姫百合のブルムとの戦いのあと、しばらくこの町にブルムが現れることはなかった。
「もう1週間も経ったけど全然出てこないな。体鈍っちゃうよ」
「平和なのはいいことでしょ」
「束の間の平和だけどな」
今は一家団欒のとき、朝食をとりながら3人は話をしていた。
「というか凛、そういうことをあまり言うもんじゃない。それ言うと結構の確率でやつらが現れる」
「なにこれやつらを召喚する呪文かなんかなの?流石にそんなわけ『ピポパポパピピポピポピーピーピーピーヒョロロロピーブピブーピーガーーーーーーーーーー』うるさっ!ヤッベ変え忘れてた!」
凛は急いで場所を確認し、ドライバーを鞄に入れ家を出る。
「行ってきます!」
「いってらっしゃい」
一家団欒ができるような平和な日常。それを守るために、凛は非日常の世界へと踏み出していく。
「確か地図だとこのあたりだったよな...着く前に変身しちゃうか」
バイクから降り、ドライバーを鞄から取り出し腰につける。
「最初は様子見で...こいつでいっか!」
三つ葉のクローバーの試験管を装填しレバーを操作する。
「変身」
いつものように緑色の植物のような装甲が装着される。そして強化された走力で一気に道を駆け抜けブルムを探す。
「いた!って嘘だろ2体もいやがる」
凛の視界に雑草兵はいない。しかしそこには2体のブルムがいた。
1体目は睡蓮の花の模様に彩られた、槍を持った5分咲きのブルム。
2体目は1体目より少し小さい、牡丹の花の模様に彩られた、2つの巨大な斧を持った5分咲きのブルムだった。
「5分咲きだし武器も強そうだなぁ。桔梗に替えるか」
ブルムたちがこちらに気づき迫ってくる。凛は2本の鋏を投げつけ妨害しながらバックステップをして距離を取る。そして桔梗へと取り替え刀を握る。
牡丹のブルムが2本の斧で攻撃してくる。それを凛は刀で受け止める。
「ぐっ!!くっそ重いし痛ぇ!」
2本の斧、受け止めるだけで精一杯だ。ブルムは力をさらに込めて何回も斧を振るってくる。それを刀で受け流したり避けたりしてなんとか凌いでいく。
「隙あり!」
斧が2つとも外れ地面に刺さったとき、凛は錆の完全にとれた5分咲きの刀で攻撃をする。
「あんまり効いてない⁉︎強いし硬いとか反則だろ!」
ブルムは斧を地面から引き抜く。そしてそのまま斧を振るってくるがそれを受け止める。
「くそ!このままじゃまずい!ってうわ!」
そのとき横から痛みが走る。
「睡蓮の槍か!」
そのまま睡蓮のブルムは槍で何回も突きを放ってくる。それをなんとか避けるが今度は牡丹のブルムの斧に当たってしまう。
「近距離の斧に中距離の槍、どっちもヤベェ!遠距離がいないだけマシって言ってるそばから⁉︎」
突如、空から何かが飛んでいるのが見え慌てて避ける。
「なんだこれ、植物の茎?
牡丹と睡蓮のブルムの攻撃を避けながら矢が飛んできた方向を見る。その方向には5階建てのビルがあり、その屋上には白い菊の模様に彩られた、弓を持ったブルムがこちらを狙っていた。
「3人とか反則だろ勝てるわけねぇ!」
弓矢により凛の動きは制限され、斧による攻撃を避けることができない。そのため斧を受け止めるしかないのだが、そうすると槍を避けることができず食らってしまう。
斧の攻撃を喰らうよりも槍の攻撃を喰らう方がダメージが少ない。そう考え斧を受け止め、槍を喰らう。その攻撃で吹き飛ばされた凛に向かって正確に矢が放たれモロに喰らってしまう。
「ちくしょうこいつらちゃんと連携しやがる!こうなったら一か八か!」
吹き飛ばされた勢いで距離を離した凛は桔梗から山桜へと試験管を替える。矢が顔目掛けて飛んでくるが首を傾けて避け、レバーを操作する。刀が消え、代わりに桜色の武装が四肢に取り付けられる。
「徒手空拳の方が小回り効くしな。っとと危ねぇ」
飛んできた無数の矢を避けながらその内の一本を掴み取り白菊のブルムに向かって投げ返す。しかしあっさりと避けられそのまま矢を放ってくる。
他のブルムたちも斧や槍を振るってくる。それを避けながらブルムに蹴りやパンチを当てる。牡丹のブルムはあまり効いていなさそうだが、睡蓮のブルムは大きくのけぞり、胸の花弁をひとつ散らし4分咲きになっていた。
「牡丹よりも睡蓮の方が弱い?いや、牡丹が硬いだけか。じゃあそれならあいつから!」
唯一の光明と見た凛は睡蓮のブルムに狙いをつけて走り出す。しかし矢が大量に飛んできて邪魔をされてしまう。
「あいつ睡蓮を守ってるのか?ちきしょう鬱陶しい!」
何度も睡蓮のブルムを狙うが、そのたびに矢が飛んでくるし牡丹のブルムも斧で妨害をしてくる。
「牡丹の野郎もめんどくせぇ!ってかあいつ6分咲きになってやがる!」
疲れからか、牡丹のブルムの攻撃が強くなっているように感じたが、よく見ると6分咲きへと戦いの中で進化してしまっていた。
「ますます手がつけられなくなってきやがった!何か手はねぇのかよ!」
睡蓮のブルムへの攻撃をやめ、避けることに集中する。幸い、近づかれなければ斧も槍も当たらないし、矢も威力が低く簡単に弾くことができる。
(桔梗の刀じゃパワーが足りない。三つ葉の鋏は論外だろうし山桜はパワーがあるけど3体の連携に勝てない。いやそれは他のものでも同じか)
凛は避けながら思考をする。解決の糸口を探すために。
(あいつらも少しずつ進化してる。こっちの山桜だって今は9分咲きなのに...9分咲き?)
ブルムの花と自分の花を交互に見つめる。
(やつらは花が色づくたびに強くなっている。こっちも新しい武器がついたり性能が上がったりしてる。それならもし10分咲き、満開になったなら...)
「ならまず花をちゃんと咲かせないとなぁ!」
飛んできた矢を避けた勢いのまま牡丹のブルムに近づき勢いよく殴り飛ばす。
(いままでは攻撃を当てたらいつのまにか変わってた。それなら変わるまでやってやる!)
牡丹のブルムは硬く、攻撃を与えてもあまりのけぞらない。そのため、連続で攻撃を叩き込むことができる。
「こうしてっ!何回もっ!やったらっ!いつかっ!なるだろ!」
牡丹のブルムはその猛攻によって反撃をすることすら叶わない。しかし他2体のブルムは普通に攻撃を仕掛けてくる。
「くっそ痛え!でもまだまだ!」
牡丹ほどの威力はないので、槍や矢を喰らいながらも殴るのをやめない。
「いよっしゃあ!10分咲きぃ!!」
何回殴っただろうか。やっと10分咲きとなった。
「これでいけるか...ぐっ!頭が⁉︎」
急に頭にイメージのようなものが流れ込んでくる。
「なるほど...こうすれば...ってうわっ!」
攻撃の手を止めたため斧で斬られてしまった。
「痛い。でもこれから倍返しにしてやりゃあ!」
凛はブルムから少し離れてレバーを掴む。
「満 開!」
レバーを上下すると試験管に液体が充填され山桜の花が光り輝く。そして光は凛の体を包み背中から2本の大きな腕を形成した。
「反撃開始ィ!!」
花は咲き乱れた。
通った道に残るは、枯れ散った花びらのみ。
count the seeds
現在、凛の使える希望の種は
・三つ葉のクローバー
・山桜(10分咲き)
・桔梗(6分咲き)
2897文字。
次回、満開戦闘回です。