凛と志郎の2人は志郎の勤める会社、プラントコーポレーションにやってきた。
「初めて父さんの会社来たけどでっかいなぁ。なんか入るのに気が引けるな」
「やましいことなんて何もないのになんでびくついてやがる」
「器物破損は十分やましいことだと思うのは俺だけか?」
そんなことを話しながらエントランスに入る。
「とりあえず適当に座って待ってろ。受付してくるから」
言われたとおりに適当に座って待つ
手持ち無沙汰なのであたりを見渡していると、いろんな人からの視線を感じた。
「あれがこの地域で戦っている仮面ライダーなのかぁ」「結構ひょろっとしてるけど大丈夫なのか?」「先代の息子らしいし有望だな」
「なんかボソボソと聞こえて来るな。なんで俺がライダーだってわかったんだろう?もしかして強そうなオーラでちゃってる?」
「何馬鹿なこと言ってるんだ。ドライバーつけっぱなしだぞ馬鹿め」
「うっわ恥ずかし」
急いでドライバーを取り外し鞄にしまう。
「受付終わったからついてこい。ひとまずは治療だ」
「軽い怪我でよかったな」
「結構ばっさりいったように感じたけど鎧の防御力すごいな。ちょっと腫れてるだけだったし」
「うまく中身に影響がないように受け流してくれるからな。ある程度の攻撃なら大きな怪我はしない」
「ある程度ってのが怖いなぁ油断ダメ絶対。あんまりお世話にはなりたくない」
ライダー専用の治療室から出る2人。
「それでこの後はどこに行くんだ?なんか渡すものがあるって話だったけど」
「仮面ライダー開発部の部長、俺の上司に会ってもらう」
「そんな部署あるんだ」
「だいたいの人は別の部署と兼任してるから普段はあんまり動いてない部署だけどな」
話しながらエレベーターに乗り込み、扉が閉まる。
しかし志郎はボタンを押そうとしない。
「…あれ、何階なの?ボタン押さないのか?」
「地下に部署があるんだ」
「地下って駐車場しかないじゃないか」
「エレベーターに乗って20秒ボタンを押さない。それで行ける」
「秘密基地感あっていいけど面倒だな。他の人来たらできないじゃん」
「やっぱりそう思うか、やはり俺の息子波長が合うな」
「思うなら変えろよ。ああやっと動き出した」
話しているうちに地下へと動き出すエレベーター。これまた20秒ほど経つとエレベーターが止まりドアが開く。
「20っていう数字に囚われすぎじゃないかエレベーターの設計した人」
「わざわざ時間数えてたのか。俺とは違って馬鹿だなやはり」
「さっきと言ってること変わったぞおい」
テレビでよく見るような管制室っぽい部屋を横目に見ながら通り過ぎ、ある扉の前で立ち止まる志郎と慌てて立ち止まる凛。志郎は扉にノックを4回して返事を待つ。
「ノックって結局何回が正解なんだろうな」
「静かにしてろ」
「どうぞ」
中から促され入る2人。
中には眼鏡をかけている若めの女性が座っていた。
(なんかできる女みたいな感じの人だな。眼鏡のイメージに引っ張られてるだけかな)
「私の名前は前園奈々美だ。よろしく」
「こちらこそよろしくお願いします」
「君が先代仮面ライダー花道志郎の息子、花道凛だね」
「は、はい。そうです」
「そんなにかしこまらなくていい。現場で戦ってくれている君の方が私よりも立場は上であるべきだ」
「は、はぁ...」
(結構有能っぽいな。俺の上司とは違うなぁ)
「まずはこいつを渡しておこう」
「これは...スマホですか?」
それは一見普通のスマホとなんら変わりないただのスマホだった。
「特に何の変哲もないスマホですね」
「マップ機能と電話やメール機能くらいしかついていないがな。あと持っている種の種類と今何割開花しているのかがわかるくらいだ」
「どうしてこんなものくれるんです?」
「ブルムたちが現れたときにすぐに駆けつけられるようにだな。ここに来るまでに管制室のような部屋があっただろう。あそこからそのデバイスにやつらの位置情報が送られてくる」
(そのための管制室だったのか)
「ところで君はバイクの免許を持っているか?持っているなら専用のバイクがあるから使うといい。バイクがあると小回りが効いてすぐに現場に行けるからな」
「一応持ってますけど...そこまでしてもらっちゃっていいんですか?」
「ああ、構わない。街の被害を食い止める方が金よりも重要だ」
「ああでも、父のバイクがあるので大丈夫です」
「志郎さんのバイクは後々必要になるだろうし、それとは別に専用のものがあった方がなにかと便利だろう。遠慮しないで貰ってくれ」
「そこまで言うなら遠慮なくいただきますけど...」
(ここまでしてもらえると逆にちょっと怖くなるな)
内心訝しみながらバイクのキーを受け取る。
(そういえばこれで名実ともにちゃんとした"ライダー"だな)
「ああそうそう、君の戦っている姿を見させてもらったよ。結構危なっかしい戦い方するね君。とても志郎さんの息子とは思えない」
「俺も見ていてヒヤヒヤする。俺がサポートしてやらないとだめか」
「なんか周りからの評価がひどい。てか父さんなんか言った?気のせい?」
「何にも言ってないぞ」
「まぁ基本的にどんなふうに戦ってもらっても構わない。志郎さんの搦手を使うような戦い方もあるが、正直敵を倒せれば過程は関係ないしな。ただ、ドライバーは丁寧に扱ってくれよ。修理には時間がかかるしな」
「気をつけます。そういえばどうやって戦ってる姿なんて見たんですか?」
「この町には至る所に監視カメラがあってね。ドローンも飛んでる」
「監視されてるの⁉︎ちょっと怖いな」
「迅速に敵を発見するためだ。いつどこからやってくるかわからないからな」
(やっぱりちょっとこの会社怖いな。しょうがないとはいえやってることが正義側とは思えねぇ。悪用したら監視社会不可避だろ。ってあれ、ということは...)
「ガードレール壊したことも見られてる⁉︎」
「ああ、そんなことは気にしない方がいい。気にしてたら疲れるだけだぞ」
「そうですか。出来るだけ気にしないようにします」
「俺が言ったときは聞かなかったくせに」
「話は以上だ。何か聞きたいことでもあるか?何もないなら帰ってもいいぞ。帰って休んで次の戦いに備えるといい」
「特にはありませんね。お言葉に甘えて今日は帰って休みます」
「そうするといい。っとと言い忘れてた。志郎さん、例のものはもうじき最終調整が終わる。終わったら連絡するから取りに来い」
「わかりました。では失礼します」
部屋から出る2人。そのままエレベーターに向かって歩き出す。
「なんの話してたんだ?」
「いずれわかるさ」
「いや今話してくれよ気になるじゃん」
そんな言葉を無視しながらエレベーターのボタンを押す志郎。
押してから1分が経ち、
2分が経ち、
3分が経っても扉は開かない。
「…遅くない?」
「そりゃあエレベーターに乗ってる人がいない時にしかここに着かないしな。ここのエレベーターあまり使う人少ないのにこんなに来るの遅いなんて珍しいな」
「やっぱりこれ欠陥構造すぎる!なんか専用の入り口作ってカードキー使うだけでいいでしょめんどくさい!」
「この入り口提案して押し通したの部長だぞ」
「嘘でしょ...」
どんなに優れている人でも、1つくらいは欠点があるものなんだなぁと凛は思いながら、やっときたエレベーターに乗り込んだ。
希望の花は数少ない。
科学的に管理される花は咲き誇ることができるのだろうか。
count the seeds
現在、凛の使える希望の種は
・三つ葉のクローバー
・山桜(4分咲き)
・???
3030字。
やっと文字数増えてきた。
戦闘描写ないけど