孤独な少女はドラゴンテイマーとなり異世界へ行く。 作:気まぐれな富士山
生まれた時から、世界に居場所など無かった。
『何よ、汚い子ね。あんたなんか要らないわ。消えてちょうだい。』
『テメェが俺の子供なわけねーだろ!死ね!』
風俗嬢だった母は、私を産んだ直後に死に、親の代わりをしていた風俗店の店長も、4歳の時に私を追い出した。
母が残した手紙にあった住所にいた父であろう人間は、母を孕ませたことすら忘れた人間だった。
こうして、私は5歳にして天涯孤独の身となった。
『寒い…………お母さん…………………』
母の声も、顔も、匂いも覚えていない。
存在しない母を求めて彷徨う。
でも、私の前には暗闇しか無くて。
『うぅ………………死にたくない、死にたくないよ………………』
暗黒街で生きるには、誰かに気に入られなきゃいけなかった。
マフィア気取りの少年グループに入り、日々犯罪に手を染めた。
初めて覚えたことは、ゴミ箱の食べられる食材と観光客からお金をもらう方法。
『どうか…………恵んでください。』
小さい私は非力で、さらに不器用だった。
スリはできないし、うまく喋れないから詐欺もできない。
『嫌だ……………生きる、生きる!』
体が成長するにつれ、そういう仕事をするようになった。
結局は死んでいった母と同じことをするしかなかった。
『ちょっと、ちゃんと金払いなさいよ!』
『うるせぇなぁ。お前みたいなゴミ1人死んだところで構わんだろ。おい、やれ。』
『はぁ!?ちょ、ちょっと待ちなって……………!』ゴッ
体から力が抜けていく。
今度こそ夢のある生活に辿り着けると思ったのに。
『ちくしょう…………ちくしょう……………………』
汝にとって、『幸福』とはなんぞや。
『……………毎日メシが食える。ゴミとか、食べかけとかじゃなくて、焼いた卵にミルクとパン。あとバターも。そんな日々が、幸せ。』
汝にとって、『欲望』とはなんぞや。
『……………勉強がしたい。気になるのさ、色々なことが。頭のいい奴になれば、金の稼ぎ方もわかるはずさ。学校に行けなくてもいいけど、文字の読み方も覚えたい。』
汝にとって、『生きる』とはなんぞや。
『……………できるなら、誰も不幸にしたくない。アタシがゴミみたいな人間でも、誰かを幸せにして生きられたら………よかったね。』
………………ならば目覚めよ。
汝の欲を満たすなら、かの『力』で世界を駆けるのだ。
これは、我からの試練である。
汝に送る『力』を、汝がどう使うのか。見定めさせてもらうとしよう。
「ん…………んんぅ…………………」
優しい匂い。柔らかな感触。暖かな温度。
まるで、母に抱きしめられているかのような感覚。
「お母さん…………………?」
良好でない視界を広げるとそこには、お伽話でしか見たことのない紅き龍の姿があった。
大きな翼に鋭い爪と牙。ゴツゴツとした岩のような肌だが、彼女には柔らかい部位を当てている。
「…………………?」
「グルルゥ………………」
「え…………本物?」
「ガウ。」
それを見た時、少女は恐れを感じなかった。
なぜか、心を通わせた感覚がした。その龍の気持ちが伝わってくる。
少女を労り、心配するような感情が伝わる。
「……………普通の人間より、優しいね。アンタ、名前は?」
「………………」
伝わってきた名前は。
「リオ………レウス?」
それが伝説の火竜であることを、少女が知ることは無い。
主人公
名前:レイ
年齢:15
特技:演技・食べれる物探し・龍、竜との会話