「行ってきます!」
凛は急いで家を出て行く。
「いってらっしゃい」
未冬が見送る。
「凛も大変ね。昨日戦ったのに今日もだなんて」
「俺の時はほぼ毎日だったろ」
「懐かしいわね。凛が産まれるってときにも戦いに出ていたし」
「仕方なかったとはいえごめん。っとと通知きた」
スマホを取り出してきたメールを確認する。
「もう一度謝らないとな。ごめん、行ってくる」
「まぁそうなると思ってたわ。あなたもいってらっしゃい」
志郎は家を出て会社へ向かった。
「ごめんドライバー忘れた。ってあれ?父さんは?」
「何忘れ物してるの!早く持って行きなさい」
「う、うん。行ってくる」
早く行かなければ被害が出る。バイクに飛び乗り急いで走り出した。
「うわ道結構ボコボコになってる。ブルムがやったのか?ここで変身しとくか」
ドライバーを腰につける。
「とりあえず様子見で三つ葉にしとくか。開花し過ぎても困る」
スロットに三つ葉のクローバーの試験管を装填しレバーを操作する。
「変身!」
変身した凛はぼこぼこになった道を駆け抜ける。
「見つけた!」
ブルムが交差点の中心に立っているのを見つける。
「8分咲き⁉︎やべぇぞあいつ!」
そのブルムは金糸梅の8分咲きで植物の蔓のようなものでできた鞭を持っていた。
「満開させるわけにはいかねぇ!」
2本の鋏を取り出し投げつける。しかし鞭で簡単に弾かれる。そして鞭で攻撃してこようと近づいてくる。
「近づかれたらまずいか。だったらこいつだ!」
凛は菊の種が入った試験管をスロットに装填しレバーを動かす。その瞬間、白い菊の花が咲き誇り、その手には弓が握られていた。
「弓でちくちくと削ってやるぜ!」
距離を離しつつ弓を引き絞り矢を放つ。
「ってどこいくねーん!」
矢はブルムをしっかりと狙ったにもかかわらず、あらぬ方向へと飛んでいく。弓の使い方や狙い方は頭に入っている。しかし何回矢を放っても当たらない。
「1分咲きだからか⁉︎全然当たんねぇ!」
山桜は武具の数、桔梗は刀の状態が少しずつ変化していった。ならば白菊は弓の性能が変化するのだろう。しかし攻撃が当たらなければ開花はしない。
「ぐっ!!」
矢は一発も当てられず、ブルムの接近を許す。そして鞭で攻撃されてしまった。
「牡丹の斧よりかは痛くねぇけどこいつも十分痛ぇ!」
鞭はしなって不規則な動きをするためとても避けづらい。そのため何回も鞭を喰らってしまう。
「桔梗に変えたいけどそんな暇がねぇ!」
桔梗の刀なら、鞭を切り裂き攻撃を出来るかもしれない。なんとか隙をついて距離を取ることに成功した凛は桔梗の試験管を取り出す。
「9分咲きになってやがる!ってやべ!」
鞭がこちらに向かってくる。
(これ喰らったらまずい!)
しかし避けることはできそうにない。
(ここまで...なのか)
そう覚悟した時、後ろから1本の鋏が飛んできてしなる鞭を切り裂いた。
「ハサ...ミ?」
後ろを振り向く。緑色の鎧に包まれた仮面ライダーがこちらに向かっていた。姿にはほとんど違いはなく、ドライバーのカラーリングが少し違うくらいだ。
「敵に背を向けてるんじゃねぇ凛!」
もう1本の鋏を投げ、凛に近づいていたブルムに当てる。
「へ?父さんなんで変身して...え?」
「だから背を向けてるんじゃねぇって!戦いに集中しろ!」
「お、おう。後で説明してもらうぞ!」
桔梗の試験管へと交換し刀を持つ。
「ちょっと白菊借りるぞ」
白菊の試験管を凛から掠め取りスロットに入れる志郎。レバーを操作して弓を手に取る。
「その弓使いモンに何ねぇぞ!そのまま三つ葉の方がいいんじゃ」
刀で迫り来る鞭を切り落としながら言う。鞭は切られたそばから再生して襲いかかってくる。
「まぁ見てろって」
弓を引き絞る。
「右に避けろ!」
「わかった!」
右に転がるように避ける凛。先ほどまで立っていたところに矢が通っていってブルムに命中した。
「あの弓で当てやがった!どうやったんだ?」
「経験と勘だ」
続け様に弓を連続で射る。そのどれもがブルムに命中していく。ブルムは8分咲きになり、白菊は2分咲きになっていた。このままなら行ける。そう思った時、2人のスマホに通知が来た。
「別の場所にもう1体現れただと⁉︎」
「凛、ここは俺に任せて行ってこい」
「父さん1人でいけるのか?」
「大丈夫だ。問題ない」
「…わかった。行ってくる」
バイクの下へと走っていき、そのままもう1体のブルムの下へ向かった。
「ここがもう一体の場所か。さっさと倒して戻るぞ!」
ブルムを探していると足元に矢が飛んでくる。
「また遠距離武器持ちか」
矢の飛んでくる方向を見ると、そこにはボウガンを持った3分咲きの紫羅欄花のブルムがこちらを狙っていた。
「こいつボウガンなのに連射しやがる!どうなってるんだ⁉︎」
刀で矢を切り落としながら近づいていく。しかしマシンガンかのように連射してくる矢によって次第に進むことができなくなってくる。
「こうなったら!」
矢を切り落とすのをやめ、一気にブルムに向かって駆け抜ける。矢がいくつか当たるが、気にせず突っ込み一度斬りつけた。斬りつけられたブルムは転がりながら距離を取り再度ボウガンで攻撃してくる。
「7分咲きィ!強化キタァ!」
放たれた矢全てを、7分咲きになったことにより加速した速度で避ける。その体には侍を思わせるような装束が新しく装着されていた。
「なるほどなるほど。そんなこともできるのね。やってみるか!」
地面を走っていた凛は空中に跳ぶ。ブルムは空中では避けられないと考え大量の矢を放ってくる。しかし凛は
「これが八艘飛びか。このままの勢いで!」
レバーを操作し必殺技を発動させる。エネルギーが刀に集まり光り輝く。
「セイハーッ!」
高速でブルムの周りを跳び回っていた凛は急に方向転換してブルムに近づき、横一文字に切り裂いた。
「こいつも種落とさなかったな...さっさと父さんの所に行かないと!」
バイクに飛び乗りそのまま走り出す。別れてから10分も経っていない。けれどもやつは今8分咲きだったはずだ。早く行かなければどうなるかわからない。そう思いながら、急スピードで走らせて父の下へ向かった。
「さて、任してもらったし、頑張るとしますか」
志郎は弓を引き絞り、矢を放つ。まだ、2分咲きで弓自体の精度は悪い。しかし、20年前とはいえ何度も使ったことのある武器だ。どのくらい矢が逸れてしまうのかを頭と体で覚えており、射るたびに弓を細かく動かしてズレを補正していく。
(倒せはしなくても、凛が来るまでに6分咲きくらいまでは減らしておきたいな)
しかし、いくら矢を放ってもブルムに鞭で弾き落とされてしまう。最初の、凛を利用した不意打ちでしか当てられていなかった。
「頭脳を使うとしますか」
志郎は弓を限界まで引き絞り
ブルムが鞭を振り回すと、粉塵が風に流されて消えた。そして志郎の姿も消えてしまっていた。ブルムは辺りを見渡して敵を探す。しかしどこにも志郎の姿はない。
(上だよ。馬鹿め)
志郎はブルムの頭上で弓に高エネルギーの矢を番えていた。粉塵の中で必殺技を発動しながら大きく跳び上がっていたのである。
「もう遅い!」
ブルムが志郎に気付き鞭を振おうとするがその前に矢を放った。放たれた矢はブルムの体を貫き、衝撃波で志郎は吹き飛ばされた。
「やっと戻って来れた!」
バイクに乗りながら、ギリギリ通れる道を通っていく。
「凛!そっちにブルム行った!逃すな!」
「へ?」
前からブルムが飛ぶように走ってくる。
「え、ちょ、ま、とりゃ!」
テンパって刀をブルムに向かってぶん投げる。ブルムは後ろから飛んでくる矢の対処に手一杯で足に刀が刺さる。花が周りに散らばり、4分咲きになる。
追撃をしようとした時、ブルムは刀を引き抜き、鞭を地面に叩きつけ、粉塵が舞う。矢がすぐさま射られるがすでにそこにはいなかった。
「逃げられたか。2分咲きの必殺技じゃ流石に倒せないか」
志郎が変身解除しながら凛に近づく。
「父さん、1人で大丈夫だった?」
凛も変身解除して聞く。
「大丈夫、無傷だ。」
「すご」
流石は先代仮面ライダーといったところか。
「あいつ逃げてったけどどこ行ったんだ?」
「どっか暗くてジメジメしたところだな。普通の植物の逆だ」
「へー」
「まぁいずれ見つかるだろ」
この町の監視網を思い出しながら言う。
「とりあえず、これからお前と一緒に戦うからよろしくな」
「おう!父さんと一緒なら負ける気しねぇぜ」
どこか、町の、日の当たらないジメジメしたところで、金糸梅のブルムは隠れていた。
(あとひとつ、あとひとつでまんかいできたのに!)
ブルムは満開しなければ話すことはない。しかし思考能力がないわけではない。実際、志郎のしていたのを真似して粉塵を起こし、見事逃げ果せることができた。
(どうにかして、まんかいしなければ!)
ブルムは恨みを募らせていった。
2人の仮面ライダーが揃った。
その連携により、花は散る。
count the seeds
現在、凛達の使える希望の種は
・三つ葉のクローバー
・桔梗(8分咲き)
・白菊(3分咲き)
3966字。
志郎さん強くしすぎたか?
大体のプロットはあるけど崩れないか心配。