暗黒大陸を目指して   作:知らない人

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オリジナルで原作キャラと絡ませるのが難しい。


第267期ハンター試験

 ハンター試験が行われる町にたどり着いた私は、すぐに円を使用して町中を歩いて回り、ハンター試験に関係していそうなものをくまなく探した。

 ハンター試験の一か月前だからか、得られる情報は無かった。

 町の中で妖しい場所は特に見つからなかったし、案内人らしい人も見つけることが出来なかった。

 試験会場になりそうな妖しい建物がない以上、今工事中の建物が試験に関係している可能性が高い。

 一ヶ月の間、様子を見ながら案内人を探しましょう。

 

 

 一ヶ月の間、毎日町を円を使って探したこともあり、それらしい建物と案内人らしき人を見つけることが出来た。

 建物に関しては、明らかに構造が普通の建物と違い迷路のように複雑な構造をしているし、地下深くまで続いている。

 案内人も来る日時もいる場所もバラバラだけど、特に観光をするわけでもなく最低限の行動しかせずに、ほとんど同じ場所にいる。

 実際に案内人に接触して話を聞いてみれば、会場への場所と行き方を教えてくれた。

 

 試験当日に案内人に言われた通りに会場に入る。

 

「番号札をどうぞ」

 

 私より身長の低い豆のような形の頭をした人に、『1』と書かれたナンバープレートを渡された。

 会場の構造を確認するために、早めに来たのは良いけど、まさか一番乗りだとは思わなかった。

 まあ、ゆっくりとこの建物の構造を探っていよう。

 会場は、ホテルのロビーのようで、ソファーや観賞植物、絵や壺なんかの芸術品が置かれている。

 一応階段もあるようだけど、下へは地下一階までしか行けないわね。

 上手く隠しているようだけど、複数の隠し通路があるみたい。

 

 円を使えるから、構造を把握することは簡単に出来るけど、流石に細かいギミックまでは分からないか。

 取り敢えず、大体どこに通路があるか分かったし、ギミックはその都度探そう。

 ん?誰か近づいて来る。

 

「やあ。君、ルーキーだよね」

「……そうだけど、あんた誰?」

「俺はトンパ、今年で十五回目の受験だ。これ、お近づきのしるしだ」

「いらない」

 

 こんな人原作に居たかな?

 何かいたような気がするけど、なんか違う気もする。

 

「ま、まあ、同じ受験生同士、仲良くやろうぜ」

「遠慮しておく。協力する試験じゃないなら、敵同士なんだし仲よくする必要性ないでしょ」

「お、おう、そうだな」

 

 トンパは、顔を引きつらせて違う人のところに話しかけに行った。

 何がしたいんだろう?

 今のところ会場についてる受験者で、飛びぬけた実力を持ってそうな人はいないな。

 この程度なら念を使う必要はなさそうね。

 それにしても受験者結構増えて来たわね、二百くらいかな。

 あら?また誰か近づいて来る。

 

「あんた、いくつだ?」

「……十一よ。名前くらい名乗ったら?」

「ジン・フリークスだ。あんたは?」

「……エルよ」

 

 ジンってゴンの父親よね。

 確か、ゴンもフリークスだったはずだし、ゴンの父親で間違いないわよね。

 てことは、原作よりかなり前に生まれたってことね。

 

「エルか。俺も十一だ、よろしくな」

「ええ……よろしく」

「まさか、俺と同い年の奴がいるとは思わなかったぜ」

「私も予想してなかったわ」

 

 ジンが居るなんて予想できるわけないでしょ……

 まあ、面白い相手と知り合えたんだし、十分でしょう。

 

 私とジンが話していると、天井から大型のディスプレイが出て来た。

 受験生の視線がディスプレイに集まると、ディスプレイに人が映し出された。

 

「ええ、この場にいる257名で予選を締め切り、ハンター試験を開始する」

 

 予選の締め切りを合図に、入り口にいた豆みたいな頭の人が部屋から出て行った。

 

「一次試験の内容は、この建物の地下百階まで来ること。制限時間は、十二時間。それでは、頑張ってくれ」

 

 それだけ言うと、ディスプレイが消えて天井に戻っていく。

 ディスプレイが消えてすぐに、多くの受験者が階段に向かって走り出した。

 まさか、地下100階まで階段で降りるだけだと思っているのかな?

 

「エル。この試験、どう思う?」

「まあ、階段で降りるだけなんて簡単なわけないし、隠し通路を探す感じでしょうね」

「同意見だ。で、どこが妖しいと思う」

 

 妖しいところを聞かれたので、階段がある方の壁を指差す。

 この建物の階段は、部屋の外に階段専用のスペースがあるタイプだ。

 ただ、この建物は外から見れば綺麗な長方形で、この部屋も長方形。

 さらに、階段のスペースは壁の三分の一程度しかない。

 つまり、階段側の壁にはかなり広い空洞のスペースがあることになる。

 

 普通に推理すれば、こんな感じになるのかな。

 円で答えが分かっているから推理なんて必要ないんだけどね。

 

「まあ、あそこが分かりやすく怪しいわな」

「他にも隠し通路はありそうだけどね」

「確かに、明らかに何かを隠してるようなデカい芸術品とかな」

「下の階に普通に行けるみたいだから、壁際にある芸術品が怪しいわね」

 

 ジンと二人で妖しい場所の目星を付ける。

 まあ、私は答えを知っているから、別にしなくても良いんだけどね。

 ハンターになるんだったら、こういう洞察力は鍛えて置いて損はないから続けよう。

 

「怪しい場所は複数出たが、どこから降りる?」

「階段の方でいいんじゃない。あの壁のどこかに仕掛けがあるでしょうし」

「そうだな。壁際の芸術品を一個一個確かめるよりは楽か」

 

 ジンとの話し合いで、階段側の壁を調べることに決まり、二人で調べればすぐに仕掛けが見つかった。

 一部の壁が回転するようになっていて、隠し階段を見つけられた。

 隠し階段を下りれば、地下十階に到着した。

 

「流石に、隠し扉一つ見つける程度でクリアできる簡単な試験なわけないか」

「まあ、そうでしょうね」

 

 地下十階はジムのような場所で、筋トレようの器具が大量に置かれている。

 広さは一階のロビーと変わらないから、広さによるヒントはなさそうね。

 ただ、太めの柱がロビーより多いわね。

 隠し階段のように一階ずつ下りるだけじゃなさそうだし、一気に下りる手段があるのでしょうね。

 

「器具を調べる以外なさそうだけど、ジンは何か思いついた?」

「いや、俺もそれ以外特にねえな」

「じゃあ、壁際を中心に探しましょうか」

「だな。壁際以外にもあるだろうが、虱潰しになりそうだしな」

「なら、急いで探しましょうか。ゆっくりしていると、他の受験者が来そうだし」

「おう」

 

 ジンは右回りに調べるらしく、一番近くの器具に近づいて行った。

 私もジンと同じように、左回りに器具を調べていく。

 ジンと違うのは、通路のある場所を知っているので、一つ一つ注意深く見る必要がないことかな。

 隠し通路がある場所の近くに置いてある器具を調べれば、本来なら重りに繋がっているはずのワイヤーが壁の中に伸びている。

 ぱっと見では分かるものではないけど、しっかりと調べればわかる程度の仕掛けね。

 

「ジン」

「ん?どうした?」

「見つけたわよ」

「おう。まじか」

 

 ジンが近づいて来たのを確認して器具を使い隠し扉を開ける。

 

「へえ、面白い仕掛けだな」

「ワイヤーが重りの代わりに壁の仕掛けに繋がってたみたいね」

「なかなか、やるじゃねえか」

「ありがと」

 

 ジンと一緒に隠し通路に入って少し進めば、背後で勝手に扉が閉まった。

 一定時間で自動的に閉まる仕組みになってたみたいね。

 

 その後もジンと二人で隠し通路の仕組みを探しながら、かなり余裕をもって下りていく。

 当然、隠し通路だけでなく罠もいくつかあったけど、私は円で回避しジンは洞察力で見つけていた。

 そのおかげで四時間程度で地下百階にたどり着いた。

 八時間も時間が余ってしまったので、ジンとハンター試験を受けに来た理由とかお互いに話して時間を潰した。

 

 

 十二時間が経過し、第一試験が終了した。

 この時点で合格者がすでに百人を切っている。

 やっぱり念能力が使えるって便利ね。

 

「それでは、二次試験の会場に移動するので、バスに乗ってください」

 

 試験官に言われた通りにバスに乗ってしばらくすると、地上に出た。

 外を見れば森の中を走っているみたいね。

 徐々に森の中に入っていき、整備された道ではなく獣道を走り始めた。

 バスの前方を見れば、かなり濃い霧が掛かった森が広がっている。

 おそらく二次試験の会場は、あの森でしょうね。

 

 私の予想通り、霧の濃い森の前でバスが止まる。

 バスから降りると、待っていたらしい二次試験の試験官が話始める。

 

「それでは、二次試験の説明だが」

 

 試験官の男は、背中に隠していた綺麗な赤色の果物を見せる。

 見たことの無い果物で、マンゴーに少し似ているけど違うものね。

 そもそもこの世界にマンゴーなんてあるのかしら?

 

「これはこの森でのみ取れる幻の果物エステルです。二次試験では、このエステルを一人一つ取ってきてもらいます」

 

 なんだ、結構簡単な試験ね。

 

「森には危険な珍獣がたくさんいますので、お気をつけて取ってきてください」

 

 試験官の簡単な説明が終わると、受験者たちが霧の中に姿を消していく。

 

「ジン、どうする?今回も協力する?」

「いや、今回は競争しようぜ」

「いいわよ。負けた方が奢りね」

「いいぜ」

 

 競争することを決めるとジンは、他の受験者と同じように霧の中に消えていく。

 数メートル先も満足に見えない霧の中だと、果物を探す前に迷子になりそうね。

 ジンの後を追って霧の中に入れば、予想通りほとんど何も見えない。

 ただ、円を使わなくても周囲の木や草に受験者が隠れてるのは、すぐに気づいた。

 

 ああ、エステルを取って戻って来た受験者から奪うつもりなのね。

 この霧の中、自分で探しに行くよりは確実でしょうね。

 まあ、今回は円を使う必要ないし、珍獣や他の受験者の相手をしてたらジンに先を越されそうだから絶していようかな。

 この霧の中だと、絶状態の私を見つけることは誰にも出来ないでしょう。

 

 絶状態でエステルが生っているであろう場所に走って向かう。

 エステルの場所を目指している途中で、何匹か珍獣を見かけたが気づかれずに移動できた。

 予想通り、エステルが生っている木を見つけることが出来たので、三つほどエステルを取る。

 後は、元の場所に戻るだけなんだけ、来るときに木に印をつけて来たから問題なく帰れる。

 それに森の入り口に近づけば、待ち伏せしている受験者がいるから、入り口付近まで行ければ気配で場所が余裕で分かる。

 来た道を戻れば、霧に入った時と同じように、待ち伏せしている受験者の気配を感じた。

 待ち伏せしている彼らは、私が絶をしているせいで気配を感じ取れずに気づいてない。

 彼らの横を素通りして森から出る。

 私がエステルを持って霧の中から姿を現すと、試験官が驚いたのか一瞬だけ目を見開いた。

 

「これで問題ないかしら?」

「合格です。こんなに早く合格するとは、流石に驚きました」

「気配を消しただけで珍獣に気づかれないし、エステルを見つけるのも簡単だったからね」

「エステルの見つけ方は、分かっていても難しいはずなのだがね」

「こんなに甘い香りが強ければ、鼻が良い人ならすぐに分かるわよ」

 

 エステルの匂いが強いのは、濃い霧の中でも動物に見つけて貰うためなんでしょうね。

 動物に種を運んで貰うためには、見つけて貰う必要があるものね。

 

「森の入り口から匂いを辿れるほど鼻が良い人は、ほとんどいないでしょうがね」

「私の得意分野で運が良かったわ」

「そうですか。ああ、取って来たエステルは食べて大丈夫ですよ」

「そう。じゃあ、遠慮なく食べさせてもらうわ」

 

 試験用と食べるようで複数取って来たけど、食べて良いと言われたので遠慮なく三つとも食べよう。

 ジンも匂いには気づいてるだろうし、そんなに時間を掛けずに取って来るでしょう。

 エステルの味は、バナナやマンゴーを足したような甘い味に、パイナップルやいちごのような程よい酸味でとても美味しいわね。

 美食ハンターになるのも悪くないわね。

 

 エステルを食べていると、森の方から受験者のうめき声が聞こえ、森に視線を向けるとジンが霧の中から姿を現した。

 ジンはエステルを食べている私を見て苦い顔をして試験官にエステルを見せに行った。

 試験官に合格発表を受けた後に、私のところに近づいて来る。

 

「早すぎねえか?」

「山育ちの私が果物を見つけるのが苦手だと思う?」

「結構自信あったんだがな」

 

 ジンは頭をかきながら私の隣に座り、取って来たエステルを食べる。

 

「お、うめえな」

「だよねぇ。少し美食ハンターに興味が出て来たかも」

「確かにな」

 

 ジンとエステルを食べながら待っていると、六人がエステルを持って戻って来たが、それ以上は誰も出てこなかった。

 二次試験で残ったのが、私とジンを含めて八人。

 随分と少なくなったわね。

 今年の試験の難易度が高いのか、受験者の実力が低いのか。

 まあ、この程度の試験なら何の問題も無いわね。

 

 その後、合格者の八人だけをバスに乗せて違う場所に移動する。

 三次試験の会場までの移動はかなり長かった。

 バスで五時間、船で五時間移動して漸くたどり着いた。

 場所は小さな無人島。

 

「では、三次試験の内容を発表する」

 

 私達を無人島まで運んで来た船に乗っていた試験官らしき男が話し始めた。

 

「二日後の朝までに、自分以外のナンバープレートを一つ手に入れること。当然だが、自分のナンバープレートを奪われるのもだめだ。二日後の朝に、二つ以上のナンバープレートを持ってくれば合格だ。では、頑張ってくれ」

 

 それだけ言うと、船は無人島から離れていく。

 まあ、サバイバルをしながら他の受験者を狩れってことね。

 船が離れるのを合図に、私とジン以外の受験者は無人島の中に走っていった。

 

「ここで奪い合いをする気はないのね」

「相手の実力が分からないほど、馬鹿じゃないってことだろ」

「私達に襲われる前に姿を隠したってことね」

「時間はあるんだ。焦る必要はないだろ」

「それもそうね。じゃあ、また二日後にね」

「おう。またな」

 

 取り敢えず、ジンと別れて無人島の探索を始める。

 正直、ジンと一緒に行動してると、向こうから襲ってくる可能性も低くなるしね。

 サバイバルは慣れてるから余裕だし、受験者を見つけるのも円を使えば余裕でしょう。

 けど、私から探すの面倒だし、襲って来てくれた方が楽よね。

 

 取り敢えず、初日の夜に川の近くで火を起こし、川で取った魚を焼いて食べる。

 ここにいますよ、油断してますよ、アピールをしているのだけど、誰も襲ってこない。

 木に背中を預けて堂々と眠り、隙だらけなのをアピールしても襲ってこない。

 誰も襲ってくること無く朝日が昇り始めた。

 

 これは……こちらから行かないとだめね。

 

 円を広げて他の受験者を探せば、ちょうど戦っている途中の二人を見つけた。

 二人とも実力が拮抗しているようで、なかなか決着がつかない。

 ちょうどいいし、二人まとめて狩っちゃおう。

 

 森の中を走り抜けて、二人の元まで一瞬で移動する。

 

「「!?」」

 

 二人は突然現れた私に驚いて一瞬動きを止める。

 その一瞬で片方の懐に入り、右手で掌打を鳩尾に叩き込み、左手で襟首を掴んでもう一人に投げつける。

 もう一人は回避が間に合わずに、私の投げつけた受験者の下敷きになる。

 上に乗っている受験者を押しのけて立ち上がろうとしているところに掌打を叩きこんで意識を飛ばす。

 

「よわ」

 

 びっくりするほどに呆気ない。

 いや、私が強いだけなのかもしれないけど、こんなに差があるのね。

 索敵に円を使ったとはいえ、これほどに強くなっているとは思わなかった。

 二人からナンバープレートを回収し、元の焚き火をしていた場所に戻る。

 後は、襲ってくる相手を倒すだけで十分ね。

 

 

 三次試験は私とジンの二人だけが合格した。

 あの後、一人が襲い掛かって来たが、返り討ちにしてプレートを奪った。

 ジンは二人倒したようだけど、一人は既にプレートを二つ持っていたらしく、私と同じで三つ手に入れたみたい。

 三次試験が最終試験だったようで、第267期ハンター試験の合格者は私とジンの二人で決まった。

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