かなりのご都合主義がはいってます
「……やっぱり来なければよかったな~」
一夏はそんなことをぼやきながら、誰もいない廊下を歩いていた。一夏が歩いているのはIS学園の廊下だった。一夏は当初IS学園に入学する気がなかったが、ある一本の電話のせいでここに入学することになった。
その電話がかかってきたのは、中学三年の冬のことだった。その日は五河家の兄妹が揃って家にいた。
「……あ、電話だ」
士道は電話がかかってきたのが聞こえ、電話にでて相手と話しをしていた。少しすると、士道は不機嫌な顔をしながら一夏を呼んだ。
「一夏、DEMの社長から電話だ」
DEM(デウス・エクス・マキナ)社というのは、世界規模で展開している大手会社である。士道が不機嫌になったのは、DEMと敵対していたからである。
一夏の姉であり士道の妹である五河 琴里は精霊との対話を目指した組織「ラタトスク」の司令をしている。それに対してDEMは精霊を殲滅しようとするAST(アンチ・スピリット・チーム)に顕現装置を提供していたり、精霊を使って何やらしようとしていた。
だが、今は少なくとも表だって対立はしていない。その理由はDEM側にあった。
DEMの業務執行取締役のアイザック・ウェストコットが中心に精霊を何かしらの実験をしようとしていたが、女尊男卑主義の株主がこぞってアイザックの解任を要求したが、アイザックと第二執行部部長のエレン・ミラ・メイザースがそれを武力をもって拒否したが、一夏が中学三年に上がる直前に女尊男卑主義の株主達が「バンダー・スナッチ」のデータを持って雲隠れしてしまった。調査した結果、雲隠れした人達は「亡国企業」と呼ばれるテロ集団に逃げたことが分かった。事態を重く見たアイザックは密かにラタトスクと接触。一時休戦になり、同盟を結んだ。
一夏がアイザックに呼ばれたのは、ラタトスク側からの出向者だからである。DEMとラタトスクは技術提携を結び、「亡国企業」に対抗する事にした。
『もしもし、一夏です。』
『あぁ一夏君、君は高校は何処にいくか決めているかい?』
『……?一応決まってますけど』
『いやぁ~実は君にはIS学園に行ってもらおうと思ってね』
『え!何でですか?』
『政府からISのコアを押し付けられてね。それを使った機体が出来てね、テストパイロットをしてもらいたいんだよ』
『はぁ、とりあえず検討してみます』
そう言って一夏は電話を切った。その後会議が行われ、ラタトスクがバックアップにまわることで同意になった。理由は技術の確認と情報収集だった。一夏は最後まで渋ったが
「一夏、どうやら学園には織斑 千冬が教師をしているそうよ。そろそろ過去にけりをつけなさい」
琴里(司令モード)に言われ、しぶしぶ承諾した。だが、年が明け二月に入った頃
「世界で初めて男性操縦者発見!」
そんなニュースが流れた。そのニュースに映っていたのは一夏の元弟
の織斑 春彰だった。
それを見た一夏は
「琴里ちゃん、あいつボコボコにしていいなら喜んで学園に行くわ」
と、とてもいい笑顔で言っていたので、琴里が若干引きながら承諾した。
そして、入学式までエレンや士道の実妹の祟宮 真那と一緒に実戦訓練をして二人から合格判定を貰い(その際、エレンと真那とかなり仲良くなった。)、入学式を迎えた。
そして冒頭に戻る。
一夏は入学式に遅刻をした。理由は士道と離ればなれになってしまうので、夜遅くまで士道と話をして若干寝過ごしたからである。それに加え、一夏はDEM社執行部部長補佐という重要なポストに着いており、それの引き継ぎが入学式当日までかかってしまい 、入学式に出ることが出来なかった。
現在、一夏はクラス分けを見て、自分が一年間学ぶ一年一組に向かっていた。そして、もうすぐ到着という所で目的のクラスから突然歓声が聞こえてきた。微かに聞こえる声を聞いてみると、織斑 春彰と織斑 千冬の声が聞こえてきた。それを聞いた一夏は心のなかが真っ黒に染まりそうになった。
『一夏、落ち着きなさい。精神状態が荒れているわよ』
耳に付けたインカムから琴里の声が聞こえ、一夏はどうにか落ち着いた。そして教室のドアをノックした。
「すいません、遅れて来たものなんですが?」
「ああ。入れ」
そう言われ、一夏は教室に入った。入った瞬間に頭めがけて出席簿が振るわれたが、一夏はそれを避け、振るってきた人物、織斑 千冬を睨んだ。
「……何ですかいきなり?」
「初日から遅刻とはいい度胸だな」
「遅れるというのは連絡したはずですが?」
「……まあいい。さっさと自己紹介をしろ」
一夏はそんな千冬の態度に内心怒りが爆発しそうになったが落ち着いて
「皆さんはじめまして~、五河 一夏です。DEMインダストリーの企業代表で、月野 夏織という名前で歌手をしています」
と、華やかな笑顔で自己紹介をした。それを聞いたクラスメイト達は
「え!あの月野 夏織!」
「しかも企業代表!」
「私デビュー当初からのファンです!」
「サインをください!」
など、様々な反応があった。一夏はサインをし、一通りサインを書いた後、一度目を閉じて
「あと、私の旧名は織斑 一夏で、そこにいる自称天才の元姉で、ブリュンヒルデに捨てられました」
特大の爆弾を落とした。
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