どうやらSCPと言うのになったらしい   作:YY:10-0-1-2

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ファイル50 その男、キレる

 

 「なんでテメェがここにいやがる……!?」

 「なんで、とは? 答えは単純明快だろう?」

 

 SCP-035は、質問を質問で返すように答える。

 優磨はその言葉を聞いてギリっと歯を食いしばる。

 

 ──『収容違反』だ。

 

 答えなんぞ最初っからわかってる。ただ、現実を受止めきれていなかったのだ。

 そんな優磨を見て楽しそうに笑うSCP-035。

 

 「君の噂は聞いてるよ」

 「! どっからだ?」

 

 情報の漏洩すらしている事態。

 予想以上の事態に優磨は戦闘の準備をする。

 

 「なんでも、吸血鬼の青年と……ね」

 「…知られてるのは光栄だね……で、なんで違反しやがった?」

 「私にとってあそこは窮屈すぎるのだよ」

 

 そう答えるSCP-035。

 優磨はシガーロスを下ろして自身の後ろに隠れるように言う。

 それを見て、SCP-035の目が光る。

 

 「それは、小さな魔女だね?」

 「っ、テメェには関係が無さすぎる縁だよ」

 「いやいや、まさか君までいるとは。これは予想外だよ」

 

 先程から優磨の目がどんどんと赤く染っていく。

 だが、それに気づかないのか……それとも気づいていてそうなっているのか。

 シガーロスに詰めよろうとするSCP-035。

 

 「どうだい? ()()()()()()()()()()()()()?」

 「……え?」

 

 シガーロスの思考が停止した。

 同時に、優磨の血飛沫。壁や床に着いた血が槍のようにSCP-035を貫こうとする。

 それを回避するSCP-035。それを見て舌打ちをする優磨。

 

 「危ないなぁ…」

 「テメェそれ以上近寄ってみろ…ぶっ殺すぞ

 「おおっと、怖い怖い。そんなに睨みつけないでくれたまえよ」

 

 殺意を漏らし出す優磨。

 それを見て怖いと体をわざとらしく震わせるSCP-035。

 神経を逆撫でするような行動に優磨はさらに苛立ちを加速させる。

 

 「それはそうと、君もだ」

 「あぁ?」

 「私の体になってくれよ。君の体が欲しいんだよ私は」

 

 唐突な言葉に優磨はさらに身を守るための武器を作る。

 それを見て、「残念だ」と呟くSCP-035。

 瞬間、優磨の後ろの通路から男ふたりが鉄パイプのようなものを持って優磨に迫る。

 

 優磨はそれを見て、血の刀で防ぎ、二人を蹴り飛ばす。

 

 「コイツらっ……!」

 

 さらに迫るSCP-035の仲間。

 優磨は刀で防ぎつつ、蹴り飛ばし意識を刈り取る。

 それを静かに見つめてどんなものかと様子見をするSCP-035。

 目の前の脅威にただただ、縮こまっているシガーロスを掴んで、優磨は遠くに飛び退ける。

 

 「ふむ、そんなものか」

 「この野郎……っ!」

 

 改めてコイツを殺してやると刀を再び構える優磨。

 先に動いたのは……優磨だった。

 

 足から血を吹き出させ、距離を縮める。

 そして、頚に刀を振る。

 

 ──()った!

 

 そう思ったのもつかの間、後ろから巨大な図体の男が優磨を羽交い締めにする。

 舌打ちした優磨は脚についている血を剣にして、男の脚に刺す。

 痛みがあったのか力が緩んだ隙に羽交い締めから逃げ、アキレス腱を斬る。

 

 「なぜ殺さないんだい? 殺してしまえば楽だろう?」

 「わりぃな、人は殺さねぇって決めてるんだわ」

 

 殺伐とした会話と共に、再び動き出す優磨。

 今度は沢山の銃撃に襲われる。シガーロスに血の壁を作り出し、ガードさせる。

 

 血が流れれば流れるほど強くなっていく優磨。

 これに対して倒すことは困難と判断したSCP-035は一度引く事にする。

 

 逃げようとした瞬間、その足を銃で撃たれる。

 

 「なっ」

 「目標発見!」

 

 ドドドドッと大きな音と共にSCP-035を撃ち抜く。

 優磨はそれを見て、ため息を吐く。

 そして、その機動部隊の後ろにいる集団を見て、叫ぶ。

 

 「後ろだ!! 逃げろ!!」

 「なっ!?」

 

 再び銃撃。

 機動部隊ではない、銃を持った職員達が機動部隊を撃ち抜く。

 それを見て、シガーロスが、叫ぶ。

 

 同時に、大きな爆発が起きる。

 

 「危ないよ…ほんとにね……」

 「なっ……!?」

 

 生きていた。

 SCP-035は生きていたのだ。

 撃ち抜かれた瞬間、別の個体に乗り換えたのだ。

 

 「いい加減、死にやがれ!!」

 

 今度は血の銃を作り、2、3回撃ち抜く。

 それは、人間と呼ばれる肉の盾によって防がれる。幸い、急所には当たっていないため、死には至らなかった。

 

 「瞬間で狙いを変えたのか」

 

 血に血液を送ることにより動体視力を上げたのだ。

 これで動体視力が上げられるとは思えないが、とにかく上げられたのだ。

 

 それによって、瞬間で狙いを変えて急所では無いところを撃ち抜いたのだ。

 だが、撃ち抜いたのは事実。

 SCP-035は苦痛により少しだけ顔を顰める。

 

 「クソッタレ……っ!」

 「っ! キャァ!?」

 

 悲鳴のような叫び声。

 それが聞こえた瞬間、優磨は後ろを振り向く。

 

 シガーロスが、SCP-035の仲間に掴まれていたのだ。

 

 地面がエグれる程の蹴りで、その仲間を蹴り飛ばす。

 水切り石のような感じで吹っ飛んでいく仲間を見て、SCP-035は冷や汗を垂らす。

 

 「シガーロスに触るなァ!!!」

 

 瞬間。

 

 

 【寄越せ】

 「あ?」

 

 

 ぷつりと、意識が途切れた。





SCP-035 取り憑くマスク
http://scp-jp.wikidot.com/scp-035
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