてないか。
横殴りにしようと迫ってきた巨大な拳を避けつつ、上昇し冷気を纏って一気に急降下する。
「砕氷刃!日柳!」
冷気を纏った一撃の後に、アッパーを繰り出し、踵落としの要領で蹴りの一撃を放つ!一撃でダメでも連撃ならっ!
俺はダメ押しとばかりに掌に球場の魔力を計5個生み出して、先程の攻撃が命中した部分に打ち込む!
「烈波乱掌!」
ドドドドドン!!
ほぼ同時に赤い魔力の球体が弾けて、波状攻撃を生みタンニーンを僅かに後退させる。
「………なるほど。連撃によって畳み掛けるように攻撃してきたな。では、次はコッチからいくぞ!」
ゴォッ!
「うおっ!?」
激しく空を斬る音と共に、タンニーンは尾による一撃を放つ!避けた筈なのに、体勢を崩された!多分、大気ごとあの巨大な尾で薙ぎ払った余波だろう。この巨体であの速度は反則だ!
そして次の瞬間には、俺の目の前は炎で覆われた!タンニーンの火炎のブレスだ!
「ぐ………くそ!」
一発で終わらず、昨日同様に連発してくる!しかも、一発一発が高密度な炎なので、直撃なんかできない!そして、再び正面から迫ってきた次の火炎弾を躱そうと下へ避けた時、俺の目の前に飛び込んできた光景は、巨大な岩の様な物体が飛来してくる様だった!
ゴッ!
「ぐ……ううぅぅっ!!」
「はっはっは!甘いぞ!相手の連撃中は常に相手の次の手を読め!」
俺が飛来してくる岩だと勘違いしたのはタンニーンの巨大な拳だった。それが、真正面から直撃して吹っ飛ばされた!火炎弾と格闘のコンビネーションか。単純だが、一撃一撃が重い上に攻撃の範囲が広いから戦い辛い!
しかも、マズイ………いくら、鎧を着込んでるとはいえ、あの体格差で喰らう一撃だ。一気に意識を持っていかれそうだ………だが、意識を何とか維持させて、集中し直す。
「く………ドライグ!チェンジだ!レディオン!」
『……了解だ』
俺は『赤龍帝の鎧』を解除して、もう一つの禁手を発動させる!
「
黒を基調にした黄色い線の走った槍を発現し、そして俺の体は黒と黄色い線の走った鎧が装着されていく。額部分には前に突き出た角状の突起があり、背には光り輝くラインが計6本取り付いている。
「『
「ほう、それがドライグ以外の者の力か。しかし、いいのか?それでは俺に力負け――」
『Boost!』
タンニーンの言葉を遮って一回分の倍加が進む。そう、今俺の左腕には『
「初めのうちはそうだろうけど、時間が経てば分かんないぞ?」
「ははははは!いいだろう!では、遠慮なくいかせてもらう!」
今度は正拳突きの要領でタンニーンは拳を放ってくる。だけど、この状態になれば殆どの攻撃は俺に当たらない!
『Kresnik!』
「なにっ!?」
多分タンニーンの目には俺が消えた様に映っただろう。ま、無理もない。実際に俺が転移したのはタンニーンの真上だ。悪魔であっても、生物の死角は真上ってのは変わらないみたいだな!
「絶影!」
槍を垂直に立てる様にしてタンニーンに急降下し、当たる直前に垂直な槍を倒して槍の腹の部分で打撃を繰り出す、が!
「「…………」」
そう、さっきの倍加状態ならいざ知らず、今の俺の純粋な身体能力は禁手で強化されてるとはいえ、『赤龍帝の鎧』の時とは比べるべくも無い。つまり、今の打撃で激しい打撃音は出たものの、タンニーン本人には大したダメージにはならない訳だ。
「お、おう!?そこか!」
『Kresnik!』
ハッと元に戻ったタンニーンは頭の上の俺に向かって再び拳を繰り出すが、俺の方は空間転移をして距離を置く。
「………なるほど。この俺が簡単に真上を取られるとは。恐ろしい能力だな。まぁ、火力には欠ける様だが」
う………確かに。いや、けどコッチのもう一つの方の空間を切ったりする方は模擬戦で使う様なもんじゃ無いからな。使ったら、相手はタダじゃ済まない。なんたって空間ごと斬るから防御が意味を成さないからな。
『Boost!』
けど、こうしてる間にも倍加は進んでる!時間を稼ぎつつ少しずつダメージを与えれば何とか……
「そぉら、いくぞ!」
ギィィン!
「く……」
今度は翼による一撃だ!しかもすれ違いざまに、尾によるオマケの一撃付き。それを避けつつ、俺は再びタンニーンに向かって突っ込んだ!
――○●○――
「さて、今日の修行の評価をするか」
「いや、先に飯にさせてくれ。ってか、まだ捌いてもいないんだけど」
「はぁ……仕方がない」
本日の修行が終わり、今はとっぷり日も暮れた。結局あの後、禁手を維持できた時間はぶっ続けで4時間が限界だった。途中溜まった倍加の解放なんかも入れたから、半日と言われていたのが短くなった結果だ。しかし、禁手が切れても修行は続き、後半はひたすら逃げつつ反撃しつつの繰り返しで野山を駆けずりまわっていた。組手というより、鬼ごっこだったな。(命懸けの!)禁手が切れてヘロヘロのになった後もタンニーンが追っかけながら火を吹くせいで全身には軽度の火傷やら生傷が………
修行後に『時の支配者たる時計』で回復した後に、狩りをして兎(?)っぽいのを何とかゲットした。それで、これから捌こうと思っていたところだ。まぁ、小動物を狩って捌いて食うというのは罪悪感が凄いけど、これも明日の修行で生き残るためだ。
え?グロくないかって?グロいに決まってるじゃん。もう、魚を捌くもんだと思って作業してます。後はなるべく目を合わせない様にするのがコツですかね、はい。
腹を開いて内臓を取り出して一回丸ごと火の中へポイ。それで毛を焼き払ったら毛皮だった部分を切り取って食べられる部分だけ選り分けて料理する。残った部位は山の中に埋めました。
そして、昨日同様に最低限の調味料で味付けをして廃棄されていたデコボコの鍋に入れて水やら色々なその辺に生えてた香草と一緒に煮込む。うん、どんな時も食事って大事だと思う。それに日中動き回ったから腹が減ってしょうがない!食欲の前にはモラルが崩壊するって言っても過言じゃないと思う!
「ふぅ………腹一杯」
「さて、ではいいか?」
「ああ、確か今日の修行の評価だよな?」
「うむ、PDCAというのは知っているか?」
………悪魔からこんな単語が出てくる事に驚きだよ。
「ああ、えっとアレだろ?Plan Do Check Actionだっけか?」
「そうだ。問題を解決してから次に進めなければ効率も悪いし、思わぬ不都合が生まれるかもしれんからな。だからこそ、今日の評価をして問題点を見つけ出し、次にその解決に励む。で、本題なのだが、まず一番の問題はお前自身が最大限の力を振るわない事か」
「え、そうか?」
うーん、結構本気で戦ってたんだけどなぁ……
「うーむ………アザゼルが危惧していた通りだな。お前自身がその意識が無いという事は、何かに気付かぬ内に力を阻害されている可能性があるという事だ。もしくは、どこかでブレーキを無意識に掛けているかのどちらかだな。後者であればお前の意識的な問題のためそれを解決すればいいのだが、前者だと厄介だな……」
「ん?前者の方が厄介なのか?」
「うむ、お前の場合はな。後者であればカウンセリングなどで精神治療が可能だが、前者であればその阻害されている原因は凡そ想像がつくからな」
「………因みに想像できる阻害原因って?」
「ふーむ…………ドライグ、言っていないのか?」
『まぁ、言う機会を逃していてな。俺自身あいつらとは久しく会っていないからな』
あいつら?誰?
「ふむ、聞いていないのならば俺から教えておこう。『赤龍帝の籠手』には歴代の赤龍帝だった者たちの魂が宿っているのだ」
「………はぁ……………それって何か問題か?」
「あー………言い方が悪かったな。魂と言えば聞こえはいいが、正しくは怨念だ。そいつらはお前の憎しみやら怒りに反応する。今までも怒った時や、憎しみが湧いた時に力が跳ね上がった事はないか?」
……………どうしよう、心当たりがあり過ぎるんですけど。
「えーと………あるな」
「そいつらに力を阻害されている可能性がある。まぁ、しかし歴代の赤龍帝が宿主の行動を阻害する事というのは稀でな。何かしらの原因があると思うのだが………」
タンニーンはしばらく考え込むと、再び顔を上げて目を合わせた。
「まぁ、ここで悩んでも仕方あるまい。とにかく、そちらに関しては戦いの最中に怒りで暴走するなとしか言えんからな。だからこそ厄介だ。何せ、その怨念は神器自体に宿っているから取り除く方法が無い。強いて言うならば無理矢理お前の中から取り出せば解決するが、神器を取り出された者は例外なく死ぬから実質不可能だな」
「サラッと物騒な事言うな……」
「まぁ、事実だ。仕方あるまい。それと、あと気になったのはお前の魔力だ」
「魔力?」
タンニーンは消えかけてきた焚き火に目をやると、軽く息を吹いて再び焚き火を大きくした。
そこに側にあった枝を入れる。
「通常であれば魔力は性質を与えず発現するだけなら、球状の形をとる事が多い。しかし、お前が今日使った魔力弾は少し違っていた。お前の技………『烈波乱掌』といったか?あれがいい例だ。魔力弾一つ一つの威力がチグハグだから注意して見てみると、魔力弾一つ一つが綺麗な球状を取らずに揺らぐ様に見えた。まさに、そこの焚き火の様にな」
「………それは前から気になってる事だった。どうにも、俺は魔力の出力が安定しないらしいんだ」
「まぁ、だからだとは思うが…………途中で魔力を身体中に巡らせて身体能力を強化していたな?」
「ああ。仲間に一人仙術使いがいてさ。そいつが周囲のエネルギーを吸収して体内に取り込む事で身体能力を強化してたから、魔力で真似してみたんだ」
「まぁ、ハッキリ言って、未完成だし使った後に格段に動きが悪くなったな?」
「うぐっ!?」
タンニーンの言葉が突き刺さる………いや、確かに実はアレって結構辛いんだよな。それにタンニーンの言った通り、体への負荷が大きいらしくて、使った後は筋肉痛みたいになって、動きが悪くなる。
「安定しない魔力で、あんな事をやれば当たり前と言えば当たり前の結果だな」
「やっぱり?」
「ああ。お前がやった事は、魔力の過剰投与と、魔力の微量投与の繰り返しだ。それも短時間に何度もな」
「ま、まぁ、出力が抑えきれないから確かに………」
「あの手の強化は常に一定の魔力を身体中に行き渡らせなければ成立しない。しかし、お前の場合一定だと思っていても、巡らせる魔力の振れ幅が大き過ぎる。…………物質というのは基本的に熱するのと冷やすのを何度も短時間で行うと、脆くなるか壊れるのは知っているな?」
「………はい、言いたい事は良く分かりました」
つまり、あの身体強化はやり続けると、その内魔力を通してる血管などが破裂もしくは損傷するかもしれない訳だ。
「まぁ、今回の修行の一つの目的は神器無しの状態での戦闘能力の強化も課題にある。魔力による身体強化はできれば身に付けておくべきだろうな。神器が発動しない様な緊急時には大いに役立つはずだ」
「う、うーん………どうすりゃいいもんか………」
「そこは戦いながら考え付くほかあるまいよ。まぁ、今の所気になる点はこのくらいか。では、今日はここまでにして明日に備えるとしよう。何せ修行期間はまだ2週間近く残っているのだからな。オーバーワークになってしまっては元も子もない」
「ああ、分かったよ。じゃ、おやすみタンニーン」
俺は素直にタンニーンの言葉に従って横になると、直ぐに深い眠りに落ちた。
えと、作中に描いた通り、さすがにあの秘密とかが通じる味方が要るだろうと思って、タンニーンにしました。個人的に、タンニーンってそういうキャラじゃね?という勝手なイメージがありまして……
ミラも後日これを知ることになります。(予定)
途中で出てきた『烈波乱掌』というのは、TOVでユーリが使ってた術技です。
さて、今回はイッセーの内に宿る云々カンヌン・・・
まぁ、この辺は乞うご期待。
さて、次回は猫とかです。
ではでは。