異世ばと! ※スーパーなろう大戦に作者オリキャラが参戦する話です   作:笠本

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第9話 全パーティー入場!! ⑤

パーティーNo.049

 

 酒場の入り口に立った小さな子供と青年。

「さあ、キャサリンお姉ちゃん待たせたの。あなたのクリス坊やが到着じゃよ」

 

「よっし、ジェネラルオークもさくっと片付けて報酬もばっちりだからな。これで昨日の飲み代叩きつけてキャサリンちゃんを取り戻すぜ」

 

「あれを9割削ったのはワシじゃがの。そもそもがバカスカ飲んだお主じゃなくて、お姉ちゃんが残るのがおかしいんじゃ」

 

「あーん? キャサリンちゃんが言ったじゃねえか。俺がさくっと討伐依頼こなすのが分かってるからここで待ってるって。女性の信頼に応えるのが冒険者ってもんだろ」

 

「達な。達。お主なんぞワシのおまけじゃ」

 

 扉の前で襟首を立ててシャツを整え格好をつけながら言い合う二人。背後の妖精が呆れたように声をかけた。

 

「勇者様ですからジェネラルオーク倒してきたのは驚かないですけど、結構な参加報酬お渡ししたはずなんですが、それを一晩で飲み干してたことにビックリっすWA」

 

「実際の飲み代はそこまでじゃねえよ。最初に寄った市場でこのクソガキが有り金の殆どを無価値な骨董品につぎ込んでやがったんだよ」

 

「いやいやあのツボ、あれを持って帰れば将来絶対に値があがるわ。ワシの長年の目利きの経験がそう言っとるんじゃ」

 

「お前の自慢のお宝、100年たったら実際全部ゴミだったじゃねえか。古臭いセンスで判断すんなって言ってんだろうが。時代が下って魔術が劣化することはあっても芸術品は常に進化してんだよ」

 

 そのまま青年が扉を開けば店内は。きらびやかな照明に照らされ、酒と香水の香りが甘く外界の疲れを蕩かす別世界。

 

 出迎えたボーイや着飾った女性を流して二人がまっすぐ進んだのは奥側の席。

 

 そこには同席した男たちに酌をして、はずんだ声をかける赤いドレスのネコ耳女性。

 

「さっすがー、知らなかったー、すごーい、精霊の加護ありそー、そうなんだー」

 

「へへっ……そうさ。俺たちはよう……ヤクザ者なんだ……例え相手が勇者様だろうと引くわけにはいかねえ……それが男ってもんだろ…………」

 

「うんうん、分かる、分かる。それじゃあ景気づけにもう一杯いっちゃおー」

 

「お……おう……それじゃあ勇者様にぶちかます……前祝い……行くぜ」

 

 ザゴール団の男がぐいっとグラスをあおれば、ガクンと首が落ちる。その隣には同じく酔いつぶれた仲間が二人。

 

「お願いしまーす、三名様お勘定でーす」

 そばに控えていたボーイたちがすっと素早く団員たちを抱えて店の奥にひっこんでいく。

 

 入れ替わりに青年と子供がネコ耳女性の両側に座り込んだ。

 

「キャサリンちゃん、お待たせ! ごめんねクソガキのせいでこんな所で人質で働くはめになっちゃって」

「おねえさーん、遅れてごめんね。お兄ちゃんをコンサルティングしようと思ってオークを瀕死で渡してやったのにトドメに何十分もかけちゃったんだよね」

 

「だいじょぶだいじょぶ。私もだてに令嬢やってたわけじゃないから。っていうかもう昨日の飲み代は稼ぎ終わったんだけどね」

 

「「えっ!?」」

 

「うふふ、でも二人はまたでっかく稼いできたんでしょ。ここは一杯おごってもらおっかな」

 

「もちろん! お姉ちゃんのためならボク、ボトル入れちゃうよ」

「俺も俺も!」

 

「ありがと。もちろん二人も一緒に飲むよね。いつものでいい? 注文お願いしまーす。私のはシャンパン、二人には違いの分かる男のための赤ワインとドンペリのミルク割りのアルコール抜きで」

 

 即座に運ばれてくる酒とミルク。

「はーい、それじゃあ明日の大会優勝を祝ってかんぱーい」

「「かんぱーい!」」

 

 そのまま三人で盛り上がり、一杯のはずがつぎつぎとお代わりの注文が続く。

 店の奥に浮かびながらその光景を見ている妖精。

 

 ちらっとバックヤードをのぞけば酒場の店長とボーイたちがザゴール団の男を縛り上げている。

 

「おう、ザゴール団にはみかじめ料で絞られたからな。落ち目とはいえ、逆に金のつきようはあるってもんだわ。料金分、きっちり金に替わってもらうぜ」

 

「それにしてもキャサリンちゃん、このままここで働いてくれないっすかね。今もなんでかお仲間から搾り取ろうとしてるっすけど、あれも天性の嬢だからですかね」

 

「だろうな。カモを前にすると自然と技が出ちまうのさ」

 

 妖精がボーイがつけた勘定書を見ると団員たちの分には恐ろしい桁の数字が並ぶ。そして今も少年と青年の分がそれ以上にどんどんと加算されている。

 

「これがSSSSSスキル……これが伝説の職業(クラス)、キャバ令嬢…………ぱないっすWA」

 

◇大魔道士、100年後の未来に転生したら通貨価値が劣化していてスローライフの夢破れる ~ならばコンサルティング業で逆転だ!~ 

 


 

パーティーNo.050

 

「オッシャア!」

 何度か危なげなところはあったが、青年の拳によってザゴール団員は倒された。街の人々が拍手で称える中、青年は事務服を来たメガネの美女にかけよった。

 

「どうですか―――さん! 俺の勇姿、見て頂けましたか?」

「はいっ、ギルドの担当としてしっかり拝見しました。さすがは史上最速でAランク昇格をなしとげた冒険者パーティーのリーダーだけありますね」

 

「いやあ、こないだ倒したドラゴンに比べればこんな奴らどうってことありませんよ……痛っ!?」

 

 突然足の裏を押さえてとびあがった青年は、どうしましたと首をかしげた女性になんでもないと返す。

 

「それじゃあ俺はこいつらを衛兵に引き渡してきますから、どうかお茶でも飲んで待っていてください」

「はーい」

 

 気絶した団員二人を引きずった青年は足元に向けてつぶやく。

「ねえ、こいつら重いんだけど。ちょっと影の中に収納してくんない?」

 

 すると影からその言葉に反応があった。

「ワタシのご主人からの命令は貴様の護衛。ご主人以外の男に余計なサービスする必要などないのである」

「いま俺がこいつらに襲われたとき完全スルーだったんですけど!?」

 

「正直、貴様がいなければご主人から離されることなかったのにと思うと、うっかり任務に失敗しようかという誘惑と戦うのに忙しかったのである」

 

「いやあアイツはあんな美少女に囲まれといて誰にも手が出せないヘタレだからなあ。嫉妬心丸出しで感情的に動いてパーティー内ギスらせるキミはやっぱり外回り命じられてたんじゃないかなあ……痛ッツ!!!」

 

 青年は尻を押さえてとびあがった。

 

◇幼馴染と結成した冒険者パーティーが史上最速でSランクになってしまった! 『なにって俺はただ黒髪の新人にメシ奢っただけだが? どうして……どうしてドラゴン討伐や帝国の侵略阻止が俺の手柄になってるんですか……』

 


 

パーティーNo.051

 

 街外れの平原。

 地面に向かって何やら作業をしていた勇者。その彼に挑んであっさりと返り討ちにあったザゴール団員。だが幸いにも流れで許されることになった。代わりに言われるがままに勇者の手伝いをすることに。

 

「あの勇者様、こりゃいったい何やってんですかい?」

 団員は指示された丸太を運びながら目の前の男に問う。

 

「勇者なんぞ昔の話だ。今はただの村人だって言ったろ」

 男は大きなハンマーを軽々と持ち上げ、地面に仮打ちされた杭に振り下ろした。

 

「そんで何やってるかって? そりゃ村人がやることと言ったら村作りに決まってるだろ」

 

◇村人Aは今日も魔族領域を開拓する 『ようこそ魔王さん、ここはこれから〇〇の村です』

 


 

パーティーNo.052

 

 団員と勇者たる幼い少年の戦いは意外や長引いていた。

 

 少年が振るうのは練習用の木剣。三人の団員が持つのはそばにあった建築資材の角材。

 武器と人数と体格は圧倒的に団員の有利だが、さすがに相手が勇者となれば互角の戦いとなるのだ。

 

 いや、おかしいと団員は困惑する。

 たしかに少年の剣は筋が良く、若いながら地道な訓練を重ねてきたのが分かる。だが力とスピードという基本スペックが足りていない。勇者というには明らかに格が不足している。多少のダメージ込みなら暴力を日常とする自分たちなら圧勝できるはずなのに。

 

「これは、俺たちが弱くなってる……?」

 

 そう、自分たちの力とスピードも少年相応に落ちているのだ。だから勝負がここまで長引いたのだ。

 

 だが人数の有利がようやく効いてきて、少年は疲労に膝をついた。

 

「くっ、ボクはこんなとこで負けるわけには!」

 

「諦めるんだなボウズ。やっといてなんだが俺たちは卑怯に大人三人で囲んでるんだからよ、負けても恥にはならねえよ」

 

「いやだ! パーティーのみんながいない今こそ勝利して、もうボクは守ってもらわなくてもいいって証明するんだ!」

 

 負担に顔を歪めながらも瞳は真っ直ぐ。道を踏み外したヤクザ者であればこそ、こういう目には弱い。角材を放り無抵抗のポーズをとれば少年も一人だけ武器を振るうこともできずに剣を降ろした。

 団員がそれとなく少年の口を促せば、分かったことは。

 

「なるほど、ボウズはお天道様から勇者の職業(クラス)を授かってて、そんで世界の敵である魔物はボウズのレベルに応じた強さに(なら)されるってことか」

 

 自らを基点に世界そのものを規定し変化させることができる。まさに天から祝福された勇者に違いなかった。

 

「そうです、だけどボクはもうみんなに守られてばかりなんて我慢できない! みんなと並んで戦いたい! ボクだけレベルアップできないなんてもうイヤなんだ!」

 

 どうやら勇者のパーティーメンバーは彼の保護者として振る舞って、彼を戦いから遠ざけているらしい。

 彼のレベルが低ければ魔物も相応に弱くなるというのならばそれは合理的ではある。

 

「分かるぜ、ボウズ」

 

 だが団員は少年の境遇に(いきどお)った。

 社会のシステムの要請で生き方を強要される辛さに共感したからだ。

 ヤクザ者の中には親の職業や生まれた土地を理由にアウトローとして生きざるをえなかった者も多いのだ。

 

「俺もお仲間に一言ビシッと言ってやるぜ」

「そうさ、男だったら相手が強かろうとなんだろうと自分で立ち向かうのが筋ってもんさ」

「その覚悟に外野がとやかく言うなんて野暮ってもんだろう?」

「皆さん……」

 

 だが、いざその保護者が駆けつければ。

 

「ほべえッ!」

 瞬殺され地面に叩き伏せられた団員たち。

 

「勇者くーん、大丈夫だった? ごめんね、ちょっと私たちが離れたばっかりに」

「もう、あんたが下着屋に入ろうなんて言うからよ」

「反省……すべし!」

「反省してまーす。だから次は勇者くんも一緒に連れてくから」

「たしかにな。こういうのは使う人間の意見が一番大事だぜ」

 

 魔法使い、聖騎士、魔道具使い、忍者の四人の女性が少年を囲み、弄くり倒す。

 少年は彼女たちの色々と圧倒的なボリュームに圧倒されながらも懸命に主張する。

 

「あっ、ちょ、待ってください。ボクは、ボクだって強くなれるんだってことを皆さんに伝えたくて…………」

 

「ええー、知ってるよー。昨日だってお姉さんたちに勇者くんの強さ、たっぷり教えてくれたもんね」

「あっ……んんっ……あっ……ちょ……もぎゅっ……」

 

 必死に抵抗するが少年の小さな身体は四人の美女の恵体に埋もれてしまった。

 団員たちは血の涙を流しながら叫んだ。

 

「「「ボウズ、お前さんすげえレベル高いじゃねえか!」」」

 

◇最強お姉さんパーティーに囲われたショタ勇者くんは一人でレベルアップできるかな?

 


 

パーティーNo.053

 

 眉目秀麗な五人の美青年はザゴール団員の二人をやすやすと叩きのめした。リーダー格である金髪の優男が二人にトドメをさそうと剣を振り上げる。

 

 それを止めたのはピンク色のセミロングの髪をした少女であった。男の胸にすがりついてあどけない顔を向ける。

「殿下、私は大丈夫です。もう危ないことはおよしになってください」

 

「ああ愛しの君よ。すまない、私がついていながら怖い思いをさせてしまった」

 

「いいえ、殿下がそばにいてくださるんだから、私はなにも怖くなんてありませんでした。それより私、不思議なんです。私たちは違う世界から来たのに、この方たちは私たちが何者か分かってたように絡んできましたよね。まるで誰かに手引されていたような。うーん、おかしいですよね」

 可愛らしく小首をかしげる少女。

 

 金髪の青年は激昂して背後を振り向いた。

「また貴様かっ! 未だ私との婚約破棄がならないのをいいことに、彼女を亡き者にしようとしたのだな!」

 

 全員の咎める視線が集中するのは一人離れた位置にいた紫色のドレスを来た金髪縦ロールの令嬢。

「そんな!? 彼らは最初に妖精さんが言ってたデモンストレーションのための人員ではありませんの!? 手引きもなにも私にそんな伝手があるはずございません!」

 

「またも人のせいにして罪を逃れるつもりか! どうせ彼女に危害を加えたときの取り巻きや手下にやらせたに決まってるだろうが!」

 

 担当の妖精がテンション高く叫んだ。

「おおっと、私たちのせいにするなんてこれは信じられないSA! 妖精はカワイイ娘が大好き! ひどい目に合わせるなんてあり得ないのSA!」 

 

 青年たちと、さらに妖精と団員の眼差しにも責められ、令嬢はその場を走り去った。

 

「くっ…………私はなんて愚かなの。世界が変わればきっと殿下も皆も元に戻るなんて希望にすがって。分かってるはずなのに……あの男爵令嬢がいる限り私は嫌われ者のまま。でも、もう辛くて、心が耐えられない…………誰か、誰か……助けてくださいまし…………」

 

 息の切れた胸をおさえ、令嬢は天を見上げる。まるでこの空の下のどこかに彼女を救ってくれる王子様がいると信じるように。

 

◇フロマージュ -Sweet Love Story- オリジナルドラマCD/DLCパック同梱版

 


 

パーティーNo.054

 

「ああああ@フレ募集中の名においてジュエル40個を捧げ、ここに召喚の儀を行う。いでよ英雄――――」

 

 青年が色とりどりの宝石を空に放ると輝く粒子となって散った。

 同時に地面に魔法陣が輝き、さらに眩い光が立ち昇る。その光が収まれば人影が残る。

 

 そこに立っていたのは薄緑色の長髪をした美女。

 跳ね返りの癖毛、勝ち気な瞳、舌を出した挑発的な表情。身にまとう白い軍服は大胆にアレンジされ胸元や腹部、素足を晒す。

 好戦的な内面をまったく隠さないその女性。

 

 わあっと歓声をあげて盛り上がるのは召喚者たち。 

 

「うおおおおおおお! 来たぜええええ!」

「セクシーすぎるううう! もはや軍服の面影なんて無し!」

「癖っ毛なのに髪サラサラってどういうことー!?」

「バイク雑誌の表紙を飾って欲しいーーーーー!」

「ブリーチ千年血戦編で初登場ながら一目で理解できるエロカッコよさで俺たちの心をがっちり掴んだ!」

 

「「「「「「滅却師(クインシー)キャンディス・キャットニップさんだあああああ!」」」」」」

 

「間違いない! これはコラボ枠だ。地球でブリーチ千年帝国編のアニメが始まったに違いない!」

「うおおおお! 俺は信じてたよ!」

 

 刺激的な格好をした女性滅却師(クインシー)に召喚師たちが殺到する。

 

「あの、握手いいですか?」

「あっ、ずるいぞ握手するのはこの俺だッ!」

「ええい、俺だッ! 俺が呼んだキャンディス・キャットニップさんだ!!」

 

 美女が群がる青年たちを一蹴。

「きめえ!」

 

 地面に折り重なった青年たちに、彼らと対決していた団員が期待した顔で尋ねた。

 

「あの、旦那。俺たちこのキレイなお姉さんにお仕置きされるんですかい?」

 

「はあ? 何いってんだ。キャンディスさんはな、尸魂界(ソウルソサエティ)攻略っていう大望があるんだ。そんなつまらん仕事をお願いできるわけないだろ! それじゃあ姐さん、ここは俺たちバンビーズ専属従士組にお任せください!」

 

 ビシッと敬礼する青年たち。

 

「えっ、そんなのあったか? …………あー、まあ適当にやっとけや」

 何だこいつらと半目のしらっとした表情で手をひらひらとさせるキャンディス・キャットニップさん。

 

「「「「「イエス、マム!」」」」」

 そして忠実なる騎士団従士たちは瞬く間に務めを果たした。別にご褒美とかはなかった。

 

◇ガチャ狂いの召喚士 ~転生したゲーム世界がコラボ展開が激熱すぎて今日もギルドクエスト周回するっきゃない~

 


 

パーティーNo.055

 

 ザゴール団員が難癖をつけて「ぶっ殺すぞ」と脅しつければ、その青年はなぜか感激に破顔した。

 

「よし、そういう人間を待ってたんだ。お前さん武器は? ないか、じゃあ俺の剣を貸してやる。さあ、それでずぶっと俺を死なせてくれ」

 

「えっ……あの……」

 本気で剣を渡してくる青年に団員は困り果てるが、自分が殺される展開よりかはと渋々受け取った。

 

「さあ早く、あの女が来る前にさくっと殺ってくれ」

 

 何度念を押してもやれと言い張る青年に、団員は恐る恐る剣を突き出した。

 シャツごと腹部に差し込もうとしたが、

「あれ、勇者様。突き刺さんないですよ、これ」

 

「そんなバカな。俺はなんのバフもかけてないぞ……まさか!」

 

「ダーリーン、ここにいたのね。もう酷いじゃない、私という恋人を置いて宿を出ちゃうなんてえ」

 

 背後から女性の声。途端に青年はガクガクと震えだす。

 

「ひっ」

 彼の顔をかすめて鋭いなにかが背後から伸びた。

 

「あがっ!?」

 ザゴール団員は腹部を押さえて地面に倒れる。

 それは女性の髪が変質した刃であった。腰まで伸びた黒髪。その先がまるで禍々しい何かであるようにうねり、一部がさらに長さを増して剣や鎖へと変化していた。

 

「もう、私達は例え死んでも離れられないんだから」

 黒髪の美女は背後から抱きつくと、勇者の頬に生じた切り傷にそっと舌を這わせる。すうっと傷が消え、肌は代わりに青ざめる。

 

「ハイソウデスネ……」

 勇者は死んだ目をして言った。

 

◇死ねない勇者の冒険譚 ~魔王討伐したら前世の記憶とリセットスキルに目覚めたので 『True End』目指して全ヒロインルート制覇中……五周目でヤンデレに全部バレました~

 


 

パーティーNo.056

 

 ザゴール団の首領は拳を握りしめた。

 

 目の前の勇者。今は一人、つまらなそうに平原に立つ少年。

 どこか鬱屈としたものを抱えているような、ある意味どこにでもいそうな思春期の少年といった外見。

 だがこの彼こそが、前大会で準優勝のパーティーを率いていたのだ。リュークたちに敗れはしたが、決戦で彼の仲間を一人落とし、リューク自身にも傷を負わせた力量。

 

「俺の最期にふさわしい相手じゃねえか」

 

 首領は勇者に殺されることを望んでいた。元より多少の減刑がされたところで、積み重なった悪事の精算は残る生涯全てを獄中で送ることを求めていた。ならば例え死と引き換えであろうとも勇者に一撃を食らわせ、己の男を証明することこそアウトローの最期であると決意していた。

 

「ちんけな組織だがよ、仮にもヤクザの頭やってたんだ。死に花さかせるのに付き合ってもらうぜ勇者様よお」

 

「ふうん。おっさんの事情、聞かされてもなあ。何つうか、全然沸かないんだよね。まあいいや。俺、いまトレーニングモードなんで、勝手にかかって来ていーよ」

 

 少年はパチンと指をならす。次の瞬間には半径百メートルの円状に光の弾が無数に出現。

「んじゃ今回はパターンBでいくかな――――START!」

 

 その瞬間無数の弾が周囲にばらけ散り、地上へと衝突していった。

 雨か吹雪かという光弾が降り注ぐ中、少年は縦横と素早く移動し、仮想の敵を相手に刀を振り、手からエネルギー波を打ち出し、体術を繰り出す。

 

 ようやく光の弾が全て周囲に着弾すると、少年は刀を鞘に戻し息をついた。 

 

「とまあ。知ってるみたいだけど俺のスキルは魔弾の生成な。くそ女神が言うにはSAIKYOってゲームメーカーの弾幕パターンらしいけどな。フィールドを俺の魔弾で覆い尽くして制圧する。まあ所詮は機動がパータンだから初見殺し専門で、格上は俺が直接やんなきゃいけないんだけど…………あれ? こないと思ったらおっさんは?」

 

 少年が背後を見回すが男の姿はどこにも無し。

「ま、いっか」

 地面に首領の着ていた服の切れ端が残るが、少年はすでに興味を無くして新たな光弾をフィールドに生み出した。

 

◇転移特典に最強スキルを要望したらゲーマーな駄女神にSAIKYOシューティングとやらのスキルを押しつけられた

 


 

パーティーNo.057~No.097

 

 ザゴール団があらわれた!

 勇者のこうげき

 かいしんのいちげき!

 ザゴール団はたおされた!

 ざこすぎてけいけんちがはいらなかった……

 

 

その英雄は忘れられたい ~次こそ楽園に行けるよう功績は全部仲間に押し付けて隠遁したのに彼女たちが世界中に俺を大捜索してしまう~

幼馴染枠採用の後宮妃 ~田舎で昔いっしょに遊んでた男の子が実は皇帝陛下!?…………実は俺も女の子じゃなかったなんて今さら言っても後の宮~

社畜リーマン、妖怪大戦争に巻き込まれて異世界へ ~大豆のない地で豆腐小僧(ロリ)を売り込む10の方法教えます~

ゲーム風な異世界に鍛え上げた最強軍団でやってきた ※ただし全員俺(ヒント:複アカ)

悪役じゃなくてライバル系令嬢!? ~少女漫画の世界に転生したけど原作がバトル物に転向してたっぽい~

俺は断じてファンタジー [宇宙人]女神様に[脳をメカの身体]転生させられ異[星]世界で[SF]大冒険

召喚特典【ネット通販スキル】を得たヒキニートな俺は最速で魔王を再封印する ~現代日本の菓子とエンタメ漬けで二度と外に出れなくしてやんよ~

実家の池の水を抜いたら古代神殿の入り口が現れた!

世界を救いし召喚勇者。第二の職はサキュバス養成校の教師 兼 淫力判定オーブΩ

異世界の土地の権利書は本物だった!

外れスキル『努力』はひらめき一つでチートへと昇華する!

魔装樹神は天に聳え立つ

バリツはすべての謎と魔物を叩き潰す

知識チートで立て直す鉄と蒸気の大帝国

スライム転身 ~かつての上司に裏切られモンスターにされたけどこの身体を生かしてざまぁ執行&早く人間になって女の子とチョメチョメしたい!

魔王様がアホの娘なのに頭脳系キャラをやりたがる

乙女ゲーはよく知りませんが劇団員だった前世にかけて悪役務めてみせましょう

奴隷観の違いで勇者パーティーを脱退した俺はオーディションで運命的な出会いをした少女をプロデュース

クラス召喚に巻き込まれた20代な私は生徒にめっちゃ頼られてます『旧・坂見ヶ原中学三年一組同窓会送迎バス消失事件の知られざる真実』

ゲームの悪役キャラに転生した俺、これって主人公を助ける謎のお助けキャラになるしかないよね! ―異世界よ、この渾身のこだわりデザインの仮面スーツに震撼せよ!―

スラムから拾ってくれたお嬢様が乙女ゲーの悪役令嬢だと気づいた俺は破滅エンドをぶち壊す ~それはそれとして敏腕執事プレイがめっちゃ楽しい~

ステータス操作であなたの人生まるごとコーディネートします!

ダンジョンマスターのワンオペ日誌

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コチカネット州立高校のヤンキー&ナード娘 転生した乙女ゲー世界を出奔する

余命30ターン

天空の城は引きこもるには意外と向いてない ~転移特典にぼっちスローライフ環境を望んだのにスライム娘や竜娘や強欲女商人に押しかけられて毎日が慌ただしい~

不遇属性【土】魔法を授かったと思ったら【士】《サムライ》魔法だった。見るからに逆転有能展開だと思うじゃん? 全部ハラキリがトリガーなんだぜ

仲間と国に裏切られ深部ダンジョン"奈落"に落とされた俺、前世の善行で得た謎のスキル【蜘蛛の糸】が発動、封印されていた力も美貌もS級な魔人や鬼人と手を取り這い上がる。『さあ因果応報といこうか』

妹の代わりに呪われ子爵と婚姻しましたが偽装陽キャで趣味がまじないな私とならけっこうお似合いだと思いませんか?

スライムしかテイムできない低級テイマー? モンスター進化の法則をつかんでるからいつでもSランクにできちゃうんですけど?

天与スキル『おっさん』って、私これでも聖女ぞ?

スカイ・クローラー ―異世界の飛空艇乗り―

氷煌のバリザール

人の救世主と魔物の救世主

殺戮魔女の転生劇

S級ポーターはジョークがくどい

勇者になると村を出ていった兄がSランク遊び人になって帰ってきた!

亜空間DIVER of Salamander

魔導のアレアトリオ

 


 

パーティーNo.098

 

「へへっ、よかったね兄貴。ケイイチ様が気前いい勇者様でさ」

「ああ、早く母ちゃんとこに帰ろうぜ」

 

 勇者の力を披露する的として圭一に絡みに行ったザゴール団の下っぱ兄妹。

 死ぬかもしれないという恐怖と、それが当然だと世間から扱われる情けなさ。組織を潰されてからイベントが始まるまでを泣き震えていた二人であったが、それでも幸運を掴むことができた。

 

 圭一という勇者は兄妹を見逃してくれたのだ。

 命を拾った安堵感を表情に浮かべた二人は、唯一彼らを案じてくれた母の待つ家へ急ぐ。近道をしようと通りの角を曲がれば思いも知らぬ光景が待ち受けていた。

 

「おっちゃん!」

 

 そこには地面に這うザゴール団の中堅団員がいた。

 若い兄妹が組織に取り込まれようとしたことに苦言を呈し、無理だとわかると二人を自分の下につけ、裏方のつまらぬ仕事を命じていた男。つまりは非合法でもまだ微罪で済ませられるようにと。

 

 だが今はその男は両手足をズタボロに切り裂かれていた。ここまでの道には大量の血痕。街の住人が恐る恐るというように男の姿を伺うが誰も近づこうとはしない。

 

 兄妹が慌てて駆け寄ろうとすれば、男はか細い声で言う。

 

「バカ……来……るんじゃ……ねえ……」

「だけどおっちゃん!」

 

「はいカウントダウン終りょー。おお、3分でよくここまで這ってこれたもんだな」

 

「えっ!?」

 いつのまにかそばに少年が立っていた。兄妹と同年代の、襟を立てた仕立ての良い服に身を包んでいる。少年は兄妹を無視し、彼らを遠巻きにする街の住人に視線を移して笑った。

 

「反応悪りいなあ。リアル解体ショーはちいとグロかったかあ? それじゃここで気分一新。俺から憩いのオブジェクトをプレゼントだ。"精霊樹(サクリフィス・シード)"」

 

 少年が一歩後退すると、舗装された地面から伸びた十数本ものツタ。

 

「あがっ!?」

 

 ツタが団員に巻き付き高く持ち上げる。さらに後から伸びた数本が幾重にも絡みつき、彼の身体を覆い隠すとその表層を変化させていく。

 下部は地面に食い込み根っこへと。中部は幹へと。上部は左右へと広がり枝と葉に茂る。

 

 またたく間に道に出現した大木。

 

「おっちゃんが……樹に取り込まれた……」

「あん?」

 事態に困惑する兄妹にようやく気づいたというように少年が彼らに顔を向け、目を凝らした。背後に浮かんでいた妖精に向けて叫んだ。

 

「おい妖精ちゃんよ! こいつらもザゴール団員だって出てるんだけどよ! つまり残りの精霊魔法も見たいってリクエストだよなあ!」

 

「レイゼ様、そいつらは他の勇者様の担当ですKE。どうも解放されて終わったみたいですKE」

 

「あん? 解放された?」

 

 その少年はそれまで嗜虐的な笑みを浮かべていたが、妖精の言葉を聞くと表情を歪め不快感をあらわにした。

 

 兄妹は自分を睨みつける彼の眼差しにぞっと背筋が凍り、無意識に互いに身を寄せ合った。

 

***

 

「ああ、テンションだだ下がりだYOう。けーいち様が悪党をボッコボコにしてくれるって期待したのにい」

 妖精のチェトがふらふらと力なく飛行。圭一が絡んできたザゴール団の兄妹を穏便に追い払ったことに不満をもらした。

 

 圭一が妖精なのに発想が物騒だなどと返すと、チェトは言う。

 

「まあ私たちの愛らしさにそういう平和(ピース)なイメージ持つのも無理もないですけど! ――――うわっ!?」

 

 そこへ投げ込まれた物体をチェトが慌てて避ける。

 

「えっ、さっきの二人?」

 

 折り重なって倒れているのは先ほどのザゴール団の兄妹。

 首から顔までが焼けただれ、腹に足跡が残る兄。腕があらぬ方向に曲がり、うめき声とも悲鳴ともつかぬ声をあげる妹。

 

「大丈夫!?」

 近づこうとした圭一だが、足を止め振り返る。

 彼らにこのような傷を負わせた何者かのいる方へ。

 

 そこにいたのは圭一と同世代の少年。

 衣装はMクラス(中世相当)と思われる異世界のものだが、黒髪黒目の外見は明らかな日本人。

 

「誰だよ。なんでこんなことした!」

 

 圭一の詰問にその少年は不愉快を隠さず、「チッ」と舌打ちをすると、指を突きつけた。

 

「なんで――――はこっちのセリフだってよ。なんでテメエはこのクズども逃してんだよ。犯罪者だろうがコイツらは!」

 

◇異世界に召換された俺は最強チートな精霊魔法を手に入れて美少女パーティーを率いて世界最強




 各パーティーの冒険譚のタイトル頭に ◆ が付いているものは既に先行スピンオフ扱いで作品化しています。以下のリンクからお楽しみください。

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