「______っ!」
「__________やく!_____げて!」
「はやく!はやく逃げるんだ!」
霞む目を見開き周囲を見渡す。
大勢の人が何かから逃げてる…
みんな同じ方向へと走ってる…
獣が唸るような大きな音が鳴り響いている…
何かのイベントかな…?
いや違う。
空を見ると大量の流れ星で埋め尽くされている…
とても綺麗だ…
この空を俺は知っている。
願い事は何にしようか…
そんなことを考えている暇はないはずだ…!
そう考えているうちに大きなトンネルについた。
薄暗いトンネルを抜け、俺を背負ってくれていた女性は声をかける。
「______…!大丈夫よ…!きっと助かる…!だから安心して!」
そう声をかけてくれたのは…母親だ。
「…うんっ!」
その直後、大きな揺れに襲われる。
地震とは比べ物にならないほどの大きな揺れ。
体が大きく跳び跳ね、地面に叩きつけられる。
揺れが止んだときには
大勢の人の悲鳴
一瞬の出来事でなにが起きたのかさっぱりわからない。
だが頭には激痛が走る。
痛みを堪えて赤色の視界を開ける…
視界が開いた先には地獄が広がっていた。
星の落着により火の海となった東京
空高く舞い上がる土と焼けたビル
迎撃にあたっていた自衛隊機の雨
焼ける人の臭い
血生臭い臭い
逃げ込んだシェルターも天井が崩れ、多くの人が生き埋めになったり、泣き叫んでいる。
原型を留めていない人もいる。
痛い…痛い…痛いよぉ…
たすけて…
たすけて…!
足がつぶれちゃったよぉ…
手の感覚がないの…
誰か私どうなってる…?
あがっ…ががっ…
「お母さん…どこ…?」
幼き俺は周囲を見渡した。
だが見当たらない。
手には母親の感触がある。左手の方へ顔を向ける。
だがそこには強く俺の手を握り締めた、
潰れた母親の無惨な姿があった。
「あああああああああ!!」
「うおっ!びっくりした。ルーキー、初任務だってのに居眠りとは余裕だな。」
そう茶化してきたのは僚機となるオメガだ。
俺はどうやらブリーフィング中に居眠りしてしまったようだ。
「驚かして申し訳ない。悪夢を見ていて…」
「別に怒っちゃいねぇよ。俺もたまにやるから気にすんな。」
少し前、俺は軍からこの傭兵業へ移ったパイロットだ。
アローズ・エア・ディフェンス・アンド・セキュリティ社にヘッドハンティングされ、今任務よりボーンアロー隊の4番機として出撃する。
TACネームは「Reaper(リーパー)」、死神という意味らしい。気味が悪い名前だ。
今任務の内容は、一週間後にミッドウェー海域での自衛隊及びアメリカ海軍第7艦隊、他傭兵部隊との合同軍事演習だ。
俺ら以外に参加する傭兵は確か…「Antares(アンタレス)」と言ってたはずだ。あとでオメガに確認しよう。
「Antares」というやつも俺と同じで入ったばかりの新人らしく、合同軍事演習にて無人UAVとの戦闘がある。
合同ということはギャラリーも多い、ミスなどせず早めに撃墜した方がいいだろう。
「リーパー、ブリーフィングは頭に入ったか?居眠りしている余裕があるぐらいだ。期待しているぞ。」
ヴァイパー…アロー隊の一番機様だ。居眠りバレてたか…
「期待されてるってよ!よかったな! 任務が上手く行くように願掛けがてら飯奢ってるよ!」
「ありがとう」
オメガに笑いながら肩を組まれ、一応感謝の気持ちは伝え一緒に会議室から出ようとする。
だが、日本の旧首都、東京に国籍不明のUAVが飛来し自衛隊機の警告を無視し攻撃をしてきたとの無線が入る。
俺の初任務はいきなりの実戦となった。