「すみません奈々美さん。ドライバー取られちゃいました」
会社の前園の部屋にて報告を行う2人。
「いいんだ。なんなら好都合と言ってもいい」
「部長、それはいったいどういうことですか?」
前園の返答に疑問を持つ志郎。
「そのおかげでやつらのアジトの場所がわかったんだ。ドライバーに取り付けてあったGPSのおかげでな」
「え、そんなのついてたんですか」
「ドライバーを悪用しようとするやつもいるだろうとのことで全てのドライバーにつけさせてもらってたんだ。万が一と思っていたが思わぬところで成果が出たな」
「それで、どこなんです?アジトの場所は」
志郎がアジトの場所を聞く。
「それはね...ここさ」
「ここ?」
「正確にはここの地下だな」
「地下...まさか!」
「そう、閉鎖された旧特訓場だ」
「どうしてそこにブルムがいるんですか!」
「まぁまぁ志郎さん落ち着いて。もともとあそこは種を使うのに適した環境だったんだ。そしてそれはブルムにとっても同じなのだろう。入り口がこじ開けられていた形跡があった。そこにいるのは間違いない」
「なるほど...カチコミにいきましょう。凛行くぞ」
志郎が凛を引っ張って外に出ようとする。
「ちょっと待って今俺ドライバー無い!」
「そうだったね。はいこれ代わりのドライバー。君専用の調整がされてるわけじゃないから前よりかは使いづらいかと思うが、取り戻すまでの辛抱だな。あとこいつも持ってっとけ」
ドライバーと試験管を渡される。
「クローバーの種が入っている。また壊されたら言ってくれ。すぐに代わりにを用意してやろう」
「あ、ありがとうございます」
「ドライバーは持ったな。行くぞ」
引っ張られながら凛は旧特訓場の入り口へと向かうことになった。
「ほんとにここに入り口があるのか?会社から相当離れてるけど」
志郎に問いかける凛。実際会社から1kmほど離れた位置に来ていた。
「ここであっている。特訓場まで坂道をずっと歩いていくことになるからな、クローバーで変身しとけ」
「花は使わないのか?」
「後で変えればいいからな。凛はドライバー取り返したらつけ替えないといけないし、今使うと面倒だ」
「なるほど、あいわかった」
凛は種の入った試験管を、志郎は三つ葉のクローバーの試験管を取り出して装填する。
「変身!」「変身」
凛の試験管から
「なんか前よりも力がみなぎってくる。ってあれ?四つ葉?」
「お前2回目で引くなんて運がいいな」
「マジ?なんか強くなるのか?」
「ちょっとスペックが変わるだけだ。誤差ぐらいだがな。他にも特殊な力はあるが」
「意味ねぇじゃんこんなとこで運使いたくなかったよ!」
「それじゃあ行くぞ」
「無視しないでよ。てかなんかボソッと言わなかった?」
「それじゃあ行くぞ」
「ほんとに無視するじゃん」
話しながら進んでいると扉を見つける。扉を開くと、普通の雑草兵が二、三体ほどいた。
「やっぱりいるか。倒しながら進むぞ!」
2人は2本の鋏を取り出し、雑草兵を刈り取りながら進んでいく。今の2人ならただの雑草兵くらいならなんの障害にもならない。
しばらく坂を降りていくと、少しひらけた場所に出た。
「もう少しで目的地だ。っく!やっぱり見張りはいるよな」
銃弾が飛んできて慌てて物陰に隠れる。ナズナのブルムの召喚した雑草兵が10体ほどこちらを狙っていた。
「どうするんだ父さん。何を使う?」
「ちまちま削ってもすぐに応援が来るしな。満開で一気に殲滅する。鳴子百合を出せ」
凛は鳴子百合の試験管を取り出して志郎に渡す。
「満開」
鳴子百合を装填しレバーを動かして満開をする。志郎の背後にアーチと花が出現した。
「殲滅開始!」
物陰から飛び出す志郎目掛けて銃弾が飛んでくるが、全てワイヤーで受け止めていく。そしてそのままワイヤーを飛ばしてまずは銃剣と楯を弾いていく。
『っ!総員撤退!』
「逃がさない!」
部隊長らしき02番が撤退の指示を出すが、志郎は逃げ道を先にワイヤーで塞ぎ、雑草兵たちの周りをワイヤーで包む。そしてそのままワイヤーで全て切り裂いていった。
「応援が来る前に進むぞ。っ!なんだ!」
進もうとした志郎の足元に槍が刺さる。飛んできた方向には槍を持った高校生くらいの少女と、ヌンチャクを持った大学生くらいの男が立っていた。
「その武器...ペニチュアと銀梅花か」
「よくわかったね。ここは通さないよ」
「2対2だ」
「いや、1対2だ。凛!先に行け!後で合流する!」
志郎がワイヤーで凛を掴み取り、そのまま奥の道へと投げ飛ばす。男女を通り越して着地した凛はそのまま坂を駆け降りて行った。
「いいのかい?1人で」
「ドライバーを取り戻すのが最初の目的なんでな。凛の後は追わせない。足止めさせてもらうぞ」
『何言ってるの。私たちが足止めするんだよ』
少女の体からペニチュアの花が飛び出してブルムへと変化しながら言う。
『銀梅花、戦闘を開始する。世界の敵...花により散れ』
男の背中から銀梅花の花が飛び出してブルムへと変化する。
「世界の敵はお前らだ!」
ワイヤーを飛ばして武器を弾こうとする。ヌンチャクは弾けなかったが、槍は弾くことができた。
『そんなことしても無駄だよ』
弾かれた槍は消え、その手に新たな槍が出現した。
「やっぱりお前には通用しないか。っ!」
銀梅花が接近してヌンチャクで攻撃してくる。ギリギリで躱してワイヤーを銀梅花に巻きつけて拘束する。そのとき、嫌な予感を感じバックステップで距離を取る。
「水...そんな能力もあるのか」
先ほどまでいたところには水でできた杭のようなものが飛び出していた。どうやら銀梅花は水を操作することができるらしい。ここは地下、いくらでも水は染み出してくる。すでにワイヤーは切断されていてヌンチャクで攻撃してくる。
(近距離も遠距離もできる槍と超近距離のヌンチャク。つまり近づかれなければなんとかなる!)
ワイヤーを細かく周りに張り巡らせる。これで槍やヌンチャクの射程距離に入ることはない。投げ槍も飛んでくる前に絡めとることができる。あとは襲いかかる水をどうにかするだけだ。
(鳴子百合のワイヤー...慕ってくれていた相手を利用されるのは嫌だな。早く倒すぞペニチュア。本気を出してくれ。私も本気を出す)
(りょーかい。そこそこにやるだけでよかったはずなんだけどなぁ)
ブルムたちがテレパシーで密談をする。ペニチュアだけが使える能力だ。一対一に限定されるが敵に情報を渡さなくていいのは十分なアドバンテージだ。
「ペニチュアも銀梅花も武器が変わった⁉︎力をまだ隠してやがったのか」
ペニチュアのブルムは先ほどまでとは違い、巨大な手甲を取り付け槍の穂先が蛇腹状に伸びていた。顔の右半分に、アイヌ神話に出てくるコシンプのような仮面がついていた。
銀梅花のブルムは大きな棍棒を持っていた。左肩には沖縄の樹木の妖精であるキジムナーのような装飾が付いていた。
「今までの経験が意味なくなったか。避けるので精一杯だな」
飛んでくる槍や振られる棍棒を避けていく。
『そんなこといいながら余裕で避けてるじゃない!』
「そんな脳筋な攻撃でいいのかい?当たれば怖いけど当たらないから意味ないねぇ。もう少し頭を使わないとダメだぜ」
『頭を使うのは苦手なんだ!』
「そういうこと言うのが馬鹿っぽいねぇ。まるでうちの息子のようだ」
一気にワイヤーで自分を囲い込む。
『隠れても無駄だ!』
棍棒でワイヤーを殴りつけ、少しの隙間にねじ込み穴を広げる。その穴に槍を射出した。
(…手応えがない...銀梅花!)
(了解...何⁉︎)
棍棒でワイヤーを一気に引き剥がす。けれど、すでに志郎の姿はなかった。
(悪いねぇこっちは先を急いでいるんだ。待ってろ凛今向かう!)
坂道を駆け降りていく。しばらくするとナズナのブルムとその配下が待ち伏せをしているのを見つけた。
『こいつは通すな!銃剣隊構えて!撃て!』
「その攻撃はもう飽きた!いちいち相手にしてられないんださっさと行かしてもらうぞ!」
ワイヤーで銃弾を受け止めそのまま跳ね返す。そしてワイヤーで楯を貫き自分のもとへと引き寄せる。その楯で銃弾や刃を受け止めながらブルムたちを一気に飛び越えた。
(もう少しで最下層...見つけた!)
楯を後ろに投げつけながら坂道を降りていくと、最下層、病院の地下の特訓場にたどり着く。そこには変身解除をしている凛と山桜、桔梗、金糸梅のブルムがいた。
「凛、待たせた!今加勢を...お前何を⁉︎」
『はっはっは!計画は成功だ!』
「満開」
絶望の花が咲き誇った。
計画は進み、花は咲く。
その花がもたらすものは何だろうか
count the seeds
現在、志郎の使える希望の種は
・三つ葉のクローバー
・四つ葉のクローバー
・鳴子百合(10分咲き)
・紫羅欄花(5分咲き)
・オキザリス(10分咲き)
・朝顔(6分咲き)
3590字。
棗の水中戦での強さを水操作能力として活用しました。
四つ葉のクローバーはドライブのハイスピードみたいな感じですね。
ちょっと特殊な能力はありますけど。
次回は凛視点です。