特化にしたいので極振りしてみた、と言うゲーマー達の話 作:ウィンド
現在、海エリアに向かっているメイプルとオーシャンは草原を歩いていた。
「見渡す限り、草、草、草!」
「草原のエリアだからな、しかしモンスターが一匹も居ないとは」
既に二人はかなりの距離を歩いているのだが、未だに他のプレイヤーは疎かモンスターにすら遭遇していない。
「探索型だからかな?」
「だとしたら『スッシーズ』を出したのは間違いだったか、レベルを上げられるかと思ったんだが」
「「「スシッ」」」
オーシャンのフードからエビタツ、トロタツ、キミタツの三匹がひょこっと顔を出した。
「わは〜!スッシーズ可愛い!」
三匹は照れながらも喜んでいた、因みにスッシーズは三匹を纏めた呼び方でメイプルが命名した名である。
「ん〜海まで遠いのかな」
「サマーから見せて貰った地図ではもう直ぐ川がある筈だから、そこからは俺の大鯰を使おう」
「良いの?一日一回しか使えないのに」
「変身を解かなければ問題は無いだろう、それにそうでもしないとAGIが0の俺達では着く頃には日が暮れてしまう」
「それもそっか・・・えへへ、それにしてもオーシャンとこうやって二人で歩いてると、なんだかデートしてるみたいだね」
「・・・そうだな」
オーシャンは少し口を緩ませた。
「イベントが終わったら、また何処か出かけよう・・・メイプル?」
オーシャンはメイプルから返事が無い事に疑問に思い振り返ると、そこにメイプルの姿が無かった。
「っ!メイプル!?」
「お〜い!オーシャン!」
「何処だメイプル!」
メイプルの声が聞こえるも辺りには見当たらない。
「下!下だよ〜!」
「下って・・・まさか」
オーシャンは地面に手を置くと、まるで水に手を入れるかの様に地面に吸い込まれた。
「見せかけの地面と言う訳か、『ハイドロンストリーム』!」
オーシャンはスキルを使って地面に飛び込みメイプルの下までやって来た。
「怪我はしてないか?」
「うん!ノーダメージだよ!」
かなりの高さから落下したのだが、メイプルは自身の防御力に救われた様だ。
「それよりオーシャン、アレ!」
メイプルの指差す先には通路の様な横穴が続いていた。
「隠しダンジョンと言うやつか」
「行ってみる?」
「そうだな、メダルも手に入るかもしれないしな」
横穴に入り暫く歩くと、大きな扉が現れた。
「行くよ、オーシャン」
「ああ」
二人で扉を開けると、中は広い空間となっていた。
「何も無い?」
「いや微かに気配がある・・・上だ!」
オーシャンがそう言うと上からピエロの様な姿をしたモンスターが現れた。
「やる気だね!」
メイプルは純白の盾『白雪』を構える、制限が掛かってしまった悪食が付与された闇夜ノ写に変わるメイプルの新たな盾だ。
「メイプル、ここは俺にやらせてくれ」
「分かった、気を付けてね」
モンスターがオーシャンに向かって飛び掛かる。
「スッシーズ!」
「「「スシッ!」」」
オーシャンが杖を横に構えると、その両端にトロタツとキミタツが飛び乗り、エビタツはオーシャンの頭に乗った。
「『ハイドロポンプ』!」
「「「ス〜ッシィ!!!」」」
三匹から凄まじい勢いの水がモンスターに直撃して、モンスターは消滅した。
「わぁ〜、すっごい威力」
「だな」
すると端にある玉座から宝箱が現れた。
「メイプルが開けなよ」
「良いの!じゃあ遠慮なく・・・」
箱を開けると、中から銀のメダルが二枚現れた。
「やった!メダルだよオーシャン!」
「二枚か、幸先良いな」
メダルはオーシャンが優先な為、メイプルはオーシャンにメダルを渡し、隣にあった転移の魔法陣で元の地上に戻った。
「あっオーシャン、川だよ」
戻って早々目的の川を発見した。
「これで移動が楽になるね」
「あっちに流れてるな、日が暮れる前に行こう・・・『大鯰』!」
オーシャンは川に入り、大鯰に変身するとメイプルを乗せた。
「よ〜し、それじゃあ出発!」
メイプルの掛け声を合図にオーシャンは動き出した。
「所でオーシャン、スッシーズ達は?」
『口の中だ、大鯰になるとそう言う仕様になるんだ』
「そうなんだ・・・とこr『味はしないぞ』何で分かったの!?まだ何も言ってないのに!」
『何となくだ、最近メイプルの考える事が分かる様になってきた』
「うぅ・・・」
メイプルは顔を真っ赤にする。
暫く進み漸く海へと辿り着いた、まだ日が暮れてはいないが直に夕方だ。
「よっ!着いた〜!」
『海の中は俺が探索しよう、メイプルは何処か野営が出来る場所が無いか探しててくれ』
「分かった、じゃあ日暮れにここで集合って事で・・・あれ?」
『どうしたメイプル?』
「あっえっとね、あっちの方でなんか声が聞こえたんだけど何だか争ってるみたい」
メイプルの指差す先には大きな岩礁があった。
『メダルは対人戦でも奪える、恐らくそれだろうな』
「女の子の声だった・・・オーシャン」
『助けたいんだろ?行こう』
「うん!」
岩礁の陰では三人のプレイヤーに囲まれた黒髪の少女が居た。
「やめてください!これは私が見つけたメダルです!」
「別にルール違反はしてねえだろ?ドラぞうだって対人して奪うのも有りだって言ってたしな」
少女の手には銀のメダルが握られて居た、恐らくこの砂浜に埋まっていたのを見つけたのだろう。
「良いからそのメダルを渡せって、そしたらキルだけは勘弁しといてやる」
「嫌です!」
「チッ、だったら・・・」
男は持ってる剣を振り上げ、少女に向かって振り下ろす。
『エビタツ、『ハイドロポンプ』!』
「ス〜ッシィ!」
エビタツのスキルが命中し、男は吹き飛ばされて消滅した。
「なっ何だ!」
オーシャンは海から勢いよく跳ね上がり、変身を解除して少女の前に立つ。
「『カバームーブ』!」
すると瞬時に隣にメイプルが現れる。
「何だお前ら・・・っ!お前まさか!」
「女の子を虐めるのは許さないよ、『毒竜』!」
メイプルは毒竜を発動する。
「やっぱお前四位の・・・」
残りの二人は毒竜に呑まれ消滅した。
「成敗!」
「怪我は無いか?」
「はっはい、ありがとうございます」
「礼ならメイプルに言ってくれ、君を助けたいと言ったのはメイプルだからな」
「はい!えっとメイプル?さん、助けていただきありがとうございます!」
「気にしないで、助けたくて助けたんだから」
「ですが何かお礼を、と言ってもご覧の通り私は初心者で・・・渡せる物はこのメダルくらいしか」
「良いよ別に、私もう金のメダルを持ってるからそこまで困って無いし」
「金と言う事は、前回のイベントの入賞者ですか!凄いです!」
「いや〜それほどでも・・・えっと、アナタの名前は」
「これは失礼致しました、恩人に名乗らないのは失礼ですね・・・コホン、私の名前は『セツナ』です、見ての通り片手剣使いです!」
セツナは持っているレイピアを見せる。
「よろしくねセツナ、私はメイプルでこっちは・・・」
「オーシャンだ」
「メイプルさんとオーシャンさんですね、改めてよろしくお願いします!」
それからオーシャンが大鯰の変身を解いてしまい、夕方になってしまった為野営の場所を探していた。
「成る程、皆さんで手分けしてメダルを探してるのですね」
「うん、だから私達二人が海なの、水場ならオーシャンの出番だから」
「それにしても・・・」
セツナは後ろを振り向く、そこには数歩遅れて歩いているメイプルとオーシャンの姿があった。
「すまない、俺もメイプルもAGI0なんだ」
「二人とも極振りなんだ」
「そうなんですね、極振り・・・ロマンがあって良いですね!」
その後、野営を出来る場所を見つけて三人で一息ついていた。
「所でセツナはどんな風にしたの?」
「ステータスですか?私はこんな感じです」
セツナはステータス画面を二人に見せた。
セツナ:Lv7
HP 80/80〈+10〉
MP 32/32〈+10〉
【STR 10〈+15〉】
【VIT 0】
【AGI 20】
【DEX 20】
【INT 50】
装備
頭【空欄】
体【空欄】
右手【初心者の片手剣】
左手【空欄】
足【空欄】
靴【空欄】
装飾品 【空欄】【空欄】【空欄】
スキル
【炎魔法 Ⅱ】【MPカット 小】【MP回復速度強化 小】【MP強化 小】
「あ〜サリーみたいなタイプだ」
「INTに多く振ってるな」
「はい!実は私、魔法とか凄く憧れてたんです!お母さんに今までゲームは制限されてたんですが、勉強を頑張ってお小遣いとお年玉を一年分前借りして漸くソフトとハードを買えたので!」
「それでこんな数値に?」
「はい!ネットで調べたら、AGIはこの位有れば現実の速度と変わらなく走れます、DEXもこの数値でクリティカルが出しやすくなりますのでこの数値に、INTは炎魔法を極めたかったので高めにしました、STRは一応は物理攻撃職なので残りを振りました、レベルが上がったのでHPとMPにもそこそこ振りました」
「ほえ〜」
メイプルはセツナの説明に関心を受けているが、オーシャンは少し考え込んだ顔をしていた。
「セツナ、方針は『炎魔法を極めたい』それだけなのか?」
「はい!私、炎とか爆破とかの魔法が大好きなんです!」
「・・・」
「オーシャン?」
「セツナ、気を悪くするかもしれないがもう少し方針は明確にしておいた方が良い・・・俺はゲームの勝手が分からなかったが故にINTを極振りにしてしまった、幸い魔法使いを選んでいたから、知り合いに固定砲台型のウィザードになる事を提案された」
オーシャンはまだプレイしたての頃の自分とセツナを重ねて話していた。
「その過程で、名前がオーシャンだから俺もお前と同じ様に水魔法を極めてみようと思った、だから行動自体を否定したい訳ではないんだ、だがこのステータスはゲーム初心者の俺でも分かるがこれは
「っ・・・」
「先程襲われていたのも、この職と噛み合ってないステータスが原因なんじゃないかと思う」
「それは・・・」
実際セツナが仮に魔法使いであったならば、倒しきる事は無理でも逃げる事が出来ただろう、だが剣士なのに魔法特化という状況が自分の首を締めていたのだ。
「・・・実は正直、後悔しました」
セツナは膝を抱え込んだ。
「データを消去してやり直す事も出来ました、ですが早くゲームをやりたい一心で始めてしまい、スキルを整えてレベリングをしようとした矢先に第一回イベントが終了してしまって、出遅れてしまった分を取り戻そうとして今回のイベントに参加したんです」
「探索で安全と思ってたら、さっきのプレイヤー達に出会してしまった・・・と言う感じか?」
オーシャンの問いにセツナは頷く。
「正直このままでは俺達と別れた後に同じ事に成りかねない、残念だがこのままソロでやるつもりなら、今回も諦めた方が良い」
「っ・・・そう、ですね」
「大丈夫だよセツナ!だったら私達と一緒に居れば良いんだよ!」
「え・・・」
「私のVITなら守ってあげられるし!それにこっちにはサマーって言う頼りになるプレイヤーもいるし!」
「ですが、これ以上二人に迷惑を掛けるのは・・・」
「迷惑なんて思ってないよ!それに人数が多い方が楽しいよ!」
「メイプルさん・・・」
「オーシャンも良いよね!」
オーシャンはメイプルに優しい笑みを浮かべる。
「セツナはどうしたい?」
「私は・・・二人と一緒に居たい・・・良い、ですか?」
セツナがそう言うとメイプルは抱き付いた。
「全然良いよ!よろしくねセツナ!」
「はっはい!メイプルさん、オーシャンさん!」
(困っている奴に手を伸ばす、俺がお前を好きなったのはそう言う所なんだよ・・・)
今回登場したのは『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』から中川菜々こと優木せつ菜の登場です。
※ラブライブとは全く無関係のキャラとなってます。
今後登場するキャラは、作者が考えたオリジナルか他作品から輸入して来たキャラになります。