暗黒大陸を目指して   作:知らない人

1 / 6
プロローグ

 ある日、気が付いた時に私はゴミ山に居た。

 ゴミ山とは言え、人が暮らしているような生活感があった。

 それだけでも異常事態だったけど、もう一つ異常なことが起きていた。

 

 私の身体が小さくなり、赤ちゃんになっていたこと。

 

 意味の分からない状況なのに、現状を説明する言葉はすぐに思い浮かんだ。

 

 私は転生したんだ。

 

 前世でなぜ死んだのか分からない。

 ここがどこかも分からない。

 意味の分からない状況でも、混乱することは無かった。

 人が夢で起きるあり得ない現象をおかしいと思えないように、私は意味が分からな過ぎて冷静になっていた。

 

 私は一週間で情報を収集した。

 私が転生に気づいた日に、私は拾われ孤児院に連れていかれた。

 孤児院で寝たふりをして周りの大人の会話や独り言から情報を集めた。

 言語が違い話の内容が分からない可能性もあったけど、その心配は杞憂に終わり大人達の話を理解出来た。

 その結果、この世界はハンター×ハンターの世界という可能性が出て来た。

 理由は、大人達の会話でここが流星街であること。

 ハンターという存在がいること。

 そして前世で見たことがあるハンター文字を見かけたこと。

 

 前世でアニメや漫画の世界に転生する話はたくさんあったけれど、自分が体験することになるとは思いもしていなかった。

 確かに、漫画の世界に転生出来ればと考えたことはある。

 鍛え上げた力で未知に挑むことに憧れたこともある。

 だけど、冒険は楽しいなんて生易しいものじゃない。

 自然の驚異や人間の悪意、危険な物なんてたくさんある。

 この世界の特殊な力である念能力を身に付ければ、平穏に生きていく方法なんて山のようにある。

 賢い生き方をすれば、一生遊んで暮らすことも出来る。

 

 ああ、それも生き方の一つで、楽しく幸せな人生なことに間違いない。

 

 だから、私はきっと、間違いなく、馬鹿なのだろう。

 念能力という力の存在を知っているだけで、楽に生きれるというのに……

 努力次第で、楽な人生が送れるというのに……

 未知をこの目で見てみたいと、体験したいと思ってしまう私は……本当にどうしようもない馬鹿なのだろう。

 

 平穏な人生は前世で十分に謳歌した。

 なら、今世はもっと過激に生きようじゃないか。

 漫画でも未だ詳細が分からない暗黒大陸へ挑戦しよう。

 未知を既知に変えるのに、命の危険が伴うというなら、命くらい掛けよう。

 

 未知に挑むために、力を身に着ける必要があるね。

 そうと決まれば、生まれたての赤ちゃんで、満足に動けない今のうちに念に目覚めないとね。

 えっと、瞑想で体内のオーラの流れを感じて、オーラが出る穴を開けばいいんだっけ?

 

 

 

 私は一週間で体内のオーラを感じ取り、オーラを身体の周囲にとどめられるようになった。

 主人公であるゴンやキルアのような天才だったのか、転生時に知らないうちに特典のようなものを貰っていたのか。

 まあ、そんな些細なことは、どうでもいいわね。

 こんなに早く念能力に目覚められた、それだけで十分。

 取り敢えず、歩き回れるようになるまでは、大人の目を盗んで、纏、絶、練の修行を続けよう。

 

 

 

 念能力の修行を続けて二年が経ち、私は問題なく動き回れる程度に成長した。

 今世でも性別は女、髪と瞳も黒色。

 容姿は、子供だからよく分からないけど、多分整っている方かな?

 まあ、アイドルやモデルになるつもりもないし、別にいいか。

 取り敢えず、十二歳になるまでは念の修行に専念しよう。

 ゴンは十二でハンターになってたし、私も十二になったらハンター試験を受けに行こう。

 取り敢えず、修行に専念するなら、流星街じゃなくて山ごもりの方が良いわよね。

 

 思い立ったが吉日、私は大きめの布とサイズが大きい子供用の服をゴミの山から引っ張り出し、絶で誰にも気づかれないように流星街を出た。

 

 取り敢えず、適当な山を目指して移動した。

 山の適当な斜面に穴を掘り、壁を叩いて固めて寝床を確保する。

 そこに荷物を置いて、入り口を適当な岩で隠す。

 その後、薪になりそうな枝と食料になりそうな木の実を集める。

 後は、川で魚を取り、火を起こして焼く。

 

 初めてのサバイバル、前世の食事に慣れているせいで、食事の味が微妙なことを除けば上手くいっている。

 水見式で調べた私の系統は強化系だったから、オーラで身体能力が上がっているから上手くいっているだけでしょうけどね。

 取り敢えず、一ヶ月くらいは山の生活に慣れるために無理な修行は避けよう。

 一ヶ月間、野生として生きて勘を磨きたい。

 命の危険を勘で察知できるようになるのは、危険な自然界で生きる上で必要になるだろうし、ほとんど何でもありな念での戦闘を考えれば、五感だけじゃ不安だしね。

 それに念能力者として未熟とはいえ、この程度の環境で生き残れないようじゃ、暗黒大陸で冒険なんて夢のまた夢。

 さて、前世からの平和ボケを治して、野生の勘を磨きましょうか。

 

 それからの一ヶ月、私は予想以上に苦労した。

 

 山には危険な動物がいる。

 熊や猪、蛇など、単純に凶暴なものや毒などを持っているもの。

 念能力者とは言え、まだ二歳だ。

 倒せる可能性は多少あるけど、倒す必要性が全くない。

 絶を使えば危険な動物を避けることも簡単だ。

 

 しかし、それは私が気づいていればの話。

 動物の気配を探るなんて漫画みたいなこと、私には出来なかった。

 その為、常に周囲を警戒し、僅かな物音にも意識を向け続けた。

 それだけ警戒していても、頭上から蛇が落ちて来たりするから恐ろしい。

 その上、寝ている時も警戒をしないといけない。

 警戒しながら休むことが出来なかったせいで、かなりの疲れが溜まった。

 

 最近、ようやく慣れ始めたくらいで、気を抜けば死んでもおかしくない状態。

 動物の気配を集中しなくても感じられるようになり、勘で危険が分かるようになり始めた。

 本当なら、一ヶ月で本格的な念の修行を始めるつもりだったけど、もう一ヶ月くらいは山の生活に慣れることを優先した方が良いわね。

 

 山籠もりを始めて二か月、漸く山生活に慣れ念の本格的な修行を開始できる。

 今の私は練の維持時間が三時間程度。

 系統修業は山生活の空いた時間でも出来た。

 流も山生活の中で意識してやってきた。

 

 ここからは、念能力の開発と戦闘の修行ね。

 念能力は制約と誓約で、複雑な発動条件や命を掛けるような覚悟で強力な能力を作ることが出来る。

 けど、複雑な能力で強いのは、特質系よりの系統の場合がほとんどで、強化系よりの系統は単純な方が安定して強くなれる。

 ヒソカやウボォーギンは、単純な能力で高い戦闘力を持っているしね。

 ただ、単純なだけだと微妙だし、そこそこ厳しい制約があった方が良いわね。

 

 ……集中力が良いかな。

 

『集中力が高いほど、強化率が上がる』

 

 戦闘中に集中力を損なえば、大きな隙になる。

 そんな隙で、強化率が落ちて防御力が下がるのは、それなりに高いリスクになる。

 常に高い集中状態を維持する修行が必要になるけど、悪くはないでしょう。

 

 後、打撃だけじゃ心もとないし、『オーラを斬撃に変化させる』能力もあった方が良いわね。

 こっちは、一応程度で戦闘の幅を広げるだけだし、制約は無しでいいわね。

 遠距離攻撃は放出系で念を飛ばすだけでも、問題はないでしょう。

 

 最後に暗黒大陸でも通用する力を手に入れるために必要な能力の作成。

 念能力で修行の効率を上げないと、暗黒大陸で通用するような力なんて身に着くわけない。

 漫画で明かされたわずかな情報だけでも、十分なほどよく分かる。

 山のように大きな生物が跋扈する暗黒大陸で生きていくには、普通の修行だけじゃだめ。

 強化系でサポートと言えば、回復力の強化よね。

 でも、修行には微妙なのよね。

 ……いや、筋肉は壊れた筋肉を修復する際に、より強靭に作り直すのよね。

 確か、超回復……だったかな。

 超回復で作り直す力を強化して格段に強靭な肉体を作れるのでは……

 この世界では、見た目がほとんど変わらなくても数トン単位を動かせる力を身に着けられるはずだし。

 

『超回復の際、肉体を作り上げる力を強化し、より強靭な肉体に作り替える』

 

 能力的にはこれでいいけど、制約がないと大した効果は得られないよね。

 そうだな。

 制約は、重症であるほど、修復された際により強靭になる。

 で、いいかな。

 これで極限まで肉体を追い込む修行を続ければ、強靭な肉体が出来る。

 

 よし、これから毎日、能力の修行を死にかけるまでやりましょうか。

 

 

 あれ?私、武術とか分かんないし、組手の相手もいない……

 んー、取り敢えず、適当でいいや。

 流を使いながら、戦闘相手をイメージしながら、無駄な動きを少しずつ修正していこう。

 身体の細かい動きやオーラの移動を意識して続ければ、集中力や体術の向上にもつながるでしょう。

 

 

 

 修行を始めて数か月は、練の維持時間が三時間しか出来なかったために、流による体術と能力の修行は長続きしなかった。

 仕方ないので、練を維持できる限界まで修行をした後、絶で体力を回復させて食料の調達に出かける。

 

 

 一年が経つ頃には、練の維持時間が六時間になり、流を使っての全力戦闘も問題なく出来るようになってきた。

 オーラの移動もかなり早くなり、細かいオーラの調整も出来るようになってきた。

 けど、オーラの移動は格段に速くなったけれど、身体の動きが悪い。

 能力のおかげで三歳児とは思えない身体能力になってるけど、武術に関しては素人で教えてくれる人もいない。

 体術の技術が低いから無駄な動きが多すぎる。

 無駄な動きを見つけて直しても、次から次へと無駄な動きが見つかる。

 一つ直して一見つかるならまだいいけど、一つ直せば十、二十と見つかるのだ。

 無駄な動きを直すために、身体の動きへの理解度を上げれば、当然無駄な動きが見つかる。

 それでも無駄な動きを出来るだけ、無くしていくしかないのだから辛い。

 

 

 修行を始めて二年目、練の維持時間が九時間を超えた。

 流の精度はかなり上達し、最近はオーラを斬撃に変化させたオーラを鞭のような形状に変えたり、オーラを飛ばしたりしながら組手の修行をしている。

 オーラの扱いが上達している自信はあるけど、体術に関しては比べる相手がいないせいで上達がよく分からない。

 ハンター試験を受けて体術のレベルが低ければ、どこかの道場に弟子入りすればいいか。

 今は、念能力を極めつつ少しでも体術の向上を目指そう。

 

 

 修行を始めて三年目、練の維持時間が十一時間を超えた。

 オーラをイメージ通りに動かせるようになってきた。

 最終的に反射の領域で念を扱えるようになれればいいんだけど、流石にまだ無理ね。

 体術に関してもかなり無駄な動きを直したけど、まだまだ動きに無駄が多い。

 体術が念の上達速度に追いつけてないよね。

 まあ、少しずつ頑張るしかないね。

 

 

 修行を始めて四年目、練の維持時間が十三時間を超えた。

 練の維持が伸びたことで、それ以外に当てる時間が短くなってきた。

 能力の都合上、負荷を掛けた身体を休ませる時間も必要なんだけどな。

 仕方ないから、応用技を使ってオーラをどんどん使って消費時間を早めよう。

 

 

 修行を始めて五年目、練の維持時間が十五時間を超えた。

 応用技や能力の乱用により、組手の時間は八時間程度で済んでいる。

 集中力の修行のために、オーラを使い切り疲労困憊な状態で瞑想を行い始めた。

 体術も最近は無駄な動きがほとんど見つからなくなってきた。

 おそらく、見つけられないだけで、まだまだ無駄な動きは多いはず。

 これまで以上に意識を集中して無駄な動きや無駄な力を見つけないといけないな。

 

 

 修行を始めて六年目、練の維持時間が十七時間を超えた。

 応用技や能力を使う際の無駄なオーラを減らしたことで消費量がかなり減らせた。

 そのおかげなのかせいなのか、燃費が良くなったことで、組手の修行時間も当然伸びた。

 組手の修行に十二時間掛かる。

 今はまだ大丈夫だけど、このままだと休む時間と瞑想の時間が短くなるわよね。

 ……まあ、瞑想の時間を減らして、それでもだめなら休む時間も減らそう。

 休む時間は体力が全快するギリギリまで減らそう。

 

 

 修行を始めて七年目、練の維持時間が十九時間を超えた。

 身体もオーラも無意識の領域で動かせるようになってきた。

 意識せずに、無駄のない動きが出来るようになったことで、体術が最初の頃と比べ物にならないほど向上したことが分かる。

 おかげで、意識の全てを無駄な動きを探すことに集中できるようになった。

 意識の全てを向けても、無駄な動きや無駄な力を見つけるのは難しいけど、小さいながらも無駄な動きや力を見つけられる。

 これを完全に見つけられなくなるまでは、無駄な動きと力を探すことを続けよう。

 

 

 修行を始めて八年目、練の維持時間が二十一時間を超えた。

 体術は満足が出来るレベルまで鍛えることが出来た。

 まだ、小さな無駄は探せば見つかるだろうけど、それでも今は十分。

 オーラの扱いに関しては全然満足してないけど、及第点はある。

 

 今年で私も十一だし、そろそろ来年のハンター試験を受けるために動き出そう。

 髪は腰辺りで切り揃え、爪も綺麗に切り揃えた。

 オーラを斬撃に変化させると、ハサミとか無くても出来るから便利ね。

 川で水浴びをして、流星街で拾った服も洗って着る。

 取り敢えず、あまり犯罪行為はしたくないけど、天空闘技場までの交通費を盗もう。

 思い立ったが吉日、私は山を下りて近くの町に移動し、天空闘技場までの交通費を盗み。

 行き方を聞いて飛行船のチケットを購入した。

 

 そういえば、今何年なんだろう?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。