ハイスクールD×D ~審判を超えし者~【凍結】   作:メラニン

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はい、今回は一誠が何でミラを眷属に誘わないのかを、ちょろっとだけ書いときます。


で、どうぞ!


第11話 葛藤です!

――アザゼルside

 

 

「今回の事態は悪魔側の警備の甘さが招いたと言わざるを得ません。敵は大胆にも悪魔、堕天使のトップが居るココをターゲットにしました。そして、(くだん)の赤龍帝との接触を成功させた。この事態は重く見ていただきたい」

 

 

俺の隣では副総督であるシェムハザの奴がチクチク悪魔側の連中を揖斐ってやがる。おいおい、この前和平が結ばれたばっかなんだから、程々にしといてくれよ?

 

 

今は例の襲撃があってから一夜が明けた。今この場に居るのは、堕天使陣営からは俺とシェムハザ。悪魔陣営は四大魔王。天使陣営はミカエルとガブリエルのみだ。このメンツじゃねえと話しにくい事も有るからな。できれば首脳陣のみでと俺が提案を持ち出した。

当事者であったイッセーは軽い聴取を受けた後、グレモリー邸に仲間と一緒に帰した。ローエンの野郎に何を言われたのか詳しくは知らねえが、様子がおかしかったからな。こういう時は女がフォローに行った方がいいだろう。

 

 

ま、俺自身その時盛大に酔っ払ってカジノに入り浸ってたなんて、バレたらまた面倒になりそうだから、今回は悪魔の警備の緩さに感謝だぜ。っと、そろそろ本当にシェムハザを止めねえとな。

 

 

「まぁ、その辺にしとけよ、シェムハザ。今の問題はイッセーが持ち帰った情報だ。ローエンの奴が言ったヴァーリの目的。それが気になる」

 

 

シェムハザはまだ何か言いたそうにしてはいたが、椅子に腰を下ろした。

 

 

「しかし相手は、かの歴戦の老将。持ち帰った情報全てが真実とは限らないのでは?」

 

 

「まぁ、ミカエルの言うことは分かる。だけどな、あのジジイは俺の知る限りじゃ、仲間に誘うって事に関してだけは嘘を言った事は無いんだよ」

 

 

「つまり、アザゼルはローエン殿の言った事は真実だと考えているのかな?『最終的に世界を救う』というのは確かに気になるが、『最終的に』の段階に至るまではどうなのかが気になるところだ」

 

 

「まぁ、確かにサーゼクスの言う事も分かる。俺もあいつの言う事全てを信じている訳じゃねえ。ただ、イッセーの奴に関してだけは、本気で仲間として欲しがってるってこった」

 

 

「うーん、そうなるとイッセーちゃんにはガードを付けないといけなくなるわね」

 

 

「おいおい、セラフォルー。イッセーは既に最上級悪魔のタンニーンとそれに匹敵するドラゴンを同時に相手にして生きてた奴だぞ?そんな奴のガードが務まる奴がそんじょそこらに居ると思うのか?それに、そういうボディガードはあいつ自身が嫌がるだろうよ」

 

 

「ぶー、何よ。私は少し提案しただけなのに、本気で論破しに来なくてもいいじゃない。アザゼルは意地悪ね」

 

 

「ま、とにかくだ。イッセーの奴にガードを付ける必要は無えよ。それよりも今は、あいつがしっかりと立ち直るかが問題だ」

 

 

「…………それに関しては当人の問題だとしか言えないのではないかな。リアス達が付いては居るが、明日に迫った若手同士のレーティングゲームに間に合うかどうか」

 

 

「そこは信じて直前まで待つしか――」

 

 

バンッ!

 

 

そこで扉が大きな音を立てて開けられ、これまた賑やかな方のジジイが入って来やがった。本当に悪魔側の警備はどうなってんだ?

 

 

「一誠いぃぃぃ、ここかあぁぁぁ!?」

 

 

「オ、オーディン様!落ち着いてください!ここはVIPルームで――」

 

 

「やかましいぞ、ロスヴァイセ!一誠が襲撃されて、様子がおかしいと言うではないか!落ち着いていられるか!!お前も心配ではないのか!?そんなだから何時までも彼氏いない歴=年齢=処女なのじゃっ!」

 

 

「そ、その話は関係ないじゃないですかっ!!それに私はその………一途なだけです!」

 

 

「何時までも経っても、言う事を言えないだけのヘタレじゃろ!」

 

 

ぎゃーぎゃーと煩く入り口で言い合いを繰り広げて居るのは顎鬚を長く伸ばして、白と金のローブに身を包んだ隻眼の老人と、北欧のヴァルキリーの鎧を纏った長い銀髪の女だ。どうでもいいが、相変わらずヴァルキリーの衣装は若干エロいな。昔はオーディンのジジイもスケベだったんだが、今は立派な爺バカになっちまったからな。はぁ、つまらん……

 

 

「おお、そうじゃ!サーゼクスよ、お主の妹の元に一誠はおった筈じゃな?今すぐ案内せい!」

 

 

「オ、オーディン様!?魔王様になんという注文を!?」

 

 

慌てふためいているヴァルキリーを見てこの場に居た連中は全員が毒気を抜かれた様に緊張が抜けた。サーゼクスはオーディンのジジイに笑けかけながら、対応した。ったく、あんなジジイ放っときゃいいものを。

 

 

「お久しぶりでございます、オーディン様。心配なさらずとも、イッセー君は無事です。怪我も軽い擦り傷や打撲程度です。それに、彼の元には回復の神器を持った者も付いておりますので、ご安心を。それでも、心配でしたら案内させましょう」

 

 

「おお、そうか!では、早速行こうではないか!」

 

 

それだけ言うと、オーディンのジジイはサーゼクスとヴァルキリーの小娘を引き連れて出て行った。やれやれ、何であんな爺バカになったんだか。他のアースガルズの連中は何て言ってるんだかなぁ?

 

 

さて、それよりも今は残りのメンバーで明日のレーティングゲームについて話しておくか。それと、『世界の危機』とやらの情報も共有しとかねえとな。

 

 

 

――side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― 一誠side

 

 

ローエンと美猴の襲撃があってから一夜明けて俺は当てがわれた自室で目を覚ました。俺は何度も考えてしまった。何故あの時すぐに仲間の方を選べなかったのか?仲間を信じきれていなかったから?

 

 

かつての仲間によく似た――というよりほぼ同一人物に仲間に誘われ、手を取ってしまいかけた。それはつまり今の仲間との決別を意味する。当たり前だ。相手はテロリスト。その仲間になるって事は俺自身もテロリストになるって事だ。そうなってしまえば仲間は?家族は?

 

 

そこまで考えられなかった自分に嫌気がさした。俺は……

 

 

コンコン……

 

 

「ん?誰だ?」

 

 

「イッセー?起きてる?」

 

 

「ミラ、か?ああ、起きてるよ。入って大丈夫だ」

 

 

ミラは俺の了解を得ると、意外な人物(?)と共に入って来た。

 

 

「俺も邪魔をするぞ、兵藤一誠」

 

 

「タンニーン、か……?」

 

 

そう、入って来たのはタンニーンだ。しかもミニチュアバージョン。全長は50cmくらいか?なるほど、パーティにもこうやって参加してたのか。

 

 

「ってか、タンニーン相変わらず俺の事をフルネームで呼ぶんだな。イッセーでいいって」

 

 

「む、そうか?ではそうさせて貰おう」

 

 

そう言うとタンニーンはベッドの側の机の上に乗った。俺はベッドの端に座りミラはその隣だ。

 

 

「要件は?………って聞くまでもないか」

 

 

「ああ、昨夜の襲撃されたな?一体何があった?」

 

 

「………分かった。昨日何があったか話そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺は昨日の夜に何があったのか話した。

 

 

「ふむ、それでテロリストの仲間になり掛けてしまった自分に自己嫌悪をしていたわけか。ふむ……」

 

 

「はぁーー…………たかがそんな事で悩んでたの?」

 

 

「たかがって――」

 

 

「まぁまぁ、落ち着け2人とも。しかしだ、イッセーよ。それはお前が悩む必要は無いのではないか?」

 

 

「………何でだよ?」

 

 

「簡単だ。お前は結局はあちらの手を取らなかった。最終的にはコッチを選んだ事になるのだからな。それに、以前の仲間によく似た人物に誘われればそういった悩みを抱くのは仕方がない。お前の場合は特殊なケースなのだからな」

 

 

「けど――」

 

 

「はっはっは、なるほど。お前はやはり、悪魔というよりも人間らしい」

 

 

「「……へ?」」

 

 

俺とミラは揃って間抜けな声を出してしまった。

 

 

「事実、ついこの前まで人間だったのだから仕方がないのだろうが……ふむ、イッセーよ。悪魔というのは長寿というその特性上割り切って考える者が大半なのだ。過去の事は過去、とな。しかし、お前は過去を捨てきれずにいる。もっと核心部分を言うと、前世の事を諦め切れないでいるのでは無いか?」

 

 

その言葉に俺とミラはビクリと反応した。タンニーンのその指摘は図星過ぎた。言われて初めて……というか気付いていた事を言葉にして指摘されることで自覚したんだ。俺は……俺とミラは多分まだ前世の事を引き摺っているんだ。

 

 

「まぁ、年若い2人に過去を忘れ去り、先だけを見て歩けと言う方が無理な話なのだろうが………しかし、その捨て切れぬ精神こそ人間らしいと俺は思う。それは確かに身を滅ぼす要因にもなるだろう。今回の様に仲間を裏切りなねない事態も招くこともあるだろう。しかしだからといって、それを頭から否定はしない」

 

 

「………いや違うよ、タンニーン。きっと俺は選べなかっただけなんだ。ローエンの事も、仲間の事も」

 

 

「はぁ…………イッセーよ、今のお前自身の事をよく考えてみろ。お前は一体何者だ?」

 

 

「俺は………兵藤一誠だ」

 

 

「そう、それこそが答えだ。お前は前世の記憶を呼び覚ましても『兵藤一誠』である事を選んだ。誰の意志でもなく『お前』自身の意志でな。そして、それと同じようにお前は選ばないという事を選んだとも考えられないか?」

 

 

「………それは」

 

 

「はっは、まぁ難しくとらえ過ぎるな。なにせ言葉の上では何とでも言えてしまう。だからこそ、お前にもっと単純な問いをしよう。昨夜した選択で今のお前に残ったものは何だ?」

 

 

タンニーンに言われて俺はハッと思い直した。

 

そうだ。俺は今は『兵藤一誠』だ。他の誰でも無い。その俺にとって今大事なもの………そんなの簡単だ。

 

 

「まだ………皆と一緒に居られてる」

 

 

「そうだ。昨夜確かにお前は、咄嗟に今の仲間を選べなかったかもしれん。しかし、それでも仲間を失った訳ではない。であるならば、次は後悔のしない選択をする事だ。…………………さて、俺はここまでにするとしよう。ではな、イッセー。この俺が直々に面倒を見たんだ。明日のレーティングゲームは楽しみにしているぞ?」

 

 

そう言うと、タンニーンは部屋を出て行った。はぁ………そうだよな。俺は何を悩んでたんだ。今在るものをもう見失わないようにすれば良いだけじゃないか。

 

 

「なんと言うか、俺らしくなかったかな。ミラも悪かったな、心配を掛けて。もう大丈夫だ」

 

 

「べ、別に心配なんか…………はぁ、少しはしたけど。あなたの気持ちは分からなくも無いから。私もエレンピオスで姉さん――ミュゼと会ったけど、ミュゼは私の知る姉さんじゃなかったから」

 

 

「それは………すまん」

 

 

そうだ。俺はミラの世界の姉――分史世界のミュゼを殺した。しかし、その後戻った正史世界でミラはミュゼと再会した。けど、そのミュゼは正史世界ミュゼだから別人だった訳だ。

 

 

「別に良いわよ。今ではあれも仕方がなかったんだと思える様になったわ。だから、私は今回のローエンの事も同じ。あんた程悩んではいないわ」

 

 

「………なんかミラは俺より悪魔っぽいな」

 

 

「ちょっと、それどういう意味よ!?」

 

 

「え、い、いや!さっきタンニーンが言ってたろ!?悪魔は割り切って考える奴が多いって」

 

 

「………あんたよりは器用ってだけよ」

 

 

「はは、違いない。………なぁ、ミラ。ミラって、しょ――」

 

 

バンッ!!

 

 

「一誠いぃぃ!!無事かあぁぁ!?」

 

 

「じ、爺ちゃん!?何でここに!?」

 

 

「ちょ、オーディン様!イッセー君が怪我人という事を忘れていませんか!?あ、イッセー君お久しぶりです」

 

 

「ロ、ロス姉まで!?」

 

 

急に扉が開き飛び込んできたのは、北欧の主神であり、俺の祖父を自称するオーディンの爺ちゃんだ。それに、白い羽が装飾され、銀の手甲、鎧などを纏ったロス姉だった!確かあれがヴァルキリーの衣装なんだっけ?

 

 

「オーディン様、イッセーはこの通り無事ですので、一先ず落ち着いて下さい」

 

 

「む、そうじゃな。済まんかったの、グレモリーの姫君よ。久々だったのでついついな」

 

 

その後ろからはゾロゾロと部長を筆頭にオカ研のメンバーがゾロゾロと入って来た。

 

 

 

「ねぇ、イッセー」

 

 

「ん?何だよ、ミラ?」

 

 

「さっき何を言おうとしてたの?」

 

 

「えっ!?えーっと………何言おうとしてたんだっけか?悪い、ど忘れした」

 

 

「何よ、それ。気になるじゃない」

 

 

「い、いや、本当にど忘れしたしたからなぁ……」

 

 

「はぁ、まぁいいわ。あー、もう!うっさいわねー、あんた達!」

 

 

ミラはそのまま皆の輪の中に入っていった。

 

 

………言えるわけがない。俺は一回ミラの生をメチャクチャにしている。その行為は、命を救ったなどという免罪符が通用する様な事じゃない。だから、これ以上ミラの人生を掻き回しかねない事は言える訳がない、よな………

 

 

 

 

――side out

 

 

 

 

 

――匙side

 

 

「やはり、凄いですね。これが兵藤君の攻撃で出来た爪痕ですか」

 

 

会長はクレーターの淵に立って、その底の方を覗いていた。俺もそれに並ぶ様にして立って下を見下ろした。今俺たちが居るのは昨夜あった上級悪魔が一堂に会するパーティ会場付近の森の中だ。そして、その中に昨夜作られたクレーターの傍だ。これをアイツ一人でやってのけたってんだから、正直鳥肌が立った。

………あいつと俺じゃ格が違う。そんなあいつと俺は明日戦う。正直言って、勝てる気がしない。

 

 

「………怖いですか、匙?」

 

 

「………情けない事を言う様ですけど、怖いです。この大穴を見ただけでも、改めてあいつの凄さが分かりました。そんな奴と俺は明日戦うんだと思うと………足が竦みます」

 

 

「匙……」

 

 

「けど、俺は負けません!なんたって、俺はあいつのライバルッスから!」

 

 

強がりだなんて分かってる。多分俺は明日あいつに負けるだろう。けど、俺が弱味を見せる訳にはいかないんだ!

 

 

「それに、なんたって俺は会長――ソーナ・シトリー様の『兵士(ポーン)』ッスから!」

 

 

俺がドンと自分の胸を叩くと、会長はフッと笑った。俺はその表情にドキっとした。やっぱ、俺は会長の事が好きだ!本当にそう思える!

 

 

「では、私も命じましょう。匙、ソーナ・シトリーの『兵士(ポーン)』の名を背負う以上、負けは許しません」

 

 

「ウッス!!」

 

 

「あのー、会長に元ちゃん。私たちの事も忘れていませんか?」

 

 

そう言って後ろから声を掛ける人物がいた。同じ2年の花戒だ。

 

 

「そーですよ、匙先輩。私たちだって頑張るんですから。ねっ!先輩方!」

 

 

さらに、その後ろから後輩の仁村も話に参加してきた。その後ろには、真羅先輩、由良、巡、草下が続いて来た。そうだ、俺はこの仲間達と明日のゲームに勝つんだ!兵藤みたいな力が無くたって、やってやる!

そして会長の夢を笑ったあの連中を見返してやるんだっ!!

 

 

「っしゃあぁぁ!待ってろよ、兵藤!絶対にお前に勝ってやるからなあぁぁ!!」

 

 

 

――side out

 

 

 

 

――???side

 

 

「ふふ、シトリー眷属は大丈夫みたいね。あーあ、けど本当はイッセー君と一緒が良かったなー」

 

 

「おい、貴様。まさか、あいつが敵だからといって、手を抜く訳では無いだろうな?」

 

 

「それくらい分かってるわよ。今回は天界陣営の代表としてソーナ・シトリーのチームに協力するんだから。それに私はなんたって、ミカエル様のAなんだから、イッセー君とだって正々堂々真剣勝負よ!」

 

 

「ふん、ならいい。あの匙とかいう奴には悪いが、あいつを討ち取るのは俺だ」

 

 

「………いやー、無理な気もするけどなぁ……」

 

 

「む、何か言ったか?」

 

 

「べ、別に何も!?」

 

 

 

 




さて、最後の方に登場したのは天界陣営の協力者です。誰だか分かりました?
まぁ、一人は多分分かるとして、もう一人がちょいムズイかもです。まぁ、乞うご期待。


で、一誠がミラの生をメチャクチャにした云々カンヌンは、『設定』をご覧になっていただければ分かるかと・・・


ではでは、また次回~
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