クラス代表決定戦の当日、一夏は控え室にいた。試合形式は総当たりになっており、当日に対戦の順番が発表される形式になっていた。現在、控え室には簪とのほほんさんがいて、一夏と話をしていた。
「さ~て、織斑をぼこぼこにするチャンスだ。思い切りやるぞ♪」
「お~つっきーってばやる気満々だね~」
「でも、この一週間の間に何か対策は練ったの?」
「織斑の方は分からなかったけど、セシリアさんの方はある程度の情報が手に入れたから」
そんな事を話していると、対戦の順番が発表された。
五河 一夏 VS セシリア・オルコット
セシリア・オルコット VS 織斑 春彰
五河 一夏 VS 織斑 春彰
このような順番になった。この順番に一夏は
(これって私とセシリアさんを戦わせて情報を引き出そうって魂胆が見えるんだけどな?)
そんな事を考えていた(実際にその通りなのだが)。そして、3人はピットに向かった。
「そう言えば、つっきーのISってどんなISなの?」
「あ、見せたこと無かったね。さあ!刮目せよ!スピリット・アリス!」
一夏はISを展開した。それを見たのほほんさんと簪は驚いた。通常のISは人よりも大きいのだが、一夏が展開したISはもはや着るという表現が出来るほど小さかった。
「つっきーのISってかなり小さいね~」
「確かに小さいけど、これでもDEM社(とアスガルド社)製第三世代IS 名前は『スピリット・アリス』だよ~」
一夏は自慢気にそう語った。
「非固定装備(アンロックユニット)が無いんだね」
「まあね~。でもかなり強いよ」
簪がそう言うと、一夏は返事をしながら髪飾りを星形の物から十字架の物に変えた。その瞬間、今まで和気あいあいとしていた空気が一変、ピリピリとした空気になった。これには二人とも驚き、簪は少し涙目になった。
「そろそろ試合が始まるから行くね」
一夏はそう言ってピットから飛んでいった。
アリーナには既にセシリアが待っており、一夏が来るとプライベートチャンネルで話しかけてきた。
『あら?対戦相手は貴女ですか?』
『ええ。この順場について、セシリアさんはどう思いますか?』
『……大方織斑さんに私達のデータを渡すのと、専用機の初期化と一次移行の時間稼ぎが目的だと思いますわ。』
『それでは、手を抜いていることがバレないように時間稼ぎをします。互いに奥の手は隠しておきますか?』
『それが無難ですわね』
『全力勝負は模擬戦の時にでも』
会話が終わると同時に試合開始のブザーが鳴った。こうして試合?が始まった。
『試合終了。両者同時にシールドエネルギーが0になりましたので、引き分けです。』
約30分の茶番劇が終わった。最も、セシリアは『ブルーティアーズ』を使用せず、ライフルとナイフだけで戦い、一夏は顕現装置を使用せず、レーザーエッジと魔力砲『ブラスターク・ミニ』だけを使用した。それでも互いに持っている技術を駆使したので、白熱した試合になった。
「いや~、セシリアさん強かったな~」
ピットに戻った一夏はエネルギーを補給しつつ、セシリアと織斑の試合を観ていた。織斑の専用機は『白式』といい、近接ブレードが一つしかないようだった。何故か一次移行なのに単一能力が発動しており、織斑 千冬の専用機と同じ『零落白夜』だった。
「零落白夜ね、まああれで戦えば問題ないな」
一夏は織斑との対戦は本気で挑むつもりだった。一回本気で潰せば後が楽になると考えたからである。
「あ、終わった。」
考え事をしているうちに試合が終わった。結果はセシリアのギリギリの勝利だった。零落白夜を発動した織斑の攻撃を寸でのところで回避してカウンターで入ったナイフが決め手になった。
しばらく待っていると、織斑の準備が出来た。
「さてと、琴里ちゃん、力を借りるね」
一夏はそう呟くと、ISを展開せずにアリーナに出た。
アリーナに出ると、織斑が上から一夏を見下ろしていた。一夏がISを展開していないのを見ると
「なんだ、始める前から負けを認めるのか。さすが出来損ない」
挑発してきた。一夏は無視して霊力を解放して
「神威霊装・五番 炎の加護を!『イフリート!』」
ISの展開と同時に霊装を纏った。その姿は袖や裾が長い白い和服と、鬼のような二本の白い角が特徴的だった。そしてアリスの籠手と肩のユニットが付いていた。それにとどまらず、髪は赤色のストレートに、金色の左目も赤色に変わっていた。それを見た織斑は驚いたが、開始のブザーが鳴ったのと同時に突っ込んできた。
「顕現しろ『サラマンダー』!」
展開した可変式戦斧『サラマンダー』を織斑の剣の横から叩きつけて織斑を吹き飛ばした。
「なんてパワーだ!不正してるんじゃないのか!」
なにやら喚いているが、お構いなしに一夏は織斑に追撃を加えた。そこからは互いに近接戦になったが、はっきり言って戦いにならなかった。
「はあ!」
一夏の一撃がおもしろい位に当たるのに対して
「くそぉぉぉ!」
織斑の攻撃は悉く防がれた。痺れを切らしたのか、零落白夜を発動させて、更に瞬時加速を使って突撃してきた。一夏は冷静に回避に専念した。
「くそ!当たれよ!」
織斑は滅茶苦茶に剣を振り回してきたが、一夏はそれを剣先ギリギリで回避し続けた。霊装そ防御力の前では、零落白夜ごときどうってことないのだが、苛々させるのと、エネルギーを使わせるのが目的だった。
三十秒ほど回避していると、織斑は零落白夜を解除した。織斑は舌打ちをしたので、一夏はある仮説を立てた。
(もしかして、零落白夜は短い時間しか使えない?だったら決めるのは今!)
「顕現装置、並列駆動……座標……固定!」
一夏がそう呟くと、急に織斑の動きが止まった。
「なっなんだ!動けよ!」
一夏が行ったことは、随意領域で動きを制限する、たったこれだけであった。
「それじゃあ、さようなら」
そう言うと、サラマンダーから炎燃え盛り、斧を包み込んだ。そして
「炎舞・紅蓮!」
思いっきり叩きつけた。そして、白式に当たった瞬間に大爆発が起こり、シールドエネルギーが0になった。
『試合終了。勝者、五河 一夏』
試合終了のブザーが鳴った。
白式の変更点
・束製ではなく倉持製なので、性能が第三世代の標準並み
・零落白夜は一度発動すると三十秒ほど元に戻せない+再利用まで二分かかる
・全体のエネルギー効率が僅かに悪い
これくらいですかね
感想等あればお願いいたします。アンケートも実施しています。