次の日、志郎が目覚めた後、凛と志郎は前園の部屋にいた。
「今、復活したブルムたちはどうしてるんですか?」
志郎が前園に聞く。
「今のところブルムたちは特に目立った行動を起こしていない。監視網にも引っかからないし情報は全くない」
「計画を考えるとか言ってたししばらくは何もしないってことかな。それまでにこっちが打って出るべきだな」
「でもブルムがどこにいるのかわからないんだぞ凛。そもそも何で変身するつもりなんだ」
「え?彼岸花」
凛が当然だというように答える。
「その彼岸花本当に大丈夫なのか?また融合でもしたら...」
『そんなことは起こらないから安心しなさい』
「…今誰が喋ったんだい?」
突然聞こえた声に前園が困惑した。
「その状態でも話せるんだシャドウ」
『そのようね。私も驚いてるわ』
「その花が話してるのかい?へぇ、満開していなくても話せるのか面白い」
「その言葉は信じられるのか?」
志郎がシャドウを問い詰めた。
『そもそも融合するなんてこと私だけじゃ起こらないわよ。最初に吸収した金糸梅が計画のために無理矢理入り込んだから起こったのよ。ブルム化もしないわ』
「…凛の味方が嘘つくわけないか。信じよう」
「そうだいいこと思いついた。シャドウさんだったかな。私たちは情報が欲しい。ブルムについて全部教えてくれないかい?」
『それ、教えて私になんのメリットがあるというの』
「あ、それ俺も知りたかったんだよね」
凛がボソッと言った。
『わかった話すわ』
「ちょろいな」
『今変な声が聞こえた気がするけど...無視しましょう。ブルムについてだったわね。さて何から話せばいいのか...』
『ブルムとは、とある敵からこの地球を救うために地球自身が作り出した勇者よ。山桜が勇者勇者言っていたでしょう。そういうことよ』
「とある敵...それが人間だって言うのか?」
『そうよ。人間はあまりにも世界を変えすぎた。地球上の生物や環境を大きく変えてしまった。このままでは地球は人間によって滅ぼされてしまう。それを恐れた地球はブルムという勇者を作り出したの。人間たちはブルムが敵だと言うけど、地球から見れば人間こそ最大の敵なのよ』
「人間を襲ったり町を破壊する理由はわかった。でも自然や他の生物まで傷つけるのはなんでだ?地球の意思から外れているのではないか?」
『地球は人間が変えてしまった世界そのものを初期化することにしたのよ。全てを一度まっさらにしてしまってから新しく生命を創る。そっちの方が簡単らしいわ』
「随分と極端なんだな地球様は。ならあんたはどうして味方してくれるんだ?」
『私?凛の絶望があまりにも居心地良すぎてね。人間も捨てたもんじゃないなって思っちゃったんだよ』
「そんなんでいいのかよ」
『いいのよ別に...意外と話すことなかったわね。ほかに話した方がいいことある?』
「…そうだな。だったら復活したブルムの倒し方でも考えてもらおうかな」
志郎がしばらく考えた後言う。
『結構な無理難題を言うわね。まぁ二つくらい思いついてるけど』
「いやすごいなシャドウ。どう倒すんだ?復活するけど」
『まず、どうして復活するのかだけど...七人御先は知ってる?』
「七人御先?なにそれシャドウ」
聞き慣れない言葉に聞き返す凛。
『高知県に伝わる亡霊の集団よ。7人から数が増減することは絶対にないと言われている。その力によって復活することができるの』
「なんで人間の作り出した伝承上の存在の能力を持っているんだ?」
『そんなの今に始まったことじゃないでしょ。山桜の一目連に酒呑童子、桔梗の源義経に大天狗、紫羅欄花の雪女郎、姫百合は輪入道。そもそもブルムだって昔日本にいた勇者をモチーフにとして作られたのよ』
「勇者?」
『ごめんなさい。いくら凛でもその話はあまりしたくないわ。そもそもそんなに知らないし』
「話したくないならいいよシャドウ」
『話を戻すわね。復活したブルムたちは彼岸花を取り込んでいる。けれど、分身しているわけではない。彼らだけで七人御先を発動してると見ていいわ。だから、全員を同時に殺してしまえば復活することはない』
「結構脳筋だな、現実的じゃない」
2人しかいないのに満開したブルム七体を同時に倒すのは物理的に無理だろう。
『そうね、でももう一つ方法があるって言ったでしょう』
「まさかそっちも脳筋じゃないよな」
『ブルムたちは彼岸花を取り込んでるって言ったわよね。そもそも復活自体が異例のこと。おそらく取り込んだ彼岸花を核にして復活したのでしょうけど、そこが弱点』
「…つまり凪を引っ張り出したように彼岸花を引っ張り出せば弱体化できる...ってこと?」
『弱体化どころかそのまま消滅する可能性もあるわね』
「でもそれは憶測だろう?そもそも取り出せるかどうかすらわからない」
『一つ目の方法は確実だけど現実的じゃない。二つ目の方法は各個撃破できるけど本当にできるかはわからない。あなたたちはどっちを選ぶの?』
凛と志郎はしばらく考えたのち答えた。
「どっちともやるか」
「やっぱそうだよね父さん」
『…どっちともってなによ』
「だってブルムたちどうせばらけるでしょ。復活した瞬間には三体逃げ出してたし。だからまずは、バラバラに現れたブルムを父さんと一つの場所に追い詰める」
「そして集めたブルムを彼岸花の満開で同時に倒す。できなけりゃ彼岸花を引き摺り出して各個撃破する。それでいいよな」
『まぁいいけど。私が満開する前提なのね』
「ダメだった?シャドウ」
『いいって言ったでしょう。あと、復活するとはいえ何度も殺せばブルムもキツいと思うわよ』
「そうなのか?」
『ああでも、志郎のその花じゃ痛みを与えられないけどね』
「そういえばブルムの痛覚ってどうなってるの?」
凛がシャドウに聞く。凛がブルムになりかけていた時、ブルムの攻撃は痛かったが、日常の中で受ける痛みは一切なかった。物に足の小指を何回もぶつけたことがあったが全く痛みを感じなかった。何気に便利だなとかその時だけは考えていた。
『絶望の花であるブルム、同じ絶望の花である私の力で傷つければ痛みを感じる。まぁ簡単に言えば同種の力なら痛いってだけよ。倒すだけなら希望の花でもできるけどね』
「どうしてそんなこと知ってるのシャドウ?」
『…いつどこで覚えたんだっけ?忘れてしまったわ』
「第三の方法を思いついた」
『第三の方法?ぜひ聞かせてもらいましょうか志郎』
「復活したくなくなるまで殺し尽くす」
『そっちの方が脳筋じゃない』
「ごめんちょっと情報量多すぎて記録が間に合わないシャドウさんもう一回同じ話全部お願い」
前園がキーボードをひたすら打ち込みながら言った。
『…さっきの話全部?面倒だからあまりしたくないのだけれど』
「まぁまぁそんなこと言わずに話してやれよシャドウ」
『わかったわ一字一句逃さないようにしなさい』
「ほんと凛の言うことだけは聞くんだな」
シャドウが早口で同じ話を前園にするのを見ながら志郎は言った。
「いやぁいい相棒を持ったよ」
「絶望の花が相棒ねぇ。俺とは真反対だな」
レインボーローズを持ちながら言う志郎。
「ところで父さんその花なんなの?」
「これか?彼岸花対策で作られた造花だ。彼岸花を倒すためだけに作られた人工の希望の花だよ」
「じゃああいつらにも効くよね。彼岸花取り込んでるんだし」
「多分な。常時満開状態だから負荷がエグいけど」
「そうだよ父さん地上まで引っ張り出すの大変だったんだよせめて外出てから解除してくれればよかったのに」
「変身してるだけで負荷が溜まるんだ仕方ないだろ俺を殺す気か」
『ほんとその造花忌々しいわね。人が作った希望はなんか気持ち悪い』
「あ、もう終わったんだ早かったね」
「た...大変だった」
「部長もお疲れ様です」
「造花の調子もいいし彼岸花も問題なさそうだ。あとはブルムが現れるのを待つだけだな」
『っ⁉︎ブルム現れたわよ』
「そんなこと言ってたら出たみたいだね」
前園が2人にスマホの画面を見せる。
「見事に二手に分かれてるな。どっちがどっちに行く?」
『私はまだ1分咲きよ。満開までには時間がかかるから志郎が六体いる方に行きなさい』
「へいへい。了解」
「じゃあ父さんのところまで残りの一体を移動させるから。それまでにやられるんじゃないよ父さん」
「俺がやられるとでも?」
「いや全然。俺たちは最強コンビだからな。負ける気しねぇ」
2人はドライバーを取り付け、それぞれ希望と絶望の花を持ちながら部屋を出て行った。
「…私にできるのはここまで...か。頑張ってくれよ凛、志郎」
絶望のブルムvs希望と絶望のライダー
どっちの正義が勝つのかは、神のみぞ知る
count the flowers
現在、凛達の使える花は
・彼岸花(1分咲き)
・レインボーローズ
3534字。
明かされたブルムの正体。
この世界はゆゆゆ本編の遥か先の未来という設定でした。