覚悟は、よろしいですね?
僕は、地球に住んでいるただの少年…………
だった者だ。
死んで、僕の姉が良く無理矢理読ませてきたラノベとかいうジャンルの漫画の様に転生したのだ。これが中々曲者で、転生しなんとか生き抜いてきたは良いものの恐るべき事が判明した。
まず一つ目。この世界が鬼滅の刃という作品である事。この作品はポンポン人が死ぬ。どこぞの巨人漫画並みとはいかずともネームドキャラだって死ぬし、夜には鬼とかいう化物が人間を襲うという僕から見れば狂った世界。
そして二つ目。
僕が転生した体は、鬼殺隊入隊後にわずか2ヶ月で霞柱となる天才、"時透無一郎"の物だったのである。だからといって今更どうもできないのだが、人の人格を押し潰してしまった様な現状に対し憂鬱な気分になった。
そうして早十数歳が経った。
両親も死んで誕生日を祝うこともしなくなり、僕に残ったものは両親が残した遺産と姉、
"時透
……本来の原作ならば男だった筈の"
とはいえ事実は事実。泣き叫んでも血の涙を流しても元には戻らないしどうにもならない。
そう納得し新たな生を謳歌しようとしていた矢先に気付いてしまったのだ。
時透
………突然言われてもいまいち良く分からないと思うので姉について説明しよう。簡潔に言って僕の姉は重度のヲタクと呼ばれる人種である。ヲタクといっても1つの作品の1つの推しを永遠に推すとかいう重い方のでは無く、1つの作品内にも数人の推しが居て、キャラによっては
そんな姉に絡まれるのが面倒で、僕は前世で相当上の中高一貫の学校へ入ったぐらいだ。尚姉は登校時にもとにかく語りたいらしくこちらの高校に転入してきた。激ムズの試験を突破して、だ。
有能で頭の良い馬鹿が一番面倒だと僕は知った。
そして二人仲良く信号無視のトラックに撥ねられ死んだ。きっと肉片が混ざってぐっちゃぐちゃになっていたろう。撥ねた奴は絶対に許さないし今世の今に渡ってずっと呪い続けている。
……して、そんな感じのが僕の姉だ。
外聞も良く人当たりも良く頭が良く面白い…そんな完璧超人みたいな人間。そんなイメージ。
で、僕と同じようにして転生した。
気付いた理由は自分が7歳くらいの頃に家の裏でブツブツと呟いている声を聞いたときに明確に理解したからだ、その一部始終の会話を教えよう。
『ふひひぃ…やっぱり無一郎きゅんかぁわいいなぁいやしかし原作軸は本当にいつ始まるのだろうかないいかげんあの子に会いたいなでも高感度稼がなきゃかするとその兄から埋め立てるのが先決かぁ〜?でもやっぱ良いよなぁ〜〜そういや我が弟どこかなぁ一緒に死んだことしか根拠はないけどおんなじ世界に来てるんだったらいっそその兄になっててほしいなぁそしたら計画だってはやく滑らかに絶対ぬるぬる進むのになぁ勿体ない……さてそろそろ妄想もおしまいにして井戸に水くみに行くかぁ………あ。』
『………っ……!!!(ドン引きの目)』
『その目……ッ!!我が…弟か……ッ!!』
『このッ…!!!変態がァァァァ!!!!』
『ありがとうございます!!!』
である。
狂ってる。
自分が転生していない状態であの光景を目にしていたら確実に恐怖で体が金縛りになっていただろう。吐いていたかもしれない。それほどまでに歪んだ空気を纏っていたのだ。
………察した人は居ると思うがこいつはMだ。
M。マゾヒスト。被虐趣味。
しかもショタコンも併発しているので手遅れ。
もうどうしようもない。
何がこいつを駆り立てるのか、その正体を一度でいいから見てみたいものである。
因みに将来の夢は偉い立場の人になって弱気な金髪ショタに虐めてくださいと頼み込んでドン引きさせたい、いや、されたいという願望らしい。
一体どんな育ち方をしてどんな物を食べたらこんな事になるのか親の顔が見てみたいものである。
最もそれは僕の親でもあるのだが、だからこそ奴がこんなに手遅れになったのかが理解できない。理解したくもない。
ただ弱気で金髪な本来どストライクである筈の善逸くんに関しては『"ぜんねず"以外のCPは一切合切灰燼と化せ。』だそう。極端にも程がある。
一応、僕に残された唯一の肉親……なので、大事にしたいとは思っているが……暴走中の奴に関しては肉親であること自体を否定したくなる。
…………とても、面倒のかかる姉だ。
鬼滅のブームはもう…過ぎたんだろう……!?
人の夢はァ!!!終わらねえ!!!!!!!!!