お仕事が忙しかったこや体調が優れなかった等色々理由はありますが一番の理由は最近の誤字が酷く落ち着く意味で筆を休ませておりました。
これからも不定期になるとは思いますがよろしくお願いします。
前回までのトリオン兵以外と戦ったものの戦局
北東
ヴィザ VS 来間隊、荒船隊、花岡隊
来間
村上
別役
モモイ
ミドリ
東
美食部 VS 吉里隊、弓場隊、茶野隊、太刀川隊
吉里
月見
川添(弟)
南東
エネドラ VS 錠前隊
エネドラ トリオン体崩壊
その他、トリオン兵により
南沢(ラービットによる襲撃)
若村(ラービットによる襲撃)
三浦(ラービットによる襲撃)
★
ボーダー本部、その会議室内。
いくつものモニターに映し出されている戦局を俯瞰していた上層部や専属のオペレーターは情報の洪水に飲まれていた。
夥しい数のトリオン兵、新型、そして人型
特に問題なのはその人型
「東地区遠征艇出現! 太刀川隊向かいます!」
「北東地区、人型
「南西地区、黒角の人型
「南東地区、黒角の人型
不幸中の幸いか、3つの
しかしそれでも、
一つはユズ以外が瞬殺される広範囲斬撃トリガー。
一つは動物型トリオン兵を使役する群体型トリガー。
いずれも容易く甚大な被害を引き起こすことができるものだ。油断はできない。
「残っている敵の
「東地区は円環状の軌道を設定しその上をブレードが走るタイプのようです。もう片方は詳細は不明ですが音を操るトリガーを用いた動物を使役するようです」
そこまで聞いて、忍田はモニターに映るそれぞれの戦局を見る。
南西地区のA級隊員の方は問題はなさそうであった。近づいてきた猫型トリオンを近接
一方で北東地区は不利だ。ユズはヴィザの斬撃を躱すのに精一杯で、逆に相手はまだ余裕がある。
それに何より、他の
「阿慈谷隊を花岡隊員の増援に。南東地区の王子隊と柿崎隊をそれぞれ北東と東のトリオン兵掃討に充てる」
「了解!」
手駒は限られている。既に行われてしまった配置から忍田は最善手を見つけるべく考え続けるのであった。
★
同時刻、アフトクラトル遠征艇内も混乱の最中にあった。
「エネドラが……やられた?」
「え、ちょ、ちょっと、早すぎない?! あいつの
戦場を映すモニターを見ていたアフトクラトルの面々。彼らは
ヴィザとカヨコは狙い通り、敵を引き付け、そして敵の数を減らしていた。問題はなかった。
異常事態が起こったのはエネドラ。頭に発行する浮遊物が敵の兵士についたと思えば次の瞬間にはエネドラは核を撃ち抜かれていた。
「
「断定はできない。見る限り発行する物体がついているのは二人だ。複数人に作用する
エネドラはその能力の性質上多くの敵を葬る事ができたはずだった。しかしその算段は崩されハイレインは一瞬思考し……その刹那、報告が入る。
「あに……隊長よ、トリオン兵が雛鳥を見つけたらしいぞ。どうやら避難を誘導していたらしい」
「なに?」
言われて見てみれば東地区の包囲網を抜けたトリオン兵が民間人とそれを護衛するC級隊員がモニターに映ってり、それを見た瞬間ハイレインは決断する。
「
「「「「「了解」」」」」
対応する5人の戦士が返事を返す。
そして、新たに
★
「敵が消極的すぎるわね……」
南西地区。
加古隊&三輪隊&冬島隊 VS カヨコ(
大通りを進軍する猫の軍勢を
敵は
斜線は通っており
「隊長。斜線は通ってる。いつでも撃てるが……」
「……駄目だ。敵は遠距離攻撃手段を持っている。今は敵の情報を集めるタイミングだ」
「了解」
「そうそう。当てる自信がなきゃ引っ込んでるべきだぜ」
奈良坂の進言を、三輪は拒否し、当真が便乗して茶々を入れる。
確かに現状、戦局は動いておらず、敵が攻勢に出てこないのであればこちらから打って出る必要はある。
しかし、それは
「加古さん、俺と米屋で切り込む。奈良坂と古寺は待機させているが必要だと思ったらあなたから指示を出してくれ」
「わかったわ。私も援護はするけど気をつけてね。こっちの護衛はふたばにやらせるから気にせずにね」
「はい、任せてください」
加古と黒江の返事を受けて、三輪は走り出す。米屋も追従し、猫の軍勢を蹴散らしに行く。
幸い、猫の一匹一匹の強さはA級でも上位の
また、楽器を用いて反撃してくる個体もいるが楽器を演奏しようとするその一動作よりも三輪の鉛玉のほうが早い。猫には当たらずとも楽器の一部に当たれば姿勢は崩れまともな演奏は不可能となる。
(もう来るんだ……早いね)
大通りを隠れること無く進んできたカヨコ。三輪たちどの距離は200メートルほど。だがトリオン体ならばそんな距離は秒で詰まされる。
カヨコは彼らを一瞥しつつ、手に持つトランペットを吹き続ける。その音は三輪や米屋には聞こえていないがそれを指令に猫が動く。
目の前には音の壁が展開され、足が止まったところを遠くにいた猫たちが三輪たちを撃ち抜くべく音の弾を放つ。
だが、そんな弾に当たる彼らではない。日々行われるランク戦の射手の方がよっぽど激しく鋭利な弾を飛ばしてくる。
「弾は私が処理するわ。二人はそのまま行きなさい」
「了解……米屋!」
「あいよ!」
目の前には音の壁。
ならばと三輪は米屋に指示を出し、意図を汲んだ米屋は先進して腰をかがめる。
米屋は手を組み三輪の方へ向き直り……
「せーのっ!」
三輪は米屋の手を踏み台にし、米屋はそのまま三輪を打ち上げる。
「っ!?」
迫る音の壁、グラスホッパーこそなかったものの、三輪は上空に踊りでる。
そして即座に周囲のトリオン猫を鉛玉で行動不能にして落下の勢いのままカヨコに斬りかかる。
落下してくる三輪を狙って猫たちが音の弾丸を飛ばすが、音の壁を掻い潜った米屋が三輪にシールドを貼り、更に猫たちがいた場所を加古が爆撃することで三輪はカヨコと一対一に持ち込む。
「くたばれ!
だが、それでも、カヨコは演奏を止めなかった。
トリオン体活動限界、
トリオン体活動限界、
トリオン体活動限界、
トリオン体活動限界、
「は……?」
「なに……?」
「うそっ」
「これは……」
三輪の攻撃がカヨコのトリオン体に傷をつけることは無かった。
何故ならばそれよりも早く、三輪のトリオン体が崩壊し始めたからだ。
三輪だけではない。米屋、加古、そして見つかっていないはずの奈良坂まで。
残ったボーダー戦力は黒江と古寺、当真、冬島のみ。
「これは……一体……」
頼れる体調が、信頼できる仲間が、一瞬のうちに
『ふたば! 一旦退きなさい!』
「は、はい!」
通信機から聞こえた隊長の声に割れを取り戻し、即座に後退する黒江。
「今のはなんだァ? 奈良坂、オメェ、見つかってないよな?」
「見つかってはいないと思うが……攻撃された以上断定はできないな」
スコープを覗きつつ当真はカヨコの動きを注視しつつ奈良坂へ尋ねる。
今の四人
奈良坂がなにかミスをした可能性はあるが……それよりも
「まったくよぉ、
「ど、どうしましょう……」
『古寺、落ち着け。今治退け。黒江と冬島に合わせて行動しろ。やつの能力が暴けるまでは仕掛けるな』
「了解……」
古寺は渋々頷く。頷くほかない。敵の攻撃方法が不明な現状近くにいることすらリスクだ。
距離か? 違う。それならば加古と同じ場所にいた黒江も崩壊しているはずだ。奈良坂も古寺より遠くにいた。条件不一致。
トリオン量の過多か? 違う。加古は黒江よりも多いし、逆に米屋は黒江よりも少ない。
「あの……違うかもしれないんですけど……」
口を開いたのは、黒江。
『なんでもいい。アイデアがあるなら聞かせてくれ』
「みなさんが
三輪の同意を得て、黒江が話したのは【甲高い音】について。
だが、
『まて、甲高い音とはなんだ。俺たちはそんな音聞いていない』
三輪は告げる。そんな音を他の隊員は聞いていない。
しかし、情報はある程度揃った。
他の隊員が聞いていない音。
黒江という一番年下の隊員が聞いた甲高い音。
『なるほど、高周波の音ね』
看破したのは加古。
『モスキート音とか言うやつか? けどそれでどうやって俺たち四人を倒すってんだ。全員やられたとかならまだ分かるけどよ』
だが米屋は反論する。トリオンという技術が加われば音波でもトリオン体を砕くのは難しくはないだろう、というところまでは分かる。
しかし、トリオン体が破壊されたのが四名の時点で何かしらの絡繰りがあるはずだ。
奈良坂のトリオン体が破壊されたことから敵の射程は最低でもおよそ一キロ。その絡繰りが分からねば今の惨劇の二の舞となるのは間違いない。
『ふむふむ……なるほどな。大体分かったぞ』
そして、この隊には物理に詳しい者がいた。
★
ボーダー本部。そこでは南西でのA級隊員複数人の
現在カヨコは南の包囲網を食い破るべく南進している。移動速度は早くないが、周囲の猫の軍勢と合わせて陣地を形成している状況だ。
「なるほど、了解した。条件に合う隊員は最優先で南西に向かわせよう」
だが、冬島たちから齎された仮説から忍田は条件に合う隊員をピックアップ。
「緑川隊員に、風間隊員、絵馬隊員か。各オペレーターに連絡を取って南へ招集しろ。揃い次第笛の
緑川隊員の位置が北東であり、一番時間が掛かるが……条件に合う隊員は多くない。集まるまで待つべきだ、と忍田は判断。城戸もそれを指示し作戦は決まる。
「そして、条件に合わない南西地区の防衛隊員はトリオン兵の対処に注力せよ。
対処は……おおよそだが見当がついた。ならばそれまで、市街地に大きな被害が出ないのであれば戦う必要はない。
「各オペレーターへの通達完了。緑川隊員はおよそ三分で向かうとのことです……忍田さん!! 人型の新手です!!」
「一体どれだけの戦力を……位置は!?」
一つの出来事に対処したと思えば新たに事案が発生する。
そしてマップにマーキングされた表示。
場所は……南東と南。
「不味いな……位置的にどちらもB級が最初に対処に当たることになる……」
そしてマップに映されたのは……四人の男女だった。
★
「あん? 結弦が南西? なんでだよ」
「カゲ、落ち着きなって」
「うちも詳しい話は聞いたけどよく分からなかった」
「そこは聞いといてよ……」
南東地区。B級影浦隊。本部からの連絡を受け絵馬が南西地区に向かう準備を開始する。
本部は間違いなく仁礼には情報を伝えたのだがその難解さから彼女は理解を放棄。とりあえず絶対に伝えなければならないことだけを隊員に告げたのだった。
「それじゃ行ってくる」
時間はかけない。それに影浦隊も引き止める理由はない。彼らは元A級部隊。例えラービットであろうと影浦一人で戦い、勝利できる自身が彼らにはある。
だから、次の瞬間現れた新規の
「こっちにも新型が来たかよ」
そう言いながら影浦は即座にマンティスを展開。姿を確認する前に
ガキン、という音に阻まれる。
「ゾエ!」
「分かってるって」
川添の動きも迅速だ、マンティスが防がれるよりも早く射撃体勢に移っていた彼は
そして、爆発。周囲は爆炎に包まれるが……トリオン体が破壊された音は聞こえない。
「ちょっと! 何よコイツラ。野蛮すぎるんじゃないかしら!」
「だから言っただろう。
そして、爆炎の中から、無傷の男女が現れる。
一人は170ほどの身長の青年。頭には白い角を刺し、周囲には三角錐型の黒い物体を展開しながら悠々と現れる。
もう一人は彼よりも10センチほど小さな、そしてもう一人と同様の白角を刺し、慌てふためいた様子の少女。
「こちらヒュース。戦闘を開始する」
「こ、こちらアル! 戦闘を開始するわ!」
彼らは黒い物体を展開する。
★
南地区。
「東さんの指揮マジパネェ……」
「ほんとだぜ……言われた方向に撃つだけで何で撃ち抜けるんだよ……」
「消費トリオンもまだまだ少ない……。いいか、二人共、絶対に町を守るぞ!」
戦闘しながら意気込むのは間宮隊。普段はハウンドストームなる必殺技をランク戦で用い、一撃一殺の作戦で戦ってきた。
だが、こうして他者(東)の指揮に従っているとより高度な作戦や各々が一人でも撃ち合えるようになる必要性を感じていた。
「戦闘中に余計な私語は慎むように。君たちの気持ちはわかるがそれはこの戦闘が終わってからゆっくり反省するべき点だ」
「りょ、了解です!」
だが、東からの通信で再度気合を入れ直す間宮隊。
この地区を担当するB級は那須隊、東隊、間宮隊。熊谷と小荒井、奥寺をフロントとし、それを囮に隙のできたトリオン兵を次々と誘導し、その命を刈り取っていた。
「全員、トリオン量は大丈夫か? 戦闘はまだまだ続くぞ」
「こちらは大丈夫よ」
「俺たちもまだまだ行けます!」
既に屠ったトリオン兵は百を超えている。だが敵の波が途切れているようには思えずトリオンの確認をした東だったが那須と間宮の返事に安心する。
「分かった。なら引き続き……」
彼は指示を出そうとした。
その直後だった。
バチバチという音とともに黒い
「新手だ! 距離を取れ!」
幸いにも誰かの至近距離にあるわけではなく、周囲のボーダー隊員は更に距離を取って姿勢を整える。
現れたのは、こちらも一組の男女。
「おうおう、
「私は面倒臭いわ……。一人で行けそう?」
「行けるかもしれんが、そろそろ働いている姿を見せてくれないと上から怒られるのは俺なのだ」
「そう……それじゃあ仕方ないわね……」
一人は赤髪の大男。大きな狙撃銃のようなものを携え、堂々と姿を表す。
そして、もう一人は白髪の小柄な少女。眠たげな目を周囲に向けながら、大男の肩に乗っていた。
「ランバネイン、戦闘を開始する!!」
「ヒナ、戦闘を開始するわ……」
大男も少女も狙撃銃のようなものを展開し、同時に生まれるは複数の光球。