金糸梅との戦い、凪の死の翌日。
凛は自室で塞ぎ込んでいた。
「死んだ...守れなかった。犠牲者を出さないって決めてたのに...」
田辺との約束。犠牲者を出さない。これからも助けられない人はいないと信じた田辺を、裏切ってしまったように感じていた。
「何も...出来なかったっ!」
なによりも、凪が来てからほとんど何もできていないことが1番の後悔であった。
「やつは凪の残したオキザリスで殺してやる!」
そんな時、会社のスマホの通知が来る。ブルムが現れたのだ。
「凛、行くぞ」
志郎が部屋の外から呼びかける。
(次は...誰も死なせない!)
勢いよく扉を開ける。バンッガッ!
「痛い」
「あ、父さんごめん」
ドライバーをつけて凛はそのまま駆け出した。
2人はバイクで並走しながらブルムのもとへ向かう。すると、何かがぶつかり合うような音が聞こえ始めた、
「もう誰かが戦ってるのか?」
「だったら早く加勢しないと。変身!」
「変身」
運転しながら山桜と鳴子百合を装填し変身する。
しばらく走っていると、ブルムとライダーが戦っていた。ライダーのドライバーにはツツジの花が7分咲きで咲いていた。
「あのブルム満開してやがる!」
ブルムの花は桔梗。10分咲きになり、大きな翼を生やし、刀をライダーに叩き込んでいた。その刀を、ライダーは2本の短い刀、脇差で受け止める。
「っ!こいつら!邪魔だ!」
加勢しようとするが、大量の雑草兵が突如現れ道を塞ぐ。超高速のパンチと、広範囲のワイヤー攻撃によって一瞬にして塵になるも、次から次へと雑草のように生えてきて邪魔をしてくる。
(急がないと...あいつも!)
少しずつ、凛の心に焦りが出ていた。
一方、そのころ。ツツジのライダー、松永は冷静にブルムの刀を捌いていっていた。
(まさか満開してるなんてね。空も飛んでるしこっちからは攻撃できない。狙うはカウンター!)
ブルムが空から急降下して松永を斬りつけようとする。それを1つ目の刀でいなし、もう1つの刀で斬りかかる。見事当たり、翼を傷つけることができたが、すぐに再生する。
(生半可な攻撃じゃ再生されるだけか!)
相手に翼があり機動力が上でも、こちらは二刀流だ。2つの刀を器用に使い斬りつけていく。けれど、何度も何度も斬りつけることができているが、決定打にはならない。
「だったら!」
松永は腰に挿してある脇差のうち、いくつかを取り出して空を飛ぶブルムに向かって投げナイフのように投擲する。ブルムは刀で弾いたり、動くことで避ける。
『⁉︎』
突然背中に脇差が刺さる。弾かずに避けた脇差が重力によって落ちてきて刺さったのだ。不意の衝撃に思わず体勢を崩して墜落する。
「隙あり!」
落ちてきたブルムに一気に接近して刀を振る。1つは刀で受け止められるも、もう1つは深々と刺さる。
『チッ!』
ブルムは刀を押しのけてバックステップで距離を取る。そして刀を消して話し始めた。
『1つ確認したいことがある』
「…なんだ?」
『お前が殺したのか?私の仲間を...山桜を』
「…そうだよ。倒さないといけなかった。人類のためだ。貴方達は敵なんでしょ?倒さないでどうするの」
『なるほど...なら、その報いを受けてもらおう。私の仲間を殺した報いを!』
ブルムは刀を取り出して松永に向かって走り出す。
「私は貴方を倒すだけだよ」
松永はレバーを操作して迎え撃つ。試験管に液体が注がれていった。エネルギーが刀に収束する。刀同士がぶつかりあう。
2本の刀が折れる。ブルムと松永それぞれ一本ずつだ。ブルムは折れた刀を再生させ、松永は腰から刀を取り出し二刀流の構えをとる。そして再度レバーを操作して必殺技を発動する。液体が注がれていく。
凛と志郎はまだ雑草兵の軍団の足止めを受けていた。
「いつまで現れやがるんだ!」
「あのブルムが呼び寄せているのか」
何度倒しても現れるため一向に前に進むことができない。そのとき、志郎はツツジのライダーが必殺技を連発しているのが目に入る。
「あいつまずい!必殺技を連発しすぎだ!あれじゃあ!」
「何回もやれば満開してなくたって!」
松永はすでに4回必殺技を発動していた。斬りつけているうちに9分咲きにもなっている。もう一回。もう一回やればいけるかもしれない。そう思い、もう1度必殺技を発動する。
「ハァアアアアア!」
刀にエネルギーが集まる。そして一気に斬りかかる。さすがに再生が間に合わず、ブルムはボロボロになっている。すでに身を守ることすら出来ない。
『まずい死...⁉︎』
刀がブルムに当たる直前、急に刀が錆びつき、ボロボロになって崩れていった、ドライバーの花も枯れ果てていた。
「なんで⁉︎まずいこのままじゃ変身が!」
急いで三つ葉の試験管を取り出して装填しようとする。
『させない!』
ブルムはその隙を見逃さない。刀で腰をドライバーごと一気に斬り裂いた。
突如雑草兵たちが逃げ出していった。といっても志郎がワイヤーで一匹残らず倒してしまったが。視界が開けツツジのライダーとブルムの戦っている姿が見える。
「それ以上必殺技は使うな!根腐れが...クソッ間に合わなかったか!」
「父さん早く加勢を...ヒッ!」
ちょうどライダーが一刀両断されたところだった。鮮血が舞う。変身が解け、女が倒れる。
「間に...合わなかった」
凛は絶望したように項垂れる。
『お前は私を一度殺した。そして私に仲間を殺させた。姫百合と紫羅欄花は2回もお前らに殺された。山桜を...紫羅欄花を...返してもらう。報いをお前らも受けてもらうぞ!』
ブルムが2人の方を向き刀を向け睨みつける、
「ごちゃごちゃうるせぇ!黙ってろ!」
一気に近づいて殴りかかる。ブルムが刀を振ろうとするがワイヤーで一瞬拘束される。無理矢理ワイヤーを引きちぎりながら刀を振るがその前にパンチを喰らう。
『ぐっ!1つでも返してもらう!」
ブルムは凛を斬りつけながら志郎のもとへと走り出す。志郎はワイヤーを複数だし妨害するが、刀で切り落とされそのままこちらに向かってくる。
「っ!クソッやられた!」
ワイヤーで楯形成して身を守ろうとするが、回り込まれ腰の鞄を掴まれる。そしてブルムは1つの試験管を奪い取った。
『紫羅欄花じゃない...白菊か。仕方ないか』
「そいつを返せ!」
凛が突っ込むがブルムは空へと飛んでいってしまう。
『白菊よ。どれだけ仲間を殺すために使われた。屈辱を思い出せ、やつらを呪え、絶望に浸るのだ!』
「何かは知らんがまずそうだ!止めなければ!」
ワイヤーを飛ばすも全て避けられてしまう。やがて、どす黒い瘴気のようなものが白菊を包み始める。
『さぁ復活するのだ!我が同胞よ!』
ブルムは試験管から花を引き摺り出して空中に放る。
希望と絶望は紙一重。今、反転する。
『…ここは...あ、桔梗さん。助けてくれたんですか。ありがとうございます。満開までさせてもらって』
『いいんだ。仲間は多い方がいい』
「ブルムに...しかも満開して復活しやがった⁉︎」
凛と志郎は驚愕する。
『早速だが、やつらを殺すのを手伝ってほしい。種をもっと取り返すぞ』
『はい。了解です』
桔梗が刀を構え、白菊が弓を構える。
『ちょっとちょっとぉーそいつら殺しちゃだめー』
「金糸梅!ヤベェ満開が3体も⁉︎」
『そいつら計画に必要なんだよー。てか桔梗くん満開したら他の子が来るまで待ってていいって言ったのに何で飛び出して行っちゃうかなぁ。まぁ白菊ちゃん復活させたのはナイスだよ』
『だが、こいつらは仲間を!』
『まぁまぁ桔梗さん金糸梅さんもそう言ってますし、何かあるんでしょう?とりあえずここは引きましょう』
『…わかった』
『あ、そうそう。白菊ちゃんその女の人の体使っちゃいな。色々と便利だよ』
『はい!』
白菊が倒れている女の中へと入っていく。分断された上半身と下半身が植物で無理矢理繋げられていく。
「それじゃあ行こっか!」
少女が歩き出す。
「はい、行きましょう」
女もついていく。
「次は必ず報いを受けさせる。待っていろ」
老紳士も後をついていく。
「待て!くっ!」
「ついてこないでくださいね」
急いで追いかけようとした凛と志郎だったが、女が弓を取り出し、地面に向けて矢を放ち粉塵を舞わせる。ワイヤーを飛ばしたが、すでにそこには誰もいなかった。
絶望が希望の戦士に侵食する。
反転する日は近い。
count the seeds
現在、凛達の使える希望の種は
・三つ葉のクローバー
・山桜(9分咲き)
・鳴子百合(8分咲き)
・???
・オキザリス(10分咲き)
3425字。
にぼっしーの花ツツジじゃなくてサツキだったんですね。
まぁサツキもツツジ科なので修正はしません。
多分もう出ませんし。
ちなみに白菊が地面に矢を撃ったのは、志郎に使われていたころの記憶が残っているからですね。