どうやらSCPと言うのになったらしい 作:YY:10-0-1-2
遅れてすみませんした……。
ムッス〜とした顔をしてこちらを見てくるアイリスに、俺は頭を抱えていた。
いきなりなんだコイツは。
人の顔を見るなりなんなりそんなに睨みつけてきやがって。
「……なんだよ」
「……いや〜? 別に〜?」
な ん だ こ い つ
「なんだ?俺はなにかお前にしたか?」
「……」
シガーロスの方をちらりと見て、寝ていることを確認した後に俺の近くに来て話始めた。
何だ?シガーロスに聞かれたらまずいのか?
「アルファ-9入ったんでしょ」
「……どっから聞いた?」
アルファ-9。
アイリスも入っている部隊のひとつで、機密情報てんこ盛りの部隊。
アイリスの報告書にはアルファ-9の事、アイリスがアルファ-9の部隊に入ってるだとかは全て誤りである。と記載されてるが、アイリスが俺に聞いてきたってことは……。
「お前もアルファ-9の1人か」
「……」
アイリスは体育座りをして、俺の肩に頭を乗せる。
「やめておいた方が良かったのに」
「……アベルの事か?」
アイリスにそう聞くと、黙り込んでしまった。
アベルに関しては知ってる。いつだったか、2000-JPが変なものを持ってきてたから見てみたら……。
「怖いの」
「何が?」
アイリスが口を開いたかと思えば、それは震えた声であった。
俺はアイリスの方を横目で見て、ビックリした。
泣いてんだもん。
「もう、あんな目に遭うのは嫌」
「……お前は、最前線には出ないだろ?」
「でも、優磨は出るでしょ?」
……。
吸血鬼。不死身で不老。高い身体能力を持っている。
でも、
こき使われるに決まってる。
言ってしまえば、死なないDクラス職員なのだから。
「優磨は、危険なヤツらと何度も対峙したことあるんでしょ?」
「何度も……って訳でもないけどな…」
事実、そんな対峙したことはない。主に俺がやるのはクロステストという名の雑用係的なものだから。
アルファ-9に入れば、きっと、俺みたいにイカれてなかったら、普通の人には耐えられないだろう苦痛を、俺は何回も味わうことになる。
今までの、財団に入る前の人生は、危ないことはそんなにして来なかった。
「優磨、きっと疲れちゃうよ…。きっと……いつか、限界が来る。そしたら、優磨は……」
「大丈夫。自分で死ぬようなことはしないし、死なないし」
アイリスの頭に手をポンっと乗せる。そのまま少しだけワシャワシャと撫でてみる。
「アベルみたいなことはしねぇ。例え、俺の意識が無くなったとしてもね」
「……ん。分かった。信じてる」
アイリスは少しだけ微笑み、目元を拭う。
俺はそれを見て、少しだけほっとする。すると、ギシッとベッドが軋む音がする。
「……ん…」
「シガーロス、起きたのか」
「もう、優磨の声が大きいから…」
「はぁ?!」
シガーロスはトテトテとこちらに来て、俺の頭とアイリスの頭を撫でる。
「大……丈夫…」
「……! プッハハ!だってよ、アイリス!」
「フフ……。ほら、もう遅いし、寝ようか」
アイリスはシガーロスを持ちあげようとして、俺がそれを手伝う。
シガーロスは、再び目を閉じ、眠ってしまったのか、寝息を立て始めた。
それを見て、アイリスと俺は少しだけ微笑むのであった。
■
「…まるで夫婦ね」
「キー! 私が優磨としたいのに!」
「ちょ、ライツ博士……」
部屋の窓から一連の流れを見ていたライツ博士が金切り声を上げ、それをライト博士とカインが止める。
カインがそれにしても、と会話を切り出した。
「アベルみたいなことにはしない……か」
「どこで知ったのかしら……あぁ、頭が痛い…」
ライト博士が頭を抑えて、カインが苦笑いを浮かべる。
ライツ博士は依然変わりなく、ハンカチを噛み、勢いよく涙を流している。
「はっ……これがJapaneseNTR……?!」
「いや、違いますから」
カインがツッコミを入れる。
「この様子じゃ、シガーロスが入ったらアイリスがさらに病むわね」
「ですね。やっぱやめておいた方がいいと、上に伝えてください」
ライト博士は少しだけ考え込み、頷く。
カインはそれを見て、ホッと胸を撫で下ろす。
「(優磨君………)」
ライト博士とライツ博士がその場から離れ、仕事しにいそいそと向かう。
そんな中、カインは、独りでに想いに馳せるのであった。
「(