暗黒大陸を目指して 作:知らない人
私は天空闘技場へ移動し、選手登録の列に並ぶ。
登録待ちをしながら、自分の名前を知らないことを今更ながら思い出した。
二歳と少しで流星街を出て、ずっと森に籠っていたから気にして無かった。
んー、適当にエルでいいかな。
ここに来るまで、ハンター文字を一応勉強はしたけど、まだ完璧に読み書きできるわけじゃないし、簡単な名前の方が良いよね。
エルならアルファベットで一文字で書けるしね。
無事に選手登録も終え、今が何年なのかも確認できた。
1978年って言われたけど、原作が何年なのか覚えてないから結局いつなのか分かんないや。
というか、十年以上前に見た漫画の詳細なんて忘れたよ。
まあ、先の展開が分かっても面白くないから、忘れてもいいんだけどね。
さて、私の番が来たみたいだし、行きますかね。
番号を呼ばれて指定されたリングに上がる。
相手は筋肉ムキムキのマッチョの男。
オーラを垂れ流してるから、念能力者ではないのでしょう。
ここにはお金儲けと、体術が実戦でどこまで通じるかの確認できたわけだし、纏だけでやろう。
「一階のリングでは入場者のレベルを判断します。制限時間三分以内に自らの力を発揮してください。それでは、始め!」
審判が説明の後、すぐに開始を宣言する。
相手選手は、私を見て余裕そうに笑いながら話しかけて来る。
「悪いが、嬢ちゃん。泣きわめいても、手加減しねぇからな」
「そ」
「っ!調子に乗ってんじゃねえぞ!」
普通に返事しただけなのに、怒って殴り掛かって来たよ。
動き遅いし、無駄が多い、一階だからこんなものなのかな?
「!?」
男の拳を半歩横にずれ、殴るために近づいて来た男の懐に入り、男の腹に手を添える。
私の行動に男が驚いて目を見開いたのを感じながら、手首の動きだけで掌打を打つ。
苦悶の声を上げながら男が、客席まで吹っ飛んでいった。
あれ?力強すぎたかな?
念能力で肉体を強靭に作り替えてはいたけど、まともに動けなくなるほど身体を酷使出来たのは最初の頃だけだから、規格外な成長はしてないはずなんだけど。
まあ、この程度の相手じゃ、確認にもならないだけよね。
相手選手が気絶していることを確認した審判が、五十階クラスへ上がる切符を切ってくれた。
審判に言われた通りに切符を持って五十階の受付に移動する。
受付に切符を渡してファイトマネーを受け取った。
まあ、ジュース一本分くらいの額だったけどね。
その後、控室で待っていると、もう一試合したけど、一階と同じで相手が弱すぎて一撃で終わる。
ファイトマネーが一階と違い五万貰えたのは大きい。
その日は適当な宿を取った。
しかし、予想以上に相手が弱かったせいで、オーラも体力も有り余って暇になった。
お金儲けのついでに修行をしようと思っていたのに、これでは修行にならない。
オーラの扱いや集中力を鍛えるなら、円の修行がちょうどいいかな。
ベッドの上で座禅を組んで、オーラを広げていく。
オーラを限界まで広げれば、半径は三百メートルってところかしら?
これ、結構きついかも……
宿の他の部屋にいる人や外の道を歩いている人の動きが、オーラを通して伝わってくる。
大量の情報が一気に流れ込んでくると、結構辛いわね。
けど、この程度で集中力を乱すわけにはいかない。
入ってくる情報を処理することに集中しよう。
情報を整理して、念を扱えない一般人から漏れ出る僅かなオーラの動きや僅かな筋肉の動き、姿勢から次の動きを予測する。
戦いにおいて僅かな情報から相手の次の行動を予測する力は必要になる。
最終的にこれを自然に行えるようにならないといけない。
限界まで円の修行を続け、眠りについた。
翌日からは試合中も円を使っていたけど、相手が弱すぎて円を使った戦闘の練習にはならなかった。
今日のファイトマネーでお金がある程度溜まったので、ちゃんとした服を買うことにした。
買った服は和風の黒い運動着と上に羽織る用の黒い着物。
個人的に着物が好きだったけど、夏祭りや温泉で浴衣を着るくらいしか機会が無かったのに対して、こっちの世界だと普段から着てても変じゃないときたら買うよね。
まあ、ちゃんとした着物だと動きにくいから、和服っぽい運動着の上に着るだけにしておいた。
オーラで覆っておけば、簡単に痛むこともないでしょう。
新しい服を買って上機嫌のまま宿に戻り、円の修行をして眠る。
次の日、円の修行をしながら試合を終わらせる。
相手が弱いというより、私が強いだけかもしれない。
その日の二回目の試合に勝ったことで、百階クラスに上がり天空闘技場の中に個室を貰えた。
天空闘技場に個室を貰えたことで、宿を取る必要が無くなったのは大きい。
同じように天空闘技場に個室を貰っている選手を円で観察できるのも利点かもしれない。
一般人はどこでも十分に観察できるけど、武術経験のある人を同時に観察できるのはここくらいでしょうしね。
百階クラスに上がっても相手は弱いまま、全然体術の確認が出来ない。
念能力者でもない人じゃ、もう相手にならないのかな。
聞いた話だと、二百階からはファイトマネーも出ないらしいし。
百九十階まで行ったら、ここで戦うのはやめよう。
結局、百九十階まで戦ってみたけど、相手は弱いままで体術の確認は出来なかった。
その後、私は二百階に登録せずに、二百階の試合を見に行った。
試合を見て分かったことは、強い選手がほとんどいない。
念による攻撃を受けることで、念に目覚めた者が多いのか、身体を欠損している選手が多い。
念能力も得意系統を中心に作っているようには見えないし、苦手な系統を含んでいる能力を作っているのに、苦手系統の熟練度も低いように見える。
自分に合った能力を得意系統だけで作るのは難しいはずだし、苦手な系統を含むのは仕方ないけど、その分系統修業を頑張らないと、使いこなすのが難しくなるはずなんだけど……
ここじゃあ、実戦経験の修行にはなりそうにないわね。
ハンター試験までにお金の用意と実力の確認は出来た。
ハンター試験の情報を集めるにしても、試験まで半年以上あるし、もう少しここでお金稼いでいこうかな。
選手に賭けることも出来るみたいだし、実力差を正確に見抜く目を養えるし、お金稼ぎにもなるしね。
後、円の修行も続けないとだめよね。
あれから半年で資金を五十億に増やし、円の半径を七百メートルまで広げられるようになった。
ハンター試験の申し込みは終わらせ、267期のハンター試験を受けることになった。
ハンター試験まで後、一ヶ月以上ある。
今のうちに情報を集めて置かないと、試験会場にたどり着けないなんて笑い話にもならないわよね。
情報を集めて分かったことは、ハンター試験は会場への案内人がいること。
そして試験の数は、平均で五、六程度で期間は一週間から一ヶ月で年によって変わる。
まあ、会場までの案内人を見つけることが、最善の選択肢よね。
試験会場に指定された町で、円を使って受験者らしき人の動向を見てれば見つけられるでしょう。
試験内容は毎年変わるから調べても意味ないし、今のうちに指定された町まで行こうかな。
早めに指定の町について置けば、住民とそうでない人の区別もつくでしょう。
その上で、明らかにおかしい行動をする人が、案内人で間違いない。
問題は、念能力無しの私の実力でハンター試験に合格できるかよね。
曖昧だけど、原作のゴンとキルアは天空闘技場を二百階まで余裕で登っていた……はず。
低く見積もっても念無しの私とゴン達で同レベル。
ハンター試験には、ゴン達より強い人も何人かいたはず、それを考えると多少念能力を使った方が良いかもしれないわね。
私の現状の実力が、この世界でどの程度か分からない以上、警戒はしておくべきよね。
ハンター試験で今が原作で言ういつ頃なのか確認できればいいんだけど……
ゴン達って原作で何期の合格者だったかな?