地球の希望と人類の希望の戦いが終わり、しばらく経った頃。志郎も目を覚まし、凛と一緒に前園の部屋に呼び出された。
「凛くん志郎さん、此度の戦い本当にご苦労様。これでブルムとの戦いも終わりだ」
「俺は最後は何もできませんでした。感謝は凛だけでいいですよ」
「いやいや君も倒れるまで頑張ったんだからいいんだよ。素直に感謝を受け入れろ」
「やっと戦いが終わったんですね」
凛が感慨深そうに言う。
「そうだな。でも、ここでこの戦いを終わらせるわけにもいかない。なぜブルムたちが現れたのかがわかった以上、なんとかしなければならない」
「そうですね。といっても人間の環境破壊が原因となると、すぐに解決なんてことはできないでしょうけど」
それもそうだった。今から急に環境破壊を止めることも、昔の環境に戻すことも難しいのだ。これならただ倒すだけでよかったブルムとの戦いのほうが楽である。
「まずはブルムたちに破壊された町の復興だな。いい機会だからもっと自然を増やしてみようか。多くの建物が壊されたから土地だけは無駄にあるんだ」
「…それでいいのか?」
「どういう意味だ凛?」
凛がボソッとつぶやいたことに志郎が問いかける。
「俺たち人間が手を加えてしまったら、それは自然とは言えないんじゃないか?自然を増やすのだとしたら、俺たちは何も手を加えずにただなるがままにしとかないとダメなんじゃないかな」
「…なるほど。ブルムたちがやってきたのはそれが理由でもあるのかな」
「人間が手を加えたことで本来の環境が崩れたってことか。でも、それはもう今更どうにもできないだろう」
「でも父さん。彼岸花は全ての生物やそれによって生まれたもの全てを破壊し尽くした。それによって破壊された場所なら本来の自然が生まれてくるんじゃないか?そしてそれによって生まれた自然を参考にしていけば、少しずつ環境をもとに戻していける。できそうじゃない?」
「なるほどな。それならできなくもないだろう。町の復興はほとんどしない。この町を自然のモデルケースとして保存する。やってみるとしよう」
どれだけの時間がかかるかはわからないけれど、まず一方踏み出さなければ始まらないのだ。
「そういえばなんで青い薔薇の武器は槍じゃなくて短剣だったんだろう」
「そんなの知るわけないだろう。でも、なんで青い薔薇が希望で満開したのか、どうして生まれることができたのかはなんとなく予想がつく」
「ん?どうしてどうして?」
「青い薔薇はかつて何百年以上も前に人の手によって作られていたらしい。その技術は一度失われてしまった。だからブルムとしては青以外の普通に自然界にある色の薔薇で現れた。前の戦いまではな」
志郎が青い薔薇の種に触れながら話す。
「だけど20年ほど前、青い薔薇を作ることに前の戦いが終わってから成功したんだ。この会社でな。それは自然界を破壊するものだったのかもしれない。けれど、それは人類が長い時間をかけて生み出そうとしてきた人類の希望だったんだ。だから、ブルムもその力を取り込もうとしたんだと思う」
「この花にはそんな歴史と希望が込められていたんだな」
「そうだ。そしてこの花は凛にしか使えない。人類の希望として使い潰される可能性がある。それでも凛はいいのか?」
今現在、希望の種は量産できているクローバーと青い薔薇しかない。希望の種はさまざまなことに運用できるため、今後も使われることになったのだ。そして凛は青い薔薇を使いこなせるただ1人の存在として重宝されることになった。
「いいよ別に。彼岸花を倒したときからすでに覚悟はできている」
「そうか、ならよかった」
志郎としては凛が使い潰される可能性があるのは少し複雑であったが、凛自身が決めたことだ。ちゃんと応援するべきだろう。
「古い文献を見て知ったことなんだが、人間は前にも何かやらかして神に侵攻されたことがあったらしい。でも、そこで勇者と呼ばれる存在が300年以上もの時間をかけて打ち倒し、世界を救ったそうだ」
前園が資料を手にしながら言う。
「そして、そこから世界を復興するのにも何百年と長い時間がかかったらしい。けれど、たとえ自分の世代で終わらせることが出来なくとも、何十年何百年かかるとわかっていてもバトンを繋ぐように世界を復興させ続けたからこそ今の世界があるのだ」
「バトンを繋ぐ...か」
目を閉じ、決意しながら凛が言った。
「俺たちもそのバトンを繋ぐとしよう。二度とブルムが現れなくてもいいように。二度と地球に敵だと思われないように。人類が生きていく限り受け継がれていくバトンをここからまた渡すんだ」
そしてそこから長い時間が経ち...
「よし、今日もお仕事頑張りますか!」
身支度を整えて、家を出ようとする凛。
「ちょっと待て凛!ドライバー忘れてるぞ何しに行くつもりだ」
「花も忘れてるわよーしっかりしなさい凛!」
「ごめんって父さん母さん。それじゃあ行ってきます!」
「いってらっしゃい凛」
「頑張れよ」
凛は志郎と未冬からドライバーと青い薔薇の咲いている試験管を受け取って家を出ていった。
「さて、俺は書類でもまとめに会社に行ってくるよ」
「志郎さんもいってらっしゃい」
「行ってきます」
志郎も会社に行くために家を出る。
「…部屋でも掃除しましょ!」
未冬は掃除を始める。まずは凛の部屋からだ。
「あ、お水もあげときましょ」
一旦掃除をやめ、小さなジョウロに水を入れて凛の部屋に戻ってくる。
「うんうん今日も綺麗に咲いてるね」
水をあげながら1人つぶやく。
凛の部屋には、綺麗な彼岸花が咲いていた。
平和を日常とは思ってはいけない。
この日常をいつまでも続けるための戦いは永遠に続いていくのだ。
仮面ライダープラント fin
2306字。
これで本編は終わりです。
あとは設定集みたいなのを出して完結とします。
次回作などについては活動報告をご覧ください。