ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】   作:メラニン

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つ、詰め込み過ぎた・・・


話がそれなりに進むんですが、読みにくくなってるかもです。
何かあればご指摘お願いします。


では、ぞうぞ!


第10話 パーティの乱入者です!

―― 一誠side

 

 

黒歌とミラの言い合いを回避した俺はアーシア達の料理を確保するために適当にテーブルからテーブルへと回っていた。その際話し掛けてくる上級悪魔の数がそれなりに多くて少し驚いた。その内の1人が仕える相手を変える気は無いのかと直球で聞いてきたから、トレード狙いで話し掛けていたのだと分かった。当然やんわりお断りさせて貰いました。それで他のメンバーが気になって遠目でミラ達の方も確認してみたけど、どうやら俺が危惧していた心配は無さそうだった。数名が話しかけるだけで、ミラの一睨みと黒歌が耳元で何かを囁いたと思ったら、青い顔して退散していく。ギャスパーに頼む必要無かったな……

ってか、アッチに行くと思ってた上級悪魔が揃いも揃って俺のところに来たんだから当然か。はぁ、人員の確保は確かにどこも重要な事なんだろうけど、こういう席はただ楽しむだけにしたい。いや、こういう席だからこそ、さっきみたいな事を聞かれるのか。上級悪魔って大変なんだな。

 

 

と、そんな事を思っていたら見知った顔が居た。どうやら、複数の裕福そうな少年達に囲まれている様だが、本人は辟易とした表情だ。取り敢えず助け舟を出す事にした。

 

 

「これはこれは、かのフェニックス家のレイヴェル様では無いですか」

 

 

「はぁ………一体どなたですの?そんな馴れ馴れしい物言いをす…る…方は…?」

 

 

レイヴェルは途中まで言いかかった言葉を中断して、俺と目が合った。一瞬キョトンとした後、慌てた様に言葉を発した。

 

 

「な、ななな、何故あなたがここに!?」

 

 

「部ちょ――リアス様の付き添いでここに居ます。お久しぶりです」

 

 

「え、ええ、お久しぶりですわ」

 

 

「おい、お前!今は俺がレイヴェル様と話していたんだぞ!?それを横から――」

 

 

「ああ、失礼。しかし、嫌がる女性に対して話し続けるというのは、上級悪魔の振る舞いとしては些か礼を失するのではありませんか?」

 

 

「な!?き、貴様――」

 

 

「おやめなさい。この方は今代の赤龍帝ですわ。あなたが手を挙げてしまえば、どういう結末を迎えるかはお分かりになるでしょう?それに、非公式ですが先日私の兄であるライザー・フェニックスを直接倒したのはこの方ですわ。貴方がたでは相手にもなりませんわよ?それでも続けるおつもり?」

 

 

「ぐ……くそっ」

 

 

そう吐き捨てると、群がっていた少年達は一気に去っていった。これだけ見てもやっぱり『赤龍帝』って言葉が持つ意味は凄いんだな。

 

 

「はぁ、やれやれですわ。ありがとうございました、兵藤様。私もあの連中には正直辟易していたところでしたので」

 

 

「いや、いいですよ。俺も聞きたい事があったので」

 

 

「聞きたい事、ですか?」

 

 

「ええ。けど、その前に兵藤様っていうのはやめていただいても?上級悪魔が下級悪魔に対して”様”付けというのは……」

 

 

「あら、ではあなたも以前の様にフランクに話して頂けませんこと?」

 

 

「分かったよ、レイヴェル」

 

 

「ふふっ、それでいいですわ。けど、あなたの事は何と呼べばいいでしょうか?」

 

 

「イッセーでいいよ。皆そう呼ぶし」

 

 

「な、名前で呼んでいいのですの?」

 

 

「ん?別にいいけど……なんか不味かったか?」

 

 

「い、いえ、問題ありませんわ!で、では、イ、イッセー………様と……」

 

 

「………『様』付けちゃってるじゃん」

 

 

「きゅ、急に呼び捨てなど無理ですわっ!!」

 

 

「わ、分かったよ。それでいいよ」

 

 

「は、はい!で、聞きたい事というのは?」

 

 

「ライザーってどうしてる?あそこまでやって、お見舞いにも行ってないからさ」

 

 

そこでレイヴェルは表情を曇らせた。え?もしかして、未だに重症とかじゃ無いよな?

 

 

「お、お恥ずかしながら、お兄様はあの敗戦以来ドラゴン恐怖症になってしまわれましたわ」

 

 

「………は?」

 

 

「レーティングゲームの公式戦の戦績も奮わず、今ではその………屋敷に毎日引き篭もっておりますわ」

 

 

「………………なんかゴメン」

 

 

「いえ、そんな………」

 

 

気まずい!!え、ライザーってそんな事になってたの!?いや、確かにフェニックスの特性上精神がネックになってくるんだろうけど、それにしたって未だに敗戦を引き摺ってるってメンタル豆腐過ぎじゃないか?ってか、妹に心配かけさせんなよ!!

 

 

「そ、そうだ!レイヴェルは最近どうなんだ?」

 

 

「私、ですか?」

 

 

「ああ。ライザーが引き篭もってるなら、レーティングゲームはして無いんだろ?そういう時の上級悪魔って何してるのかなぁ、って気になってさ」

 

 

随分強引な話の逸らし方だったが、しょうがない!レイヴェル自身も身内の恥をあまり晒したくは無いだろうし。

 

 

「私は各旧家とフェニックス家の連絡役を普段は行っておりますわ。フェニックス家も『フェニックスの涙』だけで財政は保たせる事は出来ませんから。私たちの領地で取れた特産品などを売買したり、家業の手伝いですわね」

 

 

「へぇ、なるほどなぁ。そっか、普段の上級悪魔ってそういう事もしてるんだ」

 

 

「ええ、それに最近ですと人間界の品の売買も盛んになって来てますわ。私も少しは関わっているんですのよ?」

 

 

「へぇ、レイヴェルはしっかりしてるなぁ」

 

 

「ふふん、何と言っても私もフェニックス家の一員ですもの。優秀で当然ですわ」

 

 

なるほど、大抵の上級悪魔は自分の家の事は誇りに思ってるんだな。72柱の旧家は多分殆どそうなんだろうな。部長もそうだし。けど、悪魔もそういう貿易みたいな事をやってるんだな。仮に独立するにしても、そういう経済とかも勉強しなきゃいけない訳か………

いや、待てよ。眷属選びももしかして、そういうのを考えなきゃいけないのか?う、うーん………

 

 

「あら、どうしたんですの、難しい顔をして?」

 

 

「いや、レイヴェルの話を聞いていろいろと思うところがあってさ」

 

 

「思うところ、ですか?」

 

 

「ああ。一応、部ち――リアス様の元からはいつか独り立ちしてみて、自分で色々やってみたいなって思ってるんだけどさ。ただ、そうするとまだ学ばないといけない事って沢山あるなと思ってさ。それに、もし自分の眷属を選ぶにしたって、そういう事もできる人を選ばないといけないのかなぁって」

 

 

「学ぶという事に関しては、あまり具体策は挙げられませんわね。結局は何を学び取るかはその人次第なのですし。しかし、眷属選びという事でしたら、自分と気の合う方を選ぶ事をお勧めしますわ」

 

 

「気の合う眷属、ねぇ」

 

 

「ええ。悪魔はレーティングゲームに参加する機会が多いですし、レーティングゲームだけで生計を立ててる上級悪魔も居るくらいですよ?そのレーティングゲームではやはり『(キング)』の意思を汲み取って活かし切る方でないといけませんわ。その為にはチームワークというのが必要になります」

 

 

「なるほど、確かに。だからこそ、気の合う眷属が必要って事か」

 

 

「ええ、その通りですわ。しかし、イッセー様の言う通りマルチな能力を持った人材の確保というのは重要ですわね。後から眷属に学ばせるにしても、始めから出来る事が多いとやはり雲泥の差ですし」

 

 

「う、うーーーーん…………な、なるほど。そうなると、簡単に眷属選びって出来ないんだな……」

 

 

あれ?けど、部長は結構ポンポン眷属選んでた様な………

いや、待てよ。部長の目標はまずはレーティングゲームの制覇だからいいのか。で、今は新しい眷属である俺やアーシア達に学ばせてる段階って事か。なるほどな、その主の目的によって眷属選びもいろいろあるってわけだ。うーーーーーん、難しい!

と、考え込んでいると、レイヴェルはモジモジしながら、話してきたので視線をレイヴェルに戻して、レイヴェルの話した内容に驚いた!

 

 

「で、でしたら………わ、私を眷属にというのは、いけませんか?」

 

 

「え!?」

 

 

「だ、ダメですか?」

 

 

「い、いや、ダメじゃないけど、っていうか色々出来るレイヴェルが眷属になってくれるんなら、大いに助かるんだろうけど………けど、レイヴェルはライザーの眷属だろ?」

 

 

「じ、実は先日お兄様とお母様の空いていた『僧侶(ビショップ)』の駒をトレードしたので、実質私は今はフリーですの。お母様はレーティングゲームはしませんし。で、ですからイッセー様の眷属になる事は可能なんですわ」

 

 

「そ、そうだったのか。ただ、まだ上級悪魔になった訳じゃ無いし……」

 

 

「ま、待ちます!私イッセー様が上級悪魔になるまで待っています!ですから………」

 

 

レイヴェルは真っ直ぐ俺の目を見上げて言ってくる。きゅ、急に言われてもと、思うがしかし……………ここまでしてくれた子を蔑ろには出来ないよな。

 

 

「分かった。なるべく早く上級悪魔になれる様に頑張るよ。だから、待っていてくれ。レイヴェルの事は必ず迎えに行くからさ」

 

 

「は、はいっ!嬉しいですわ!絶対に迎えに来て下さいね!約束ですわよ!」

 

 

レイヴェルは俺の手を掴んで、大層喜んでいた。俺としても、こんな子が眷属に来てくれるなら大歓迎だ。だが、俺たちはここが何処であるかを失念していた。いつの間にか周囲には若干名のギャラリーがいる上に、先程のフェニックス卿がいつの間にかそこに居た。レイヴェルは急いで手を離して、顔を赤くする。ってか、俺も恥ずい。そして、フェニックス卿の方は満面の笑みを浮かべていた。

 

 

「兵藤一誠君と言ったね?」

 

 

「は、はい」

 

 

「娘を眷属に貰ってくれるというのは信じてもいいのかな?」

 

 

「は、はい。むしろ、優秀なレイヴェルが自分の様な転生悪魔の眷属でいいのか、っていうのが不安ですが………それにまだ上級悪魔になった訳では無いですし」

 

 

「はっはっは!何を言うのかね!君はかの『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』を宿す者なのだぞ?それが、上級悪魔で止まるものか!きっと君ならば最上級悪魔にだってなれるだろう!いや、実力だけならばいずれは魔王にだって届き得るかもしれない!」

 

 

「は、はぁ……」

 

 

フェニックス卿は興奮した様にバンバン俺の肩を叩いてくる。何だか雰囲気がグレモリー卿に近い様な?

 

 

「ふふふ、しかしそうか。そうなると、『赤い龍』と『不死鳥』……幻想の生物同士『赤』と『炎』という事か。いや、これはめでたい!はっはっは!では、イッセー君!私の事は義父上と呼んでくれてもいいぞ!いや、むしろ呼んでくれたまえ!」

 

 

「は、はいぃぃ!?」

 

 

「お、おおおおお父様!!何を仰っているのですか!!!怒りますよ!!?」

 

 

「何を言うのだ、レイヴェル!レイヴェルも満更では無いのだろう?であれば――」

 

 

そこで、会話に乱入してきた人物が居た。紅い長髪で、フェニックス卿同様にダンディな男性だ。そう、俺が今衣食住で世話になっているグレモリー卿だ。

 

 

「ははは、フェニックス卿。些かその話は急ではありませんか?」

 

 

「これはこれはグレモリー卿。お久し振りですな。先日はリアス嬢の件申し訳なかった。私も配慮が足りなかった様だ」

 

 

「いえいえ、それはもうお互いに水に流しましょう。それよりも、イッセー君は今我がグレモリー家でお預かりしている。何かあれば刃紅殿に申し訳が立たない」

 

 

「ははは、そうか!かの『怪物』と呼ばれた御仁のご子息だったか!ファミリーネームが同じな上に、あの実力はもしやと思ったが、間違っていなかったようだ」

 

 

「ええ。それと、『赤い龍』と『不死鳥』もよろしいと思うが、しかしこちらも『赤』と『紅』なのでね、譲る様な気にはなれませんな」

 

 

「ははははは!なるほど、確かにそれも大変相性が良さそうですな!しかし、それは此方も同じ事」

 

 

………何だろう?さっきから若干空気がギスギスしてるというか何というか。いつの間にかギャラリーも居なくなっていた。な、何だか居心地が悪い……

 

 

「もう!お父様!お止めになって下さい!それに、これは私自身の問題です!ほら、もう行きますわよ!」

 

 

「ははは、何も照れなくてもいいではないか、レイヴェル」

 

 

そう言うと、レイヴェルはフェニックス卿の背中をグイグイ押して立ち去ろうとする。しかし、何かを思い出した様に振り返ると少し俯きながら口を開いた。

 

 

「………っ、イッセー様!その……先程の約束は絶対に守って下さいね!で、では私はこれで」

 

 

レイヴェルは最後に小さく会釈だけすると、足早に立ち去った。

 

 

「ふーん、イッセーはあの子と随分仲良くなったのねぇ」

 

 

「ぶ、部ちょ――っと、リアス様!?い、何時から?」

 

 

急に後ろで声がすると思ったら部長が後ろに立っていた。

 

 

「『レイヴェルの事は必ず迎えに行くからさ』からかしら。良かったわね、イッセー。あんな子が眷属に来てくれるみたいで。後でいろいろと私も話を聞きたいわ」

 

 

「あ、あははは………」

 

 

俺は背中に冷や汗をかいた。いや、何だか部長がいつも以上に迫力があるというか……

 

 

「それよりも、お父様?各家への挨拶はお済ませになったのですか?」

 

 

「い、いや、それは未だなのだが……途中で先程の件があったのでね、はっはっは………はい、行ってきます」

 

 

笑うグレモリー卿を部長はギロッと睨むと、グレモリー卿はそそくさと退散していった。

 

 

「はぁ、一応私もお父様に付いて行くわね。イッセーは他の子のガードをしておきなさい。朱乃と祐斗もここまででいいわ。後はパーティを楽しんで頂戴」

 

 

「ええ、分かったわ、リアス。イッセー君からは何があったか聞いておきますわね」

 

 

「ええ、お願いね」

 

 

「え!?」

 

 

部長はグレモリー卿を追っていったが、朱乃さんは残ってニッコリ笑った。正直今は朱乃さんの笑顔が怖い。超怖い。だって、後ろに何だか般若の面が見えるもの!

 

 

「き、木場……」

 

 

「ははは、頑張ってイッセー君」

 

 

「ぐ………」

 

 

それから俺は料理を取って朱乃さん、木場と一緒に皆の元に戻った。皆からのレイヴェルについての言及は躱せませんでした。

 

 

 

――○●○――

 

 

 

「はぁ〜〜…………何であんなに追求して来るかなぁ。ただ、眷属に誘っただけなんだけどなぁ」

 

 

俺は皆の追求があった後、ギャスパーがトイレへ行きたいと言うので連れてきた。まさに助け舟だと思った!ついでに服装を直すって言ってたけど、それよりも女装癖を直せと言いたい。だが、今は感謝するぞ、ギャスパー!

 

 

「久しぶりだな、兵藤一誠」

 

 

トイレ近くの椅子に座っていると、サイラオーグが話しかけてきた。以前会ったときと違って今日は礼服だが、やはり服の上からでも相当に鍛えこんだ肉体である事が分かる。

 

 

「ああ、久しぶりだな、サイラオーグ。若手悪魔の会合以来だっけか?何でここに?」

 

 

「ウチの『女王(クイーン)』の化粧直しに付き合っていてな。やれやれ、女の化粧直しというのは長くて困る」

 

 

「魔王の座を目指しているなら、そんな事を言えないんじゃないか?女性よりもよっぽど扱い辛くて、頭の固い老人を相手にする事も多いだろうしさ」

 

 

「まぁ、そうなのだがな。お前も俺のところの眷属と同じ事を言うのだな」

 

 

「それだけサイラオーグに期待してるって事だよ。俺もサイラオーグの眷属も、さ」

 

 

「ははは、お前にも言われると尚のこと頑張らなければな。そう言えば先程ホールではフェニックス家の令嬢と眷属騒ぎがあったそうじゃないか」

 

 

「うっ………もう噂になってるのか」

 

 

サイラオーグはニヤリと笑うと追い討ちを仕掛けてきた。

 

 

「フェニックス卿も認めていたという話ではないか。良かったじゃないか。親にも公認なのだろう?」

 

 

「何だか、それだけ聞くと違う意味にも聞こえるような気がするんだけど?」

 

 

「まぁ、気にするな。それよりも近い内リアスとのレーティングゲームで戦う事になるだろうが、いつかお前自身が『王』となって一戦交えるのも面白そうだ」

 

 

「はは、確かにサイラオーグとだったら、その一戦は楽しみだな」

 

 

「ああ、レイヴェル嬢では無いが、俺もお前の事を待っているぞ。いつか、同じ立場に立ってお互いに全力で戦う事を」

 

 

「ああ!」

 

 

そう言って俺とサイラオーグはゴッと拳を突き合わせた。そうしていると、紫のドレスを着て金髪をポニーテールにした女性がコッチへ駆け寄ってきた。

 

 

「お待たせしました」

 

 

「む、遅いぞ、クイーシャ」

 

 

「男同士の語らいに割り込むほど無粋ではありませんわ」

 

 

「ははっ、聞かれていたか。紹介しよう。俺の『女王』であるクイーシャ・アバドンだ」

 

 

「クイーシャ・アバドンと申します。以後お見知りおきを、兵藤一誠様」

 

 

「兵藤一誠です。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 

上品にお辞儀をするクイーシャさんに俺も挨拶を返す。ってか、この人さっきの会話聞いてたのか。

 

 

「では、俺も眷属を待たせているのでな」

 

 

「ああ、またな、サイラオーグ」

 

 

サイラオーグはそれだけ言って去っていった。

そして、サイラオーグが去って直ぐだった。緑色の紙飛行機が何処からともなく現れて、俺の手元まで飛んできた。まっすぐ俺の所に飛んできたので、普通の紙飛行機ではない。

そしてその紙飛行機に俺は見覚えがあった。この世界ででは無い。エレンピオスで見た事のあるものだ。俺は紙飛行機を開き目を通した後、それの端を切って『無と連環の腕輪(オリジン・チェイン・バングル)』を発動した状態で一度触れた。何か細工がしてあった場合を考慮しての行動だったんだけど、平気みたいだな。切れ端にスーツの内ポケットに入っていたボールペンでメッセージを書いて椅子の上にそれを置いた。

 

 

「うん、これで良し。悪いな、ギャスパー。帰りは1人で帰ってくれよな。さて行くか」

 

 

俺は立ち上がって会場を後にした。

 

 

 

 

――side out

 

 

 

 

 

――木場side

 

 

ふぅ、ようやく各家への挨拶を部長も終えたみたいだね。コッチへ向かって来てるし。それよりも、さっきからギャスパー君に同伴したイッセー君が戻ってこない。どうかしたのかな?

 

 

「木場さん、どうかなさったんですか?」

 

 

「イッセー君がまだ戻ってないのが気になってね。アーシアさんもまだ戻ってくるのを見てないよね?」

 

 

「は、はい。ミラさんにも聞いてみますね」

 

 

アーシアさんはそう言うとパタパタとミラさんの元へ小走りで向かって行った。アーシアさんはミラさんに全幅の信頼を寄せている。ミラさんもアーシアさんの事は常日頃から妹の様に気に掛けている。性格は違うけどあの二人の仲は良好だ。こういう風に真っ先にミラさんの元に向かうからね。まるで、姉に甘える妹みたいに見えなくもない。ミラさんも満更じゃないみたいだし。

 

 

「祐斗、お疲れ様。あら?イッセーとギャスパーがいない様だけれど?」

 

 

「ギャスパー君がお手洗いに行くという事で、イッセー君が付き添いで付いて行ってるんです。ただ、もう居なくなってから結構経つんですけど……」

 

 

「そう。まさかまた厄介事に巻き込まれていないか心配だわ」

 

 

「…………ギャスパー君とイッセー君の様子を見てきます」

 

 

「私も行きますわ、祐斗君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕と朱乃さんは急いでホールを抜け出してギャスパー君たちが向かったであろうトイレに向かった。そうしたら、オロオロ行ったり来たりを繰り返しているギャスパー君の姿があった。まさか……

 

 

「ギャスパー君!イッセー君は!?」

 

 

僕が近付いた途端ギャスパー君は涙目になりながら話し始めた。

 

 

「ゆ、祐斗先輩……!イ、イッセー先輩が居なくって、これだけが……」

 

 

ギャスパー君は手の中にあった紙の切れ端を差し出してきた。緑色の紙で、そこにはイッセー君の字が書かれていた。

 

 

『ギャスパーへ。少し会場の外に出てくる。悪いけど1人で戻ってくれ。なるべくパーティが終わる時間までには戻る様に努力すると皆には伝えてくれ。兵藤一誠』

 

 

「…………朱乃さん、これは」

 

 

「ええ、本人が戻って来ると言っておりますが、少し気になりますわ。あのイッセー君がギャスパー君を放っておいて何処かへ消えるというのは考えにくい事ですし………それにイッセー君は勝手に行動を起こす常習犯ですから心配ですわ」

 

 

「急いで部長に知らせてきます!」

 

 

「なら、ギャスパー君もお願いしますわ。私は一足先に外へ出て探索してみますわ」

 

 

「分かりました。さ、行こうギャスパー君」

 

 

「は、はい、祐斗先輩!」

 

 

僕は急いで部長のいるホールに向かった。何事も無ければいいんだけど……

 

 

 

――side out

 

 

 

 

 

 

 

―― 一誠side

 

 

 

俺は紙飛行機に書かれていた内容に従って1人で会場近くの森へ足を運んだ。その森の中の奥へ奥へと足を進めると、月明かりに照らされた人物が背を向けて1人立っていた。燕尾服に身を包んだその人は、白髪を後ろで1つに束ね、よく手入れの行き届いた顎鬚を伸ばした人物だ。そして、俺が来るとゆったりとした動きで振り返って目があった。

 

 

「お呼びたてして申し訳ありません、兵藤一誠様。例の会談以来でしたか」

 

 

「………ああ、久しぶり。あと、イッセーでいいって。俺もローエンって呼ぶからさ」

 

 

そう、俺を呼んだ人物とはローエン・J・イルベルト。この世界ではヴァーリの執事をしていて、俺の元居た世界では共に旅をした仲間だ。

 

 

「では、イッセーさんと呼ばせていただきますね。………単刀直入に言わせていただきます。本日はあなたをスカウトに参りました」

 

 

「………スカウト?」

 

 

「ええ。しかしその前に、少し『禍の団(カオス・ブリゲード)』について説明させていただきましょう。少し認識を変えていただく必要がありますから。お嬢様や私どもの所属する『禍の団(カオス・ブリゲード)』の中には派閥のようなものがあります。旧魔王の血族を中心とした『旧魔王派』。神器所有者や英雄の魂を引き継いだと言われる者たちを集めた『英雄派』。大まかにこれらの派閥に分かれております」

 

 

「………自分の所属している組織の情報を漏らしちゃっていいのか?」

 

 

「ほっほっほ、これも交渉の一手ですよ。さて、そしてお嬢様はこれらのどの派閥にも属しておりません」

 

 

「えっと、つまり単独で動いてるって事か?」

 

 

「はい、その特異な立ち位置からお嬢様とそれに付き従う者たちを総称して『ヴァーリチーム』と呼ばれております」

 

 

「ははは………そのまんまだな」

 

 

そう言えば、何時だかヴァーリが組織内でも、自分は少し特殊だって言ってたっけ?あれはそう言う事だったのか。

 

 

「そして、是非ともイッセーさんにはこちらへお越し頂きたいのです」

 

 

「はぁ、悪いけど何度来ても答えはノーだ。いくら組織内で特殊な立場にあるって言っても、テロリストである事には変わりはない」

 

 

「まぁそうなのでしょうね。いくら言い繕っても私達は所詮はテロリスト。それは変わりはありません。なので、此方も少々強引な手を使わせていただきます」

 

 

パチンッ!とローエンが指を鳴らすと、上空に魔法陣が浮かび上がり森がスッポリ結界で覆われてしまった!森に入る前に仕掛けがないか警戒はしていた筈なのに、まだチェックが甘かったか!

 

 

「一度で構いません。暫くの間お嬢様と行動を共にしていただきたい」

 

 

「………ヴァーリが『禍の団(カオス・ブリゲード)』から足を洗うなら考えるけど?」

 

 

「それはできません。少なくとも今は、この組織の力が必要なのです」

 

 

「それは、前に言っていた目的ってのに関係があるのか?」

 

 

「ええ、蛇の道は蛇。『禍の団(カオス・ブリゲード)』だからこそ得られる物――情報が必要なのです」

 

 

「………その目的って何なんだよ!?こんな事をしてまでやらなきゃならない事なのか!?」

 

 

 

 

 

ローエンは瞑目して表情を暗くした。どうやら、もう語る気は無いらしい。くっそ!こんな状態でローエンと戦えるか!何とかして結界を解かないと――

 

 

「交渉決裂なら、お持ち帰り!ってねえっ!!」

 

 

「な!?」

 

 

ドッゴオォォ!!

 

 

突然上空から何かが飛来し、クレーターを作った!俺自身は咄嗟に後方に下がって避けたが、生身の状態で今のに当たってたらマズかったかもな……

土煙が晴れると、そこに居たのは中華風の衣装と鎧を着た青年だった。赤い棒を手に持ち、地面に突き立てていた。あの棒で今の芸当をやったのか。

 

 

「ちっ、外しちまったかぃ。おーい、ローエンの爺さん。約束通り俺っちがタイマンで戦っていいんだよな?」

 

 

「はぁ、まだタイミングとしては早かったのですが………ええ、いいでしょう。気絶させる程度でお願いしますよ。と言っても殺すつもりで行かなければ、逆に美猴(びこう)さんがやられてしまうかもしれませんが」

 

 

「はっ、言ってくれるぜぃ、爺さんよぉ。ま、見てなって。俺っちが華麗に赤龍帝を捕獲してやっからよぉ」

 

 

美猴と呼ばれた青年は棒を構えて何時でもやれるという意思表示をする。

 

 

「っとぉ、自己紹介がまだだったねぃ、赤龍帝。俺っちは美猴、闘戦勝仏(とうせんしょうふつ)の末裔だ。あー………分かり易く言うと斉天大聖っていやぁ分かるかぃ?」

 

 

「………西遊記の悪猿、孫悟空か?」

 

 

「うおっ!?いきなり悪猿ってのは酷くねえかぃ!?」

 

 

「あ、スマン。なんかそういう風に聞いてたから、さ!」

 

 

ボゥッ!!

 

 

「うおっ!?」

 

 

俺は手を後ろに回して、魔力で精製しておいた火球を放り投げて、それを宙で燃やす事で目眩ましにして、一気に後方へダッシュする!しかし――

 

 

ズザザザッ!

 

 

俺は急に何かに引っ張られるようにして地面を引き摺られた!

 

 

「つつ………何だ、今のは?」

 

 

俺は相手の方を確認すると、ローエンがレイピアの様な細剣を手に持っていた。あれの能力か?

 

 

「ローエン、それは…」

 

 

「ええ、これが私の神器『流動の指揮剣(ムーヴ・タクト)』です。もっとも、この神器自体は先天的に持っていたのではなく、総督殿から頂いた物ですが」

 

 

「っと、スマンね、爺さん。油断しちまったぜぃ。まさか、赤龍帝が逃げの一手を打つとは思わなくってよ」

 

 

「次からは気をつけて下さい、美猴さん」

 

 

「へいへいっと。さぁって、仕切り直そうぜぃ、赤龍帝。今度は逃がさねえからよ」

 

 

美猴はニヤリと笑って棒を回転させながら構え直す。やっぱ、コッチの世界でもローエンは頭が切れるみたいだな。今のは結構タイミングの合った不意打ちだったのに、対応された。あの美猴ってのが1人だけなら何とかなるかもしれないが、ローエンがいる限りおそらく不意打ちで逃げるってのはもう無理だ。そうなると、この場は正攻法で切り抜けるしかないか。

 

 

『Boost!』

 

 

俺は『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を発動して倍加をすると同時に『賢者の槍(クルスニク・スピア)』も発現して構える。

 

 

「はっは、ようやくヤル気になってくれたかぃ?ほいじゃ、さっさと始めよう、ぜっ!!」

 

 

ギィンッ!

 

 

真っ直ぐ突っ込んできた美猴を槍で止める。その際少し押し込まれた!さすがは、広く知られてる妖怪の末裔だ。多分素の力だけだと俺が押し負けるだろう。

 

 

「ちっ、蒼破刃っ!」

 

 

鍔迫り合いしていた状態から零距離で蒼い斬撃を飛ばして破裂させる!しかし、美猴は赤い棒を高速で回転させて、それを防ぐ!だけど、まだだ!

 

 

『Kresnik!』

 

 

俺は美猴の真後ろに転移して槍による一撃を繰り出す!それが入ると思った時、背中に何かを感じて籠手で防御する!そして、美猴からの反撃は槍で防御した!

 

 

「………どういう事だ、これは?」

 

 

今俺は2人の美猴に挟み撃ちにされている状況になっていた。簡単に言うと、美猴が2人に増えていた。俺は棒を弾くようにして、距離を取る。

 

 

「これが俺っちの分身の術だぜぃ。見るのは初めてかぃ、赤龍帝?」

 

 

「ああ、本当にやる奴が居るのは初めて見た」

 

 

しかも、分身って言っても質量を伴った分身かよ。もっと幻術っぽいの想像してたけど、さっき籠手で受けた一撃は本体の美猴の攻撃力と何ら遜色がなかった。

 

 

「ほいじゃぁ、まずは俺っち2人分を相手にしてもらうぜぃ?そらそらぁっ!!」

 

 

「上等だ!」

 

 

一体が突っ込んできて、振り上げた棒を一気に振り下ろす!それを右に躱して、俺のいた場所には美猴の一撃によるクレーターがデカデカと出来てしまった。避けた俺に対してもう一体が棒で強烈な突きを放ってくる。それも一撃じゃない。連続で放たれるそれを右に左に避けるか、もしくは槍でいなし、籠手で受けて直撃はさせない!棒による連撃の隙間を縫って、俺も接近して攻撃を放つ!

 

 

魔突閃(まとつせん)夕凪(ゆうなぎ)!」

 

 

「っとぉ、うおっ!?」

 

 

遊佐さんの使っていた空突閃をアレンジしたストレートを放った後、拳を水平に振り抜く様にして2連撃を繰り出す!それを美猴は初撃を棒の芯で受け止め、夕凪を一撃目は後ろに仰け反る様に躱して、二撃目は顔を掠っただけだった!くそ、直撃はしなかったか!

 

 

そうしていると、横から間合いの外からの一撃が伸びてきた!籠手でガードするが、衝撃は消しきれずそのまま吹き飛ばされた!

 

 

「っく!そうか………孫悟空なんだからお前の棒はそうなる筈だよな」

 

 

「はっはぁー!今のは直撃コースだと思ったんだがねぃ!ま、一撃でダメなら連撃の上に分身も併せてやるまでよっ!分身を一気にプラス10してやるぜぃ!追いついて来いよ、赤龍帝?伸びろよぃ、如意棒!!」

 

 

「ちっ」

 

 

「おっとぉ、空中だろうと逃がさんぜぃっ!来いっ、觔斗雲(きんとうん)!」

 

 

「やっぱ、そう来るのかよ!」

 

 

美猴の連撃を空中に飛ぶ事で一気に離脱するが、美猴も西遊記でお馴染みの金色をした雲で追ってくる!如意棒があるから遠近に対応できる上に、あの雲での高機動戦闘。さらに、連撃の間を縫って進んで一撃を食らわせようにも、分身が上手い事カバーして攻撃が通らない!それに多分西遊記の話が真実なら、他にも隠し球が在るはず。頭では分かっていたけど、さすがは伝説にもなった妖怪の末裔だ。その実力は本物って事か!

 

 

「ま、やられてばっかってのは癪だし、反撃させてもらう!ドライグ、魔力弾に譲渡だ!『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』!」

 

 

『応!』

 

 

『Transfer!』

 

 

俺は籠手の掌に作り出した魔力弾に倍加した力を譲渡して、一気に魔力弾が俺の身長以上まで巨大化する!

 

 

「はっはっは!さすがは赤龍帝だぜぃ!力の規模がデカいねぃ!だが、そんな大味な攻撃が当たるかよっ!」

 

 

美猴とその分身は複雑に飛行しながら照準をズラそうとする。ってか、あの分身本当に邪魔だなっ!どれが本体か分からない!まぁ、けどこれで何とかなるだろ。

 

 

「甘いんだよ、美猴!いっけえぇぇ!!」

 

 

ドドドドドドドドドド!!

 

 

膨れ上がった魔力弾は無数の散弾になって降り注ぐ!

 

 

「ちょっ、物量攻撃かよ!それセコイだろ!!」

 

 

「分身出来る奴が何言ってやがる!」

 

 

美猴は散弾タイプの魔力弾の隙間を器用に飛んで避けるが、それでも魔力弾に当たった分身は消えていき、結局は美猴本体に一発が掠った。にしても、凄いな。これも修行の成果か?そこまで魔力を籠めたつもりは無いんだけど……

っと、今の内にもう一撃!美猴が避けている間に、倍加も少しは溜まった!

 

 

「まだだっ!もう一度!『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』!」

 

 

『Transfer!』

 

 

俺は今度は魔力を凝縮した魔力弾を精製して、下に向けて一気に放つ!

 

 

「おうっ!?」

 

 

カッ、ドオォォォン!

 

 

地面に着弾した赤い魔力弾は爆裂して、爆風で周囲の木々やら地面を吹き飛ばす!

 

 

「ふぃぃ〜〜、今のは直撃喰らってたら危なかったぜぃ。やい、赤龍帝!俺っちを殺す気か!?」

 

 

「どうせ、觔斗雲で避けるだろうがっ!」

 

 

「もう怒ったぜぃ………そっちがその気なら、コッチだって仙術妖術のオンパレードで――」

 

 

「そこまでです、美猴さん」

 

 

いつの間にかローエンは俺たちの居る上空と同じ高度まで上がってきていた。背中に悪魔の翼が生えてるのを見たところ、本当に悪魔なんだな。何だか違和感があるんだけど。いや、着目すべきはそこじゃない。翼の枚数だ!ローエンの背に生えていた翼は5対10枚。つまり、悪魔としての格はヴァーリより上って事だよな。

 

 

「どうやら、少し遊び過ぎのようです、美猴さん。それにしても――」

 

 

ローエンはチラリと下の方に視線を移す。視線の先にあるのは俺がさっき空けた大穴だ。

 

 

「一悪魔にもこれだけの破壊力を持たせる『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が恐ろしいのか、それともそれの負荷に耐え切りここまでの力を引き出すイッセーさんが恐ろしいのか、はたまた内に潜む者たちが恐ろしいのか………いずれにせよ、やはり欲しい人材ですね」

 

 

ローエンは顎に手をやり、髭を撫でる様にして考えている。やっぱ、あの仕草もエレンピオスのローエンと同じなのか。それよりも、結界が揺らぎ始めていた。誰かがこの結界を解こうとしてくれてるのか?多分ローエンが美猴を止めた要因もこれだろう。

 

 

「まぁ、今回は挨拶が出来ただけで良しとしましょう。しかしイッセーさん、覚えておいて下さい。お嬢様の真の目的は最終的に世界を救う事になるという事を」

 

 

「………はっ!?」

 

 

「ま、俺っちはどうでも良いんだけどねぃ」

 

 

俺はローエンの言葉に一瞬固まった。世界を……救う?

 

 

「………どういう事だ?」

 

 

「最終的に、というだけですが……興味があるのでしたら、一緒に行きますか?」

 

 

ローエンは手を此方に差し出してくる。確かに世界を救うっていうのは少し気になる。別に世界を救おうだとかは考えていない。けど救うっていう事は、救わなければならない事態が起こっているか、もしくは起こるって事だ。それが何なのかは知っておきたい。この世界には大事な物が出来過ぎたのだから。

 

 

「………なら!何でその目的っていうのを、公表しないんだよ!?正当化できれば、テロリストなんて汚名は被らなくていいだろ!?」

 

 

「公表してしまっては、達成出来なくなる恐れがあるのです。内内密に事を進める必要があるのです。表向きの行動は陽動。…………卑怯な事を言っているのは分かっています。目的を語らず、ただ此方を信じて協力してくれというのが虫のいい話というのは重々承知しています。それでも、今はそうせざるを得ないのです。…………改めてお願いします、イッセーさん。お嬢様に……私たちに協力して下さい」

 

 

俺は奥歯を強く噛み締めた。ズルい。これがローエンでなければ、今揺らぐ結界の向こうで待っているであろう仲間たちの元に戻りたい。

だが、今俺の目の前に居るのはローエンだ。かつて共に旅した仲間であるローエンじゃないのは分かっている。他人なんだと頭では分かっているけど、俺にはやはりただの別人とはとても思えない!俺は………

 

 

 

パキイィィン!!

 

 

 

高音とともに、周囲に展開されていた結界は崩れ去った。そして、下の方から仲間の声がする。

 

 

「イッセー、無事!?また、あなたは勝手に――」

 

 

「待つんだ、リアス!………ローエン殿?」

 

 

先頭にはサーゼクス様が立っていた。前に出ようとした部長を押し留めた。

 

 

「これはこれは『紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)』、サーゼクス様。お久しぶりでございます。本日は華やかな席において、狼藉をはたらいた事を謝罪いたします。イッセーさん、私の言った事は考えておいていただきたい。それでは、またの機会に」

 

 

「じゃあねぃ、赤龍帝。今度は初っ端から本気でやろうぜ?」

 

 

ローエンはお辞儀をすると、転移の魔法陣の向こうに美猴と共に消えていった。

 

 

それから直ぐにミラや部長、木場たちが心配をしてくれたが、俺は皆を見ながら別の事を考えていた。

 

 

 

 

 

 

俺は…………真っ先に皆の居るこの場所を選べなかった。

 

 

 

 




ってな感じでした。何でイッセーが最後の方ウジウジしてるのかは次回書く予定です。


ってか、未だにレーティングゲームまでいかない・・・

因みに、途中で出てきた魔突閃という技は一個前の章でエミリアが使っていたもののアレンジです。







(ここでは関係ないですが、この前読んで思ったこと。真奥コロス・・・ちーちゃん泣かせやがって・・・)



ではでは、アリーヴェデルチ!
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