仮面ライダープラント   作:ダイヤモンドリリー

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非戦闘回です。


戦いの残した傷

薔薇のブルムとの戦いの後、凛は病院へと入っていった。先の戦いで怪我を負った田辺が入院しているのだ。

 

「ここがあいつの病室...入るか」

 

ノックをしてから中に入る。中にはベッドで横になっている田辺とベッドのそばの椅子で座っている志郎がいた。

 

「ああ、凛さん。来てくれてありがとうございます」

 

起きあがろうとする田辺。

 

「起き上がらなくていいよ。寝てて寝てて」

 

「大丈夫ですよ。このくらい」

 

やめるように言ったがそのままゆっくりと起き上がった。

 

「両肩、どうなった?あの傷じゃあ結構不味そうだったけど」

 

「手術の甲斐あって両肩の傷自体はほとんど問題ない。だけどな...」

 

志郎が言い淀む。

 

「このとおりですよ」

 

田辺が肩を回す。けれどもその動きはとてもぎこちなかった。

 

「医者が言うには、肩にある腕の神経が損傷していたらしい。肩は上がらず、肘は曲がらない。手首や手指の麻痺もある」

 

凛は予想よりも酷い後遺症に絶句する。

 

「逆にそれ以外はあまり傷ついていない。ブルムがそこだけを狙って刺したんだろうな」

 

「なんでそんなこと...」

 

「絶望をさせるためだな。殺すよりも、新しく芽生えた希望の芽を摘む方が効率がいいと思ったんだろう。実際、殺されるよりもひどい後遺症だろう。生きていても、出来ることが大きく限られてしまう」

 

「っ!たしかに、その腕じゃライダーなんてとても...」

 

「ライダーになる?どういうことだ?」

 

志郎が気になって質問する。

 

「あのときの説得で、田辺にやりたいことを探してもらってた。それで、そのとき出た答えがライダーだったんだ。でも...」

 

「大丈夫ですよ」

 

田辺が凛に言う。

 

「あのとき出た答えがライダーだっただけですよ。もうライダーを目指すことはできないけど、それ以外のことで、誰かのためになることができるはずだろ?」

 

「それは...」

 

田辺は続けて言う。

 

「今見つけられなくてもいい。いつか見つけられる時が来る。そう凛さんは言ったじゃないですか」

 

「そうだったな...」

 

「そういったあなたがなんでくよくよしてるんですか」

 

「くよくよなんてしてないだろ」

 

凛が否定する。けれども田辺も反論する。

 

「いや、してますよ。俺を助けられなかった。そう思って、必要以上に責任を感じている。俺のことを馬鹿だって言ったけど、そんなことでくよくよしてる凛さんの方がよっぽど馬鹿だと思いますよ」

 

「馬鹿って言われた...でも助けられなかったのは事実だ」

 

「助けてもらいましたよ。生きていればなんでもできるってのも言ってましたよね。命だけでも助けてもらえて嬉しかったですよ。てか自分の言ったこと忘れてるって本当に馬鹿なんですか?」

 

「言うね君」

 

「もっと言ってやれ」

 

「父さんも囃し立てるのやめてよ」

 

息を吐くように毒を吐いていく田辺。とても生き生きしているのは気のせいか。

 

「あなたが助けられなかった人なんて誰もいませんよ。そしてこれからもいません。いないようにあなたがするんですよ。俺も何か出来ることを探します。だからあなたも頑張ってください。人を助ける大事な仕事を誇ってくださいよ」

 

田辺から激励を受ける。

 

「そう...だな。そうだよな。こんなこと考えてる場合じゃなかったな。俺、頑張るよ、田辺くん」

 

「頑張ってください。俺の分まで、ライダーとして!」

 

「わかったよ。…でも、馬鹿って言われたのは忘れないぞ」

 

凛は想いを受け継いだ。これからの戦い、負けるわけにはいかなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この後は凛の検査だぞ」

 

田辺の病室から出た2人は駐車場に向かう。

 

「今から行くのやだなぁ。もう日傾いてるのに。帰るの夜になるじゃん」

 

「問答無用だ。さっさと行くぞ」

 

バイクに乗り込み会社へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また君は満開したんだってね。体は大丈夫かい?」

 

検査室に来た前園が心配して凛に聞く。

 

「大丈夫でしたよ。2回目でしたけどだいぶ慣れましたから」

 

「そうか。満開同士の戦いだったし、大変だったろう。そんな君に頼むのは少し心苦しいが、いくつか質問をさせてくれ」

 

「質問?なんですか?」

 

「まず1つ目。満開したブルムで印象に残っていることはあるか?」

 

「印象に残ってること...何かあったかな?」

 

「何でもいいんだ。何か変なこととか言ってなかったか?」

 

考え込む凛に対して、催促するように聞く。

 

「そういえば...俺たちが絶望でブルム達が希望なんだ、とか世界のために戦ってるとか言ってたな」

 

「そこまで流暢に話してたのか⁉︎」

 

志郎が驚いた様子で凛に掴みかかり問い詰める。

 

「ちょっと揺らすのやめて!そうだよ普通の人ぐらいの速度で普通に話してたよ!」

 

「俺の時はカタコトだったのに、ブルムも進化してるのか...っとと、ごめん凛」

 

掴んでいた手を離す。

 

「そういえば凛。もう白菊しか残ってないからしばらくは三つ葉を使わないといけなくなるな」

 

「え?薔薇のブルムから種手に入ったぞ」

 

「「はぁ⁉︎」」

 

志郎と前園の驚愕の声がハモる。

 

「えっなにどうしたの?」

 

「どうしたのじゃねぇぞなんで満開したやつから種が手に入ってるんだ!」

 

「そうなの?」

 

「そんなこと今までなかったぞ!ちょっとその種使って変身してくれ!」

 

「ちょっと奈々美さん落ち着いて!やってみますから」

 

ドライバーを腰につける。そして種を試験管に入れてそのまま装填する。

 

「見られながらなのちょっと恥ずかしいな...変身!」

 

レバーを操作する。けれども、いつまで経っても花は咲いてこない。

 

「…変身できない?」

 

「凛くんの適正でも使えないのか...志郎さん、一応試してくれ」

 

志郎もドライバーをつけ、試験管を装填し、レバーを操作する。しかし、志郎も変身することができない。

 

「種が死んでたりする?」

 

「種が死んでいるなんて聞いたことがないな。種の形状から薔薇の種なのは間違いないだろうけど...よくわからんな。そのまま持っていてくれ。君たちが使えないんだったら誰にも使えないだろうし」

 

種を前園から返してもらう。

 

「そもそも絶望に浸りきったブルムから取れた種なんて使いたくないけどな」

 

「それ実験した後に言う?」

 

(使う時が来るか分からないけど、まぁ一応持ち歩いておこう)

 

「しかし、しばらく三つ葉しか使えないのはまずいな。少し特訓でもしておくか?開発部のさらに地下に特訓場があるんだ」

 

前園が提案をする。

 

「あれ?もうあれ閉鎖しませんでしたっけ。経年劣化で」

 

「新しく作ったんだ」

 

「そんなのあるんですか。でも、特訓は別にいいかな。さっさとブルム倒して別の種を手に入れますよ」

 

そんなの聞いてないぞと小声で言う志郎を無視しながら凛は答えた。

 

「そうか...何か他にも聞きたいことあったような気がするけど...衝撃な事実が多すぎて忘れてしまった。もう帰ってくれて構わない。思い出したら今度は志郎さんを通じて連絡する」

 

「わかりました。ではさようなら」

 

「気をつけて帰れよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、2人が会社を出たころ、管制室にて。

 

「多くの雑草兵、1分咲きブルムを観測。ライダーを複数人派遣します」

 

「5分咲きブルム観測。オキザリスの適合者を派遣します」

 

「4分咲きブルム観測。ツツジの適合者がすでに向かっています」

 

この町の監視網にブルムらが捕らえられた場合、即座にライダーがあてがわれる。

 

「っ!一瞬映った!逃げ隠れていた金糸梅のブルムを発見」

 

カメラ映像を見ていたものの1人が金糸梅のブルムを見つける。

 

「開花度は暗くて見えにくいけれど...9分、最悪の場合10分!」

 

管制室が驚愕の声でどよめく。

 

「!2つの支部からの緊急連絡、来ました」

 

これからさらにその声は大きくなることになる。

 

「北海道と沖縄からそれぞれブルムがこの町に向かってるとの情報。それぞれすでに満開済み⁉︎1週間ほどでこの町に着くと思われます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この町には多くの花が咲く。

 

集まる絶望の花たちはここで何をするのか。

 

 

count the seeds

現在、凛達の使える希望の種は

・三つ葉のクローバー

・白菊(6分咲き)




3196字。
北海道と沖縄...いったい何の花なんだ...。
もちろんあの人たちです。
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