夢うつつのスパイ   作:駄雀

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ついに一巻のラストです。準備していたから遅くなったのです。ゼルダのティアキン発売直前でウキウキしていたーとか、楽しみでブレワイプレイしていたーとか、ゼルダ無双もやっておくかーとかでは絶対ないです。具体的すぎるのは気のせいです。気のせい、、、ごめんなさい


決戦前夜

ガルガド帝国出発の1週間前、ペット小屋でダンはサラに会っていた

 

「サラー、頼み事あるんやけど、いい?」

 

「ダン先輩っすか? どうしました?」

 

ダンはとあることに関してサラに頼み事をするため、ペット小屋まで足を伸ばしていた。屋敷内は盗聴されているが、焔時代は物置小屋であり、大した設備もなく人が長時間過ごすことを想定されていなかったため、盗聴されてはいない。

 

「いやー、街散歩してたら怪我してる鳩みっけたから、治療してたんよー。治ったのはいいけど自分から離れなくなっちゃってどうしたらいい?」

 

「ちょっと待って下さいっす。あっ、そっちですか、わかります、かっこいいですもんね、えっ、それだけじゃない、あーわかるっす、はい、そうですね、わかりました。」

 

サラは鳩の小さな動きや、鳴き声を通じて会話を成立させていく

 

「なに、何言ってるかわかるの?」

 

「まぁ、なんとなくですけど、それで、この子はダン先輩と一緒にいたいそうですよ。できれば離れたくないそうです」

 

「いや、そんなこと言われても自分達任務あるじゃん。遠いとこ行くよ、あと危ないよ」

 

「いや、彼女にも伝えたっすけど足手まといにはならないようにするって」

 

「その子、メスだったの?後、しっかりコミュニケーション取れてる?」

 

「??どうかしたっすか?」

 

「サラ、凄すぎん?」

 

「自分はそんなことないっすよ、他の皆さんの方が何倍も。それよりもどうするっすか、彼女のこと」

 

「連れて行ってもいいけど、危ないよ、やめといた方がいいよってもう一回伝えてあげて」

 

「了解っす、、、そうですよね、わかりました。それでもついていきたいそうです。」

 

「まじ?分かった。なら、サラ、しばらく預かって色々教えてあげて、後自分にもどうすれば良いか教えて」

 

「分かったっす。この子にお名前つけてあげて欲しいです」

 

「じゃあ、エミリーで、お返しと言ったらなんだけど、修行つけたげるから」

 

「自分なんかが、ダン先輩の修行受けていいんですか?それよりも他の先輩に時間を割かれた方がいいんじゃ?」

 

「サラも灯の仲間じゃろ?自分も頼みごとしてるんだから遠慮すんな」

 

「じゃ、じゃあお願いするっす」

 

ダンはサラに戦い方の指導を始めた。サラは養成学校にいた期間がチームで一番短く、自信のなさもあいまって格闘は苦手としていた。

 

「よし、まずは相手から逃げる方法を教えよう」

 

「まず、逃げるんすか?」

 

「灯には格闘ができる奴がたくさんいる、ジビア、モニカ、クラウス、それに自分。なら、サラは敵と遭遇したらそいつらに戦闘を任せたらいい」

 

「でも、それじゃ足手まといになるんじゃ?」

 

「それなら、自分達は連絡を取る時サラに迷惑かけてるのか?」

 

「そんなことないっすよ、自分は役に立てるだけで嬉しいっすよ」

 

「なら他も一緒じゃろ、迷惑なんておもってないよ」

 

「ありがとうございます」

 

「よし、まず気配について話そう」

 

ーー気配と言うと漠然としたものに思えるかもしれない。しかし、無理やり言語化すると、それは音、空気の流れ、気温の変化、振動、匂いなどの微細な情報の集合体である。そして、人間以上に優れた感覚を持つ動物は多く存在する。犬ならば嗅覚、鷲ならば視覚だろうーー

 

「逃げる場面において、大事なのは気配をたどらせないことだ、動物達に力を借りて気配を分散させるのも1つの手だ。それ以上に、敵対しないことも重要やね、気配を自分達だけ先に察知する。動物達と一緒に戦えばより活躍できるよ」

 

「な、なるほどっす。で、でもジョニー氏や、バーナード氏に危険が及ぶんじゃ」

 

「そう、だから次に大事になってくるのが、サラ自身の強化な訳よ。トレーニングから始めよー」

 

「頑張るっす」

 

「お昼まで続けて、その後戦闘訓練、おやつ休憩を挟んで、射撃訓練とりあえずこれくらいは軽くやってみよっか」

 

「は、はいっす」

 

ーーーーー

陽炎パレス室内にて

 

「お二人とも頑張ってますね、今日の襲撃は彼らは除いて計画立ててみましょうか?」

 

「賛成よ、リーダー。今いいところみたいだから邪魔したら悪いわ」

 

「僕はどちらでも、まあ、チーム全体が強くなるならいいんじゃない」

 

周りの少女達も頷き賛成の意を示す。ガルガド帝国出発前とはいえ少女達は訓練を続ける。

彼女達にとって初の実戦の任務が不可能任務なのだ、街に蔓延るギャングを相手にするのとは訳が違う。全員で訓練するだけが全てではない、可能性としては考えたくもないが任務途中誰かが戦闘不能となったり、命を落としてしまい人手が足りなくなることもある。人数を減らした襲撃とて無意味であるはずがない。各自が今できるベストを尽くしていく、それでも時間は足らず常人より多く与えられることはない。

ーーーーー

「これから僕たちはガルガド帝国へと向かう。」

「入国する際は大きく3つのグループに分かれるまずは、僕、エルナ、モニカ、グレーテ。僕たちは工房の職人とその弟子達という建前で入国する。そして2組目、リリィ、サラ、アネット、ジビア。お前達は舞台を見に来た女学生だ。3組目、ダンとティア。2人はそうだな旅行に来たカップルということにしておこう。何か聞きたいことは?」

「大丈夫か、では一度解散とし各チーム作戦を練るように、何度も言うことになるが、屋敷内は盗聴されている。エルナの存在は秘匿しろ、そして各自のコードネームと仮名を間違っても話さないように、いいな」

 

「「「「「「「「了解」」」」」」」」

 

モニカ、グレーテ、エルナチーム

彼女らはエルナの存在を含めた作戦を練らなければならないため陽炎パレスの外を散歩しながら話をする。

 

「僕たちなら正直余裕じゃない?エルナを密輸入って任務含めてやっと他チームと五分ってところじゃない?」

 

モニカはどこまでも不遜に告げる。そこにはグレーテとエルナも並んで歩いていた。このグループにおけるいちばんの課題はエルナを完全に秘匿することだ。陽炎パレスの会話からガルガド帝国に出発する日程は知られている。クラウスの意向だった。曰く、「小川に枯葉が流れるように」情報を流さなければならないらしい。まぁ、おそらく流し過ぎるのも問題だが、全く流さないのも不自然だと言うことだろう。そのためモニカ達は任務の難易度が大きく上がっていた。

 

「エルナがモノみたいに言われてるの、密入国なの。間違っても密輸入ではないの」

 

「他の2チームの方々も優秀だと思いますよ、それよりも私たちにはエルナさんを送り入れるという任務もあります。しっかり策を練って向かいましょう」

 

「キミたちって本当にいい子ちゃんだよね。まぁいいや、どうやって連れ込む?荷物はある程度しっかり調べられるとしてキミの意見を聞かせてよグレーテ」

 

 

「そうですね、椅子に細工を施し、エルナさんを匿うのはどうでしょうか?」

 

「愚策だと言いたいけれど、理由を聞こうか?細工しているそぶりが見えたら真っ先に調べそうなもんじゃない?」

 

「いえ、今回の敵の目的はボスを倒すことです。そのために『奈落人形』という餌を用いて誘い込もうとしています」

 

「なら、国境で捕まってもらっては困る、か、なるほど流石だね」

 

「想定通りです」

 

「君もそれでいいよね、エルナ」

 

「の」

 

コクンと頷くエルナを見てクラウスに三人は報告しに行く。クラウスには「眠る虎の上に立つようなものだ」と諭された。代わりに彼から提示された案は精緻を極め思わずモニカに「極上だね」と言わせるものだった。

 

リリィ、サラ、アネット、ジビアグループ

彼女たちも誤って仮名を話してしまわないようにサラの動物小屋まで来ていた。

 

「よっしゃ、あたしらなら余裕だろ。さて、どんな感じで侵入する?」

 

ジビアは楽観的にだが皆を励ますように告げる。

 

「俺様、派手に行きたいです」

 

「こっそり行かないとダメっすよ」

元気よく無邪気に告げるアネットをサラが宥め、

 

「むぅ、、、」

 

「でも実際どうしましょうこのメンバーだとアネットちゃんと私が特殊なものを持っていかないといけませんね、、、」

 

「俺様、列車の部屋を記憶して改造すれば国境を越える前と後で完璧に同じに戻せますよ」

 

「なら、アネットちゃんの工具と私の毒で必要なものはそうして隠しましょうか。ある程度のブルジョワを演じておけば、あまり深く詮索はされないでしょうから」

 

「なぁ、サラ。お前のペットはどうするんだ?」

 

「そうっすね、バーナード氏とエイデン氏、後エミリー氏には空を飛んでいってもらうっす。今回はジョニー氏はお留守番ですかね」

 

「ふーん、そっか。ってエミリーって誰だ?」

 

「実は数日前にダン先輩から鳩を一羽預かって欲しいと承りまして、やっと最低限の技術をお教えできたんです」

 

「数日で教えたんですかっ?」

 

「やっぱり姉貴はすごいです!!」

 

「そんなことはないっすよ、自分はまだまだっす。できることを回してもらっただけですよ」

 

サラの能力は彼女の自己認識以上に優れている。

 

ダン、ティアグループ

彼らは役に入るために互いのことをハニー、ダーリンと呼ぶようにしているため、屋敷内で話しても問題はない。これが周りの少女たちに知られたら「うわ、きっしょ」「えぇ」ぐらいは最低限言われるだろう。だが、任務の是非と比べれば比較するまでもない。

 

「ねぇ、ダーリン、やっぱりここ暑いわ、場所を変えない?」

 

「いいよ、ハニー、外を散歩するかい?それとも、誰もいないところで手っ取り早く涼むかい?」

 

「、、、、、ねぇ」

 

「あなたもそんなこと言えたのね、見直したわ」

 

「柄じゃないからマジ恥ずい、顔熱ってきた、外行こ、外」

 

「あら、案外ウブなのね」

 

「だから、たすけてね、ハニー」

 

「うっ、その上目遣いあざといわね、私としたことが母性本能をくすぐられたわ」

 

「やっぱ恥ずい、いっそ地道に山歩いて国境こえるべ」

 

「なんで訛ったの、後、何日かけるつもり?!」

 

そう言って彼らは屋敷の外に出て行った。

ダンは元々武器はアネットに彼女ならば客車の改造を疑われずにできるだろう。電車の時間と車両が知られていないならいくらでもやりようはある。むしろダン自身がこの口調で任務に向かえるかを試していただけだった。

 

ーーーーーー

『灯』は元落ちこぼれを集めたチームといえども、スパイ技術を教え込まれたメンバーで構成されている。そのため案じていた国境越えも役割が軍人が担っているならば余裕で突破できる。

そして、ガルガド帝国内で彼女らは地道に情報を集めていた。実行班である、リリィ、モニカ、ジビアは前線で情報の奪取を行っていた。情報班である、ティア、グレーテは要人との接触により情報の整合性を確かめ、特殊班であるサラ、アネット、エルナは他班のサポートで全体的に支えていた。ダンは所属はなく、全体的に不足している箇所の要員、そして情報班の女性陣だけでは対処できない諸々を行なっていた。

そして、リリィの提案で任務の前日に決起会が開催されようとしていた。そしてその日にダンの消息が絶たれた。

 

サラのもとにエミリーがやってきたのち、サラから「ダン先輩が帝国のスパイに怪我を負わされたそうっす、今後の任務の続行は不可能とのことだそうです」とだけ伝えられた。

 




読んでいただきありがとうございます。

R18ルートの方は『おかえりアリス』を読んでから全く筆が進んでおりません。困ったぞ、、、
とりあえず一巻の終了までの目処は経ちました。多分翌日に投稿されるんじゃないかなぁと思うのでお楽しみに

(されてなかったら良くしようとしているだけです、決して間に合わなかったとかではないはずです。かしこ)
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