デート・ア・ストラトス   作:ミステリーフード

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プロローグ 1

「はぁ、何でこんなことになったんだろ?」

 

そんなことを呟いて彼女(・・・)は現在自分が置かれている状況について考えていた。

 

 

彼女……織斑 一夏には一人の姉と一人の弟がいる。

 

姉の名前は織斑 千冬。非常に優秀で剣の腕では右に出る者はいないとも言われている。その腕もあり、第一回モンド・グロッソでは総合部門と格闘部門で優勝して《ブリュンヒルデ》の称号を得た。

 

弟の名前は織斑 春彰。姉よりも身体能力は低いが、それでも普通の人に比べて高く、頭脳に至っては姉の知り合いの天才が認めるほど高く、周囲からは『神童』や『天才』等と呼ばれている。

 

そして、織斑 一夏には才能が無かった。身体能力は姉よりも劣り、学力は弟よりも低かった。 彼女自身、姉と弟に負けじと努力を重ねていったが、なかなか伸びずにいた。そんな彼女を周囲の人は『織斑家の恥』、『何も無いクズ』などと呼んだ。

 

別に最初からそんなことを言われていた訳ではない。あることがきっかけになって彼女のことを悪く言うようになった。

 

 

IS『インフィニット・ストラトス』。篠ノ之 束によって開発された宇宙での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツ。しかし、現在ISは宇宙開発に使われず、軍事利用されている。理由はISは攻撃力、防御力、機動力の全てが従来の兵器を圧倒しているからである。

 

もうひとつ理由があり、ISは女性しか動かすことができない。この特性のせいで世の中が女尊男卑になってしまった。無論、女性の中でも適正が低いとISは動かず、一夏は適正が本来ならあり得ない『無し』だったので、男性からの嫌がらせや、適正の高い女性からの嫌がらせを受けていた。

 

それに重なるように開催されたISの世界大会である第一回モンド・グロッソで、千冬が優勝したことが嫌がらせに拍車をかけた。一夏が努力しても「千冬様の妹なら当たり前」。結果が悪いと「春彰ならできた」と罵られるようになった。

 

千冬も一夏の努力に対して「私の妹なら当たり前だ」と言い、春彰に至っては影で一夏にいじめを働いていた。

 

無論、味方がいなかった訳ではない。一夏の努力を認めてくれる人がたった一人だけいた。篠ノ之 束。一夏が罵られる原因を作った元凶だが、出会った当初からなにかと気にかけてくれた。一夏の唯一の趣味である『歌』を褒めてくれたのも束だけだった。

 

 

 

 

 

 

一夏が自身の過去について考えていると、二人組の男が一夏に近づいてきた。

 

「へへ。まさかこんなに簡単にいくとわな」

 

「全くだ。織斑 千冬の妹にしては簡単だったな」

 

二人組が話しているのを聞いた一夏は、自身が置かれている状況を思い出した。

 

(ああ。そういえば誘拐されたんだった)

 

一夏は思いきって誘拐犯に聞いてみた。

 

「……あの、何で私を誘拐したんですか?」

 

すると男は機嫌が良いのか質問に答えてくれた。

 

「お前をネタに織斑 千冬を脅迫して金を手に入れようと思ってな」

 

男の答えに一夏は

 

「電話はしたんですか?……もしまだだったらやめておいたほうが良いですよ」

 

そう答えた。一夏の言った事に疑問を感じた男は一夏に聞いた。

 

「それはどういう意味だ?」

 

「多分、私じゃ千冬姉さんは取り合わないと思いますよ。もしするなら同い年の弟の春彰にしないと」

 

一夏の答えに疑問を感じながらも、男達は織斑家に電話をかけた。おそらく千冬が出たのであろう、電話をしている男が話しをしていくが、急に驚いた表情になり電話を切った。

 

「……お前の言うとおりだったよ。織斑 千冬はお前の誘拐をただのイタズラだと思ったようだ」

 

そう言うと、男達は拳銃を取り出した。

 

(ああやっぱり。……最後に束さんに謝りたかったな)

 

引き金が引かれる瞬間、突然拉致されている建物が炎に包まれた。パニックに陥った男達は我先にと一夏を置いて逃げていった。

 

そして、縛られて動けない一夏に焼け落ちた天井が落ちてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「んぅ。………あれ?………生きてる?」

 

一夏は少しの間気絶していただけだった。しかし、無傷では無かった。頭から血が流れていて、手足にも大小関わらず負傷していた。

 

「この傷じゃ帰れないなぁ……何で私だけこんな目にあうんだろ?」

 

一人で呟いていると目の前に『ノイズのような何か』が現れた。

 

『……どうしたんだい?』

 

ノイズが一夏に話しかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

織斑 一夏の物語はここから始まった。




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