どうやらSCPと言うのになったらしい 作:YY:10-0-1-2
アベル、2話に及ぶゲスト出演ありがとうございました!(笑)
【何をする!?】
優磨の精神の中で、優磨は目の前の吸血鬼の首を絞めていた。
強い力で絞められたことで、小さな呼吸音が口から漏れる。
「諦めてたよ…正直ね」
優磨が独白するかのように呟く。
だがな、と続けるとさらに首を絞める力が強まる。
「俺は、シガーロスとアイリスを……いや、それだけじゃねぇ。俺と関わってるやつら、俺が友達になったヤツらを殺させる訳には行かねぇんだよ……っ!!」
優磨の目に血管が迸る。
「お前が死ねっ!!」
【クソガキがっ!!】
吸血鬼は、優磨の腕を振り払い、殴る。
優磨は振り払われたことで、手を離してしまい、殴られたことにより地面に倒れる。
だが、汚い叫び声と共に優磨は立ち上がり殴る。
吸血鬼の顔面を何度も何度も殴り、優磨の腹が手刀により貫かれる。
ゴフッと血を流すが、吸血鬼の身体に噛みつき、再生させる。
──正気かこのガキ!!!
まさかの自体に吸血鬼は驚いていた。
掌握したかのように思えた存在が、歯向かってきて、尚且つ自身の能力を使い、その能力の諸悪の根源を殺そうとしているのだ。
吸血鬼は、優磨を振りほどこうとした時、優磨のしたことに気付き、「しまった」と呟く。
だが、既に遅かった。
手刀したことにより、腹を貫かれた優磨。だが、それを逆手に取り、手刀した部分を再生させ、抜けなくしたのだ。
さらに優磨は再び、右手に力を込めて殴り続ける。
そして、血の雨が降り出して、吸血鬼が動かなくなる。
「……」
冷たい、血の雨が優磨の頬を撫でた。
◇◆◇
「優…磨……?」
アイリスの言葉でハッとする。
そうだ。俺は、あのクソ野郎に掌握されてて……殴り殺して……そんで……。
俺は手に持っている血の銃を捨てると、辺りを見回す。
ボロボロのサイト内。
至る所に血が着いており、その激しさを証明していた。
俺は、ふと、シガーロスに気づく。
「……あっ」
俺は言葉を発しようとして止める。
シガーロスに、どう声をかければいいのか分からないのだ。
こんな事しておいて、ジャンプの主人公よろしく「ただいま」なんて出来ない。
人を沢山殺した。アベルも、殺した。
そしてなにより、俺はこの2人を……目の前の2人を殺そうとしたんだ。
そう考えてみると、俺って……よっぽどクソなんだな。
考えれば分かる事だ。
こんな、血で汚れた人間なんか、見たくないはずだ。
俺は、シガーロスから目を逸らして後ろを振り向く。
きっと、これから機動部隊が俺を捕らえに来るだろう。
俺は、黙り込む。
きっと、俺は今とは違う、もっと頑丈で、厳重な部屋に閉じ込められるのだろう。
そして、永遠に出されることは無いだろう。アルファ-9の件も取消のはずだ。
そしてなにより……シガーロスと別れるな。
シガーロスは、きっとこれ以上何も見たくないはずだ。
離れよう。こっから。
離れて、そうだな……機動部隊に大人しく捕まればいいさ。
そうだ。俺の部屋の前に入ればいいか。そうすれば、分かりやすいだろう。
「優磨」
声をかけられる。
何度も聞いたはずの声が、俺の中で反響する。
振り向きたい。
今すぐにでも振り返って、謝りたい。
でも、無理だ。
そんな資格、どこにもない。
俺は……人殺しだ。大量殺戮を犯した、大犯罪人だ。
「優磨、こっち向いて…?」
無理だ。
「優磨、話してよ」
無駄だ。
「優磨……!」
俺は歯を食いしばる。
そして、自身の顔面を殴る。
だけど、それでも。
「……」
振り返ってしまうのは、俺が人の心を残しているからだろうか。
そこには、今にも泣き出しそうにしているシガーロスの姿が。
俺の目を見て、俺の顔を見て、俺を見ている。
そして、走り出した。
俺に、抱きついてくれた。
「優磨……優磨ァ……! ゆうまぁぁ〜……!」
泣きながら、ずっと俺の名前を呼び続ける。
俺はそんなシガーロスを抱きしめようとしてふと止まる。
「……ごめん、シガーロス」
「……へ?」
後ろに、冷たい何かを押し当てられながら俺は言う。
「多分、もう一緒には暮らせない」
「……なんで?」
「なんでも、だ」
俺はシガーロスの辛そうな顔を見て、再び考え込む。
だが、もう決まってる。いや、決まるはずだ、これから。
「これで、お別れだ」
「……いやだよ」
「シガーロス、体調に気をつけろよ」
「いやだよ!!」
「シガーロス」
「……っ!」
俺の言葉に、シガーロスが止まる。
俺は出来る限りの微笑みを作る。
「ありがとな」
俺はそう言って後ろにいる機動部隊に捕まるのだった。
そう。これでいいんだ。
俺は、自分の意識が暗闇の中に落ちていくのを感じながら、目を閉じる。
きっと、みんな赦してはくれない。
だから、永遠に償うんだ。
この、クソ喰らえという名の永遠の命で。