「満 開!」
山桜から溢れ出した光が凛の体を包み背中から2本の巨大な腕が形成される。
「反撃開始ィ!!」
飛んできた無数の矢を巨大な腕で受け止める。牡丹と睡蓮のブルムが斧と槍で左右からそれぞれ攻撃を仕掛けてくるが、腕で吹き飛ばす。あれだけ硬かった牡丹のブルムもその一撃で6分咲きから4分咲きとなり、睡蓮のブルムは2分咲きになっていた。
「くそやっぱうっとおしい!」
矢は依然として無数に降ってくる。
「あいつからやってやらぁ!」
凛は巨大な腕を地面に叩きつけその反動で大きく跳び上がる。
「一撃で決めてやる!」
ビルに着地する寸前にレバーを上下させ、必殺技を発動させる。2本の巨大な腕と右手にエネルギーが集まる。
「矢なんて無駄無駄ァ!!」
矢を受け止めながらブルムに向かって駆け出す。
「オラァ!」
巨大な腕で左右からブルムを押しつぶす。ブルムは一気にひしゃげ、潰される。
「トドメの一撃ィ!」
腕に挟み込みこまれ身動きできないブルムを思い切り殴る。
「一撃っつったけどもう一撃ィ!
ライダーパンチ!!」
巨大な腕を大きく振りかぶり殴り飛ばした。ブルムは枯れ果て種を残して消え去った。
「いよっしゃあ次ィ!」
種を拾ってからビルを飛び降り牡丹のブルムに向かってそのまま巨大な腕で殴り押し潰す。地面に巨大なクレーターを作りながらブルムを粉砕し、そのまま塵となって消えた。
「チッ種は落とさねぇか。それじゃあラストォ!」
残りの睡蓮のブルムはすでに2分咲き。勢いよく殴りかかる。しかしひょいと躱される。
「クッソちょこまかと避けやがって!」
2本の巨大な腕を振り回して当てようとするが一向に当たらない。ブルムもこの一撃が当たったらダメだと理解しているのだろう。隙をついて攻撃してくる時もあるが基本的に避けに徹している。
「こうなったら...こうすれば!」
ブルムの周りを2つの腕で囲い込む。直接ブルムを狙ったわけではないので一瞬反応が遅れる。そしてその腕から離脱して直接殴りかかる。
『⁉︎』
心なしかブルムも驚いているようだった。
「オラァ!!」
吹き飛ばされ腕にぶつかりそのまま散っていくブルム。
「クソこいつも落とさないのか。」
ドライバーから試験管を外しながら言う。
「あれっ花が...」
武装が消えていくが普段とは違い枯れていくように消えていく。同様に試験管から生えていた山桜の花も枯れていっていた。
「満開したら枯れちゃうのか...ってあれ?なんか...急に疲れが...」
眠るように倒れる凛。遠くからサイレンの音が近づいてくるのを聞きながら意識を落としていった。
「知らない天井だ...いや見たことあるなここ」
凛は体を起こしながら呟く。
「会社の治療室だ来たことあるだろ」
「あれ父さん、ここ会社?そういえばサイレンの音聞こえた気がするな。救急車にお世話になっちゃった俺?」
「治療はもうほとんど終わっている。部長の所行くぞ」
「あ、もう動いていいんだ」
ベッドから降り、靴を履いて歩き出す。前とは違う道を通り階段を降りる。
「入口変わったんだ。1週間って変わるの早いな」
「お前二、三日寝込んでたんだぞ」
「嘘でしょ...」
「嘘だ」
「ねぇ何だったの今の会話無駄すぎない?」
しばらく降りていくと1階と2階の間の踊り場で止まる。そして壁にある少しの凹みにカードを当てると隠し扉が現れる。
「これ1週間で作ったのすごいな。ってか隠し扉カッコいい」
「さっさと行くぞ」
現れた扉を開け中に入り、さらに階段を降りる。
「これ下りだからいいけど帰りは登らないとけないの嫌だなぁ」
「帰りはエレベーターで行くか」
「あれまだ残ってるんだ...階段でいいや。待つのめんどい」
やっと階段を降り終わった2人は扉を開ける。扉を開けた先は管制室の入り口の前だった。そしてそのまま前園の部屋へと歩き出す。
「あ、通知音変えるの忘れてた。適当に変えとこ」
「歩きスマホはやめとけ」
前園の部屋の扉が見えてきたころ、その扉が開く。
「お、志郎さんに凛くんじゃないか。今から迎えに行こうとしてたところだったんだ。さぁ部屋に入ってくれ」
前園は2人を招き入れ、椅子に座らせる。
「まずは3体のブルムとの戦闘、お疲れ様。体は大丈夫かい?」
「はい、治療のおかげで今はほとんど痛くないです」
「ならよかった。満開も使ったようだしな」
「満開を使うと何かあるんですか?」
気になった凛は前園に質問する。
「満開は単純に負荷が大きいんだ。変身している間は平気だが、変身解除すると花は枯れるし変身中の負荷が一気に掛かる。君はまた結構な無茶をしながら戦ってたしな。その分今回の負荷は相当なはずだ」
満開をすると大きな負荷がかかるらしい。それこそ倒れてしまうくらいだ。
「満開って危険なんですか?」
「いや、今は前よりも結構安全になっている」
前園の代わりに志郎が答える。
「俺のときはもっと反動があった。その分パワーも凄まじかったけどな。2世代目ドライバーは安全重視で設計されている」
「結構きつかったのにそれよりもひどいのか。よく大丈夫だったな」
「最初は死ぬかと思ったがな。何回もやれば嫌でも慣れてくる」
「ともかく、満開はハイリスクハイリターンの切り札だ。使い所に気をつけなければ倒せる敵も倒せなくなる」
前園が話を戻す。たしかに満開のパワーは、形勢逆転の一手となった。しかし、使えば花が枯れ使える手札も1つ消えるのだ。
「そういえばブルムが10分咲き、満開をしたらどうなるんです?」
「満開でしか手が付けられなくなる」
志郎が答える。
「やつらはこぞって満開をしようとする。それが俺たちに対抗するためなのか、何か他に目的があるのかは知らないが、満開をする前に倒すか、少しでも花を散らすのが得策だ」
「そうだ。やつらが満開をするとその危険度が一気に増す。1つ花が色づくだけでも強くなるのは君も感じただろう。1つ散ればその分弱くなるのも感じているはずだ」
たしかに牡丹のブルムは6分咲きになった途端に斧の威力が増したし、桔梗のブルムが1分咲きになった時は明らかに速度が落ちていた。
「しかも満開したらあいつら喋るぞ」
「嘘だろ喋るの⁉︎さっきみたいに嘘つくのはやめてくれよ父さん!」
「いや本当だぞ。口はないが勝手に頭の中に語りかけてくるような感じらしい。それを参考にしたシステムで君も戦い方を覚えたはずだ」
前園の言葉に驚く凛。
「とにかく、もう少し自分の体に気を遣いながら戦うといい。君の花への適正は志郎さん超えだ。君が倒れてしまうと困る。今日はゆっくり休むといい」
(適正?なんだそれ)
「では、失礼しました」
志郎が部屋を出ようとするので凛も慌ててついていく。
「…行ったか。頑張ってくれるのは嬉しいが、やっぱり危なっかしいな。まぁそれも次の戦いからは大丈夫になるだろう。頑張ってくれよ」
前園は誰もいない部屋でつぶやいた。
「よし帰るか」
「つ、疲れた...」
長い階段を登って凛はすでに体力の限界であった。
「エレベーターに変えて欲しい」
「だったら前のに乗ればよかったじゃないか」
「後悔してる」
今度はエレベーターに乗り地下駐車場へと向かう。
「やっと帰れる。俺のバイクは...あった!ってキーどこいった?*
「ここだよ」
志郎が懐からキーを取り出す。
「父さんが持っててくれたのか。ありがとう。じゃあ返しt「嫌だね」...えっ?」
志郎はキーを返そうとしない。
「ちょっと!返してよ!」
「嫌だと言ったろ!今度はこっちが置いてく番だね!」
そのまま志郎はバイクに乗り走り出してしまう。
「因果応報...もう歩きたくないよ...」
仕方なく、凛はとぼとぼと家へと歩いて行った。
家にへとへとになりながら帰ると、志郎が未冬に怒られているところだった。
「子供みたいなことして!大人気ない!」
「いや、でも「いや、もでも、もないでしょう!」っごめんなさい」
「言う相手が違う!」
「凛、怪我人だったのに歩かせてごめん」
自分で蒔いた種だったが少しスッキリした。
花はいつか散る。
しかし散らせるタイミングは自分で決められる。
count the seeds
現在、凛の使える希望の種は
・三つ葉のクローバー
・桔梗(6分咲き)
・???
3290字。
戦闘が早く終わってしまった。
満開強くしすぎたか。