IS×PM   作:本棚の一冊

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時計を回して最初からです。
タイトルに既述したようにGeminiの使用を試しながら修正をしていくスタイルに変更しました。
これもお前のせいだなイシュメール!


時計が回ってやり直し
1話 一応の男女平等


ISの発明により女尊男卑が世界の潮流となった時代にある事件が発生した。

 

後に「ピアニスト事件」と呼ばれるそれは総計30万人の犠牲者が発生する最悪の事件となった。

 

この鎮圧には様々な兵器やISも使われていたが、決定的な有効打までには至らず。

 

ブリュンヒルデとも称された織斑千冬の駆るISの投入と青い衣装と鎌を装備した男性、様々な武器を振るうことが出来ている女性、長剣を持ちサポートにたけた男性、赤髪で大剣を持った女性によって事件は解決された。

 

この件の直後、この事件に類似する人が化け物のように変貌する事象を「ねじれ現象」と呼ばれ、それに対策する為にL社という企業が発足した。

当初はその活動には世間は懐疑的だったものの事件解決の実績や根回しにより、国際社会はこの現象の対策を一任。

そしてその成果を公開した結果男女関係なく現象が起きることのせいで女尊男卑の風潮は一応の男女平等関係へ回帰することとなった。

 

30万人の悲鳴を鍵盤に変え、街を巨大な楽器へと作り替えた「ピアニスト」。その中心で、僕は無傷で立っていた。なぜ自分だけが。その答えは、数年後に現れた黒いスーツの男たち――「L社」によってもたらされた。

説明してくれた男性曰く「君の中には『幻想体』が突き刺さっている。本来なら発狂して『ねじれ』になるはずだが……どうやら君は、それと手をつないでしまったらしい」

 

それが、私の平穏な日常が終わった瞬間だった。

以来、私の生活は一変した。魔の悪いことにそして、織斑一夏がISのコアを動かしたことにより、男性でもISを扱えるか全世界で検査が行われた。幸か不幸か動かすことに成功してしまいISという「科学の結晶」を動かす適性が見つかり、同時に「精神の怪物」を力に変えるE.G.Oの適合者として、L社のモルモット兼社員に採用されたのだ。

 

「いいかい? 鎌の軌道はもっと優雅に。そんな鈍い動きじゃ、俺の妹を奪ったあの野郎にも及ばないよ」

 

入学前の半年間、私に戦闘訓練を施したのはアルガリアという男だった。

「ピアニスト事件」を解決した一人であり。彼は常に微笑んでいたが、その瞳の奥には底知れない狂気と、結婚した妹への歪んだ執着が見え隠れしていた。おまけに妹に子が生まれ妹は旦那とよろしくやっているので訓練というより半ば一方的な惨殺を躱すとしか言えない状況でもあった。おかげで回避能力だけは一人前とはなったので生き延びることに長けたのは行幸かもしれない。

彼に鎌を突きつけられ、死の淵を歩かされる日々に比べれば、ISの操縦訓練など「付け焼き刃」と言われても仕方のないものだった。

 

そして今日、私は日本にある「IS学園」の門をくぐる。

背負わされた任務は重い。

 

学園内に潜伏する「幻想体」および「ねじれ」の隠密鎮圧。

 

ISとE.G.Oの複合技術の検証。

 

E.G.O適正者の発見と報告。

 

「……これを全部一人でやれって、L社は労働基準法を知らないのか?」

 

手元にある端末には、回収部隊の展開予定だけが淡々と記されている。つまり、戦って、抑え込んで、レポートを書くまでは全部私の仕事だ。

 

学園内は、入学式前日ということもあり入学式の準備で忙しいらしく静かではあったがISという力を手に入れた年上の女子生徒たちの熱気で溢れている。

女尊男卑の風潮が、ピアニストの惨劇によって「一応の平等」へと塗り替えられた世界。だが、その華やかな笑顔の裏側で何が起きているかは見当もつかない。

 

170センチ越えの身長は、女子ばかりのこの場所では嫌でも目立つ。

人当たり良く、目立たず、それでいて裏では「怪物」を狩る。

 

「……豊かな生活、ね」

 

一度ホテルに戻りアンジェラ社長の別れ際の言葉を反芻しながら、私はベッドに深く沈み込んだ。

L社の技術、ISのコア、そして僕の中に潜む『宇宙の欠片』。これら全てが「平和」という名の薄氷の上でダンスを踊ろうとしている。そのステージが明日からの学園生活だ。

 

私は右手の薬指に嵌まった、真っ黒な落書きのような指輪を見つめる。

これを意識するだけで、僕の体は幼稚園児が描いたような支離滅裂な星とハートのスーツに包まれ、音叉のような槍がその手に現れる。

事前に打ち合わせした更識楯無という生徒会長はそのデザインを笑ったが、私にとってはこれが、アルガリアさんの地獄のようなしごきを生き延びた唯一の「証」であり、自分の精神を削り取って形にした「命」そのものだ。

 

「明日からは、これを隠しながら、かつ瞬時に引き出せるようにしなきゃならないのか……」

 

指輪の横に置かれた、支給されたばかりの携帯端末を開く。

そこには「観測チーム」からの初期設定完了の通知が届いていた。

 

【ミッション・プロトコル:IS学園】

 

第一目標: 学園内における「不協和音(ねじれの予兆)」の定時報告。

 

第二目標: 織斑一夏および周囲の精神状態の観測。

 

緊急時: 現場判断によるE.G.O展開および対象の鎮圧。

 

特記: 回収部隊の到着まで、現場の隠蔽および卵の保護を完遂すること。

最悪の状況の場合「赤い霧」が派遣されるまで耐え抜くこと。

 

「……改めて見ても、ブラック企業の極致だな」

 

カーリーさんのあの眼光を思い出して、僕は首を振った。

あの人が「最高戦力」として控えているのは心強いが、彼女が動くということは、すなわちこの学園が「地獄」に変貌した時だ。そうなる前に、私が一人で全てを片付けなければならない。

 

目を閉じれば、またあの「ピアニスト」の旋律が聞こえてきそうになる。

だが、最近の夢は少しだけ変わってきた。

スーツを着て誰かを指揮していたり、あるいはどこかの工房で武器を打っていたり……ここではない、けれどどこか似ている自分たちの人生。

 

「もし、私がL社に出頭せず、ただの生き残りとして生きていたら。あるいは、女性に生まれてISに乗っていたら……なんてね」

 

そんな感傷は、アルガリアさんの鎌に比べれば何の重みもない。

私はサイドテーブルに置いてある、L社特製の(あまり効果のない)安定剤を一口飲み、明日のために目を閉じた。

 

翌日、入学式。

織斑一夏という、僕と同じ「男性操縦者」との出会い。

 

宇宙の欠片が、僕の意識の中でチリリ、と音叉のような音を立てた。

私の、長く孤独な「ワンオペ」の学園生活が幕を開けた。




ヒロインは山田先生の予定です。
山田先生もいいですよね。
感想など頂けたら嬉しいです。
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