どうやらSCPと言うのになったらしい 作:YY:10-0-1-2
あぁ、やっぱり〜貰えなかったよ。無念。
優磨は早々に部屋から出た。
なぜならソフィア博士とカインの2人の作戦、そしてレオラの了承もあり、戦闘訓練に挑むこととなったのだ。
カインは優磨と共に部屋を出て、それをソフィア博士とライツ博士が確認する。
すぐさまシガーロスとアイリスが動く。
アイリスはまず、財団から貰ったチョコチップを。シガーロスは手にボウルを持つ。
ライツ博士はチョコレートを持っている。
「よし。まずやるべき事はチョコを溶かすよ!」
「分かった!」
シガーロスがそう言うと、コンロに手を向け、何かを呟いた。その後にコンロに炎が出現する。
シガーロスは『魔法』を使ったのだ。
ただ、これは魔導書に書いてあることなのでライツ博士も特に咎めることはなくチョコレートをボウルの中に突っ込む。
アイリスがそれを見て、ええっと困惑の声を出す。
「それって細かく刻んでから入れるんじゃないの?!」
「時間の無駄だから粉々にしながら溶かす!」
ライツ博士がそう言う。
なぜここまで命懸けなのかはライツ博士と神のみぞ知るが、とにかく命懸けなのだ。
というか、ライツ博士の目は血走っていた。
アイリスが女性の顔じゃないとため息をつく。
「えっと、私たちは何するっけ?」
「バター入れるよ!あと砂糖だね」
アイリスがそう言って、もうひとつのボウルにバターも砂糖を入れる。
アイリスは、慣れた手つきでバターと砂糖を混ぜる。
シガーロスがそれを見ている。
「やる?」
「やる!」
シガーロスが目をキラキラさせて泡立て器を掴んでバターと砂糖を混ぜる。
アイリスは後ろからそれを見て、卵とサラダ油を同時に入れる。
シガーロスがそれをチャチャッとかき混ぜる。
ただ、シガーロスはまだ子供。なので、アイリスが後ろからシガーロスの手を掴んで一緒にかき混ぜている。
ライツ博士はそれを見て、微笑ましそうな顔をする。
「よし。こんなもんかな…」
「次は確か…」
「薄力粉とベーキングパウダー…それとココアだっけ?」
アイリスはメモを確認しながら薄力粉、ベーキングパウダー、ココアをボウルの中に入れ、シガーロスと共にかき混ぜる。
アイリスは牛乳を片手に取り、トポトポと入れ込む。
すると、段々と茶色くなっていき、チョコのようなとろみが出てくる。
ライツ博士の方は、チョコを溶かし終えた様で、型抜きにチョコレートを流し込んで、冷蔵庫の中に入れる。
シガーロスが出来たと言って、チョコチップを少しだけ先程のココアを混ぜたものに入れて再び混ぜ込む。
しばらく混ぜた後、170℃に設定したオーブンを開いてその中に突っ込み、25分に設定して閉じる。
アイリスがふぅっ…と汗を右手で拭う。
「速く完成しないかな〜」
「あはは、まだまだだよ」
シガーロスの言葉にアイリスがあははっと苦笑いする。
ライツ博士がアイリスの方を向いて首を傾げた。
「マフィン?」
「うん。マフィンには特別な意味があって」
その言葉にシガーロスが振り向く。
「どういう意味?」
「えっと、確か…」
「意味は特別な存在。主に恋人や夫婦が渡すものだよ」
そう言って部屋に入ってきたのはカインであった。
アイリスがそうそうと頷く。
「どうだい?」
「出来た!結構簡単に!」
「ははっ、それは良かった」
カインがそう言ってシガーロスの頭をポンポンと撫でる。
「よくこんな料理知ってるね?」
「まぁ、僕は博識だから…かな」
カインがそう言って笑う。
「そろそろじゃないかな?」
「そうね。チョコレート冷えたかしら?」
ライツ博士が冷蔵庫からチョコレートを取り出す。
チョコレートはいい感じに冷えていて、ライツ博士は型抜きからチョコレートを取り外す。
そして、持ってきていたデコレートするための道具などをチョコに付ける。
「よし。こんな感じにおいてっと…」
「おぉ、本格的だね」
ライツ博士の飾り付けにカインがそう言う。
ライツ博士が「でしょぉ?」と言いたげにドヤ顔をする。
「お、マフィンも出来てるよ」
「ほんとだ!いい香りする!」
シガーロスがオーブンを見る。
オーブンを開いて、中にあるマフィンを取り出す。
マフィンの上にチョコチップをパラパラと置き…
「よし!完成!」
「やったぁ!」
シガーロスが完成を喜び、アイリスがそれを見てニッコリと笑顔を浮かべる。
「後は、優磨を待つだけだね」
「カイン、優磨は?」
「あぁ、彼ならそろそろ……」
そこまで言った後に、ガチャッと後ろの扉が開く。
「あれ、お前ら……っていうか、いい匂いだな」
優磨が部屋に入ってきて、キョトンとしている。
それを見て皆が優磨の後ろに回り、優磨を椅子に座らせる。
「マフィン…それにチョコレートまであるじゃ…………あっ」
優磨も気づいたようで…。
「ハッピーバレンタインだよ!優磨!」
「私たちからのチョコ受け取りなさい!そんでもって私と…」
「優磨!ささ、はやく食べちゃいましょ!」
ライツ博士が不穏(意味深)なことを言い出す前にソフィア博士が優磨の口にチョコを突っ込む。
優磨はチョコをボリボリと食べる。
「…」
ライツ博士やソフィア博士が汗を垂らす。
「うめぇ…!」
「やった!」
優磨はマフィンも手に取り、口の中に放り投げる。
「これもだ。甘い!」
「やったね!シガーロス!」
「うん!やった!」
シガーロスが飛び跳ねながら喜ぶ。アイリスもガッツポーズをする。
優磨はカインの方を向く。
「なるほどな。俺とレオラが戦闘訓練したのは…」
「あぁ、チョコを作れるし、彼女も喜ぶ。万々歳だろ?」
「お前ってばそう言うとこだぞ」
カインに向かってそう言うが、優磨の顔はどことなく微笑んでいた。
「優磨、はいこれ」
「? なにこれ?」
俺はチョコレートの残骸などを片付けていると、アイリスからチョコを貰った。
俺がそれを手に取ると、アイリスがにっこりと笑っている。
……ほんとになに?
「本命…って言ったらどうする?」
「?!」
俺が一気に顔を上げる。
アイリスはいたずらっぽい笑みを浮かべていた。
「…で、本当は何だ?」
「ふふ、内緒だよ内緒!」
「えぇ…?」
困惑している俺を見てアイリスは楽しんでるように見える。
こいつってば…!やめなさい!思春期男子はそういう顔されると勘違いする奴が多いんだぞ!
「じゃあ、また明日ね!」
「お、おぉ……」
アイリスはそう言って部屋から出てしまった。
俺は手にあるチョコレートを見て、ラッピングを取り、蓋を開けてみる。
そこには、ピンク色の……ストロベリーチョコがハートの形であった。
……これは本命なのか?おい、誰か教えろ。こういう時俺はどうすればいい?
「あいつ、魔女より魔女してるぜ……」
俺はそう言って天を仰ぐのであった。