メカゴジラシティ召喚   作:アメコミ限界オタク

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明日も12時更新です。



第二話 この異世界にゴジラはいない

 

 

『緊急警報。非常事態発生、非常事態発生』

 

メカゴジラシティが急にアラートを鳴らし、大音量で警告を始める。

 

一体、なにが起こってるのか。

 

それを知るために俺はホバーバイクに乗り、シティの外へ飛び出す。

 

大空から眼下に広がる景色。

それはここ1年近くですっかり見慣れてた鬱蒼とした暗い樹海……ではなく、穏やかで温かい日光を浴びる平原だった。ホバーバイクで飛んでいると、穏やかな風が頬を撫でる感触が楽しい夢のように気持ちいい。

 

「なんだこれ?何が起こってんだ?」

 

俺は自分の目に映るこの光景が信じられず、しかし、五感はこの美しい景色を現実と認識していた。

 

破壊された街でもなく、ゴジラの影響を受けた森林でもない。自然本来の、ありのままの美しさがそこに広がっている。

 

大気組成、地質、水質、植物、動物、そして星座、あらゆる環境変化を見逃さずに計測する。

 

そして調査を始めてから数日、結論が出た。

結論として、俺はメカゴジラシティと共に地球とは違う惑星、もしくは異世界に来てしまったと判明した。

 

どういうことなのかまるで意味が分からないが、とにかくここは地球とは違う惑星ということだ。

ゴジラが残した汚染や小型怪獣がいないのはいいことだが、なによりも問題があるのは……

 

「ゴジラいねえじゃねえかぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

そう、この世界に転移したのは俺とメカゴジラシティのみであり、この世界にゴジラはいない。

 

「くそぉ……あんまりだぁ……ちくしょうぅぅ」

 

ようやくゴジラへ復讐ができるはずだった。その矢先にこれだ。もはや表現する言葉が見当たらないレベルの失望と喪失感に打ちのめされている。

 

「はぁ……、とにかく元の世界に戻る方法探すか」

 

あくまで最後の手段だが、最悪、この世界全てをナノメタルに喰わせる必要があるならそれも躊躇わないつもりでいる。

 

とりあえず今のままだとゴジラと戦うためにはナノメタルの総量が足りていないので、メカゴジラシティ周辺の平原の土地を慎重に食わせて量を増やす。

コンピューターによる演算だと1億5000万トンほどナノメタルがあれば確実にゴジラに勝てるという結果が出ているため、それを目標にして美しい自然の破壊を最小限にするよう、注意して節度を考えながらナノメタルを増やしていく。

 

ヴァルチャーの量産とメカゴジラを含む兵器の再設計、ナノメタルの増殖。どれも一度軌道に乗れば全自動で行えてしまうので、暇になってしまった。

 

突然降って湧いた休暇。

 

特にすることも無かった俺は外に出かけ、この世界の風景を楽しむことにした。

 

ホバーバイクで空を飛び、ツーリングを楽しんでいるとやがて小さな町を発見した。

 

この世界にも文明があることに心底びっくりした俺は、遠くからその町を観察して見たがその町は俺の知る人間の町ではなかった。

 

その町の文明レベルは、高く見積もっても精々が中世レベル。町を囲むように作られた壁も木製であり、どちらかというと柵に近い。

 

そしてなにより、住んでいる人間が変だ。

そこに暮らす人々は見た目こそ人間だが、体から動物のような耳や尻尾が生えている。

 

始めはそういうファッションなのかと思ったが、何日もかけて観察を続けると、それらの耳や尻尾が体から直接生えているモノだと分かった。

 

結論として、彼らは人間と動物、両方の特徴を持った未知の知的生命体ということだ。

便宜上の名前として人と獣の亜種だから『亜人』と呼ぼう。

 

 

 

彼ら亜人の町は人口十万人ほどのそこそこ大きな町であり、野菜がそこら中に自然に生えてるため、食料にも畜産にも困らないちょっとよく分からないほど肥えた土地だ。

 

まあそんな土地で暮らしているからなのか、文明レベルこそ低いが、亜人の身体能力は超人的と言って良いほど高い。

特に兵士の体力は凄まじく、人間と言うよりも猛獣と言った方が良いくらい強い。

そして亜人は仲間同士で深い結束で結ばれている。

 

赤ん坊を連れた母親が食事や仮眠を取るとき、近所の人間が赤ん坊の面倒を見ている。まるで自分の子どものように優しくあやしてる。

 

怪我をした老人を心配し、畑仕事で忙しい大人の代わりに遊び盛りの幼児たちがこぞってその老人の世話をしている。微笑ましく尊い光景だ。

 

体が弱く、家から出られない母のために一生懸命働く女の子のために、周囲の大人たちができる限りの親切と手助けをしてる。

 

家族が揃って夕食を食べて団らんするのは、この町ではありふれているが、俺には二度と訪れないことだ。

どれも尊く、そして地球人類が怪獣たちに奪われた尊厳だ。

 

「……いいなぁ」

 

いつの間にか、無意識にそんな事を口にしていた。

思えば、俺の両親は子どもの頃にゴジラとの戦いで死んでいる。そこからはずっと厳しく合理主義で、俺のような保護者すらいない子ども、弱者には冷たい世界で暮らしてた。

その日の食料にも家族の愛にも恵まれなかった俺には、この町がひどく羨ましかった。

 

こういう優しい世界が現実にあるんだなぁ。

 

いつの間にか俺は兵器開発とナノメタルの増殖を行う片手間に、この町を観察するのが日課となっていた。まるでストーカーのようだが、これはあくまで偵察だ。

 

未知の種族に対する警戒であり、観察だ。観察時に撮影した映像はログ化して保存している。

 

兵器開発中の暇な時間、俺はそれを見返していてはひとりでニヤついた笑みを浮かべていた。

 

 

 

 





時系列は日本国召還の本編の1年くらい前。
転移先はクワ・トイネ領の森林地帯。
位置的にはロウリアとクワトイネの国境の間に近いぐらい。

発見した町の正体は最序盤でロウリアに虐殺されたギム。
町の暮らしについてはだいぶ捏造。ほぼ捏造。
少年がおセンチ野郎なのも今後の行動のための都合良い捏造だよ☆

ちな平行世界の日本も転移してきてる設定だけど出番はまだ先。
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