暗黒大陸を目指して   作:知らない人

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武の極

 ジンと一緒にハンターライセンスを貰い説明を受け終わった。

 

「ジン、これからどうするの?」

「俺はしばらくは情報集めと仲間探しだな」

「何のために?」

「行きたいところがあるんだ」

「行きたいところ?」

 

 ジンの言葉に私が首を傾げると、ジンは詳しく教えてくれた。

 

「その場所は、ある王族の埋葬施設とされてるんだが、一切口外しないことを条件に、信頼に足る団体しかも自費での調査しか許されない状態だ」

「つまり、調査できない場所ってことね」

「そういうことだ」

「面白そうじゃない、仲間と情報が集まったら私にも声かけてよ」

 

 ジンは私の方を真剣な顔で見て来る。

 

「いいのか?金も名誉も手に入らねえぞ」

「変なこと聞くわね」

 

 真剣な顔して聞いて来るジンに笑って返す。

 

「金は手段、名誉は信用でしょ。やりたいことをやるために必要な物を欲しがってたら、人生楽しくないでしょ」

「そうだな」

 

 私の言葉にジンは微笑んで立ち上がる。

 

「どれくらい掛かるか分からないから、連絡先教えてくれ」

「はい、私の携帯の番号」

「じゃあ、ある程度準備出来たら連絡する」

「楽しみに待ってる」

 

 微笑んでハンターライセンスの説明を受けた会場から出ていくジンを見送る。

 ジンが出ていった後、私はハンターライセンスの説明をしてくれたビーンズに話しかける。

 

「ねえ、ネテロ会長に会いたいんだけど、どうしたらいいかな?」

「会長にですか?」

「そう、ネテロ会長」

 

 

ネテロside

 

 

 第267期のハンター試験が終わり、合格者にハンターライセンスの説明が終わった頃に、ビーンズから電話が掛かってきた。

 

「はい、もしもし。どうかしたかね?」

『実は、合格者の一人のエルさんが、会長に会いたいと言っているのですが……』

「儂に?どうしてかの?」

『それが……誰でもいいから自分より強い相手と戦いたいとのことです』

 

 また随分と戦闘狂な奴じゃの。

 しかし、誰でも良いというのに、儂に挑んでくるとは。

 それにハンター試験の最中に試験官に勝負を挑んだとも聞いておらんし、試験官の実力が分からん程度か、試験官では相手にならないほど強いかじゃの。

 

「そのエルとやらは、念は使えるのかの?」

『はい。すでに使えるようです』

「ふむ」

 

 ということは、試験官の実力が分からなかったということはなさそうじゃの。

 まあ、纏だけしか使えない可能性もあるが、会って確かめてみるか。

 念をまともに使えないようであれば、心源流の誰かを師に付けてやればよいじゃろ。

 

「よかろう。こちらに連れてきなさい」

『よろしいのですか?』

「会うくらいは良いじゃろう。戦うかは、どの程度の実力か判断してからじゃの」

『分かりました』

 

 電話を切り、これから来るだろう相手が楽しませてくれることに期待しながら待つ。

 

 

エルside

 

 

 ビーンズに確認してもらうと、思いのほかあっさりと会えることになった。

 練を見せてくれと言われると思っていたけど、特にそんなこともなく案内してくれる。

 ビーンズに案内されてついた場所は、和風の部屋でネテロが座って待っていた。

 

「会長、お連れしました」

「ほおー」

 

 ネテロは私を見るなり、髭を触りながら楽しそうに笑う。

 老人の見た目をしているいたずら小僧のような顔で、私のことを見て来る。

 

「お主、名前はエルじゃったかの?」

「はい、そうですけど」

「お主歳は?」

「今年で十二です」

「ふむ」

 

 ネテロの問いに淡々と返せば、ますます楽しそうな顔をする。

 面白いおもちゃを見つけた子供のような顔で続ける。

 

「お主、いつから念を使える?」

「ゼロ歳の時からだけど」

「!?」

 

 ネテロの問いに答えると、私をここまで連れてきたビーンズが目を見開く。

 生まれて間もない赤ちゃんが念を使えれば、誰でも驚くわよね。

 目の前のじいさんはとても楽しそうだけど……

 

「お主、自分より強い相手と戦いたいそうじゃが、どうしてじゃ?」

「子供の頃から鍛えてるんだけど、強い相手に会えなくて自分の実力がどの程度か分からないから、今の自分がどのくらい強いか知りたいの」

「なるほどの」

 

 ネテロは何か納得したように頷いて少し考えた後、立ち上がった。

 

「よし、儂が相手をしよう」

「いいの?」

「見たところお主なかなか強いようじゃからの」

「じゃあ、遠慮なく」

「では、ついてきなさい」

 

 今度はネテロについて移動する。

 移動先は道場のようで、本当に相手をしてくれるようね。

 

「よし、いつでも来なさい」

 

 ネテロは構えることなく真っ直ぐ私を見て言ってくる。

 構えはしてないけど、オーラの量が増えたから戦闘態勢は整っているのでしょうね。

 いつでもいいという事だし、遠慮なく全力で行かせてもらいましょう。

 

 一瞬でネテロとの間合いを詰め、七割のオーラを込めた足で左側の太もも、横腹、二の腕を狙って蹴りを放つ。

 それに対してネテロは左腕にオーラを集め流れるような自然な動作で簡単に防いでくる。

 私の攻撃を防いだ直後に、右の拳で正拳突きを打ってくる。

 正拳突きを左腕にオーラを集めて防ぎ、正拳突きの衝撃を受け流すように後ろに跳んで間合いを開ける。

 

 オーラの動きが読みにくい、今まで見てきた念能力者とは次元が違うわね。

 強化率は私の方が高いみたいだけど、身体能力の差が大きいわね。

 

「ふむ、それなりに速く打ったつもりじゃが、良く反応できたの」

「今の速さでそれなりなのね……」

「攻撃の威力もかなりのものじゃの。単純な戦闘力なら、すでにプロハンターの中でも最上位クラスじゃの」

 

 涼しい顔して受け止めて置いてよく言うわよ。

 もっと集中力を高めないと、舐められたまま終わりそうね。

 一息吐いて集中力を高め、余計な思考を排除してネテロを真っ直ぐに見る。

 

「ほおー、圧が増したの」

 

 ネテロの呟きに何も返さず、先ほどより更に速く間合いを詰める。

 右拳を顔目掛けて打ち、当たる瞬間に硬になるように打った右拳は半身になり回避された。

 半身になったネテロの顔に視線を向ければ、先ほどより真剣な顔でこちらを見ている。

 ネテロは突き出した私の右手首を左手で掴み、右腕を引っ張りながら右手で裏拳を鳩尾目掛けて撃ち込んでくる。

 裏拳が当たる前に、ネテロの右腕に左拳を硬にして殴り付けて裏拳をはじくついでに、オーラの少ない腕を硬で殴り右腕を折ろうとしたが、当たる直前にオーラを集めて防がれた。

 ネテロは硬ではなかったけど、右腕を引っ張られて体勢が崩されていた私の硬の一撃ではダメージは与えられず、裏拳を防ぐのが関の山だった。

 裏拳が防がれたネテロは、私の右腕を更に引っ張って私の襟首を右手で掴み一本背負いのように床に勢いよく叩きつける。

 床に叩きつけられる直前にオーラを背中に集めたが、受け身を取れないように叩きつけられたせいで、肺の中の空気を全て吐き出される。

 私を床に叩きつけた後、私の頭にしゃがむような自然な動作で膝を叩きつけてこようとするネテロに、痛みと息苦しさを無視して足を振り上げてネテロの蹴ろうとするが、膝を叩きつけるのを止めたネテロが後ろに跳んで避ける。

 

「あの状態から反撃してくるとは、恐ろしいのう」

「クソジジイが、その余裕な態度イラつくのよ」

「口が悪いのう。しかし、イラついていると言っておるが、オーラは恐ろしく静かなままじゃぞ(ダメージも確実に入っておるじゃろうに、一切集中力が乱れんの)」

「性格の悪いクソジジイに言われたくないわよ」

 

 ネテロに悪態を吐きながら、呼吸を整えて次の攻め方を考える。

 下手に攻撃すれば、躱されて反撃される。

 最悪の場合、一手のミスで負けるわね。

 馬鹿正直に攻撃してもダメなら、フェイントを入れるしかないんだけど……有効なフェイントってどうやるか知らないのよね。

 下手なフェイントなんてしたら、確実に負けるわよね。

 

「お主、同格以上の相手との戦い方知らんのじゃろう」

「だから、今戦ってるんでしょ」

「儂が教えてやるから、遠慮せずに来い」

 

 戦い方を覚えるまでボコボコにするって言ってるように聞こえるんだけどね。

 まあ、そっちの方が覚えるのが早いかもしれないわね。

 

「じゃあ、遠慮なく」

 

 直径五十センチくらいの念弾をネテロ目掛けて撃ち、念弾より早くネテロへ攻撃を仕掛ける。

 八割のオーラを込めた攻撃を先ほどのように掴まれないように気を付けて適当に打つ。

 数回打った後、しゃがみ込んで最初に撃った念弾が当たるタイミングで硬による蹴りを足に放つが、ジャンプして躱され堅で念弾を防がれた。

 空中で身動きが満足に取れないネテロを硬で蹴り上げる。

 

 しっかりと硬の蹴りを受けきっているけど、身動きに制限がある状態ならこっちが有利のはず。

 

 空中に居るネテロの背後に周り、まともに防御出来ない体勢を攻めようとする私にネテロは身体を捻り、手から大量のオーラを放出して来る。

 私もオーラを放出して相殺するが、オーラをぶつけ合っている間にネテロは体勢を整える。

 

 このクソジジイ、どんだけ化け物なのよ。

 

「なかなかやるの」

「素人が必死に考えた策を簡単に防いどいてよく言うわね」

「そりゃあ、年季が違うからの」

「クソジジイめ」

「やれやれ、口が悪いのう」

「うるさいわね」

 

 放出系を使った戦法でもダメとなると、変化系で斬り刻めばいいのかしら?

 流石に、殺しにかかるのはだめよね……

 読み合いでも、経験の差でこっちが不利。

 操作系や具現化系のような一発逆転の能力はないし、あってもまともに当てられないわよね。

 まあ、思いつく限りやってみるしかないか。

 

 

 そこからは思いつく限りの攻め方を試したけど、防がれ、受け流されてカウンターで殴られ、蹴られ、投げられまく続けた。

 反撃のダメージで痛みが増すのを無視して攻め続ける。

 百を超える攻防の果てに、漸くネテロにまともに攻撃が直撃した。

 ネテロの腹に強烈な蹴りを叩きこみ吹っ飛ばした頃、私は肩で息をしながら漸くダメージを入れられたことに頬を緩める。

 

「ふむ、この辺で終いにするかの」

「まだまだ、これからでしょ」

「これだけ戦って集中力が落ちんとはの。じゃが、体力的にそろそろ限界じゃろう」

「……」

「最後に良いものを見せてやろう」

「良いもの?」

 

 ネテロの言葉に疑問を口にした私は、すぐに目を見開く。

 先ほどまでの戦闘が嘘だったかのような速度で手を合わせ、背後に複数の腕を持つ観音が姿を現した。

 観音の腕の一つが動き、私を背後の壁まで吹き飛ばした。

 奇跡的に何が起きたのか認識することは出来ても、身動き一つ取れない程一瞬の出来事で、壁に叩きつけられた瞬間に私の意識が飛んだ。




ネテロの戦闘描写難しい……
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