1月20日月曜日。
午後1時00分。ボーダー職員の誰もが時計を見ていた。
非番の隊員などいない。遠方へ遠征や外出、または外せない用事があった職員、隊員を除き、ボーダーの集めうる戦力が三門市に集結していた。
不意討ちなど、迅とセイアがいればほぼ不可能だ。綿密な計画を立てたのであればセイアが、突発的で変動の多い未来なら迅が補足するためだ。
学校も休みだ。今日この日はボーダーの健診を理由にB級A級の隊員たちは本部へ招集され、公欠となっている。
勿論C級は戦力としてカウントすることはしていない。だが、決められた手順の避難指示を予め出されており近界から門が開けば即座に、スムーズに避難誘導が行えるように警察や消防、その他関係機関と綿密な計画を立てていた。
勿論黒トリガーを持っているようなC級隊員は例外だが。
★
13時10分。緊張が高まる。ボーダー提携機関の学校の教師などは侵攻予め知らされているため緊張で授業どころではない。C級隊員もソワソワと体を揺すり、来る大侵攻を警戒していた。
A級B級はほぼ全員が指定の場所につく。襲撃してくるトリオン兵を一匹残らず市街地へ出さないよう、疎にならず、密にならず、柔軟な対応ができる陣形を組んでいた。
北西・西方面。担当するのはS級隊員天羽。彼の黒トリガーならば広域に渡る殲滅も可能と判断されたためだ。
その他の北・北東・東・南東・南・南西はA級B級が隊毎に分散。危険区域の外縁にはB級を置いてトリオン兵の漏れを防ぎ、B級が防いでいる間にボーダー本部に配置されたA級が暴れる作戦だ。
【北】
「とりあえず切ればいんだよな?」
「ん。太刀川さんはそれでいい。必要になったら私が『門』で飛ばす」
「太刀川さんの面倒は任せるぜ」
A級太刀川隊。太刀川慶、砂狼クロコ、出水公平。
「……」
「あの……二宮さんなんでそんな不機嫌なんです?」
「対応するA級が太刀川さんだったのが気に食わないんじゃ?」
B級二宮隊。二宮匡貴、辻新之助、犬飼澄晴。
【北東】
「みなさん! 買ったらペロロジラⅦを見に行きますよ!」
「分かった」
「いや、分かったじゃないんだけど!?」
「阿慈谷隊っていっつもこんな感じなわけ……?」
A級阿慈谷隊、阿慈谷ヒフミ、白洲アズサ、下江コハル。
A級草壁隊、緑川駿。
「それじゃ荒船隊と花岡隊の皆、後ろからの援護よろしくね」
「言われなくとも」
「まっかせてー! じゃんじゃん撃つよ」
B級来馬隊、来馬辰也、村上鋼、別役太一。
B級荒船隊、荒船哲次、穂刈篤、半崎義人。
B級花岡隊、才羽モモイ、才羽ミドリ、花岡ユズ、天童アリス。
【東】
「ねぇ、好きなだけ暴れていいのよね?」
「いいらしいぞ。ただし俺たちのメインの仕事は遊撃だ。戦力が足りないところへ移動することを忘れるな」
「あ、小南先輩。そこらへんのフォローは俺たちがするんで好きに暴れてください」
A級玉狛第一、小南桐絵、木崎レイジ、烏丸京介。
「全員よく聞け! 指揮は俺が取る! やばかったらすぐ頼れ! いいな!」
「はい!」
「お願いします! 弓場隊の皆様!」
B級弓場隊、弓場拓磨、帯島ユカリ、外岡一斗。
B級吉里隊、吉里雄一郎、北添秀高、月見花緒。
B級茶野隊、茶野真、藤沢樹。
【南東】
「さて、準備はいいな?」
「勿論」
「だ、大丈夫です……定期購読は解約してきました……」
「遺品整理的な……?」
A級錠前隊、錠前サオリ、戒野ミサキ、槌永ヒヨリ、秤アツコ。
「気持ちわりぃ……誰か見てやがんのか? 気に入らねぇ……」
「んー? 本部の人じゃないかな?」
「それなら不快にはならないと思うけど……」
B級影浦隊、影浦雅人、北添尋、絵馬ユズル。
B級王子隊、王子一彰、蔵内和紀、樫尾由多嘉。
B級柿崎隊、柿崎国治、照屋文香、巴虎太郎。
【南】
「心してかかれ。敵は黒トリガーを使う可能性もある。油断するな」
「了解! 今日はよろしく頼みます!」
A級風間隊、風間蒼也、菊地原士郎、歌川遼。
A級嵐山隊、嵐山准、木虎藍、時枝充、佐鳥賢
「東さん、指示は任せるわ」
「ああ。君たちは敵に集中してくれ」
「了解!!」
B級東隊、東春秋、奥寺常幸、小荒井登。
B級那須隊、那須玲、熊谷友子、日浦茜。
B級間宮隊、間宮桂三、鯉沼三弥、秦稔。
【南西】
「持ち場についたぜー。こっから撃っときゃいいんだな?」
「任せるわ。頑張りましょうね。三輪君」
「ああ……」
A級冬島隊
A級加古隊
A級三輪隊
「今日の晩ごはん何がええと思う?」
「うっさいわね。知らないわよそんなの」
「のんきでいいよな。おめえら……」
B級生駒隊、生駒達人、水上敏志、隠岐孝二、南沢海。
B級香取隊、香取葉子、三浦雄太、若村麓郎。
B級諏訪隊、諏訪洸太朗、堤大地、笹森日佐人。
そして、完全遊撃部隊。
「近界民同士の戦いでもここまで迎撃体制整えられることはなかなか無いよ」
『ユーマ、油断はするな。敵は神の国アフトクラトル。兵の数は圧倒的にあちらが上だ』
「あの……なんで僕ここに配属されたんですか?」
「俺の副作用がそうするべきだと言っているからさ」
A級所属無し、迅悠一。
B級所属無し、三雲修。
C級所属なし、空閑遊真。
トリオン兵、レプリカ。
[newpage]
13時14分。
バチッ……バチバチバチバチ
門が開く。一つや二つではなく、十や二十でもない。
百を超える門がボーダーの存在する危険区域に出現し始める。
恐ろしいことに、その数は増え続ける。数百数千のトリオン兵が三門市の大地を踏み潰し、空を埋め尽くす。
「これは……」
白洲アズサは、目の前の光景を目に焼き付ける。
それは四年前、己の家族が死んだのと同じ状況だ。
銃を握る手が少しばかり震える……が、ヒフミがその手を優しく包む。
「大丈夫ですよ。アズサちゃん。私たちがついてます。この戦い絶対に勝ちましょう!」
「……うん!」
目の前にトリオン兵が殺到する。一匹二匹では数えきれない敵。
緊張する者もいる。恐れる者もいる。だが彼らはこのような日のために牙を研いできた。
「総員、戦闘開始!!」
忍田が命令を下す。スクリーンに映し出された敵戦力の動向に注視しつつ彼は指揮を取る。
第二次大規模侵攻 開始
バンバン投稿できたらいいなと思います