どうやらSCPと言うのになったらしい   作:YY:10-0-1-2

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 お待たせいたしました。


ファイル34 その男、罪の記憶

 

 俺はとある収容室の扉の前に来ていた。息を整え、意を決して扉を開けて中に入った。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 ことの発端…というよりはここに来るまでの経緯を教えておこう。

 

 実はブライト博士からもらった手紙*1をアエちゃんとのクロステスト終了後に読んだのである。

 

 

 それはそれはめちゃくちゃ丁寧な字だったよ。ほんとに映画とかで見る、羽のペンを使って書いているようなあの字。

 

 英文で書かれてあったから掻い摘んで説明すると……

 

 どうやら、その人は少しだけでもいいから他者と話をしたいらしい。

 愚痴を言いたいのかな…?それで俺を選んだとか?まぁ、文字がクッソ丁寧だったからちゃんと聞いてやりますけど。

 

 

 そして、その人物が分かった。いや、人物は人物なのだが、SCPなんだなコレが。

 

 

 SCP-073『カイン』。オブジェクトクラスはEuclid。

 

 カイン……か。

 その名を聞いて出てくるのは『創世記』に出てくるアベルとカイン。

 

 『創世記』ってのはヘブライの創世神話からはじまり、イスラエルの太祖、族長たちの事跡を綴る書物…

 

 めちゃくちゃ端折って簡単に言うなら、神話だ。

 

 

 内容は有名な所で言うと…アダムとイブの楽園追放、大洪水から動物を救うためノアの方舟を作る、天まで届くことを目的に作られたバベルの塔などなど……

 

 

 その中の1つがアベルとカインなのである。

 今回、その話が関係してくるんだろうな。まぁ、とりあえずは会ってみなくちゃね。

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 扉を開けて中に入ると、1人の男性が椅子に座っていた。

 黒褐色の綺麗な肌に、イケメンに似合うような黒髪。青い瞳をこちらに向けて真っ直ぐとした眼差しで俺を見ていた。

 

 「君が、優磨君…だね?」

 「…そうだ。あんたがカインか」

 「……初対面なのに『あんた』は凄いね。逆にやりやすいかも」

 

 

 なら良いんだが。

 しかし何だこのイケメン。いままでの奴らは残念な人たちor可愛い少女or化け物共だったのに…カインはどうだ?

 

 とても優しい・イケメン・頭が良い

 

 

 なんですかこの三段構え。普通の女性どころか男までもが惚れてまうやろ。

 

 

 「立ってるのも疲れるでしょ?ここに椅子があるから座りなよ」

 

 お言葉に甘えて座らせてもらう。

 

 さて、本題に入ろうかな。

 

 「なんで俺を呼んだんだ?」

 「…君が愚痴を聞いてくれるような人だって聞いたからね」

 「…ちなみにそれ誰に聞いた?」

 「金髪のカメラを持った少女と金髪の白衣を羽織った女性だよ。知ってる?」

 

 

 無言でコクリと頷く。カインも気づいたのか、あははと愛想笑いした。

 

 

 アイリスとライツ博士だろうな。そろそろいい加減にしろ俺は便利屋さんじゃねぇんだよ。

 

 

 「で、愚痴でも言いたくなったのか?」

 「…どちらかと言えば、懺悔…かな」

 

 ……ここからは黙って聞いておくことにしようか。

 

 「君も知ってるだろ…?アベルのことを」

 「あぁ。知ってる」

 「…彼は優しいただの青年だった。対して僕は暴力的で意地が悪かった」

 「…」

 「彼を、僕は彼の事を野原に呼んで……そして…殺した。僕が人類で初めて殺人を行ったんだ」

 

 カインは一息ついてからまた喋りだした。

 

 

 「僕が彼に嫉妬をしていたから。……笑えるよね。普通なら微笑んでみてあげるんだ。でも僕は出来なかった…どうしても、どうしても彼のことを妬んでしまった」

 「…」

 「財団に収容された時、アベルがいるってことに驚いたよ。謝れる。やっと、やっと言いたいことが言えると思った」

 「だが、アベルは…」

 

 カインが頷く。

 

 「…君も知っての通り、彼は狂ってしまい、人を、無機物を破壊し尽くすようになってしまった。僕のせいで」

 

 カインが俯いて涙を流す。

 

 「彼が、あれじゃ到底聞いてくれないと思った。僕が、僕が殺したせいで発狂してしまったんだよ…」

 

 カインが涙を拭って俺を見る。俺はカインを見ながら口を開いた。

 

 「ほんとに懺悔?」

 「……? どういうことだい?」

 

 カインが首を傾げる。

 

 「俺にゃそうは見えないね。懺悔じゃないでしょ」

 「……」

 「俺には……あんたが()()()()()()()()()()()と願っているように見えるね」

 「…!」

 

 カインが驚いたような顔を作る。

 

 「怖いんだろ。アベルと会うのが」

 「……怖いさ。なんて言われるか…」

 「だから背中を押してもらいたい。自分を肯定してくれる人が欲しい」

 「……」

 

 「だから俺を呼んだんだろ?」と言いそうになったが出る寸前のところで飲み込む。

 いらん心配だったらしいな。

 

 「…君は……心まで読めるのかい…?」

 「読めないね。ただ、顔がそう語り掛けてたよ」

 

 カインがふふっとにこやかに笑う。

 

 「アベルと会うのはもう少し後になると思うけど…背中。押されたよ」

 「なら良いんだけどね」

 

 俺はそう言って椅子から立ち上がり、その場を立ち去る。

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 

 彼、優磨はとても…僕より優しいのかもしれない。

 弟殺し、人類初の人殺しである僕に対し、まるで慰めるような顔をして、僕の戯言を聞いてくれた。

 

 確かに、彼の言うとおり、背中を押してもらいたかっただけなのかも知れない。

 

 

 でも、それを分かっていながら、押してくれた。

 

 「どうだった?優磨は」

 

 彼女、ライツ博士がそう問いかけてくる。

 

 「彼は、優しいね……君が惚れるのも分かるかもしれないね」

 「ふふふ、惚れてる……まぁ、惚れてるのかもしれないわね」

 

 ライツ博士が去り際にあっ、と言って僕の方を見る。

 

 「アベルとのクロステスト、どうする?」

 「…」

 

 僕は首を横に振った。ライツ博士はそう。と言って微笑んで去っていった。

 

 僕は赦されないことをした。

 でも、そんな僕でも。

 

 僕たち二人が請うたなら、神は僕を赦すだろうか?

*1
詳しくは『ファイル32 その男、戻ってきた』をご参照ください





 後悔はない。これが俺のやりたいことだ。


SCP-073 カイン
http://scp-jp.wikidot.com/scp-073

SCPのリクエストはこちらから!

優磨への質問はこちらから!

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SCP解説のコーナー!

優磨「今回はこいつ。SCP-073、カイン」

アイリス「イケメンだぁ!」

優磨「これ以上ない憤りを感じたわ」

アイリス「……と、とりあえず説明を」

優磨「こいつの異常性は、3つある。ひとつは体の一部が未知の金属で出来ている。そしてもうひとつが土の上で成長する全ての生命を腐食させる」

アイリス「土の上で成長する生命を全て…?それは木とか草とか?」

優磨「あぁ。でも、『全て』だからミミズとかも駄目なのかもな。そして最後のひとつが、すべての損害・ダメージを跳ね返す」

アイリス「このイケメン、無敵か…?」

優磨「…これらの能力は『創世記』に元ネタにあるな」

アイリス「『創世記』…?」

優磨「あぁ。創世記にある4章、カインとアベルが元ネタとされている」

アイリス「確かそれって、簡単に言えばカインがアベルを殺しちゃって罪を受けるって話だよね?」

優磨「その罪の中に『あなたが土地を耕しても、土地はもはやあなたのために実を結びません。あなたは地上の放浪者となるでしょう』や『だれでもカインを殺す者は七倍の復讐を受けるでしょう』などと書いてある」

アイリス「なるほど…それが能力の元ネタなんだね……カインが許される日は来るかな……」

優磨「来るさ。きっと」

てめぇらの好きな展開教えやがれぇぇ!

  • よっしゃ優磨ロリコンルート行こうぜ!
  • 戦え、戦えのエレンっぽいルート
  • 平和が1番ッ!これ至高!
  • 財団裏切って好き勝手やろうぜ!
  • 展 開 な ん て ね ぇ よ
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