特化にしたいので極振りしてみた、と言うゲーマー達の話 作:ウィンド
「勝負だ、サマー!『破砕ノ聖剣』!」
「望む所だ、ペイン!『ゲイルフォース』!」
時は二人が衝突した瞬間まで遡る。
「これは凄いな、途轍もない威力だ」
「平然と受け止めときながら、よく言うぜ!」
攻撃を受け止められたサマーは一度距離を取る。
「これならどうだ、『ロックブラスト』!」
「フンッ!」
サマーの放った岩をペインは全て剣で薙ぎ払う。
(やはりかなりの威力、防ぐだけでも手一杯だ、それにあの素早い動きじゃ攻撃を当てられない・・・)
(ゲイルフォースにロックブラストまで防がれた、この程度の攻撃なら余裕ってか・・・)
(しかも彼は魔法使い、基本は遠距離だろうし近接に持ち込むのは難しいだろうな・・・)
(至近距離からのゲイルか岩系魔法、けど不用意な接近は逆に危険だ・・・)
((どうすれば、どうすればコイツを攻略出来る・・・))
それからはサマーが放った攻撃は全てペインは剣で防ぎ、ペインがスキルを駆使して接近するとサマーは回避する、そんな攻防が続いていた。
「うえ〜本当に戦ってた・・・」
その様子をフレデリカは遠目で見ていた。
「フレデリカ!」
「ん?ドラグじゃん、どうしたのこんな所で」
「ペインと合流しようと思ってな、そしたらアレだろ」
ドラグはサマーとペインの方を指差す。
「お互い考える事は一緒って事だね、そう言えばアンタ九位だったよね、やるじゃん」
「もう少し上に行きたかったがな、それよりもペインの奴・・・」
「うん、多分あの二人は同率だし他のプレイヤー狩るよりもお互いを倒した方が効率が良いんじゃないかな」
「ならどうする、加勢するか?」
「やめとけ、後でペインに言われても知らねぇぞ」
すると緑のバンダナをしたプレイヤーが二人の会話に入ってきた。
「ドレッドか」
「あのサマーって奴、テイムモンスターを連れてた筈だ、それを今連れてないとすると、恐らくタイマン張ってるって事だろ?なら邪魔するなんて野暮ってもんだぜ」
「そうだね、ペインに悪評が流れるのは今後の活動に影響するだろうしね」
「それもそうか・・・」
「にしても、サマーの奴ヤバいな、AGIだけでも俺以上だ」
「その上飛べるとか反則だよねアレ」
「・・・そろそろ終了の時間だが、決着付くのかね?」
「さあ?見守るしかないでしょ」
三人は未だに続いている攻防戦を眺めていた。
「『破砕ノ聖剣』!」
「『ゲイルフォース』!」
何度目の衝突か、感覚を掴んだのか、ペインはそのまま新たにスキルを発動した。
「『光輝ノ聖剣』!」
「なっ、『ロックウォール』・・・うわっ!」
サマーは咄嗟に防御するが衝撃で吹き飛ばされる、幸か不幸かダメージは無かった様だが、ペインはそれを逃さんとばかりに一瞬でサマーに近付き、剣を振り下ろした。
「『断罪ノ聖剣』!」
「ゲイルフォ・・・」
サマーはスキルを発動しようとしたが、それも間に合わずペインの最大の攻撃をその身に受けてしまい、辺り一面に凄まじい衝撃と土煙が舞う、そしてそれと同時にイベント終了の合図が響き渡った。
『それじゃあ結果発表!今回は下から発表してくね♪』
十五位 フレデリカ
十四位 ミザリー
十三位 クロム
十二位 マルクス
十一位 シン
十位 カスミ
九位 ドラグ
八位 ソラ
七位 コウ
六位 ロキ
『それじゃあベスト5の発表していくね?五位はミィさん、四位はメイプルさん、三位はドレッドさん、二位は・・・』
そして終了間近にその光景を眺めていた三人は未だ煙の方に目をやっていた。
「おお!」
「アレは流石にペインの勝ちでしょ」
その様子を遠くから見ていた、フレデリカとドラグの二人は
「そいつはどうだろうね・・・」
この男、ドレッドだけは違った。
「え!?」
「どう言う事だドレッド!」
二人はドレッドの発言に驚きを隠せない、すると徐々に煙が晴れていき、そこに居る者の姿が露わになった。
『二位はペインさん』
「何っ!?」
「嘘でしょ!?」
『一位は、サマーさんどら〜!!!』
サマーは地面に仰向けになりながらも、持っている杖を高く掲げた。
「よっしゃぁああ!!!」
あの状況で何故サマーが勝てたのか、それを説明するにはこのスキルの名を言うだけで良い。
「『空蝉』、これが無かったら負けは確実だったな・・・」
スキル【空蝉】
一日に一度致死ダメージを無効化する。
一分間【AGI】50%上昇。
取得条件:レベル35到達まで攻撃によるダメージを受けない。
そう、サマーはこれで先程のペインの攻撃を無効化させて、間髪入れずカウンターのゲイルフォースを発動させ、ペインを倒したのだ。
「完敗だよ、サマー」
イベントが終わり、ベスト3のサマー、ペイン、ドレッドの三人は表彰台が設置された空間に、残りのプレイヤー達は開始前に集まっていた広場に転移させられていた。
「今回は俺の負けだ、だがもし再び君と戦う事が有れば、次は勝たせてもらうよ」
「あぁ、けど俺も負けるつもりはない、次も俺が勝つ!」
二人は熱い握手を交わし、観客達もそれに敬意を表するかの様に二人に盛大な拍手を贈った。
(俺、なんか場違い感・・・)
ドレッドは居た堪れない気分になった。
そしてサマーこと浩将はイベントを終えてログアウトして、家族と共に夕飯を食べていた。
「お兄ちゃん、なんか良い事あった?」
「あぁ、さっきから随分と機嫌が良いじゃないか」
理沙と父からのそう言われて、浩将は別に隠す事もないと考えて話した。
「いや〜今日例のゲーム初イベでバトルロワイヤルだったんだけどさ、そこで一位になったんだよね〜」
「一位!?お兄ちゃんが!?」
「それは凄いじゃないか」
「所で理沙、あの事言わなくて良いの?」
「あっうん、あのねお兄ちゃん、私今日の追試合格したから、お母さんが明日からゲームしても良いって」
「そうか、やっと一緒に出来るな」
「その節は大変ご迷惑をお掛けしました・・・」
「これに懲りたら、次からはちゃんと勉強やりなさいよ」
「はい・・・」
「なら明日は予定空けとくな」
「良いの!」
「一緒にやるって約束したろ?レベリングくらい、いくらでも付き合うよ」
「やったあ!お兄ちゃん大好き!」
「はいはい、俺も好きだぞ〜」
(くっ、やっぱ軽く遇らわれるな・・・)
嬉しそうに浩将の腕に抱きつく理沙、そして理沙からの告白をサラッと受け流す浩将、そんな二人のやり取りを見ていた両親は仲睦まじい兄妹を見るかの様に微笑む。
そして翌日、サマーと理沙こと『サリー』は始まりの広場に来ていた。
(今日はお兄ちゃんと二人っきり〜♪)
「かえ・・・メイプル達誘わなくて良かったのか?」
「うっうん!なんか三人共予定あるみたいでさ!」
実際は今日は二人でプレイしたいと三人に圧を掛けて遠慮してもらっていたのだ、まあ当の三人は圧など微塵も感じていなかったのだが。
「よし、それじゃあまずはレベル上げからだな、サリーの装備は・・・短剣か」
「うん!お兄ちゃんもだけど、かえ・・・メイプル達もかなりヤバ性能だったからさ、パーティー組む事考えたら、私は回避盾を目指そうかなって・・・変、かな?」
「いや、お前がそれで楽しめるなら好きにすれば良いよ・・・それにしても回避盾か、ならステータスはAGIは高め、ノーダメージ貫くならHPとVITは振るだけ無駄だな、火力面は魔法を撃つ事を視野に入れるならSTRとINTはそこそこ、低火力をカバーするのに残りはDEXに振ってるな、クリティカル出れば火力は問題無いしな」
「そっそうだよ(全部当たってる、流石お兄ちゃん・・・)」
「ならそれに見合ったスキルがいる、ならまずは・・・ん?」
考え事をしているサマーにメッセージが届く。
「イズ?・・・悪いサリー、ちょっと寄るとこがあるんだが・・・」
「大丈夫だよ」
「悪いな、あっそうだ、生産職のプレイヤーなんだけど、折角だからお前にも紹介しとくよ」
「うん、お願い」
そしてサマーとサリーはイズの工房に向かった。
(イズって、女、だよね・・・)
二人は工房に到着して中に入った。
「イズ、なんだ用って」
「あぁサマー、例の装備の件よ」
(っ!やっぱり女・・・)
サマーに話しかけたイズは後ろに居るサリーに目をやった。
「あら、その子は?」
「あぁサリーだよ、コイツは・・・」
「何々〜!サマーの彼女〜?」
「かっかの!?いっいえ私は妹です!(でっでも、いずれは、そうなりたいな・・・)」
「あらそうだったの、ごめんなさい(この子もしかして・・・はは〜ん)」
「所でイズ、装備が出来たのか?」
「それが、中々難しいのよ、後もう一歩って所なんだけど、素材が切れちゃったのよ」
「成る程な、分かった今から追加分取りに行ってくるよ」
「お願いね、ロキ君が取りに行くって言ってくれたんだけど」
「まあ、アイツのステータスじゃあ仕方ないわな・・・それじゃあ行くか、
イズの工房を出て、二人はある場所に来ていた。
「また来る事になるとはな・・・」
「ここがお兄ちゃんが初めて挑んだダンジョン?」
「あぁ、『大空のヌシの迷宮』だ」
二人が訪れたのは、以前サマーが挑戦してユニークシリーズを手に入れたダンジョンだ。
「ここにしか出現しない鳥系のモンスター達の羽が必要なんだ、AGIが高いモンスター達だから、回避の練習には丁度良いだろう」
そう言ってサマーはダンジョンに入って行く、サリーもそれを追いかけて後を連いて行く。
「あ〜本当に動くんだなこの床、最初来た時は気付かなかったんだよ」
「その頃からヤバAGIだったんだ・・・」
そして外に出て、素材集めとサリーのレベル上げを同時に進行していく。
「ふぅ〜またレベルが上がった!」
「初心者が挑むにはレベル高いからな、ここのモンスター」
サマーがサポートしている事もあってか、サリーは徐々にレベルを上げていった。
「次はあそこの道からボスが上から落石を落としまくる、それを避けながら山頂を目指すんだ」
「えぇ、めっちゃ運営からの悪意感じるんですけど、お兄ちゃんそんなのクリア出来たの?」
「出来ちゃったんだよな、クリア」
「ふぅん・・・ねぇお兄ちゃん、私ボス戦がどんな感じか見てみたいんだけど、ダメ?」
「そうだな、折角来たし素材だけ持って帰るのは勿体無いな、よし!それじゃあ行くか?」
「うん!」
そして二人は山頂を目指すのであった。
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