新ライダー登場です。
金糸梅のブルムとの戦闘から2日後。凛と志郎は2体のブルムを相手取っていた。
「姫百合と紫羅欄花、結構いい連携してやがる。3人組のブルムよりも連携が上手いぞ」
「凛は前にも戦ったんだっけな。こいつらはペアで行動していることが多いんだ。別々に動いている方が異常なほどだ」
「へー」
戦いながらも呑気に会話をしている2人。凛は山桜を、志郎は鳴子百合を使って戦っていた。
「両方4分咲き、開花度稼ぎにはもってこいだ。金糸梅対策の養分になってもらうぞ」
姫百合が旋刃盤を投げてくるが、ブルムと旋刃盤を繋いでいる蔦を志郎がワイヤーで絡めとり、軌道を変える。
無防備になった姫百合を殴ろうとする凛に向かって、紫羅欄花がボウガンを連発する。それを避け、思い切り姫百合を殴り飛ばした。
「ワイヤーってのはこういう使い方もあるんだぜ」
志郎がワイヤーを複数出し、それを束ねて大きな拳を形成した。その拳を旋刃盤を手元に戻した姫百合に向かって放つ。姫百合は旋刃盤を斜めにずらして拳を逸らすが、志郎は腕を大きく振り、逸らされた拳をもう一度ぶつけた。
2人の攻撃を受けた姫百合は花を散らし、2分咲きになる。
「今度はお前だ!」
紫羅欄花が敵討ちかと言わんばかりに矢を連射する。それを凛は拳で弾き、志郎はワイヤーを編んで作った楯で防御する。そのまま志郎は凛とブルムの間に滑り込み、射線を塞ぐ。
「行け!」
「おう!」
凛は志郎を飛び越え紫羅欄花を狙う。
「馬鹿!よりにもよってなんで跳んだ!」
1度跳んだら着地するまでは、桔梗の八艘飛びなどの例外はあるが基本的に隙を晒すことになる。
「やば!」
飛んできた矢を拳で弾くが、3本ほど弾きそびれて当たってしまう。
「ほんとに馬鹿だな。まかせろ」
志郎がワイヤーで編まれた、矢が無数に刺さっている楯を一気に解放した。矢は前方に向けて広範囲に散らばって飛んでいく。その矢が紫羅欄花に当たる寸前、姫百合が間に割り込み、矢を受け止めていく。
「お前ならそうすると思っていたよ。そしてそれを待っていた!」
志郎はワイヤーを束ねに束ね、一本の巨大な針を形成した。それをブルムたちに向かって一気に突き出す。その針は、楯ごと2体のブルムの胸を貫いた。ブルムは1つの種を残して消えていった。
「すごいえげつない攻撃するね父さん」
「こういうものだ。ところでこの種はどっちが落としたんだろうな。形的には紫羅欄花か?」
志郎は種を拾い、空の試験管に入れ、腰の後ろの鞄に入れる。
ちょうどその時、少女が道の奥から歩いてきた。
「君たち。ひっさしぶりー。元気してた?」
「お前、金糸梅か!」
「じゃあ早速戦おうよ!」
花が少女から飛び出て体を包み、ブルムへと変化する。
「お前ほんとに戦闘狂だな!」
『君たちだから戦ってるんだよ。それ以外のやつには興味ないね!』
鞭を大きく振って攻撃してくる。それを2人は避け、凛は拳で、志郎はワイヤーで攻撃する。
『君たち、今回は万全みたいだね。さぁ楽しもうか!』
また鞭を振るってくる。志郎はその鞭をワイヤーで絡めとる。けれどもブルムは1度鞭を消して、また出すことでワイヤーを解く。けれどもその一瞬を凛は見逃さない。
「オラァ!」
『ぐっ!どんどん速くなってるね君。その様子だと今ので7分咲き?』
ブルムの言う通り、凛の山桜は7分咲きとなっていた。左目にはバイザーのようなものが取り付けられていた。
「桔梗の時と同じように変化していってるな」
「凛、そいつはスピードタイプだ!かましてやれ!」
凛はレバーを操作し、必殺技を発動させる。
「必殺!千回連続ライダーパンチィ!」
目にも止まらぬ速さでパンチを繰り出す凛。吹き飛ぶ暇も与えずにパンチを浴びせられたブルムは、ちょうど千発目を受けたタイミングで花を散らしながら大きく吹き飛んだ。
『強いね!でもまだ散らないよ!』
「やっぱり満開じゃないと倒せないか!」
なんて事ないかのように立ち上がりブルムは鞭を振る。やはり満開には満開が1番のようだ。と、そのとき。
「ヒーロー参上ゥ!!」
大きな声が響いてきた。ブルムが声のした方向を見ると、3人目の仮面ライダーが大剣をこちらに向かって振り下ろすところだった。
『わわっと、危ないねぇ』
「ありゃりゃ。避けられちったか。さっすが、満開してるやつは違うね」
大剣を肩に担ぎ上げながらつぶやく謎のライダー。
「あ、俺の取った鳴子百合じゃん!」
志郎を指差しながら言う。そしてブルムの方へ振り向く。
「俺は凪。おふたりさん。加勢しに来たぜ」
オキザリスの花を9分まで咲かせた仮面ライダーがそこにいた。
新しいライダー、凪が現れた結果、ブルムは防戦一方となっていた。
オキザリスの大剣のパワーに、山桜の手甲のスピード、2人の隙を埋めるように放たれる鳴子百合のワイヤー。そのどれもがブルムに不利に働いていた。
(大剣は鞭では抑え込めない。巻き取っても無理矢理引きちぎられるのがオチだ。山桜は近づかせなければいいけど、少しミスって近づかれたらまたさっきの攻撃を喰らう。ワイヤーは鞭を1回消せば解けるけどその隙に他の2人にやられる。即席のくせにいい連携じゃん)
凪がブルムに向かって大剣を何回も振る。速度が遅いため、簡単に避けられるが当たったらどうなるかわからない。内心ヒヤヒヤしながら避けていた。
「援護する!」
志郎がワイヤーを飛ばして鞭を掴み取る。すぐに鞭は消え、解かれてしまうが、ブルムは避けようとしたところを一瞬引き止められたため、大剣が右腕を掠る。
『掠っただけでこの威力⁉︎やばスッゴ!』
掠った右腕は大きく切り裂かれ、ほとんど取れかけていた。といってもすぐに再生してしまったが。
「そこのワイヤーのライダーさん。ちょっと協力してくんね?」
「…なるほど、了解した」
志郎はワイヤーをいくつもだし、凪の腰に巻きつける。そして一気に振り回し始めた。
『何その攻撃おもしろ!』
ワイヤーで振り回すことで少ない機動力を補い、大剣の威力も同時に上げる。ブルムも避けたり、鞭を振るいワイヤーにぶつけて軌道を逸らすが、少しずつ追い詰められていく。
「こんなのに巻き込まれるのは嫌だな」
「だったら離れてろ凛!」
「ちょっとまってすっごい気持ち悪くなってきた酔った吐きそう」
『ぶん回りながら吐くのだけはやめてどんな攻撃よりも当たりたくない!』
ブルムは一心不乱に逃げ出した。
「それを待っていた」
志郎はワイヤーを切り離す。そして凪はブルムへと一直線に飛んでいき、ブルムの右腕を完全に切り飛ばした。
「気持ち悪い...っ!10分咲きキターー!」
地面を転がり、目を回しながら立ち上がる凪。ふと視線を落とすと、オキザリスの花は10分咲きになっていた。ブルムは苦しそうに悶えている。絶好のチャンスだ。
「いよっしゃ!さっそくまんか」
ヒュンッと鞭が飛んで顔に当たり、言葉が途切れる。凪は地面に蹲り左目付近を押さえる。
「いったい何が...まさか⁉︎」
「テメェ...よくもやりやがったな!」
凪が息を荒くしながら立ち上がる。仮面が割れ、青年の顔が見える。左目がグズグズになっていた。
一方、ブルムは右腕を切り落とされたにも関わらず、平然とそこに立っていた。
『私は2人と戦いをしにきたんだよ。2人をいたぶりにきたんだよ。だから2人は殺さない。けれどお前は違う。戦いを邪魔しにきた敵だ。容赦はしない』
ブルムは左手で鞭を持ち、何回も凪の右腕に叩きつける。装甲が剥がれ、少しずつ肘が腐食しだし、千切れ飛んだ。あまりの負荷に変身が解除される。あまりの痛さに叫び声を出すこともできない。
『お返しだ。これでお揃いだね』
「お前!それ以上やめろ!」
殴りかかるが鞭で掴み取られ、投げ飛ばされる。
『じゃあ、さっさと死んでね』
鞭を首に巻きつける。
「くっ!お前...これ受け取れ!」
オキザリスの入った試験管を青年は凛に向かって投げ飛ばす。
「っ⁉︎おい凪!」
『バイバイ』
一気に鞭を引っ張ると、凪の首が締め付けられ、首の骨が折れ抵抗むなしく死んでしまった。
「…なぜ腕切られて平然としてられる?」
志郎がブルムに聞く。
『ああこれ?もともとブルムには痛覚なんてないよ。だからさっきのは演技。それに、すぐくっつけられるしね』
(…凛は薔薇のブルムが痛いって言ったと話していたが...いやそれよりも)
「そこが1番不思議なんだ。どうしてそんなすぐに再生するんだ。20年前はそんなんじゃなかったぞ」
『それは私が人に寄生してるからかな』
切り飛ばされた右腕を拾い、断面にくっつけるとすぐに引っ付く。
「なるほど...人の体を核とすることで再生を早めているのか」
「どうして!平然としていられるんだ!死んだんだぞ!人が!」
急に凛が叫ぶ。
『そりゃあ邪魔だったし。てか殺したやつが動揺してどうするの』
「戦ってるんだ、死人だってでる...悲しいがな」
志郎とブルムが答える。
「クソッ!お前が、お前のせいで凪は!」
オキザリスの試験管を装填し満開をしようとする。
『おっと、満開はまずいな。じゃあねー』
「待て!待ってお前!」
ブルムは凪の腰についていたドライバーを外して捨てる。そしてなぜか凪の体と千切れた腕を抱えて去っていった。
「…クソがあああああああああ!!!!」
凛の叫びが町に響いた。
『あ、あの子満開したんだ。すると思ってたよ』
どこか、暗いところを歩きながら、ブルムは呟いた。
約束はもう果たせない。
絶望がただ深まるのみ。
count the seeds
現在、凛達の使える希望の種は
・三つ葉のクローバー
・白菊(8分咲き)
・山桜(8分咲き)
・鳴子百合(6分咲き)
・???
・オキザリス(10分咲き)
3853字。
凪くん登場話で殺してしまった。
どこぞの蟹刑事よりも早い退場でした。